今月のニュースから

12月01日(水)排せつ予測支援機器が介護保険の給付対象に
 ぼうこう内の尿をセンサーで測定して排尿のタイミングを知らせる「排せつ予測支援機器」が、新たに介護保険の給付対象(販売)となる。厚生労働省が11月19日の介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会(座長=山内繁・支援技術開発機構理事長)に提案し、了承された。今後、社会保障審議会介護給付費分科会に報告して告示などを出し、来春以降、正式に対象となる。
 同機器は3月の検討会で「検討を継続」と判断された。その際に指摘された、在宅の利用者像やサポート体制などについて事業者から追加のデータや対策が示されたことから、今回改めて検討した。
 在宅の利用者像・使用方法は、トイレ移動に時間のかかる認知機能が低下した人を、センサーの通知により介助者がトイレ誘導する、などと例示。認知症グループホームで1日当たりの平均失禁回数が32%改善したデータ、電話やメールによるサポート体制なども示された。 
 委員は給付対象とすることにおおむね賛成したが、「購入しても使われないと意味がない」「センサーが故障しても分からない」「販売ではなくレンタルはできないか」といった発言があった。また「介助者が同機器を理解できるような支援ツールがあると良い」「福祉用具専門相談員が問い合わせに対応できるような支援がほしい」などの意見もあった。
 厚労省はこうした指摘を踏まえ、名称も含めて最終的な整理を行う。現在、介護保険の給付対象種目は、レンタルが車いす、手すり、歩行器など13種目。販売が腰掛便座、簡易浴槽など5種目。同機器は販売種目に入る。なお、3月の検討会ではほかに4件が「検討を継続」とされ、現在、事業者が指摘事項への対応を検討中。また、昨年11月から今年10月までに新たに4件の提案があり、年度内に検討会で議論する。   (福祉新聞)

 

12月07日(火)人材難、立ち行かぬ訪問介護 青森県内、閉鎖事業所も
 青森県内の訪問介護事業所が人手不足に悩まされている。高齢者宅を回るホームヘルパーは、相手の多様なニーズに対応するなど、経験とスキルが求められる。移動の負担もあり、人手不足の介護職の中でも特になり手が少ない。閉鎖する事業所も出ている。関係者は「高齢者が住み慣れた自宅で暮らせるよう支援する訪問介護の役割は重要」と、報酬の上乗せなどより踏み込んだ人材確保策を提案する。
 「新規の利用申し込みが増えている。スタッフはフル稼働。とても忙しい」  青森市で14年前から訪問介護事業を行っている「NPO法人みんなの架け橋」の小笠原多喜子理事長は語る。同市では、施設に入れずに待機している高齢者が「在宅でヘルパーを利用したい」と希望するケースが増えているという。
 同事業所のパートを含めた従業員15人は、高齢者宅での掃除や調理、入浴介助のほか、買い物の同行も行っている。「老老介護や1人暮らしの世帯が、訪問介護を必要とするケースが少なくない」(小笠原理事長)
 公益財団法人「介護労働安定センター」の2020年度介護労働実態調査で、訪問介護職員がいる県内事業所のうち、回答した約7割が人手不足を訴えた。
 八戸市の介護関係者は「人材難からヘルパー事業から撤退した社会福祉法人がある。閉鎖を視野に運営している所もある」と説明する。県内で指定を受けている訪問介護事業所は休止中を含め約540カ所あるが、従業員が数人の事業所が多く、苦しい運営を強いられているという。
 ケアプラン(介護計画)を考える青森市のケアマネジャー(介護支援専門員)も「市内の訪問介護事業所はどこも忙しく、高齢者のニーズに合った事業所を探すのが大変」と明かした。
 関係者によると、介護の仕事を希望する人は、訪問系よりも特養ホームなど施設系を選ぶ傾向がある。訪問は利用者の生活圏で調理や掃除などをするため気を使うことが多く、冬場は移動の負担が大きいためだ。
 全国の訪問介護職員の4人に1人が65歳以上という調査結果(介護労働安定センター)もあり、今後もヘルパーの高年齢化が進めば人手不足に拍車が掛かる恐れがある。
 県立保健大学社会福祉学科の工藤英明准教授は「訪問介護の人材難は、住み慣れた地域で暮らせるように支援する『地域包括ケアシステム』の維持を困難にする」と危機感を表し、「事業所もある程度、規模を大きくし、雇用環境を含めた再編などを行わないと厳しい。いったん定年した人たちの再活用などもより進めるべきではないか」と提案する。政府が、処遇改善が遅れている介護職の賃金を引き上げる方針を示しているが、「賃上げは良いことだが、単発ではなく継続することが大切」と強調した。
 小笠原理事長は「訪問介護の魅力は、利用者との一対一の会話を楽しめ、相手との信頼関係を築ける点。処遇改善も大事だが、行政には訪問介護のやりがいと魅力をもっとPRしてもらいたい」と話した。   (東奥日報)

