今月のニュースから

7月01日(金)AIで便を分析、健康管理へ リクシル開発、高齢者施設
 住宅設備大手LIXIL(リクシル)は、高齢者施設のトイレで人工知能(AI)を活用して利用者の便を分析し、健康状態を無人で管理するシステムを開発した。愛知県大府市の老人ホームで1日、実証実験を開始。高齢化が進み、人手不足が課題となる介護業界の負担軽減に貢献する。実験の結果を検証し、今後商品化も検討する。
 リクシルによると、高齢者施設では利用者がトイレ内で転倒したり、うまく排せつできず衣服を汚したりすることがあり、職員が頻繁に巡回する必要がある。また、職員が利用者の排便を目視し、手書きで記録することなども双方の心理的負担となっている。   (共同通信社)

 

7月04日(月)KDDI障害「長引けば命にも関わる」…訪問看護ステーション、ドコモ私用携帯で福祉施設と連絡
 2日未明に発生したKDDIの通信障害は、4日午前も音声通話が利用しづらい状況が続いた。影響の長期化で、切実な影響を受けている業務もあり、利用者からは早期の復旧を求める声が上がっている。
 「通信障害が長引けば命にも関わる。早く通話ができるようにしてほしい」
 東京都足立区の訪問看護ステーション「ブロッサム」を経営する西村直之さん(45)は4日午前、契約する約70の福祉施設に私用のNTTドコモの携帯電話番号を知らせるため、ファクスや電話をする作業に追われていた。
 事業所では、24時間態勢で在宅の患者や、介護施設などから相談を受けている。その連絡先はauの携帯電話10台で、2日未明から通話がほとんどできない状態が続いている。
 患者の中には、急に点滴が必要になる肺炎の人もいる。この2日間は、看護師が容体が不安定な患者宅を訪問し、体調を確認してきた。しかし、障害がいつ解消するかがわからないため、私用携帯の番号を知らせることにした。西村さんは「利用者には高齢者も多く、熱中症のリスクも高い時期。患者の体調が心配だ」と訴えた。
 災害対応を懸念する声もある。3日午後に局地的な大雨に見舞われた京都府福知山市では、7か所の避難所を開設した。ところが、うち1か所に派遣した市職員が、KDDIの携帯電話を使っており連絡を取れない状況となった。
 避難所内にある固定電話で市の災害警戒本部と避難状況の連絡などを行い、大きな混乱はなかったというが、市の担当者は「災害が起きやすい季節。避難支援に支障がでないよう、KDDIは復旧作業をしっかり進めてほしい」と話していた。   (読売新聞社)

 

7月07日(木)介護助手の配置で業務を効率化 厚労省が実証開始 施設内の役割分担の効果を調査
 厚生労働省は今年度、介護現場で掃除や配膳、見守りなどの間接業務を担う「介護助手」について、施設・事業所に配置する効果を確かめる事業を行う。
 センサーやICT、ロボットなどのテクノロジーを導入する効果の実証と一体的に進める。5日の社会保障審議会・介護給付費分科会(持ち回り開催)で公表した。
 間接業務は介護助手に委ね、介護職員にはより専門性の高い直接業務に専念してもらう ? 。深刻な人手不足の緩和や業務負担の軽減、職場環境の改善に向けて、こうしたアイデアを既に実践している施設がある。
 厚労省も期待を寄せており、実証事業でその効果を定量的に明らかにしたい考え。あわせて課題も把握し、取り組みの推進を図る施策の立案につなげていく方針だ。
 今年度内にも取りまとめる結果は、次の2024年度改定をめぐる議論にも活かしていく。介護助手の配置が業務の効率化、生産性の向上に寄与することがはっきりすれば、報酬・基準の面から何らかのインセンティブを検討する可能性もある。
 厚労省は実証を特養や老健、ショートステイなどおよそ20施設で行う計画。介護助手の配置が介護職員の業務内容、労働時間、やりがい、精神的負担、サービスの質などにどう影響したかを詳しく調べる。アンケートで利用者の受け止めも探る。
 取材に応じた厚労省の関係者は、「介護助手の配置にあたっては業務の切り出し、切り分け、役割分担が特に重要となる。その大前提のところもしっかりと取り組む」と説明。「業務オペレーションの見直し前後で現場がどう変わるのか、生産性の向上につながるのか丁寧に実証したい」と述べた。   (介護ニュースjoin)

