今月のニュースから

9月01日(水)介護職にもう一度慰労金を!! 老施協が厚労省へ要望書を提出
 特養の経営者らで組織する全国老人福祉施設協議会は8月31日、コロナ禍を踏まえた慰労金を介護職に再支給することなどを盛り込んだ要望書を、田村憲久厚生労働相に提出した。政府・与党が策定に乗り出した追加の経済対策を念頭に置いた活動。
 昨年の慰労金は、感染者・濃厚接触者が発生した事業所の職員に20万円を、そうでない事業所の職員に5万円を支給した施策。基本的に介護・福祉の全サービス、全職種が対象で、業務委託の職員や派遣職員なども受け取ることができた。昨年6月までの現場の努力を評価するもので、介護現場の厳しい綱渡りの状況が長期化するなか、2回目の支給を求める声が多方面からあがっていた経緯がある。
 老施協は要望書で、現在も医療機関の病床は逼迫したままだと指摘。介護現場でも感染者に対応せざるを得ず、職員の心身のストレスは限界に近づいていると訴えた。そのうえで、医療職・介護職に対して改めて慰労金を支給すべきと主張した。
 また、今年4月から全サービスの介護報酬を0.1%上乗せしている現行の特例措置について、今月までとされている期間を延長するよう注文。今なお感染収束の見通しは立っておらず、引き続き対策費の補填が必要だと理解を求めた。
 老施協はこのほか、新型コロナ感染者の濃厚接触者となって14日間の自宅待機を余儀なくされる介護職について、職場復帰のルールを緩和する改めて要請した。   (介護ニュースjoint)         

 

9月02日(木)介護職の6割、感染対策で負担感 新型コロナ拡大、危機切実

 新型コロナウイルス感染症が拡大する中、介護職員の6割が心理的な負担が大きく不満を抱えていることが2日、公益財団法人「介護労働安定センター」(東京)の2020年度特別調査で分かった。

 コロナ前と比べて、新たに出てきたり強まったりした不満を複数回答で尋ねると「心理的負担が大きい」が57.7%と最も多い。「利用者やその家族と感染症対策の意識に差がある」(38.7%)、「衛生備品の不足」(28.0%)と続いた。
 介護業界で働く人の方がサービス利用者に比べ、感染症対策に対して、より切実な危機感を持っていることがうかがえる。   (共同通信社)

 

 

9月07日(火)介護労働者の平均月給24万3135円 介護労働安定センター調査
 介護労働者(無期雇用、月給制)の昨年10月時点の平均月給は、前年度比8696円増の24万3135円だったことが8月23日、介護労働安定センターの「2020年度介護労働実態調査」で分かった。平均賞与は2万6588円増の62万6094円。単純推計すると平均年収は約354万円となる。
 調査は02年度から毎年10月に行い、今回は9244の介護保険事業所の回答を集計した。月給は役職手当や交通費など毎月決まって支給される税込額で、残業代や夜勤手当などは含まれない。
 職種別の平均月給をみると、看護職員が28万74円で最も多く、介護職員が22万3981円で最も少なかった。
 無期雇用職員に賞与を支給している事業所は8割。職種別の平均額は管理栄養士・栄養士が75万3422円で最多、訪問介護員が47万981円で最少だった。
 19年度の介護事業収入に占める人件費の割合は平均64・9%。法人別では社会福祉協議会(社会福祉法人)が75・6%で最も高く、サービス種類別では訪問看護が69・8%で最も高かった。
 一方、離職率は前年度から0・5ポイント下がり、過去最低の14・9%。最も高かった07年度(21・6%)から6・7ポイント下がり、19年度の全産業平均(15・6%)と比べても0・7ポイント低かった。また、人材の不足感は4・5ポイント改善して60・8%だった。 そのほか今回の調査では、初めて65歳以上の労働者の状況を調べた。  65歳以上の労働者がいる事業所は平均7割で、特別養護老人ホームは9割を超えた。1事業所当たりの人数は平均5・1人。職種別の割合をみると、最も多いのは訪問介護員の25・6%で、4人に1人が65歳以上だった。ほかは看護職員13・1%、介護職員9・4%だった。  
 定年制度がない事業所は2割。定年制度がある事業所でも64%は再雇用制度、26%は勤務延長制度を導入していた。   (福祉新聞)

 

