今月のニュースから

4月01日(金)介護の負担割合証、負担限度額認定証などの様式が変わります! 厚労省通知 性別の記載欄を削除
厚生労働省は3月31日、介護保険の負担割合証や「補足給付」(*)の負担限度額認定申請書などの様式から、性別の記載欄を削除すると発表した。同日から適用。
* 補足給付
介護施設に入所する低所得者の食費、居住費を助成し、その自己負担を軽減する支援措置。市町村民税非課税の人などが対象で、個々の経済状況に応じて段階的に自己負担の上限額が定められている。
全国の自治体や現場の関係者に対し、介護保険最新情報のVol.1057やVol.1058で広く周知している。
介護関連で見直しの対象となるのは、
1. 介護保険負担割合証
2. 介護保険負担限度額認定証
3. 介護保険特定負担限度額認定証(特別養護老人ホームの要介護旧措置入所者に関する認定証)
4. 介護保険負担限度額認定申請書
などの様式。厚労省は経過措置として、さしあたり既存の様式を使い続けることなども認めている。
今回の見直しは自治体からの提案に基づくもの。兵庫県の明石市らが以前から、「(医療・介護にとどまらず)各分野の届出様式から性別記載欄を削除すれば、性的マイノリティの人が性自認と一致しない性別を選択するなど、心理的な負担を軽減できる」と働きかけていた経緯がある。
医療・介護の分野では、男女で疾患や診療行為、求められる対応などが変わることも少なくないため、性別の確認が必要になりやすい。今回対象となった様式は、別の書類でも性別の確認が可能なことなどから見直しが図られた形だ。   (介護ニュースjoint)

 

4月05日(火)高騰する介護人材の紹介手数料「払っても1か月たたずに退社」…経営の重荷に
人手不足が深刻な介護現場で、職員の採用のために人材紹介会社に支払う手数料が高騰し、介護事業者の経営の重荷となっている。厚生労働省は、適正なサービスを提供する紹介会社を認定する制度を始めたが、踏み込み不足との指摘もある。
 高齢者向けのデイサービスや訪問介護を運営する「RARECREW(レアクル)」(東京都台東区)は2年半ほど前、紹介会社を通じて介護福祉士の男性1人を採用した。

 配置が義務づけられている「サービス提供責任者」になれる人を採用する必要があり、介護福祉士の資格を持つ男性に期待を寄せた。だが、男性は面接で話していた仕事への意欲が全く感じられず、1か月もたたずに退社。レアクルの担当者が話を聞くと、「もともと長く勤めるつもりはなかったが、面接では言わないよう紹介会社から助言された」と打ち明けた。レアクルが紹介会社に支払った紹介手数料は約90万円。早期離職時の規定で半額ほど返金されたが、残りは戻らなかった。
 レアクルが紹介会社を通じて採用した職員は半年以内に辞めてしまう人が多かったという。今はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などで仕事の様子を発信することで自社の認知度アップを図り、人材獲得につなげようとしている。
 レアクルの日下部竜太代表は、「職員の処遇改善に使えるはずの利益が流出してしまう。会社の理念や社風を理解することなく、資格があるというだけで紹介されることが多く、定着につながらない。事業者にとっても働く側にとっても不幸だ」と嘆く。

 

■1人平均49・5万円
 全国介護事業者連盟などが介護施設を経営する約400の法人を対象に昨年8〜9月に行ったアンケートによると、紹介会社に支払った手数料は介護職1人あたりの平均で49万5000円だった。手数料は年収に一定の割合をかけて決まることが多く、職員の給与が相対的に高い傾向にある大企業の介護付き有料老人ホームに限ると、1人あたり66万6000円に上る。
 介護保険制度では、施設の人員の配置基準が決まっている。利用者の生活を支えるサービスであるため、一時的に休業するわけにもいかず、欠員があればすぐに補充する必要に迫られる。大阪府内の特別養護老人ホームの施設長は「(紹介会社を)使いたくないのに使わざるを得ない。足元を見られている状況」とため息をつく。

 