 

7月13日(水)特養で週休3日制導入から1年 職員にゆとり、サービスの質も向上
 埼玉県川口市の社会福祉法人徳誠会の特別養護老人ホーム「春輝苑」が、職員の福利厚生の一環で2021年8月から「週休3日制」を本格的に導入した。夜勤も含めた全時間帯を9時間45分勤務にして、1週間の公休を1日増やすというもの。全国的にも週休3日制の施設が少ない中、導入から1年を迎えようとしている。導入経緯などを担当者に聞いた。
 同法人は03年の設立以降、資格手当の常設や風通しの良い職場づくりなど、さまざまなことに取り組んだことで、16年に離職ゼロを達成した。
 定着率の改善に伴い、夜勤の厳しい就業環境が新たに課題として浮上。従来、午後4時半から翌日午前9時半まで17時間拘束される勤務形態は負担が大きく、退職要因の一つになっていた。
 24時間体制の介護施設として、開設当初から就業規則に「1カ月単位の変形労働時間制」を盛り込む同施設。「現場職員が長年勤められる勤務形態を模索する中で、週休3日制に移行できるのではと考えました」と高木輝久施設長は話す。
 全職員の8割以上の同意のもと、18年度に職員を中心にした実行委員会を発足。半年以上の時間を費やし、週休3日制のためのシフトや現場マニュアルを整備した。
 全時間帯の勤務形態を実働9時間45分、休憩1時間15分に変更。17時間拘束から夜勤の負担が大幅に減少した。早番や日勤、遅番は、実働8時間から1時間45分勤務時間が増えたが、残業で対応していた業務を勤務時間帯に終えられるという心理的な負担軽減もあり、スムーズに制度移行できた。
 シフトは、増員なく現員で組み換え、正規職員51人のうち34人が週休3日で勤務(看護職は週休2日制)。職員配置は、介護職だけで2.5対1の割合で、短時間勤務が多い非正規職がスポット勤務でサポートしている。
 年間休日数は156日と大幅に増え、プライベートの時間の充実に伴い心身ともにリフレッシュすることができ、サービスの質はむしろ改善したという。  シフト調整やマニュアル作成、職員の理解に加え、急な欠勤時の対応など導入へのハードルもあるが、 高木施設長は「職場環境改善に向け、職員が一丸となったことが新制度に移行できた要因ではないでしょうか」と成功の秘訣を話す。
 業務効率化などを図り、今月からは9時間勤務による週休3日制実現を目指す。「退職率や新卒・中途採用の改善につながればと思います」(高木施設長)と期待を膨らませている。
■徳誠会=03年4月設立。特養90床、短期入所生活介護10床、通所介護や居宅支援事業も行う。職員は正規51人、非正規24人。人件費率65・3%(正規職のみ54・3%)。   (福祉新聞)

 

