今月のニュースから

6月01日(火)福祉人材センター求職者、5割超が給与・手当を重視 - 全社協
 全国社会福祉協議会はこのほど、全国の福祉人材センター・バンクに登録している求職者および求人事業所を対象とする、ウェブ調査の結果を公表した。
 調査は、福祉人材の不足が長期化する中、多様な人材の参入促進を図るため求職者の就労意向などを明確化し、人材確保につなげることを目的とする「多様な人材の活用促進に向けた事業所の採用活動の展開についての調査研究事業」で行われた。
 調査期間はいずれも2020年11月27日−12月11日で、回答数は求職者が1,142人、求人事業所は1,557事業所。また、求人事業所の調査結果などから8事業所を選定して、オンラインによるヒアリング調査を実施した。
 求職者の調査結果では、希望する雇用形態は正規職員が59.1%で最多。希望する職種は、「介護職員・ホームヘルパー」が51.6%、「相談・支援・指導員」が49.3%の順。就職先を選ぶ上で重視することは、「給与・手当」が56.6%、「通勤が便利・通勤時間が短い」31.2%などで、全体では仕事内容よりも労働条件を重視した結果になった。一方、女性の30歳代と40歳代では、「勤務時間帯・曜日」を重視し、男性の60歳代では「通勤が便利・通勤時間が短い」「仕事の内容」が多かった。
 就職先を選ぶ時に不安に思うことの質問では、「職場の人間関係は円滑か」が77.1%で最も多く、次いで「自分の知識やスキルは十分か」が39.6%、「自分の希望する仕事ができるか」が38.1%の順だった。
 事業所への調査で、2018年度の「多様な人材の採用」の状況を聞いたところ、採用人数が0人であった割合が、▽外国籍の方91.8%▽障害のある方88.5%▽福祉系学校以外の新卒者82.2%▽副業・兼業として働いている方80.4%▽定年退職者・アクティブシニア63.7%▽子育てや介護を担っており、配慮を必要としている方59.8%−などの結果だった。
 全社協は、「調査結果を見る限り、福祉事業所における多様な人材の受け入れや、そうした人材に活躍してもらうための環境整備は、これからが正念場」で、事業所が個々に努力するよりも、全国の多様な実践を多くの関係者が共有し、連携して取り組む方が効果的だとしている。   (医療介護CBニュース)

 

6月02日(水)介護記録の電子化・効率化を 規制改革会議 働き方の転換を強く要請
 政府の規制改革推進会議は1日、日本のデジタル化の遅れを取り戻すことを柱に据えた今年度の答申をまとめ、菅義偉首相に具体化を要請した。
 介護分野では現場の生産性向上、働き方の転換が不可欠と改めて指摘。職員が担う介護記録の作成・保存、それに基づく報酬請求事務の電子化を進めるべきと強く求めた。あわせて、行政へ提出する書類の簡素化、標準化、オンライン化も加速させるよう訴えた。
 多くの現場でペーパーワークが重い負担になっている実態がある、と重ねて問題を提起。今後の働き手の減少、介護ニーズの増大を念頭に、「職員が必要な対人サービスに専心できる環境を早期に構築すべき」と強調した。
 厚生労働省の現在の取り組みについては、「道半ば」と厳しく評価。事業所の指定申請・報酬請求の手続きをWebで一元的に行える新システムの構築などを急ぐよう注文した。
 今回の答申ではこのほか、ICTやロボット、AIなどの活用を介護現場で幅広く普及させる観点から、引き続き報酬上の評価の見直しを検討すべきと提言。事業所間のケアプランの電子的な送付・保存を可能とする「ケアプランデータ連携システム」の運用を、できるだけ早く始めることも要請した。   (介護jointニュース)

 

6月02日(水)AppleWatchで高齢者見守り セコム、防犯システムと連携 今月から実証
 セコムは今月から、新たな高齢者見守りサービスの提供を開始する。あわせて、AppleWatchと連携するスマート機能の実証も展開していく。公式サイトでアナウンスした。
 セコムが新たに始めるのは、親などの状態をスマートフォンで確認できる「安否みまもりサービス」。ホームセキュリティのセンサーで得られる生活データを、離れた家族らが専用アプリでいつでも見れるようにする。
 指定した時間にセンサーが検知しない場合などに、スマホへプッシュ通知を出す機能も搭載。検知が一定時間ない時には担当者が無料で駆けつける。利用にはホームセキュリティへの加入が必要。
 セコムはあわせて、こうした見守りサービスをAppleWatchと連携させる新プランも発表した。9月以降に本格運用までこぎ着けたい考えだ。
 高齢者にAppleWatchを使ってもらい、ホームセキュリティのセンサーで掴めない情報もカバーしていく。例えば歩数や運動時間、消費カロリー、心拍数などを把握。集めたデータは全てクラウドにあげ、アプリで分かりやすく見える化して家族らに届ける。
 セコムは今後さらに開発を続け、こうしたサービスを現役世代の健康管理にも活かしたいとしている。防犯システムをAppleWatchから操作できるようにするUXの改善も準備中。Appleから技術的なサポートを受けてアプリ開発を進めているという。   (介護jointニュース)

 