 

12月15日(水)都内の特養ホーム、半数以上が外国人を雇用 4年前より大幅増
 都内の特別養護老人ホームなどの高齢者施設で55%が外国人介護従事者を雇用していることが、東京都社会福祉協議会高齢者福祉施設協議会の調査で分かった。4年前(2017年)の前回調査より21ポイントも増え、外国人雇用が急速に進んでいた。
 調査を担当した人材対策委員会の羽生隆司委員長は「予想しないスピードで増えているが、施設が十分な受け入れ準備を整えられているのか」と懸念を示し、「施設任せにしないで国が受け入れ体制を支援してほしい」と訴える。  調査は会員施設589カ所を対象に7〜8月に実施し、378カ所から回答を得た(回答率64%)。
 外国人の雇用形態は定住・永住外国人が52%で最多。次いで在留資格「介護」が32%、留学生が26%、技能実習が23%、EPAが16%。
 雇用人数は「1〜3人」が50%で最も多いが、前回より22ポイント減った。逆に「4人以上」の割合は増えた。
 課題は「日本語能力の向上」「日本の文化や慣習に不適応」「介護知識・技術の習得」が上位を占めたが、いずれも前回より4ポイント以上減った。一方で「経済的コストの高さ」が11ポイント増えており、受け入れを進める施設が増えてコストを課題に挙げる割合が増えたと推察される。
 外国人受け入れ制度に期待することは「介護人材の確保」が81%で突出して多い。EPAは「経済連携」、技能実習は「技能移転」が制度の趣旨だが、目の前の人材不足対策として活用せざるを得ない状況が透けて見える。
 羽生委員長は「しっかり受け入れができて外国人も利用者も満足度が高い施設と、そうでない施設と二極化するのではないか」とみている。   (福祉新聞)

 

12月16日(木)送迎計画、介護記録に支援システム 職員の負担減らしケアに集中…科学的介護
 介護現場では、職員が利用者のケアに集中できるようにするため、提供したサービスの記録といった付随的な業務の効率化が課題となっている。最新の支援システムの導入を通じて、介護の質の向上や職員の負担軽減につなげる施設も増えている。
■負担減り離職防ぐ
 「長い場合、1日に4時間かかった時もあった」。相模原市のデイサービス「ケアパートナー相模大野」の志村八千代センター長(39)は、利用者を車で送迎する計画作りが、職員の大きな負担となっていたことを振り返る。
 道順や利用者同士の人間関係などを考慮しながら作成しなければならないため、利用者の住所や性格を熟知したスタッフが担う属人的な業務になりがちだったという。
 こうした課題に対応するため、運営会社のケアパートナーは2018年11月から、パナソニックカーエレクトロニクスの送迎支援システム「DRIVEBOSS」の導入を始めた。
 送迎計画はその日の利用者の顔ぶれに応じて作成される。車いすを使っているかどうかや、その人が同乗したくない利用者といった情報を入力しておけば、計画に反映される。
 導入によって送迎計画の作成にかかる時間は劇的に減った。志村センター長は「早ければ1、2分で作成出来るようになり、業務の負担感も減った」と話す。
 また、導入前は特定のスタッフしか出来なかったこの業務を他のスタッフも受け持てるようになった。現場を取り仕切る立場のスタッフが後輩の育成にあたる時間が増え、介護のスキルや利用者へのサービスの質の向上につながっているという。  
 ケアパートナーの永島啓介・コンプライアンス課長(49)は、「利用者に直接関わる仕事がしたいのに、送迎計画など付随的な業務に追われてばかりいると職員がやる気を失いかねない」と、離職防止にも一役買っているとみている。
■アプリで記録短縮