7月14日(木)排便状況を自動で収集・記録してくれるトイレ、LIXILが施設で実証 介護現場の負担軽減目指す
 LIXILは今月から、愛知県大府市の有料老人ホーム「フラワーサーチ大府」で、トイレとセンサーを組み合わせる実証実験を始めた。期間は来月31日まで。
実 証実験では、センサーによる’排便管理’機能を有するトイレを使い、本人の同意を前提として、入居者の排便の情報を自動で収集する。質の高いケアの提供、QOLの向上を後押しする狙い。介護職員の負担軽減も実現したい考えだ。
 排便状況のチェックは、入居者の健康を管理するうえで非常に重要だ。通常、本人からのヒアリングや職員の目視などを基に行われているが、申告が曖昧だったり確認が間に合わなかったりして正確な把握・記録は難しい。本人、職員ともに精神的な負担も感じやすい。
 実証実験で使われるトイレは、便座の裏側に付いたセンサーが排便を感知。形状、大きさなど排泄物の特徴をAIが分類する。集約された記録は、スタッフステーションの端末でプライバシーに配慮した形で確認できる。
 開発に向けてLIXILは研究所のトイレに同様の仕組みを設置。職員の協力を得たうえで、約3000枚の画像をAIに学ばせて判別精度の向上を図った。
 情報の収集や記録の自動化により、データの正確性が大幅に高まると期待される。これまで把握が難しかった認知症の人などの排便状況も、よりきめ細かくチェックできるようになると見込まれている。
 LIXILは実証実験の結果を踏まえ、こうしたトイレの製品化を本格的に進めていく方針。同社の担当者は今後について、「今回は施設での実証だが、ゆくゆくは訪問介護など在宅サービスの場での活用にもつなげていきたい」と話した。   (介護ニュースjoint)

 

7月21日(木)介護のICT化に注目 センサーで異常察知…データで質高いケア
 情報通信技術(ICT)を活用し、介護の省力化や効率化を図る「介護のICT化」に注目が集まっている。福岡市博多区にある麻生医療福祉専門学校福岡校では今春、最新の見守りシステムを導入した「ICT介護実習室」を新設し、専門科目を開講した。同校の教育現場を取材し、「ICT介護人材」育成の最前線を紹介する。
 6月初旬、同校6階にある介護施設を模した実習室で、ICTを学ぶ講義の第1回が開かれた。介護現場の負担軽減・質向上システムを開発する「コニカミノルタ」(東京)の前嵩西(まえたけにし)涼子さん(48)がこの日の講師。天井には同社が開発した見守りシステムの行動分析センサーが設置され、前嵩西さんが特徴を説明した。
 行動分析センサーは人工知能(AI)が高齢者の動きを分析。転倒、離床などがあれば、ケアする職員側のスマートフォンのチャイム音が鳴り、室内の様子が映像で通知される仕組み。高齢者がケアコールを押しても、スマホに映像が映り、瞬時に状況を把握できる。スピーカーを通じて会話も可能だ。
 「コールが鳴っても職員が一斉に駆けつける必要はありません。様子を見ながら適切なケアを判断できます」。前嵩西さんが実際にスマホを操作しながら説明すると、生徒からは「すごい」「画期的」と驚きの声が上がった。
 同校では今年度から介護福祉士を養成する介護福祉科(定員40人)でICT教育を取り入れた。生徒たちは今後、機器の取り扱い方法を学ぶ他、機器の導入で現場がどう変わるかを考えるグループワークにも取り組む。
 日本は高齢化が進み、65歳以上の人口は2020年10月時点で3619万人。総人口に占める割合は28・8%に達する。厚生労働省によると、「団塊の世代」全員が75歳以上になる25年には約32万人の介護職員が不足するとされている。福岡県第3の都市、久留米市の人口に匹敵する規模だ。
 介護人材の不足に対応するには業務改善が必要で、その切り札がICTだが、操作に不慣れな介護スタッフも多く、導入に二の足を踏む施設も少なくないという。
 そこで、同社は今後の介護の担い手となる若者にICTの役割やメリットを理解してもらおうと、19年から東京都の専門学校でICT介護授業を開始。今年度からは麻生医療福祉専門学校や宮崎県の高校でも取り組んでいる。
 講義ではデータ活用や分析の重要性も学ぶ。前嵩西さんは食事や、服薬などのケア記録も手元のスマホに入力して情報が蓄積されれば、データに基づいた質の高いケアが可能になる点も強調。「ICTをうまく活用すればケア記録を手書きで残すといった間接業務が減り、対話やケアなどに時間を割くことができる」と生徒に訴えた。
 同校介護福祉科の教員、吉水美穂さん(45)は9年間、特別養護老人ホームで働いた経験を持つ。「介護現場の悩みは、介護記録の作成などの間接業務に忙殺され、高齢者とゆっくり関われないこと。生徒にはICTを使って、生まれた余裕をいかに高齢者に還元できるかを考えてもらいたい」と話す。
 「介護のICT化」が広がれば、きつい・汚い・危険の「3K」職場として敬遠されがちな介護職のイメージアップも期待される。同校の実習室は外部見学も受け付けており、吉水さんは「介護の新たな魅力を発信できれば。見学を通して介護職を選択する人が増えるとうれしい」と話している。   (毎日新聞)

