今月のニュースから

9月05日(月)オミクロン対応ワクチン、介護職も優先対象 政府方針 9月半ばから接種開始
 新型コロナウイルスの「オミクロン株」に対応した新しいワクチンについて、政府は今月半ばから接種を開始することに決めた。加藤勝信厚生労働相は2日の会見で、60歳以上の高齢者や基礎疾患のある人に加えて、医療・介護の現場を支える職員も優先的に接種できるようにすると表明した。
 審議会は新ワクチンの有効性を、「従来型ワクチンを上回る重症化予防効果が期待される。短い期間である可能性はあるものの、感染予防効果、発症予防効果も期待される」と評価。「オミクロン株と武漢株の両方の成分を含み、2種類の異なる抗原が提示されることになるため、誘導される免疫もより多様な新型コロナウイルスに反応する。このため、今後の変異株にも有効である可能性がより高いと期待される」と分析している。
 加藤厚労相は会見で、「製薬企業との交渉の結果、輸入などが一部前倒しされることになった。欧米に遅れることなく、我が国でも9月半ばから国内配送を開始できる見込みとなった」と説明した。
 そのうえで、「重症化リスクなどを踏まえ、まずは4回目接種の対象者から接種を始める」と明言。「全ての国民を対象とする新ワクチンの接種は、10月半ばを目途に準備を進める」との意向を示した。また、「全国にしっかり行き渡る量を確保していきたい。自治体とも連携をとって円滑に接種を進められるように対応する」と述べた。   (介護ニュースjoint)

 

9月06日(火)厚労省、ケアプラン事業所間共有の新システムを来年4月から本格稼働 介護現場の脱FAXへ活用呼びかけ
 厚生労働省は6日、居宅介護支援事業所と他の介護サービス事業所によるケアプランなどのやり取りをオンラインで効率化する「ケアプランデータ連携システム」について、来年4月から本格的に稼働すると発表した。
 介護保険最新情報のVol.1096を発出し、ケアマネジャーや事業者ら介護現場の関係者へ広く周知している。
 「ケアプランデータ連携システム」の整備は、介護職の事務負担の軽減に向けた国の施策の一環。毎月のケアプランやサービス利用票(予定・実績)などの共有を、FAXや紙の手渡し、郵送などで行う事業所が少なくない現状を改める狙いがある。
 今年5月、岸田文雄首相が「今年度中に整備して早期の全国展開を目指す」と表明。厚労省はこれまで、事業所の介護ソフトが違っても相互のデータ連携を円滑に処理できるようにする標準仕様の公開など、必要な準備を進めてきた経緯がある。
 厚労省は今回の通知で、「ケアプランデータ連携システム」のパイロット運用を来年2月から始め、これを4月からの本格稼働につなげていくスケジュールを公表。「ケアプランのデータ連携で業務効率化とコスト削減が期待できる。手書き・印刷してFAXや郵送などでやりとりしていた書類を、データで送受信できるようになる」と強調し、積極的な活用を呼びかけた。   (介護ニュースjoint)

 