9月08日(水)他業界から介護への転職で20万円、要件の弾力化を検討 厚労省 財源上積みも
 新たに介護業界へ入って働き始める未経験の人に最大20万円を支払う制度について、厚生労働省は来年度に向けて要件の見直しを検討していく。
 初任者研修などを受けて介護職員になれば最大20万円を"就職支援金"として貸し、そのまま仕事を2年間続ければ返済を免除する ? 。これが現行の制度だ。
 厚労省が見直しを検討するのは、"2年間働く"という返済免除の条件。今後、来年度から弾力化、あるいは緩和することができないか調整していく。制度の使い勝手を向上させ、新規参入の呼び水としての機能を強化したい考えだ。
 この制度は今年度から導入されたもの。深刻な人手不足の解消を図る施策の一環で、転職を考えている他分野の人に介護現場へ目を向けてもらう狙いがある。
 自治体の任意事業という位置付けで、実際にこれを行うかどうかは都道府県の判断。厚労省は今後、全ての都道府県に制度を運用するよう重ねて要請していく構えだ。これまでの通知では現場の関係者らに対し、「実施時期などは都道府県によって異なる。詳細は都道府県の"地域医療介護総合確保基金"の担当部局へお問い合わせを」などと呼びかけている。
 この制度は主に無資格者、未経験者が対象だが、厚労省は介護現場を離れた有資格者、経験者が復帰する際に最大40万円を貸す同様の制度も用意している。また、介護福祉士の資格を目指して養成校へ通う人らに入学準備金、就職準備金などを貸す制度も設けており、いずれも継続的に展開していく方針だ。先月末に財務省へ提出した来年度予算の概算要求には、これらの財源を上積みするための費用として6.5億円を計上した。(介護ニュースjoint)

 

9月08日(水)介護報酬0.1%増のコロナ特例、今月打ち切りに「待った」 介護団体が相次ぎ要望
 平時には無い負担がのしかかる状況は今も変わっておらず、トンネルの出口も一向に見えてこない ? 。そう訴えている。
 老健施設の経営者らで組織する全国老人保健施設協会は7日、日本認知症グループホーム協会とともに田村憲久厚生労働相へ要望書を提出した。公式サイトで明らかにしている。
 今年4月の介護報酬改定で導入された特例措置の話だ。国は現在、全サービスの基本報酬を9月までという期限付きで0.1%上乗せしている。コロナ禍で介護現場に"かかり増し経費"が生じていることを踏まえたもの。全老健などはこれを来月以降も存続させるよう求めた。
 要望書では、変異ウイルス「デルタ株」の猛威などで全国的に感染が急拡大している現状に触れ、「施設・事業所では日々、様々な感染症対策を継続せざるを得ない」と説明。「医療機関の病床のひっ迫により、介護現場も陽性者の対応に追われ大変疲弊している」とも指摘し、特例措置の継続を強く主張した。
 このほか、全国介護事業者連盟や全国老人福祉施設協議会なども同様の要望書を国へ提出している。全国老施協は慰労金の再支給も注文。政府・与党が追加の経済対策を策定するのを前に、介護関係団体の働きかけもより活発になっている。(介護ニュースjoint)

 

9月13日(月)LIFE活用、来月にも実態調査 訪問介護や居宅介護支援の加算創設も検討
 今年度の介護報酬改定の効果を検証しつつ、次の2024年度改定をめぐる議論で使うデータも集める ? 。こうした目的で実施する今年度の調査の内容を、厚生労働省は10日の専門家会議で固めた。
 新たなデータベース「LIFE(科学的介護情報システム)」の調査が柱の1つ。関連加算を算定している事業所の現状、課題などを把握し、より有効に機能させるために講じる施策の立案につなげる。また、LIFEへの登録がない事業所にもアンケートで考え方を聞く。
 厚労省はあわせて、関連加算をまだ設けていない訪問介護、訪問看護、居宅介護支援などにも焦点を当てる。データ提出やフィードバックを試行するモデル事業を行い、具体的なユースケースなどを検討。この領域でもLIFEを活用できないか、関連加算を導入できないか可能性を探っていく。
 モデル事業のスケールは、サービスごとに10事業所ほどを想定。例えば居宅介護支援では、LIFEに対応している通所介護のフィードバックをケアプランの見直しに活かす取り組みなどをテストし、課題の洗い出しを図る。
 厚労省はこうした内容を今月末の審議会で正式に決める予定。来月にも調査を始め、今年度末に結果を報告する計画だ。
 「かなりチャレンジングな調査になる」。専門家会議の松田晋哉委員長(産業医科大学教授)はそう指摘。訪問介護や居宅介護支援などのモデル事業について、「LIFE活用の経験者はまだ少ない。伴走型で進めていく方法が合理的」と説明した。
 このほか、「本当の意味で利用者のためになるのか、という視点が重要」「ICTをうまく使いこなせない事業所の実態把握、対応策も不可欠」などの声もあがった。  (介護ニュースjoint)