 

7月21日(木)介護事業所→行政の提出書類、全国で統一へ 厚労省 今年度内にも法令措置
 厚生労働省はこれから年末にかけて、介護施設・事業所が報酬請求などで行政へ提出する各種書類の内容を全国的に統一するための検討を進めていく。
 国が作った様式を変えずに使用したり、決められた提出書類の範囲内に留めたりすることを、一定の拘束力を持った形で自治体へ要請していく考え。21日に開催した有識者会議で明らかにした。告示や省令の見直しなど、必要な法令上の措置を今年度中にも講じる方針だ。
 自治体ごとに運用がバラバラな状況を解消し、介護現場の事務負担の軽減につなげていく狙い。今年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」で、こうした手を打つよう求められていた経緯がある。
 厚労省は今後、有識者会議で今年秋ごろに施策の方向性を固める予定。それを社会保障審議会・介護保険部会に報告し、年内にも法令上の措置の具体像を決定する計画だ。
 介護施設・事業所の指定申請に関する書類、介護報酬とその加算の請求に関する書類、行政の指導・監査に関する書類などを幅広く対象とする。自治体がその裁量でローカルルールを設けることは、地域の特性からどうしても不可欠なケースなどに限定する構え。こうした例外を認める条件などもこれから詰めていく。
 21日の有識者会議で厚労省の担当者は、「現場の事務負担が重くならないよう、提出書類の様式を法令でしっかりと定める。不必要なローカルルールは基本的になくしていく」と説明した。   (介護ニュースjoint)

 

7月22日(金)ワクチン4回目接種の対象拡大 医療・介護従事者600万人にも
 厚生労働省の予防接種・ワクチン分科会は22日、新型コロナウイルスワクチン4回目接種の対象について、60歳以上と基礎疾患がある18歳以上の人に加えて、医療・介護従事者にも拡大することを了承した。22日から接種可能になった。
 対象拡大は第7波の流行拡大を受けた対応で、18歳以上の医療・介護従事者約600万人が新たに加えられる。ワクチンはファイザー社製とモデルナ社製を使う。医療・介護従事者を通じた集団感染による重症者の発生を防ぎ、医療提供体制への影響を最小限にする目的がある。分科会の議論では、4回目接種の対象についてさらに拡大を求める意見が相次いだ。
 分科会は今秋以降、新型コロナのオミクロン株に対応したワクチンの追加接種の実施を想定し、準備することも了承した。現時点では少なくとも重症化予防を期待できることから、主な対象は高齢者などを想定している。詳細な接種対象や接種間隔などは有効性や安全性を示すデータのほか、海外の動向を基に検討する。
 現在、ファイザー社とモデルナ社がオミクロン株対応ワクチンを開発している。米食品医薬品局(FDA)はこれまでのワクチンと、オミクロンの派生型「BA・4」「BA・5」にも対応した2価ワクチンを開発するようメーカーに勧告している。国内で使うオミクロン株対応のワクチンについては、今後検討する。
 新型コロナワクチンは予防接種法上の「臨時接種」に位置づけられ、無料となっている。9月末が期限だが、期限を延長し引き続き無料で打てるようにする。
 また、新型コロナワクチンと別のワクチンとの接種は13日以上の間隔を空ける必要があったが、インフルエンザワクチンについては、同時接種を可能とすることも決めた。
◇重症化予防に主眼、一般市民は対象外
 新型コロナウイルスワクチンの4回目接種では、医療・介護従事者が接種対象に加えられたものの、一般市民は今のところ対象外だ。4回目接種の効果は短期間で、基礎疾患がない60歳未満の人にとっては接種で得られる利益が、高齢者に比べると少ないといった背景がある。
 厚生労働省は4月、4回目接種の目的を「重症化予防」と位置づけ、60歳以上と基礎疾患がある18歳以上に対象を絞った。先行する海外のデータによると、4回目接種は感染や発症を防ぐ効果が長く続かず、海外でも対象を重症化リスクの高い人に限定している国が多いためだ。
 だが、感染の「第7波」が拡大している現状を踏まえれば、短期間であっても、4回目接種によるメリットは大きいと厚労省は判断した。厚労省幹部は「4回目接種の科学的根拠は変わっていないが、環境(感染状況)が変わった」と語る。第7波の急拡大で「短期間の効果」とされていた4回目接種の評価が変わったというわけだ。
 第7波で懸念されるのが、医療機関や介護施設でのクラスター(感染者集団)の発生だ。医療・介護従事者が施設内にウイルスを持ち込んでしまったり、本人が感染・発症したりすれば、さらなる医療逼迫(ひっぱく)につながる恐れもあるため、18歳以上の従事者約600万人を接種対象に加えた。
 一方、政府は一般の60歳未満へ対象を広げることについて、現時点では消極的だ。60歳未満は重症化リスクが比較的低く、発熱やだるさなどの副反応のリスクもある。接種のメリットが、デメリットを上回ることを示すデータが乏しいといった事情がある。   (毎日新聞)