「お祝い金」で転職
 人材紹介を巡っては、新たな職場に就職した時の「お祝い金」で求職者を募り、転職を勧めて繰り返し手数料を得る行為も問題視されている。厚労省は昨年4月、職業安定法の指針を改正し、「就職お祝い金」を禁止した。ただ、罰則規定はなく、「お祝い金で求職者を呼び寄せている紹介会社は今も少なくない」(介護事業者)という。
 人材紹介料は、民間同士の契約のため「紹介料自体に上限を設けるのは難しい」(厚労省)という。そこで、厚労省は昨年度、介護・医療・保育の3分野の紹介事業者のサービスについて基準を策定。手数料の公表や、苦情窓口の設置を求めた。今年度から基準にあてはまる紹介事業者を認定する制度を始めた。
 認定を取得した人材紹介会社の「エス・エム・エス」(東京都港区)は、分野別に専門の担当者を育成し、求職者が求める働き方に合った事業者を紹介できるようマッチングを行っているという。担当者は「介護現場は仕事の内容や勤務時間が施設によって異なる。個別の事業所の雰囲気や職場環境を知り、求職者に合った職場を案内して、定着につながるようサービスの質を高めていきたい」と話す。
 ただ、人材紹介業は大規模な設備投資などがいらず、参入のハードルが低い。中小まで含めると3分野で1000社を超えると言われるが、認定事業者は35社にとどまっている。「認定を受けた会社だけで人材を確保できるとは限らない。悪質業者を公表する仕組みを作ってほしい」(全国介護事業者連盟の斉藤正行理事長)との声もあがっている。
 淑徳大学の結城康博教授(社会保障論)は「介護事業者の収入の多くは介護保険料など公的なお金でまかなわれており、紹介会社に高額な手数料が流れる現状は見直されるべきだ。紹介会社のサービスの質が担保できる規制も必要ではないか」と指摘している。

 

倒産、3年ぶり減少
 信用調査会社の東京商工リサーチ(東京)によると、2021年の介護事業者の倒産件数は81件で、3年ぶりに減少に転じた。政府の新型コロナウイルス対策の資金繰り支援策や、介護報酬のプラス改定が下支えとなったとみられる。
 東京商工リサーチの担当者は、「人手不足などの構造的な課題は解決されておらず、倒産件数の減少は一時的なものだ。コロナ禍で、外国人実習生が減少するなど、新たな課題も生まれている。人材確保のための費用が負担となり、廃業や倒産が増加に転じる恐れがある」と指摘している。   (読売新聞社)

 

4月06日(水)すべての高齢者施設で医師による治療を 介護と両立へ、チーム派遣
 新型コロナウイルス感染症の「第6波」で、医療逼迫(ひっぱく)により高齢者施設の入所者の入院が遅れたり、入院できても環境の変化によって急激に衰えたりすることが課題となったことから、厚生労働省は4日、すべての高齢者施設で医師による治療を受けられるように体制を整えることを自治体に求めた。介護と医療の両立が求められており、厚労省幹部は「介護現場の人手不足は深刻で、施設に医療チームが入る方が現実的だ」と話す。

 

 厚労省はこれまで高齢者が感染すれば「原則として入院」としてきたが、住み慣れた施設での療養に重点を置く。重症化しにくいオミクロン株の特性を踏まえ、対応を実質的に修正した形だ。病院での治療が必要な場合は入院ができるように対応する。
 厚労省によると、施設で感染者が発生した場合、まず自治体が24時間以内に感染症の専門家らによる「感染制御・業務継続支援チーム」を派遣する。すべての施設で医師と看護師の派遣を受けられるように、施設か自治体が協力医療機関を確保する。   (朝日新聞社)

 

 

4月11日(月)コロナ対応の介護施設への補助、対象地域を全国に拡大 厚労省が通知 感染者1人最大30万円
 新型コロナウイルスに感染した入所者が施設内で療養している高齢者施設への財政支援措置について、厚生労働省は8日、一部見直しを伝える通知を発出した。
 感染者1人あたり最大30万円を支給する対象地域を全国へ広げる。これまでは「まん延防止等重点措置」が適用されている地域などに限定していた。従来は今月末までとしていた対象期間も今年7月まで延長する。
 こうした方針は、今月7日に岸田文雄首相が記者会見で表明していた。施設内の感染対策で生じた"かかり増し経費"などに充ててもらう狙い。特養や老健、介護医療院、グループホーム、有料老人ホーム、サ高住、ショートステイなどが対象となる。
 厚労省は通知で、「高齢者施設への支援体制を全国で確保するための対策」と説明。介護現場の関係者から措置の拡充を求められていた経緯がある。   (介護ニュースjoint)

 