9月06日(火)厚労省、福祉用具の選定の判断基準を見直す方針 自立支援の促進や介護サービスの適正化に向け具体的検討へ
 厚生労働省は5日、介護保険の福祉用具貸与・販売の制度改正をめぐる検討を進めてきた有識者会議を開き、これまでの議論を整理した報告書をまとめた。
 事業者、ケアマネジャーらに向けた「福祉用具の選定の判断基準」を見直す方針を盛り込んだ。利用者の自立を後押ししていく観点から、過不足のない適切な給付を更に推進していくことが狙い。スケジュールなど詳細は今後詰める。調査・研究事業なども実施してその成果を反映させていく考えだ。
 厚労省の「福祉用具の選定の判断基準」は、利用者の状態と合わないものが提供されて本人の自立支援を阻害するケースを防ぐこと、などを目的とするもの。およそ4500の利用事例を検証した結果に基づき、今から18年前の2004年に策定された。個々の福祉用具ごとに、利用者の「使用が想定しにくい状態」、「使用が想定しにくい要介護度」を提示。例えば自走用車いすの場合、以下のようにまとめられている。
《 例:自走用車いす 》
○ 使用が想定しにくい状態=つかまらないで歩行できる
○ 使用が想定しにくい要介護度=要支援
※ あくまで標準的な目安。利用者の生活環境や解決すべき課題などによっては、使用が考えられるケースもある。
 厚労省は今回の報告書で、見直しの必要性を「2004年の策定以降に給付対象として追加された福祉用具もある」「市場拡大により福祉用具の種類も豊富になっている」と説明。併せて、多職種連携の促進や地域ケア会議の活用などにもつなげたいとした。
 このほか、疾病・疾患による分類の整理やLIFEへの対応、判断基準内容の細分化にも取り組むと記載。同一種目の複数給付も含めた“適切な提供量”について考え方を整理したり、社会参加の視点を加味したりする意向も示した。   (介護ニュースjoint)

 

9月07日(水)【まとめ】75歳以上の高齢者、10月から医療費窓口負担が引き上げに 対象者やポイントは?
 10月1日から、一定以上の所得がある後期高齢者(75歳以上)の医療費の自己負担が2割へ引き上げられる。対象者は約370万人。後期高齢者全体のおよそ20%にあたる。こうした制度改正の趣旨や引き上げの要件などをまとめた。見直しの背景には、やはり急速な高齢化の進展がある。後期高齢者の医療費は、今年度の予算ベースで18.4兆円。このうち、現役世代が負担している分はおよそ4割の6.9兆円にのぼる。
 後期高齢者の医療費は今後も変わらず増えていく。現役世代の負担も重くなっていく一方で、国の試算によると2025年度までに8.1兆円へ膨らむ見通しだ。自己負担の引き上げはこうした状況を踏まえ、一定以上の所得がある人に能力に応じた支払いをしてもらう狙いがある。
 取材に応じた厚生労働省の担当者は、「いわゆる“団塊の世代”が2025年にかけて後期高齢者となっていくなか、現役世代の負担が急増している」と説明。「今回の見直しは、現役世代の負担を抑えて国民皆保険を未来へとつないでいく、という趣旨で実施する」と理解を求めた。
 誰が引き上げの対象となるのか。それは個々の後期高齢者の課税所得や年金収入などをもとに、世帯単位で判断されていく。具体的には、次の要件に当てはまる後期高齢者の自己負担が2割となる。実際に対象となったかどうかは、今月にも自治体などが交付する被保険者証で確認できる。
*2割負担の対象者
 課税所得が28万円以上で、かつ「年金収入+その他の合計所得金額」が、単身世帯なら200万円以上、複数世帯なら計320万円以上
※ 年金収入には遺族年金・障害年金を含まない。課税所得145万円以上など、現役並みに所得のある後期高齢者は引き続き3割負担のまま。
 厚労省は今回、いわゆる“受診控え”を防ぐため自己負担が2割となる人への配慮措置(激変緩和措置)も用意している。期間は2025年9月30日までの3年間。1割負担と比べた場合の外来の負担増を、最大で1ヵ月3000円までに抑えていく内容だ。この配慮措置は、超過分を後から払い戻す高額療養費の仕組みで運用される。
 政府内では現在、2024年度の介護保険制度改正で高齢者の利用者負担を引き上げることの是非が検討されている。大枠の方針は今年の年末に決まる予定。そこに至るまでのプロセスでは、こうした後期高齢者医療制度の負担のあり方も参考に議論が進められることになる。   (介護ニュースjoint)

 

