NEOM The LINE

 

広大な砂漠に計画されているのは、最先端の万里の長城ではない。全長170kmに及ぶ「線状の巨大都市」である。幅200m、全長170km、海抜500m。東京タワーを軽く超える高さだ。その都市には道路もなければ、車も走らない。人間の住みやすさを最優先に、効率化を徹底すると、一本の線になったのだ。
70兆円の未来都市「THE LINE」、全長170kmを最短20分で移動

 

7月26日にサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が、約70兆円をかける都市開発プロジェクトの一つとして、建設予定の未来都市「THE LINE」のデザインを発表した。いまだかつてない都市デザインに世界各国が注目している。7月末に「The LINE」の動画がYoutubeで公開され、2022年10月時点で1000万回以上再生されている。
今回の「THE LINE」を含むサウジアラビアの都市開発はNEOMと呼ばれている。その一つとなる山岳リゾート計画地では、2029年のアジア冬季競技大会が開催されることになっている。

 

すべての必要な施設が徒歩5分圏内にあり、車がいらない生活となる。公共交通機関だけで移動が成り立ち、170kmの端から端までは最短20分で移動できるようになる。

 

車を持たない生活に人々がシフトし、100%再生エネルギーが使われるため、環境への負担が激減する。

 

将来、900万人の人がここに住むようになる。これは神奈川県や大阪府の人口に近い数だ。そして2030年までに38万近い雇用をこの場所でつくる。

 

都市は、いわば縦500m x 横200m x 奥行き170kmの薄い直方体。すごいのは、両側面が鏡張りになっていることだ。大きな「壁」で両側の景観を遮断しない配慮がされたデザインになっている。中に住んでいる人は高く聳え立つコンクリートの塊に囲まれ、まるで進撃の巨人のような世界観だ。

 

徒歩2分以内に人が自然を楽しむ場所を設置することで、幅の狭い都市に立った建物に挟まれている圧迫感を薄めている。
再生エネルギーは、太陽光、風力、水力を利用する計画だ。
また、AIを駆使することで、全自動化を目指している。

 

 

都市計画に大量資金が流れ込む理由

 

THE LINEを含むNEOMプロジェクトは、サウジアラビアが進めている経済改革計画「ビジョン2030」の一環だ。化石燃料に依存してきた従来のやり方から、製造業、物流、観光などの経済の多角化を進める目的で計画されている。
Wall Street Journalによると、2300ページに及ぶ「NEOM」開発計画資料には、空飛ぶタクシー、砂漠地帯に雨を降らす人工雲、人工衛星で照明する人工月
恐竜ロボット、家事ロボット、暗闇で光る砂などの突飛なアイデアが掲載されていた。

 

 

 

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