 介護施設では、誰にどんな介護をしたかの記録を残すことは重要だ。体温や血圧といった体調に関する数値や、食事や入浴の状況など全ての介護内容と時間について、利用者全員分を記録する必要がある。

 何種類も記録すべき書類があり、体温や血圧など同じことを何度も書くことも求められる。北九州市の介護付き有料老人ホーム「さわやか海響館」の斎藤晃施設長(47)は「なんでこんな無駄なことを……、という思いがあった」と語る。手書きのため、後から他人が読むと字が解読できないケースもあったという。
 このため、海響館ではスマートフォンを使った介護記録アプリ「FonLog(フォンログ)」を導入した。誰に何をしたのかをスマホで選択すれば、自動的に介護記録が残せる仕組みだ。食事やレクリエーションといった複数人に同時に行う介護でも、一度の入力で出来る。何種類もある介護記録にも一括で反映される。
 導入後、「介護記録にかかる時間が短縮され、記録のための残業もなくなった」(斎藤施設長)という。施設で働く看護師の楠田佳子さん(35)は「以前はいったん介護業務の手を止めて紙に書く作業をしていたが、入居者の顔を見ながら記録が出来るようになり、体調の変化にも気付きやすくなった」と効果を実感している。
 アプリを開発した九州工業大の井上創造教授(情報工学)(47)によると、手書きで1人1日あたり57.6分かかっていた介護記録の時間が34.6分まで減少。さらにAI(人工知能)による行動認識や予測技術を活用すれば23.8分まで削減出来ると試算された。
 井上教授は「直接的な介護ではない業務にかなり時間がかかっていた。記録そのものを効率化するという観点からアプリを作った」と語る。

 

効率化の背景に人手不足
 介護業界で業務の効率化が求められる背景には、深刻な人手不足がある。介護労働安定センターの「介護労働実態調査」によると、介護事業所全体の約6割が人材の不足感があると回答した。様々な支援機器の導入によって、少ない人数でもケアの質を落とさずに業務を継続することが模索されている。
 厚生労働省の推計では、高齢者人口がほぼピークとなる2040年度には介護職員を今より69万人増やさなければならなくなる見通しだ。少子高齢化で、担い手不足の解消は容易ではなく、厚労省は情報通信技術(ICT)の活用を対策の柱の一つに位置づけている。   (読売新聞社)

 

12月24日(金)介護職員の賃上げ、サービスごとの補助率を公表 厚労省 交付は来年6月
 厚生労働省は24日、介護職員らの月額3%(9000円)ほどの賃上げを来年2月から実施するための新たな補助金について、詳しい支給ルール案を公表した。
 補助金の交付は来年6月からで、対象は既存の「処遇改善加算」の(I)から(III)を取得している施設・事業所。実際の補助額は、サービスごとの常勤換算の介護職員数に応じて設定される"補助率"と、個々の施設・事業所の総報酬とを乗じた額となる。
 厚労省が公表したサービスごとの補助率は以下の通りだ。これに施設・事業所の総報酬をかければ補助額を算出できる。
 介護保険の訪問看護、訪問リハビリテーション、福祉用具貸与・販売、居宅療養管理指導、居宅介護支援、介護予防支援などは対象外とされた。今回の補助率は来年2月から9月までの分。厚労省は10月以降の仕組みについて、「引き続き調整・検討する」と説明している。

 