9月12日(月)要介護2以下の訪問介護・通所介護を総合事業へ移す案、慎重論が大勢 一部委員は支持=介護保険部会
 厚生労働省は12日、2024年度の介護保険制度改正をめぐる協議を進めている審議会(社会保障審議会・介護保険部会)を開催し、要支援者への訪問型サービス、通所型サービスなど「総合事業」を俎上に載せた。
 この中で“検討の視点”として、「住民主体の多様なサービスや民間企業の生活支援サービスなども含め、要支援者らの状態・希望に合った相応しいサービスを選択できるようにすることが重要」と説明。今後の論点として、
○ 市町村が地域の実情に応じた総合事業を推進するのを支援するにあたって、どのような方策が考えられるか
○ ケアマネジャーが適切なインフォーマルサービスを選択できるようにするため、どのような方策が考えられるか
などを提起した。一方、要介護1、2の高齢者への訪問介護、通所介護を総合事業へ移す改革案には触れなかった。
 財務省などが繰り返し実現を迫っているこの改革案について、会合では一部の委員が、給付費の適正化に向けて具体化を図るべきだと主張した。ただし、大勢を占めたのは慎重論だ。「総合事業の対象者を拡大する前に、これまでの効果の検証が必要」「重度化の予防や介護離職の防止に逆行する」などの声があがった。
 総合事業の大きな特徴は、地域の実情に応じてサービスの運営基準や報酬などを柔軟に設定することができる点。要支援者の支援ニーズの中身が多岐にわたることを踏まえ、必ずしも画一的でない多様なサービスを効果的・効率的に提供できるようにする狙いがある。
 こうした多様なサービスは少しずつ広がっているものの、報酬が低いこともあってまだ必ずしも十分に普及しているとは言えない。財務省はこの仕組みを要介護2以下の訪問介護、通所介護にも拡大することで、給付費の膨張や現役世代の負担増を抑えるべきと提言している。   (介護ニュースjoint)

 

9月12日(月)物価高対策で障害者支援施設・特養などに支援金 - 東京都補正予算案、燃料費高騰の介護事業所支援も
 東京都はこのほど、2022年度9月補正予算案を公表した。物価高騰に直面する障害者支援施設や障害福祉サービス事業所、特別養護老人ホーム、医療機関などの負担軽減に向けた緊急対策として、支援金を支給する。
 具体的には、障害者支援施設等物価高騰緊急対策事業に5億円、障害福祉サービス事業所物価高騰緊急対策事業に3億円、特別養護老人ホーム等物価高騰緊急対策事業に14億円、医療機関物価高騰緊急対策事業に58億円を計上。いずれも国の臨時交付金を活用する。
 このほか、燃料費高騰に直面する介護サービス事業所の負担軽減に向けた緊急対策事業にも4億円を充てる。国の臨時交付金を活用し、支援金を支給する。   (医療介護CBニュース)

 

9月16日(金)20年後に医療・介護の担い手100万人不足 現役世代減、厚労白書
 高齢者数がほぼピークとなる2040年、医療や介護などの就業者は約100万人不足する――。16日の閣議に報告された22年版の厚生労働白書はこう指摘し、社会保障の担い手不足がこの先、一層深刻になるとの見通しを示した。白書は、人材確保が「社会保障における最重要課題の一つ」とするが、現場からは労働環境の改善を求める声があがっている。
 不足数は経済成長や人口構造の変化などを加味して推計。団塊の世代が全員75歳以上になる25年以降、医療や介護ニーズはさらに高まり、「団塊ジュニア」世代が65歳超となる40年には、医療・福祉分野で1070万人の就業者が必要になると試算した。
 一方、確保できる人材は974万人にとどまり、96万人が足りなくなると見込んだ。
 医療・福祉の就業者数は21年時点で891万人で、約20年間で1.9倍に増えている。しかし、20〜64歳の現役世代の人口が急減することで、人材確保が追いつかないとみられる。   (朝日新聞社)

 