 

7月22日(金)濃厚接触 待機期間を5日間に短縮
 政府は22日、新型コロナウイルスの感染「第7波」に伴う新たな対策を公表した。濃厚接触者が自宅などで待機する期間を現行の原則7日間から5日間に短縮。必要な検査をすれば、最短3日目に解除する。医療・介護現場や企業での欠勤を減らし、社会経済活動を維持する目的がある。医療機関での発熱外来の混雑緩和に向け、医療機関を通じて抗原検査キットを無料配布することも決めた。
 感染力の強いオミクロン株の派生型「BA・5」の広がりで、22日も全国で新規感染者数が最多を更新する地域が相次いだ。東京都は3万4995人で、2日連続で最多を更新。全国では19万5160人(毎日新聞調べ)で、3日連続で最多を更新した。 濃厚接触者の待機期間はこれまで原則7日間、2回の検査で陰性が確認されれば5日目に解除としていた。新たな基準では5日間に短縮するとともに、2、3日目の検査で陰性が確認できれば、解除は最短で3日目となる。
 7日間は検温など、健康状態の確認を続ける。感染するリスクが高い同居家族や医療機関・高齢者施設内を除き、濃厚接触者の特定や行動制限をしないことも改めて求める。
 医療機関の発熱外来は感染拡大で受診しにくい事態が続いているため、キットの配布と検査で受診に代える仕組みを作る。症状が軽く、重症化リスクが低い患者が対象となる。陽性だった場合、自治体が設けている相談窓口に連絡。窓口が患者の健康観察を担うほか、配置された医師が感染者の発生届を提出する。岸田文雄首相は22日、首相官邸で日本医師会(日医)の松本吉郎会長と会談し、土日に対応する発熱外来を増やすよう協力を求めた。
 また、医療機関や保健所の負担軽減策として、体調悪化時に連絡ができるコールセンターを自治体が設けた場合には、発生届の入力項目を減らし、重症化リスクの低い患者の健康観察は本人から体調悪化の連絡があった場合に行うことを可能とする。
 感染の拡大に伴い使用率が上昇している病床についても整備を進めている。厚生労働省は3万5000床(20日時点)が、27日には4万1000床まで増加するとの見通しを示した。
 後藤茂之厚労相は22日、岸田首相との会談後、記者団に対し「社会経済活動をできる限り維持しながら、重症化リスクがある高齢者を守る対策に全力を挙げて取り組んでいきたい」と述べた。         (毎日新聞)