4月18日(月)介護職員の処遇改善の加算、3種類に 厚労省 今年10月の報酬改定を告示
 今年10月、介護報酬が臨時で改定される。2月から始まった補助金による介護職員らの賃上げの恒久化に向けて、新たに「介護職員等ベースアップ等支援加算」が創設される。
 この臨時改定の内容が14日に告示された。10月1日からの適用が正式に決定した形だ。厚生労働省は介護保険最新情報のVol.1066で広く周知している。
 新たな"ベースアップ支援加算"の仕組みは、今回の補助金の骨格を踏襲する形で設計されたもの。既存の処遇改善加算を取っていることに加え、加算額の3分の2以上を介護職員らのベースアップに充てることなどが要件だ。単位数はサービスごとに決められた加算率を介護報酬に乗じて算出する。
 介護職員らの賃上げを図る加算としては、処遇改善加算、特定処遇改善加算に続いて3つ目となる。厚労省は8月から自治体に申請の受け付けを初めてもらう計画。今回の通知では、「具体的な運用については別途お知らせする」とアナウンスした。   (介護ニュースjoint)

 

4月27日(水)4回目のワクチン接種、介護職は対象外 60歳以上や基礎疾患のある人に5月末から開始へ 厚労省
 厚生労働省は27日の厚生科学審議会の分科会で、4回目の新型コロナウイルスワクチンの接種について、その費用を公費で賄う予防接種法上の「特例臨時接種」に位置付けた。
 対象は60歳以上の人、18歳以上で基礎疾患がある、または重症化リスクが高いと医師が判断した人とした。医療従事者や介護従事者も、これに該当しなければ対象に含まれない。
 厚労省は今後、自治体との調整を進めつつ5月末の接種開始を目指す考えだ。
 4回目の接種で使用するワクチンは、ファイザー社製とモデルナ社製の2種類に決めた。接種間隔は3回目の接種から5ヵ月以上。基礎疾患がある人については、呼吸器や心臓、腎臓、肝臓の慢性の病気、糖尿病、がんなどで通院・入院していることを条件とした。また、BMIが30以上の肥満のケースも含めた。
 接種券はまず、60歳以上の全ての人に送付する見込みだという。一方、基礎疾患がある18歳以上の人などは自治体が把握できていないため、本人が申請する"手上げ式"での対応を想定している。
 これまでの海外の研究によって、ファイザー社製を4回接種した60歳以上の場合、3回接種した人よりも一定の重症化予防効果が得られた一方で、感染予防効果は短期間しか得られなかったと報告されている。そのため厚労省は、今回の4回目接種の目的を「重症化予防」と設定。対象者の選定も、あくまで重症化リスクの高さを基準として行った。
 後藤茂之厚労相は27日午後、「5月末から4回目接種を開始できるよう必要な手続きを進めていく」と記者団に説明。「明日、自治体の担当者向けに説明会を開催する。引き続き緊密に連携しつつ準備に取り組みたい」と述べた。   (介護ニュースjoint)

 

4月29日(金)高齢者施設で感染者、医師ら往診できるのは65% 体制整備が急務
 新型コロナウイルスの感染拡大で高齢者施設でクラスター(感染者集団)が相次いだ問題で、厚生労働省が施設内で医療を受けられる状況を調べた結果、医師や看護師の派遣や往診を要請できる医療機関を確保できている施設は65%だったことがわかった。次の感染拡大に備え、施設内でも迅速な医療が受けられる体制整備が急務となっている。
 同省が28日に公表した調査(回答率67%)では、全国の5万6119施設のうち3万6212施設が医師や看護師の往診、派遣を要請できる医療機関を事前に確保していると答えた。地域差が大きく、7県が100%だったのに対し、10%台の県もあった。同省は残りの35%の施設(未回答含む)については、引き続き体制確保を求めている。
 「確保済み」と答えた施設でも、実際にどこまでコロナ対応ができるかは分からない部分もある。神奈川県の担当者は「コロナ対応ができる医療機関は限られている」と体制整備の難しさを指摘する。
 また、施設内療養をする場合でも、治療に使われる中和抗体薬は使用後24時間以内は容体が悪化しないか確認できる体制が必要になるなど、感染拡大時に往診に来る医師や看護師がどこまで対応できるかも課題になる。
 21%と回答した鹿児島県の担当者は「これまでは入院などで対応しており、自治体が医療機関を指定をして医師らを派遣する仕組みはなかった。これから体制整備を検討する」と話す。   (朝日新聞社)

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