9月21日(水)物価高騰で介護事業者団体が仙台市に経済的支援を要望
 物価高騰を受けて、高齢者施設などを運営する事業者の団体が仙台市に経済的な支援を求める要望書を提出しました。
 要望書を提出したのは、全国介護事業者連盟東北支部です。
 多くの高齢者施設や障害者施設が、物価の高騰や新型コロナへの対応で厳しい経営を強いられている中、利用者の経済状況を考慮すると物価高騰の影響を価格に転嫁することはできず、もはや経営努力のみで対応することはできないとして、仙台市に経費の補助などを求めました。
 全国介護事業者連盟森本浩史東北支部長「物価高騰というところでは、介護用品の価格の値上げというところが非常に大きくてですね、経営の負担も非常に大きくなっているといったところです」
 仙台市は、市としても施設への食料費の助成などに取り組んでいるとした上で、「県と市の役割分担の中でやれることをやていきたい」と述べました。

 

9月21日(水)コロナ禍で「認知症進んだ」3割 介護サービス使えず認知機能低下も
 9月21日は、コロナ禍では3度目となる世界アルツハイマーデー。認知症の人の支援にかかわる4団体がアンケートしたところ、当事者の家族や支援者らの約3割が、新型コロナの影響で介護サービスの利用が制限されたことなどにより認知症の症状が悪化したと答えた。本人や家族が体調不良で感染の疑いがある場合に介護サービスを利用できるかどうかは事業所によって異なっており、4団体は、早急な検査や介護の支援を検討するよう、近く厚生労働省に要望する。
 調査したのは「認知症の人と家族の会」など4団体でつくる「認知症関係当事者・支援者連絡会議」。2〜4月に、認知症の人を介護する家族、介護職など支援者ら計288人がウェブを通じて答えた。認知症の人が生活している場所は、自宅が112人で最も多く、施設が60人、病院は8人だった。
 新型コロナが広がった影響で認知症の症状に変化があったかどうかという問いに対し、32%が「認知症の程度が進むなどの影響があった」を選んだ。認知症以外で「心身機能の低下」があったとしたのは26%。「変わらない」は18%、「どちらともいえない」は19%だった。
■介護サービスの利用頻度「減らした」も3割弱
 介護保険サービスの利用状況を複数回答で聞くと、利用の頻度を「減らした時期がある/今も減らしている」は26%、利用する介護サービスの種類を「変更した(減らした)」は11%いた。
 頻度や種類を減らしたサービスについては、デイサービスが29%、ショートステイは10%だった(複数回答)。
 自由回答では「(検査の結果が)陰性でも、体調不良を理由にサービスが受けられず途方に暮れた」「ショートステイを望むも、微熱が続いたため受け入れを拒否された」など感染していなくてもサービスを利用できなくて困ったという体験が目立った。また、支援者からは、感染対策が法人ごとに異なり、サービスの利用制限が過度だったり緩すぎたりすることに困惑する声も寄せられた。
 認知症の人にとって、なじみの介護サービスが利用できなくなると、生活リズムが乱れ、認知機能の低下にもつながりかねない。一方、慢性的な人手不足の中で高齢者を介護する現場では、感染拡大の防止や人繰りの難しさから、感染者だけでなく利用者や家族に疑いがある場合も利用を制限せざるをえない面もある。
 4団体は寄せられた声をふまえ、認知症の人や家族に感染の疑いがある場合に早急に検査でき、結果が出るまでの間も介護を受けられるような支援の検討や、遠方から来た家族との接触などを理由に、認知症の人の介護サービスの利用を制限することを最小限にする方策、入院・入所時の家族との面会制限に柔軟に対応できるような支援を厚労省に要望する。   (朝日新聞社)

 