12月24日(金)在宅で家族らによる高齢者虐待、昨年度は1万7281件で過去最多…死亡は25件
 厚生労働省は24日、2020年度の在宅での家族らによる高齢者への虐待件数が、前年度より2.1%増の1万7281件となり、過去最多を更新したとの調査結果を公表した。死亡事例は25件で、前年度より10件増えた。新型コロナウイルスの感染拡大で、外出を控えたり、介護サービスの利用を自粛したりして、自宅でケアをする負担が増えたことが背景にあるとみられる。   厚労省によると、家族らによる虐待の内容(複数回答)は、殴るなど「身体的虐待」(68.2%)が最多で、暴言を吐くなど「心理的虐待」(41.4%)、必要な介護をしない「介護等放棄」(18.7%)が続いた。
 一方、介護職員による虐待は前年度比7.6%減の595件で、06年度に調査が始まって以来、初めて減少に転じた。死亡は3件(前年度比1件減)だった。   (読売新聞社)

 

12月25日(土)介護施設の人員配置3対1→4対1に業界から苦言 介護福祉士会「時期尚早」
 介護施設の人員配置基準を思い切って見直すよう求める声が政府内であがっていることについて、日本介護福祉士会の及川ゆりこ会長は24日に公式サイトで声明を発表した。
 現行の3対1を4対1へ緩和する案を取り上げ、「ICTなどの活用が十分に広まっているとは言えない中で、この議論は時期尚早ではないか」と苦言。「結論ありきの議論ではなく、介護サービスを利用する方々の立場に立ち、慎重に、丁寧に議論を積み重ねて頂きたい」と訴えた。
 介護施設の人員配置基準をめぐっては、政府の「規制改革推進会議」が今月20日の会合で見直しを提起した経緯がある。
 大手の介護事業者が4対1への緩和も提案。ICTやセンサー、インカム、ロボットの導入、周辺業務のアウトソーシング、これらに伴う業務オペレーションの最適化・効率化などを進めていけば、ゆくゆくは可能になるとの考えも示された。新たなテクノロジーが進化を続けていること、人手不足が深刻度を増していることなどが背景にある。
 人員配置基準は制度の根幹。政府内にも様々な意見があり、こうした構想に一定の理解を示す立場もその中の1つだ。厚生労働省はより懐疑的な意見も踏まえ、今後の制度改正に向けて熟議を尽くす姿勢をとっている。
「介護人材の確保や社会保障費の抑制など大きな課題があることは十分に承知している」
 日本介護福祉士会の及川会長は声明にそう書いた。そのうえで、「人員配置基準を緩和した体制でも介護サービスの提供に支障が生じないのか、慎重に見極める必要がある」と指摘。「平常時だけでなく緊急時も対応できるのか、介護職員への負荷が過剰なものにならないか、そして何より、介護サービスを利用される皆様のQOLを担保できるのかなど、慎重に検証を行う必要がある」と呼びかけた。   (介護ニュースjoint)

 

12月27日(月)介護・保育賃上げ二重チェックへ、計画書と実績報告…業務負担の増大に懸念も 
 政府は、経済対策に盛り込まれた介護職員や保育士らの賃金引き上げについて、原資となる補助金が賃上げに確実に使われるよう、二重のチェックを実施する方針だ。介護施設や保育所などの運営者に対し、職員の処遇改善の計画書の事前提出と、賃上げ後の実績報告を求める。計画通りに実施していなかった場合は、補助金の返還を求める。
 政府は20日に成立した今年度補正予算に、介護職員や保育士、看護師らの月収を来年2月から引き上げるための経費を盛り込んだ。当面の措置として、9月分までの経費2600億円が計上され、介護職員や保育士で月3%程度(9000円)の賃上げを図る。
 介護職員や保育士の賃金水準の低さが、慢性的な人材不足の一因として指摘されている。このため補助金が施設の運営費などに回されずに、現場職員の確実な賃上げにつながることが重要になっている。
 政府は、事業所に対し、事前に都道府県などに年度ごとの賃上げ計画書を提出させ、補助金が給与として支払われた後には、文書で実績を報告させる「処遇改善加算」の仕組みを使う方向で調整している。ただ、現場からは書類作成など業務負担の増大を懸念する声もあり、申請方法について詰めの調整を進めている。
 東洋大の高野龍昭准教授は「事業者が賃上げ分の経費を書類上の操作でごまかせないよう、情報開示を徹底する対策が求められる」としている。   (読売新聞社)

 

