今月のニュースから

10月02日(土)処遇改善加算の下位区分は今年度で廃止。厚労省、上位移行への研修会を開始
 厚生労働省は1日から、介護職員処遇改善加算の上位区分の取得を目指す事業者などを後押しするための研修会を、オンデマンド配信の形で開始した。下位区分の「加算W」と「加算V」を今年度いっぱいで廃止するため、上位区分の趣旨、算定要件、申請手続きなどを改めて解説し、事業者の移行を支援する。特定処遇改善加算の算定について詳しく説明する内容も併せて用意した。介護保険最新情報のVol.1013で周知し、介護現場の関係者に広く参加を呼びかけている。
 研修会はWebで視聴でき無料。専用ページのフォームで事業者名、事業者番号、所在地、メールアドレスなど必要事項を入力すれば、事務局からの受講案内メールを受け取れる。開催は10月1日から来年3月31日まで。人数制限は設けられていない。
 厚労省はこのほか、オンデマンド配信の研修会に参加した事業者を対象とする個別相談も行う。原則Zoomなどのオンライン形式。受け付けは今年12月までで、150事業者が上限となる。相談は社会保険労務士など専門家が担うという。
 処遇改善加算の「加算W」と「加算V」の廃止は、今年4月の介護報酬改定をめぐる議論の中で決められた。現在は新規取得を認めない経過措置の期間中。来年度からは完全廃止となる。
 昨年6月時点の処遇改善加算の算定率は、全5区分で92.6%。このうち「加算W」は0.2%、「加算V」は0.3%と非常に少ない。   (介護ニュースjoint)

 

10月11日(月)厚労省が福祉団体に労災防止を要請 介護施設での死傷災害が急増
 「福祉、介護施設の労働災害が急激に増えている。従事者が安心して働き続けられる環境づくりに、より一層取り組んでほしい」。9月29日、三原じゅん子・厚生労働副大臣は、14の福祉、介護関係団体とオンラインでつなぎ、協力を要請した。特に労災の7割を占める腰痛、転倒と、高齢従事者の労災について積極的な防止対策を求めた。
 2020年の福祉、介護施設における死傷災害(従事者が死亡または4日以上の休業)は1万3267人。前年から32%増え、他業種と比べても増加率が突出して高い。5年前と比較しても5670人増えている。
 福祉、介護施設ではかねて従事者の腰痛、転倒が問題となっており、20年の労災でも7割は腰痛、転倒で、そのうち5割は1カ月以上の休業となっている。
 こうした状況に厚労省は福祉、介護を労災防止の重点業種と位置付け、初めて副大臣が直接、関係団体に協力を呼び掛けた。
 団体を代表して発言した全国老人福祉施設協議会の平石朗会長は「腰痛は無理な姿勢での移乗などで発生することが多いことから、負担を軽減するためリフトなどの介護機器、ロボット、ICT(情報通信技術)の導入を積極的に進めている」と述べ、日本介護福祉士会の今村文典副会長は「職能団体として目の前の介護職チームの介護力、チームメンバーを守るスキルを高めることで、各事業所とともに労災防止に取り組んでいく」と話した。
 三原副大臣は「積極的な取り組みにより業界全体の安全基準の向上が図られることを期待する」と応じた。
 要請を受けた団体はほかに、全国社会福祉協議会、全国有料老人ホーム協会、全国老人保健施設協会、全国社会福祉法人経営者協議会、日本社会福祉士会など。   (福祉新聞)

 