9月22日(木)特養の費用額、初めて2兆円超に 昨年度 利用者1.6万人増 厚労省統計
 全国の介護費の動向などを明らかにする「介護給付費等実態統計」の最新版を、厚生労働省は21日に公式サイトで公表した。
 特別養護老人ホームの費用額をみると、昨年度は2兆79億1900万円。前年度からおよそ428億円増え、特養単体として初めて2兆円を超えた。地域密着型を含めると、昨年度の費用額は2兆2477億6200万円となっている。
 特養は介護保険の中で最も費用額が大きいサービス。昨年度の総費用額に占める割合(*)は18.7%となっている。
* 特養単体の費用額と、予防給付を除いた各サービスの総費用額とで算出
費用額が膨らむ要因は高齢化による入所者の増加。特養は「終の棲家」とも言われてきた。質の高いケアで昼夜を問わず重度者らを支える貴重なサービスで、今後も国民のニーズに応えていくことが期待されている。なかなか入所できない“待機者”が多い地域と、定員が埋まらずに空床が生じている地域とがあり、国は各地の実情に合った適切な基盤整備を進めたい考えだ。
 今回の統計によると、昨年度の特養の利用者数は72万4200人。前年度から1万6400人(2.3%)増えていた。   (介護ニュースjoint)

 

9月29日(木)介護の書類、統一様式の使用や届出システムの導入を原則化 厚労省方針 事務負担の軽減へ法令措置
 厚生労働省は29日、介護現場の事務負担の軽減に向けた法令上の措置を新たに講じる方針を決めた。
 事業所の指定申請、報酬請求、実地指導(運営指導)に関する書類について、国が定めた全国統一的な標準様式を用いることを、一定の拘束力を持たせた形で自治体などに要請していく。あわせて、今年度下期から段階的に運用を始める「電子申請・届出システム」を書類提出の手段とすることを原則化する。
 介護保険法の施行規則や告示を改正する方針。近く通知を出してアナウンスする。29日に開いた社会保障審議会の専門委員会で説明。大筋で了承を得た。
 書類の様式、提出方法などが自治体ごとにバラバラな状況を改め、介護現場の事務の効率化、生産性向上につなげる狙い。政府の「規制改革推進会議」が、こうしたルールの整備を求めていた経緯がある。
 今後、厚労省は法令上の措置の細部を詰めていく。書類の標準様式の使用については今年度中に講じる予定。一方の「電子申請・届出システム」に関する措置は、「スケジュールも含めて調整中」としている。   (介護ニュースjoint)

 

9月29日(木)サ高住の「職員常駐なし」条件を厳格化…要支援・要介護者いれば認めず
 全国で約27万人が暮らす見守りサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)について、国土交通省が日中の「職員の常駐なし」の条件を厳格化したことが分かった。介護の必要な入居者がいる場合などは認めない方針を、事業者を指導・監督する都道府県などに通知した。入居者の安全に支障が生じるとの懸念に配慮した形だ。
 改正高齢者住まい法に基づくサ高住では、介護福祉士や看護師などの常駐が義務付けられている。ただ、夜間帯(午後5時から翌日の午前9時など)は、全ての部屋に緊急通報装置を設置することなどを条件に、職員の常駐なしを省令で認めている。深刻な職員不足に対応するためだ。
 国交省が9月に施行した省令では、日中についても、夜間帯と同様の安全対策を講じたうえで、「入居者の心身に支障がなく、同意を得ている」場合には、職員の常駐なしを容認する方針を示した。ただ、都市部を中心に特別養護老人ホームが不足する中、サ高住では介護が必要な高齢者も多く受け入れている。このため、入居者の安全に影響を及ぼす可能性もあった。
 懸念を解消するため、省令施行を前に国交省はサ高住を共同で所管する厚生労働省と対応策を協議。省令の具体的な運用を示す通知で、介護保険制度の「要支援」や「要介護」の認定を受けた高齢者が暮らす場合は、職員の常駐なしの対象から外すことを決めた。常駐なしを実施するにあたっては、都道府県などの承認を得る必要があるとした。
 国の委託調査(2020年度)によると、サ高住の入居者のうち、要支援・要介護ではない高齢者の割合は1割弱。国交省は「慎重に対応すべきだという指摘に配慮した。常駐不要のサ高住が急増することはないはずだ」(安心居住推進課)としている。   (読売新聞社)