12月27日(月)処遇改善加算、来年度計画書の提出期限は4月 厚労省 賃上げの事務負担に配慮
 介護職員の賃上げに向けて介護報酬に設けている既存の処遇改善加算、特定処遇改善加算について、厚生労働省は来年度の計画書の提出期限を4月まで遅らせる方向で調整を進めている。
 通常は2月だが、介護職員の月額3%(9000円)ほどの賃上げを具体化する補助金を新たに交付することを踏まえ、現場の事務負担を軽くするために’後ろ倒し’とする。新たな補助金の申請開始は4月からで、これと時期を合わせる考えだ。介護施設・事業所は2月にも必要書類を提出する必要があり、こうした手続きが追加で必要となることにも配慮した。
 取材に応じた担当者が明らかにした。新たな補助金による賃上げは来年2月からで、介護職員のベースアップなどが要件。事業者は賃金規程を改正したり、職場内の配分を考えたりと必要な準備も求められる。
(介護ニュースjoint)

 

12月28日(火)特養ホームの食費・部屋代は「1割負担対象外」…公的な補助は?
介護のキホン
 介護保険サービス利用時の自己負担は原則、利用額の1割です。ただ、特別養護老人ホーム(特養)など介護保険施設で暮らす際の「食費」や「部屋代」は、1割負担の対象外。自宅で訪問介護を利用して暮らす人が食費や家賃を負担するのと同様に、別に支払う必要があります。  
 いくらくらいかかるのか、「ユニット型個室」の特養の場合で見ていきましょう。

 

 

 国が示す平均的な金額は、食費が1日1445円、部屋代は同2006円。1か月を30日とすると、月額は食費が約4万3000円、部屋代が約6万円です。実際の金額は施設によって変わりますが、計10万円超のイメージです。
 ただ、収入は年金のみで余裕がないという高齢者も少なくありません。そこで、「補足給付」という食費・部屋代の公的な補助があります。世帯全員が住民税非課税で、施設を利用する人の収入と資産が基準を満たせば、負担額の上限が決まる仕組みです。
 ユニット型個室の特養の場合、上限額は表のようになります。例えば、一人暮らしで、収入は年90万円の年金のみ、預貯金が計400万円だと、表の上から2番目となり、食費は月1万9500円、部屋代は月3万9300円(30日の月の場合)です。合計で月6万円以内に収まります。
 仮に、この人の年金額が年130万円だと、表の3番目に当てはまります。部屋代は月3万9300円で変わりませんが、食費の負担は先ほどのケースと比べて約2万円多く、月4万800円です。合計は月8万円ほどです。
 この「年収120万円超」の区分は、今年8月の見直しで新たに作られ、一部の人は食費の負担が増えました。介護費が増え続けていることもあり、「負担が可能な人には、できるだけ負担してほしい」というのが国の立場です。  ただ、介護施設なども加盟している全日本民主医療機関連合会の林泰則事務局次長は「見直しによって、施設を退所するなど本来受けたいサービスを受けられなくなった人もいる」と利用者への影響の広がりを懸念しています。
 今回の見直しでは、資産の基準も厳しくなりました。
 7月以前は、預貯金などの資産が単身で1000万円以下、夫婦は2000万円以下なら補助の対象でしたが、8月以降は表のように基準額が変わっています。単身で収入が年80万円以下のケースは、650万円を超える資産があると、食費や部屋代の軽減を受けられなくなりました。
 例えば、単身で、収入が年80万円、預貯金が計700万円の人は、7月以前は食費と部屋代を合わせて負担は月3万6000円ほどでした。8月以降は、合計で10万円ほどの食費・部屋代の全額を負担することになりました。
 厚生労働省によると、今回の見直しで影響を受けた人は約27万人。生活が厳しくなった場合、社会福祉法人が行っている負担軽減制度を利用できるケースもあり、同省は社会福祉法人や自治体の窓口への相談を呼びかけています。
 補足給付は市区町村の窓口で申請手続きが必要です。表の「年金収入など」には、公的年金額のほか、仕事をして得た所得や不動産所得なども入ります。「資産」には現金や預貯金のほか、株式や国債、投資信託などが含まれます。申請時に通帳の写しなどを添付する必要があります。   (読売新聞社)

 

 

 

 

 

 

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