 

7月26日(火)感染者1人最大30万円 介護施設への支援策、9月末まで延長 看護職派遣への補助も 厚労省
 新型コロナウイルスに感染した入所者が療養を続ける高齢者施設に対する既存の財政支援策について、政府はこれまで7月末と定めていた期限を9月末まで延長する。
 後藤茂之厚生労働相が22日に表明した。目下の全国的な感染の急拡大を踏まえた措置。厚労省は同日に通知を出して全国の自治体へ伝えた。
 この財政支援策は、感染後も高齢者施設で療養することになった入所者1人につき最大で30万円を支払うもの。感染拡大を防ぐための"かかり増し経費"などに充ててもらうことを目的としている。
 厚労省はあわせて、高齢者施設へ看護職員を派遣する医療機関に対する補助金(8280円/時間)についても、期限を7月末から9月末に延長する。高齢者施設の医療体制の強化を図る施策の一環。同じく後藤厚労相が22日に発表した。   (介護ニュースjoint)

 

7月26日(火)<独自>医療・福祉100万人不足 厚労白書判明 2040年、人材確保課題
 令和4年版厚生労働白書の全容が26日、判明した。「社会保障を支える人材の確保」をテーマにしており、令和22(2040)年には1070万人の医療・福祉分野の就業者が必要と見込まれているのに対し、確保が見込まれるのは974万人にとどまり、100万人程度の人材不足が生じるとの推計を明らかにした。
 白書は「人材確保は令和の社会保障における最重要課題の一つ」と指摘。今年から団塊の世代(昭和22〜24年生まれ)が75歳を迎え始め、令和7年までに毎年約200万人が75歳以上になると見込まれる。局面は「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に変わり、すでに減少に転じている現役世代人口は同年以降さらに減少が加速するとしている。
 白書によると、平成30年時点では医療・福祉就業者数は826万人だったが、今後の医療や介護のニーズなどを踏まえた白書の推計では令和7年には940万人、22年には1070万人が必要になる。
 そのため、地域偏在による深刻な医師不足の解消をはじめ、看護師の離職防止や復職支援、介護職員や保育士の処遇改善を通じ、いかに需給の均衡を図るかが課題となっている。
 また、持続可能な社会保障制度に向けた人材確保やサービス改革の方向性として、「健康寿命の延伸」「就業者の処遇改善」「多様な人材の参入促進」などを挙げている。白書は近く開かれる閣議に報告される見通し。(産経新聞)

 

7月27日(水)介護事業者団体、物価高騰への支援を相次ぎ政府に要請 「経営努力のみでは対応できない」
 現下の急激な物価高騰を受けて、介護事業者で組織する団体が政府・与党に相次いで支援策の強化を要望している。
 全国介護事業者連盟、高齢者住まい事業者団体連合会、全国介護事業者協議会らは26日に連名で出した要望書で、「多くの介護・障害事業所は、コロナ禍の厳しい環境下で経営を強いられているところ。そこに水道光熱費、食材料費などの高騰が顕著になっており、経営に甚大な影響を及ぼしている」と説明。「介護事業所などは公定価格により経営するもの。多くの利用者らの経済状況を考慮すると、物価高騰の影響を価格に転嫁することはできず、もはや経営努力のみでは対応することが困難」と訴えた。
 そのうえで、既存の「臨時交付金」による支援の確実な実施を改めて要請。その裏付けとなる財源の十分な確保もあわせて求めた。
 全国老人保健施設協会、全国老人福祉施設協議会、日本認知症グループホーム協会なども、同様の趣旨の要望書を21日に提出。「利用者に安心・安全で質の高いサービスが提供できるよう、物価高騰への支援を」と呼びかけた。   (介護ニュースjoint)

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