10月13日(水)SOMPO、介護職約1千人の年収50万円引き上げへ 看護師並みに
 SOMPOホールディングスは、傘下の介護事業大手「SOMPOケア」の介護職員約1千人の給与を来年4月に引き上げる方針を固めた。対象の正社員の年収水準を50万円ほど引き上げ、介護施設で働く看護師の平均的な水準並みの450万円程度にする。介護人材の確保や定着に欠かせない処遇改善を急ぐ必要があると判断した。
 介護業界は、担い手不足が深刻なのに給与水準の低さが問題視されており、岸田文雄首相も改善に取り組む意欲をみせている。SOMPOケアの判断は、政権の目標を先取りする動きとして注目を浴びそうだ。
 SOMPOケアは正社員約1万人のうち、約7千人が介護職。今回給与引き上げの対象になるのはこのうち、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、在宅サービスなどの介護現場で「ケアコンダクター」と呼ばれるリーダー級の職員約1千人で、職務手当を増額する。会社側が9月に労働組合に具体案を示して交渉中で、10月中の合意をめざしている。2022年度の処遇改善に必要な原資は約24億円。
 SOMPOケアは19年10月にも約10億円を投じて介護職のリーダーらの給与を上げた経緯があり、今回が第2弾になる。第1弾では、競合社に比べて処遇が見劣りし、人材確保が難しかった地域などでは最大で年80万円上げ、対象者の年収が300万円台から約400万円にアップした。
 厚生労働省は、全国の65歳以上の高齢者数がほぼピークを迎える40年度に必要な介護職員約280万人に対し、約65万人が不足するとの推計を7月に公表した。
 国は、介護報酬の特定処遇改善加算の仕組みなどを通じて担い手の待遇改善に取り組んでいる。だが保険財政の制約もあり、介護職員の平均給与は全産業平均(役職者を除く)の年440万円を下回ったままだ。   (朝日新聞社)

 

10月18日(月)高齢者住宅の入居者に過剰介護で「囲い込み」横行、自治体の4割が把握…読売調査
 見守りサービス付きの高齢者向け住宅の入居者に、過剰な介護サービスを使わせて利益をあげる「囲い込み」と呼ばれる不適切な行為が問題になっている。所管する都道府県などに読売新聞がアンケート調査を実施したところ、約4割が事業者による囲い込みを把握していた。一方で約9割の自治体が立ち入り調査を計画通りに実施できておらず、チェックが追いつかない実態が浮き彫りになった。

 調査は7〜8月、全国で約27万人が暮らすサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が2011年度の制度創設から10年になるのに合わせ、所管する都道府県や政令市など129自治体にアンケート形式で実施。対象の全自治体が回答した。

 サ高住では、安い家賃で集めた入居者を併設する自社のデイサービスに通わせるなどして、税金と保険料が主な財源の介護保険で利益を確保する「囲い込み」があるとされる。囲い込みは、利用者の自立を妨げる過剰介護につながりやすく、介護給付費の増大を招いて保険料上昇の要因にもなるため、厚生労働省が自治体に指導の徹底を求めている。
 調査では囲い込みについて、通報や苦情などを通じて51自治体が「把握している」と回答。内容(複数回答)は「併設事業所の介護サービスしか使わせない」(47自治体)、「介護保険で定められた限度額ぎりぎりまでサービスを使わせる」(35自治体)を挙げた。
 運営状況を監視するため、国の指針に基づいて実施する定期的な立ち入り調査については、18〜20年度に計画通り実施できたのは18自治体だった。20年度の立ち入り件数は計530施設と、前年度より約6割減少した。
 計画通り実施できなかった111自治体に理由を複数回答で聞いたところ、101自治体が新型コロナウイルスの影響を、42自治体が職員不足を挙げた。
 ◆サービス付き高齢者向け住宅=改正高齢者住まい法に基づき2011年度に制度化された民間の賃貸住宅。部屋の広さや職員による安否確認などの条件を満たせば、都道府県や政令市、中核市に登録される。入居は原則60歳以上で、費用は全国平均で月約10万5000円。   (読売新聞)

 