 

9月29日(木)75歳以上の保険料負担、高所得者の上限額引き上げへ議論
 政府は28日、「全世代型社会保障構築会議」(座長=清家篤・慶応義塾学事顧問)を開き、医療や介護、子育て支援など各分野の改革に向けた論点について議論した。特に医療分野では、負担能力に応じて医療費を公平に支え合う仕組みを強化する観点から、75歳以上の保険料負担額の上限などを取り上げ、高額所得者については上限額を引き上げる方向で議論する見通しとなった。
 子育て世代の支援策として出産育児一時金の大幅な増額方針が示され、「医療保険全体の中で支え合うこと」とした。育児休業給付の対象拡大も論点となり、非正規労働者を含めるかどうか検討する。働く人が誰でも社会保険に加入できる「勤労者皆保険」については出席した委員から「フリーランスへの適用について検討を進めるべきだ」などの意見が出たという。
 介護分野では、高所得者の保険料負担が挙げられ、自己負担が2割の人の対象拡大などが検討されるとみられる。
 政府は改革の方向性を示した中長期の「工程表」を年内にも取りまとめる方針だ。   (毎日新聞社)

 

9月30日(金)介護施設、物価高重荷に 「工夫は既に全部やっている」利用料上げや食事内容変更も 青森県内
 青森県内の介護福祉施設が、全国的な物価高・燃料高の影響を受け、苦しい運営を強いられている。利用者の光熱費負担を引き上げたり、食事メニューを変更せざるを得ない施設もある。経営者側は「介護報酬の見直しなど抜本的な対策がないとやっていけない。赤字法人がさらに増える」と窮状を説明する。「6月ごろからの燃料高、物価高の影響がじわじわと出ている。送迎車両の運行、給湯設備の燃料代、入居者の食事など、影響は多方面にわたる」。八戸市の特別養護老人ホーム「瑞光園」(社会福祉法人・同伸会運営)の澤田章施設長は語る。
 同法人では利用者の洗濯物を、就労継続支援B型の施設に外注しているが、光熱費の値上がりや最低賃金引き上げなどの理由で委託費が約30%上がった。
 食材の値上がりを受け一部の食材を変更。サラダ油高騰で揚げ物のメニューを減らしたほか、生鮮食品を冷凍にしたりしている。このような工夫をしないと、前年度に比べ1食当たり30〜40円高くなる計算だという。紙おむつメーカーが10月1日から10%の値上げを申し出ているため、代替商品購入の検討も行っている。「今後の値上がり状況では食費の値上げなどの対策が必要になる」と澤田施設長。
 階上町などでグループホーム「かっこうの森」などを運営する株式会社リブライズでは、入居者1人当たりの電気・ガス・食料の費用が月1万円以上増えたため、7月からその半分程度の4800円を利用料金に反映した。下沢貴之代表は「増額分全額を利用者負担に上乗せしたいのが本音だが、実際、急にそこまではできない」と苦しい胸の内を語った。
 上北地方の特養ホームは7月から利用者の給食費を引き上げた。燃料高対応については行政に支援を相談している。担当者は「送迎の効率化や、燃料費の価格交渉などの工夫は既に全部やっている」と強調した。
 上北地方の別の特養ホームの試算では、法人全体の施設の電気代は前年に比べ月50万円程度の増額となっている。冬季に向け、灯油・ガス・ガソリンなどの燃料費がさらにかかると予想されるが、施設長は「少しでも節約できるようにするしかない」とため息。2021年度、全国の約4割の特養ホームが赤字になったというデータを示し「本年度は確実に5割以上が赤字になる」と予想し、「事業中止を考えている事業者が増えているようだ。経営改善のためには、介護報酬の抜本的な見直しが必要」と語った。   (東奥日報)

 

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