 

9月15日(水)介護現場 苦しい人繰り/コロナ下の青森県内
 青森県内の介護施設で、新型コロナウイルスの感染者や濃厚接触者が出ると一定期間、複数の職員が休まなくてはならず、苦しい人繰りを強いられるケースが目立っている。食事や排せつケア、感染対策など基本的な業務を維持するのが精いっぱいで、一時的に介護の質が低下した事例もあった。各施設は、人員配置を工夫したり、バックアップ体制を強化したりしている。
 八戸市の特別養護老人ホーム「瑞光園」では8月下旬、ワクチン接種済みの職員1人が陽性となった。
 保健所の指示で濃厚接触の職員5人が自宅療養となったほか、職員5人が自主的に自宅療養を申し出。職員六十数人のうち11人を欠いた運営となった。
 入浴介助を一時中止し、体を拭く清拭(せいしき)に切り替え。ゲームなど娯楽活動は中止した。人の出入りが制限されたため、精神的に不安定になる入居者もいた。一部の職員は6日以上の連続勤務となった。
  「これほど一度に職員が休んだのは初めて。ワクチン効果で感染が広がらなかったのは幸いだったが、課題が浮き彫りになった」と沢田章施設長。母体の社会福祉法人全体でバックアップする体制をあらためて確認したという。
 9月に入り、市内の学校で陽性者が出た−との情報が相次ぎ、関係職員の勤務シフトを急きょ変更しなければならなかった。沢田施設長は「感染状況など、市から正確な情報提供があればこちら側も対応しやすい」と話した。
 八戸市でグループホームなどを運営する民間事業所では、職員のほか、職員の家族が濃厚接触者となった段階で出勤停止にしている。このため、人手不足感に拍車が掛かっている。8月末には、職員1人が陽性となった影響で5日間、デイサービスを休止。約150万円の減収となった。
 「限られた人員、厳しい経営環境で運営している施設が、コロナの影響で休止した場合、収入面で支援する制度があってもいいのでは」と事業所代表。「休んだ職員にも十分な給料が支給される公的な支援も必要」と訴える。
 県内の他の施設も万が一に備え、人員確保策を講じる。青森市の特養ホーム「寿幸園」では、単身の職員を、人員不足となった事業所の支援に当たってもらう体制を整えている。「単身職員は、家族へ感染させるリスクがないため協力をお願いしている」(担当者)
 むつ市の特養ホーム「みちのく荘」は、職員とその家族の健康観察期間をできるだけ短くするため、PCR検査を積極的に受けてもらうことにし、検査費用を全額補助している。また、陽性者が出た場合、施設近くの寮に一時隔離し、家族に感染させない体制を取っている。
 介護福祉に詳しい県立保健大の工藤英明准教授は、各施設ができる対応策について「施設内の一部業務の垣根をなくし、介護職以外の人が、仕事を手伝う体制も必要となる。法人内、施設内での体制を積極的に再構築することが求められている」と説明。「コロナ対応によってサービスの質が一時的に低下することを、利用者の家族などに説明し、理解と協力を得ることも重要」と語った。   (東奥日報)

 

9月22日(水)コロナ診療・介護報酬特例加算打ち切りへ 10月以降は補助金に
 政府は新型コロナウイルスの感染防止対策として特例的に上乗せしている診療報酬や介護報酬について、期限を迎える9月末で打ち切り、補助金での支援に切り替える方向で調整に入った。10月以降に延長するかどうかについて、厚生労働省と財務省が協議を続けていた。新たに冬場の医療体制の拡充策として、発熱外来など新型コロナに対応をする医療機関への診療報酬の加算することも検討している。
 特例は9月末までで、外来診療50円、入院で1日当たり100円、調剤40円、訪問看護50円、6歳未満の子どもを対象とした外来診療などは医科1000円、歯科550円、調剤120円を加算している。介護や障害福祉のサービスを提供する事業所では、消毒液などの費用として基本報酬に0・1%を上乗せしている。
 診療報酬の特例は新型コロナの対応を問わず、全ての医療機関が対象。厚労省は10月以降の延長を求めていたが、財務省は新型コロナの対応に当たる医療機関に限定すべきだとして打ち切りを主張していた。現在の特例に代わり、今年末までの時限措置として補助金で支援を継続する方針だ。  (毎日新聞)