10月21日(木)認知症患者・家族の交流支援 不安や介護負担感を軽減 厚労省
 厚生労働省は2022年度、認知症患者や家族が悩みを打ち明け合う機会を増やすため、交流の場を定期的に設ける市区町村への補助に乗り出す方針だ。患者が抱える不安や孤独、家族の介護に対する負担感を和らげ、良好な家族関係の維持などにつなげる。
 政府の高齢社会白書などによると、認知症の高齢者は12年時点で推計約462万人。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる25年には、65歳以上の高齢者の5人に1人に相当する約700万人に増えると見込まれている。認知症と診断された人は不安や孤独を感じ、家族も小さなミスを責めてしまうなど、関係が悪化する恐れがあり、第三者もいる中で互いの気持ちを整理する場などが重要になる。
 厚労省は20、21両年度、社会福祉法人による交流の場づくりに向けたモデル事業に補助。20年度のモデル事業は5カ所で行われ、複数の患者や家族が参加した。一緒に合唱やスポーツなどに取り組み、それぞれの状況を共有したり、悩みを打ち明けたりする機会を設けた。  
 厚労省はこうした取り組みを参考に、市区町村が設ける交流の場の活動内容や、開催・運営経費に対する補助金の要件などを詰める。交流の場の企画・運営は、市区町村が任命し、患者や家族の相談に応じている「認知症地域支援推進員」などが担うことを検討する。   (時事通信社)

 

10月22日(金)国保保険料、上限3万円引き上げ 厚労省方針 年収1140万円以上
 厚生労働省は22日、自営業者らが加入する国民健康保険(国保)の保険料の年間上限額を来年度から3万円引き上げ、年額102万円とする方針を明らかにした。医療費の増大に対応するためで、今後、上限を定める政令を改正する。主に高所得層の負担が増える。
 厚労省がこの日開いた社会保障審議会の医療保険部会で示した見直し案によると、上限を現在の99万円から3万円引き上げる。対象となるのは単身で年収約1140万円以上の世帯で、全体の1.58%(22年度推定)になるという。これまで上限額の対象としていたのは、単身世帯なら年収約1100万円以上だった。
 引き上げ分はいずれも医療費にあて、内訳は基礎額に2万円、後期高齢者医療制度の支援に1万円。
 国保の保険料は医療費給付の増加が見込まれるなかで段階的に引き上げられ、上限の引き上げは2年ぶりとなる。高所得者層の上限額を高くし、中所得層以下の負担が増えすぎないようにするねらいもある。介護保険料は据え置く。   (朝日新聞社)

 

10月22日(金)介護老人保健施設などで基本的な感染防止策徹底を - 東京都コロナ対策本部が対応を発表
 東京都新型コロナウイルス感染症対策本部は21日、「基本的対策徹底期間における対応」を発表した。新型コロナウイルス感染症の再拡大を防止する狙いがある。
 対応の期間は、25日から11月30日までで、都民と事業者に感染防止に関する協力を依頼する。具体的には、都民に対し、外出は少人数で混雑している場所や時間を避けて行動することや、▽「三つの密」の回避▽人と人との距離の確保▽マスクの着用▽手指衛生−といった基本的な感染防止策を徹底することを求めている。
 介護老人保健施設や保育所などに対しても、基本的な感染防止策の実施などを徹底するよう協力を依頼。職場への出勤などについては、テレワークの活用や、人との接触を低減するための取り組みなどを実施するよう求めている。   (医療介護CBニュース)

 

10月22日(金)介護助手「なり手」発掘、活躍の場へ提案…厚労省がコーディネーターを全国配置へ
 厚生労働省は来年度から、介護施設で清掃など補助的な仕事を担う介護助手のなり手を探し、施設での活用方法の提案などにあたる「介護助手等普及推進員(仮称)」を全国に配置する。推進員は介護助手のなり手と施設をつなぐコーディネーターとして普及を支援する。介護現場の深刻な人手不足を緩和するねらいだ。

 介護助手はシーツの交換や食事の配膳など、施設の利用者の体に直接触れない業務を担う。資格を必要とせず、経験が浅く、知識の少ない人でも働ける。介護助手を活用すれば、介護福祉士ら専門職は、入浴の介助や認知症の人への対応などに集中できるようになる。

 厚労省はこれまで、介護助手活用のモデル事業を実施するなどして普及を図ってきたが、なり手確保の難しさや施設側の慎重姿勢などから導入は一部にとどまっている。
 このため、なり手と施設をつなぐ推進員の配置に乗り出すことにした。介護の職業紹介を行っている福祉人材センターに都道府県が推進員を配置した場合、人件費などを補助する。来年度予算の概算要求に必要経費3億円を計上し、全都道府県への配置を目指す。
 推進員は地域のボランティアセンターや地域活動などを巡回し、介護助手のなり手を掘り起こす。働く意欲のある高齢者や、子育てが一段落した主婦らに仕事の内容や魅力を伝える。
 介護施設には、介護助手を導入するための仕事の切り分けについて助言するほか、導入の利点をアピールし、受け入れ先を広げる。推進員には、社会保険労務士や介護施設運営の経験者らの起用を想定している。
 厚労省の担当者は「介護助手であれば、介護の仕事を始めるハードルが下がり、人材の裾野が広がる。認知度を高めていきたい」と話している。   (読売新聞)

 

10月23日(土)ヘルパーの4人に1人が高齢者 介護業界の人手不足が背景

 介護が必要な人の自宅などを訪問し、日常生活を助けるホームヘルパー(訪問介護員)の4人に1人が65歳以上の高齢者であることが、公益財団法人「介護労働安定センター」の調査で分かった。介護業界の中でもヘルパーは人手不足が著しく、高齢者が支え手となっている状況が浮き彫りになった。

 65歳以上の割合は、看護職などを含む介護事業所の従業員全体では12.3%。ヘルパーは25.6%で、それ以外の一般の介護職(9.4%)と比べても大幅に高く、平均年齢は50.9歳。ヘルパー不足を感じている事業所は80.1%に上った。   (共同通信社)

 

10月25日(月)訪問・通所介護は1〜2万円 居宅は1万円 かかり増し経費の補助金、各サービスの上限額固まる
 コロナ禍に伴う介護事業所の“かかり増し経費”を補填する国の新たな補助金について、サービスごとの上限額など具体像が分かった。
 主なサービスの1事業所あたりの上限額は以下の通り。訪問介護や通所介護は1万円から2万円、特養や老健は3万円から7万円などと設定されている。厚生労働省は今月中にも正式に通知を出す。
 この新たな補助金は、先月まで実施されていた介護報酬の特例(0.1%増)の代替措置として支給されるもの。10月から12月までの間に生じたかかりまし経費、例えばマスク、手袋、消毒液、パーテーション、パルスオキシメーターの購入費などが対象となる。厚労省は先月末、従来の介護報酬の特例をこうした実費補助へ切り替える方針を示していた。
 全ての介護事業所が申請可能。時期や様式、ルールなど手続きの詳細はなお調整中だが、10月から12月までの分をまとめて1回で申請する形となる見通し。申請にあたっては、かかり増し経費を証明するレシートを保存しておく必要がある。申請書へのレシートの添付は不要。詳細は今月中にも通知される。   (介護ニュースjoint)

 

10月29日(金)ワクチン3回目接種、介護職を含む全員が対象 優先なしで8ヵ月後から
 新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種について、厚生労働省は28日、2回の接種を終えた全ての人を対象とする方針を固めた。
 この日の「ワクチン分科会」で選択肢として示し、多くの専門家から賛同を得た。
 2回目の接種から8ヵ月以上経過した希望者から順に接種できるようにする計画。1回目のような「優先接種」の概念は用いず、自然と医療従事者、高齢者、基礎疾患のある人、介護職といった順に希望者が接種できる仕組みとする。
 厚労省は来月の分科会でこうした方針を正式に決める予定。12月から3回目の接種を始めたい考えだ。
 3回目の接種は、感染の予防などワクチンの効果を維持していくことが狙い。全ての人を対象としたのは、自治体の事務が煩雑になるのを回避する狙いもある。分科会では専門家から、3回目の必要性が特に高い高齢者などへの積極的な情報提供を求める声もあがった。   (介護ニュースjoint)

 

 

 

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