 

9月27日(水)地域支援事業実施要綱の改正点取りまとめ - 厚労省
 厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課は21日、2021年度地域支援事業実施要綱の主な改正点について取りまとめ、各都道府県介護保険主管課(部)に宛てて事務連絡を出した。同日付の厚労省老健局長通知で、実施要綱の改正と4月1日からの適用について通知している。
 介護保険における地域支援事業は、市町村が地域の実情に応じて行う介護予防などへの取り組み。介護保険制度改正の審議会で、対象となる利用者やサービス単価について、市町村の弾力的な取り組みが求められたことを受けて、省令改正が行われた。3月の「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」で実施要綱の改正案が示されており、市町村での取り組みは4月から始まっている。
 事務連絡では、主な改正点として、
(1)重層的支援体制整備事業での実施
(2)介護予防・サービス支援事業の対象者に継続利用要介護者を追加
(3)新規に告示を制定して規定する単価や人員等の基準の内容を削除等
(4)一般介護予防事業および在宅医療・介護連携推進事業の目的や内容を明確化
(5)認知症総合支援事業におけるチームオレンジの具体例の明確化
(6)介護用品支給事業の支給要件の見直し−の6つを挙げている。
 これまで要支援者を対象としていた介護予防・生活支援サービス事業のうち、通いの場、地域包括支援センターの運営、生活支援体制整備事業については、対象者の属性を問わない支援を一体的に行う重層的支援体制整備事業となった。また、総合事業のサービス利用者が要介護認定を受けた場合も、「継続利用要介護者」として対象とすることが可能になった。
 サービス単価設定についても、市町村において国が定める額を「上限」として、市町村が地域の実情に応じて定めることとしていたが、この額を「勘案」して定めると改正され、市町村独自のサービス単価設定が可能となった。  (医療介護CBニュース)

 

9月29日(水)介護施設のクラスター、全国で2000件に 低水準の傾向が続く
 厚生労働省は29日、全国の高齢者施設でこれまでに発生した新型コロナウイルスのクラスターの件数を公表した。
 9月27日0時の時点でちょうど2000件。ただし、最近の低水準の傾向は変わらず維持されている。
 直近1週間の発生件数は19件。前週の28件から9件減った。減少はこれで4週連続。介護現場の感染防止策やワクチン接種などが影響しているとみられる。

 政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は28日の会見で、全国的に感染者数が急減した要因の1つに高齢者施設のクラスターの抑制をあげた。「ワクチン接種や施設内の感染防止策が進展した」と説明。「これまでは若者が感染の起点となった後に高齢者へ広がったが、今回は高齢者施設などでそうならなかった」と述べた。
 他方、専門家で組織する厚労省のアドバイザリーボードは27日の会合で、「感染者数の減少に伴う安心感が人々の行動を変え、リバウンドにつながる懸念もある」と指摘。基本的な感染防止策の徹底を重ねて呼びかけた。   (介護ニュースjoint)

 

9月29日(水)コロナ診療報酬、最大5倍に引き上げ 冬場の感染拡大に備え
 厚生労働省は28日、自宅療養中の患者の往診や抗体カクテル療法など、新型コロナウイルス関連の診療報酬を引き上げた。冬場の新型コロナの感染拡大に備える医療体制の拡充策。提供体制の強化については、方針を10月中に作成し、病床や宿泊療養施設の確保計画の見直しを11月末までに実施するよう都道府県に求める考えだ。
 診療報酬の引き上げは同日の閣議後記者会見で田村憲久厚労相が明らかにした。自宅療養者らへの緊急の往診で現在の加算9500円を3倍の2万8500円、抗体カクテル療法を実施した場合は5倍の4万7500円に引き上げる。外来では9500円の加算を新たに設け、抗体カクテル療法は現在の3倍の2万8500円とする。
 また、自治体ホームページでの医療機関名の公表を条件に、来年3月まで発熱外来での診療に1回当たり2500円を上乗せし、5500円とする。一方、6歳未満の子どもを対象とした外来診療などは予定通り、加算をこれまでの半額(医科500円など)にする特例措置を10月から今年度末まで続ける。
 これまで感染対策で設けられていた診療報酬や介護報酬の特例措置は期限の9月末で打ち切り、補助金による支援に切り替える。年内の時限措置として費用を補助する。病院や有床診療所10万円▽無床診療所8万円▽薬局、訪問看護事業者、助産所6万円が上限。介護施設は6万円、障害福祉サービス事業所は3万円が上限となる。   (毎日新聞)

 

 

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