6月04日(金)介護の初任者研修を無料で 東京都、希望者の受け付け開始!
 東京都は今年度も、都内の介護現場で働きたい人の資格取得を後押しする事業を行う。交通費や食費などを除き、初任者研修にかかる費用を都が負担する(受講費無料)。
 今年7月から来年1月頃までに開講する講座の中から選べる。既に申し込みの受け付けが開始された。通信課程と通学課程があり、募集は800人程度。
 対象となるのは、都内の介護現場での就労を希望する人。都民以外でも使える点が特徴だ。既に介護現場で働いている人は対象外。
 例年、この事業を活用するには職場体験に参加することが要件とされてきたが、今年度はコロナ禍の影響で中止に。このため東京都は、YouTubeの動画を見て300字ほどの作文を書くことを求めている。   (介護jointニュース)

 

6月09日(水)アルツハイマー新薬で「患者らの負担軽減」 エーザイの内藤社長、承認取得に感無量
 エーザイは9日、アルツハイマー病新薬「アデュカヌマブ」に関するオンライン説明会を行い、内藤晴夫最高経営責任者(CEO)は「(患者らの)負担軽減に対応する」と述べ、保険会社や金融機関などと連携していく考えを示した。非政府組織(NGO)などと組み、低所得者向けの安価な提供を可能にする「革新的モデルも検討していく」とした。
 アデュカヌマブはエーザイと米バイオジェンが開発し、7日に米食品医薬品局(FDA)から承認を取得した。バイオジェンの8日の発表によると、2週間後にも出荷が始まる予定。4週間に1回の点滴投与で、価格の目安は年5万6千ドル(約610万円)。
 内藤氏は価格について、「当事者や家族の価値、ベネフィット(利益)や、各種費用を勘案した」と説明。アルツハイマーは他の病気と違い、介護にあたる家族の就労機会が減ったり、患者が長期療養施設に入所したりすることによる負担が大きいとし、「これらを複合的に評価することで、価値の全体像が見えてくる」と指摘した。
 アデュカヌマブは日本でも承認申請中で、厚生労働省は年内にも承認の可否を判断する可能性があるとしている。内藤氏は日本を含むアジア地域での販売について「順次、タイムリーに検討していく」と述べた。一方、収益への影響については「(年間売上高が10億ドルを超える)『ブロックバスター』になるポテンシャルを有している」との見方を示した。
 承認の一報を聞いたときには、平成8年に認知症薬「アリセプト」の承認を取得した際のことが心に浮かんだという。内藤氏は「それから四半世紀がたち、ようやくアルツハイマー病の病理に作用する最初の治療薬に至ることができて感無量の思いだ」と述べた。    (産経新聞)

 

6月15日(火)介護施設内の転倒でステートメントを発表 - 日本老年医学会・全国老人保健施設協会
 日本老年医学会と全国老人保健施設協会は11日、「介護施設内での転倒に関するステートメント」を合同で発表した。介護施設で転倒が起こると事故として扱われることが多いが、高齢者の転倒は老年症候群の代表的な症候で、転倒の全てが過失による事故ではないなど、その要因や対策などについて科学的エビデンスに基づいて検討し、結果を報告書にまとめた。

 

 老年症候群は、高齢期に多く認められる転倒、尿失禁、褥瘡など多彩な症候の総称。日本老年医学会の「老年症候群の観点から見た転倒予防とその限界に関する検討ワーキンググループ」での検討を踏まえて、転倒やそれに伴う傷害に関して、防止しようとする施設の姿勢や取り組みと、発生した事故を状況に応じて受容する入所者の心象などを、合同で検討した。
 ステートメント(声明)は、▽転倒すべてが過失による事故ではない▽ケアやリハビリテーションは原則として継続する▽転倒についてあらかじめ入所者・家族の理解を得る▽転倒予防策と発生時対策を講じ、その定期的な見直しを図る−の4つ。
 転倒リスクが高い入所者は、転倒予防策を実施していても一定の確率で転倒が発生するため、転倒の結果として骨折や外傷が生じたとしても、必ずしも医療・介護現場の過失による事故と位置付けられない。また、ケアやリハビリテーションは活動性により転倒リスクを高める可能性もあるが、多くの場合は生活機能維持・向上が期待されるため原則として継続し、施設は、転倒予防策に加えて転倒発生時の適切な対応手順を整備し職員に周知するなどとしている。
 報告書は、介護施設の医療介護従事者・管理者と関係する行政を主な対象としているが、広く国民にも理解を求める目的で「介護施設内での転倒を知っていただくために−国民の皆様へのメッセージ」も別途作成した。   (医療介護CBニュース)

 

6月16日(水)介護事故防止の加算に対応した研修が始まってます! ネットでいつでも受講可
 転倒や転落、誤薬といった介護事故の防止に向けて施設系サービスに新設された「安全対策体制加算」をめぐり、全国老人福祉施設協議会は今月から、その算定要件に位置付けられている研修を開催している。eラーニングのためネット環境さえあればいつでもどこでも受講可能。
 「安全対策体制加算」は今年度の介護報酬改定で導入されたもの。特養、老健、介護療養病床、介護医療院が対象となっている。利用者の入所時に1回20単位。施設内に安全対策部門を設け、リスクを下げる取り組みを組織的に行える体制を整備していることに加えて、外部の研修を受けた担当者の配置が算定要件となっている。
 全国老施協の研修はこの算定要件に対応するもの。申し込みの受け付けは10月29日までで、今月から11月30日まで受講可能だという。全てオンラインで済ませられる形式でトータル5時間半。期間内であれば、空いた時間を使い柔軟に分割して進めることもできる。
 受講料は1人1万円。全国老施協の会員であれば無料となる。研修は介護現場のリスクマネジメントの基本を幅広く学べる内容。「加算の趣旨・目的」「介護事故の実態と対応」「紛争予防策」「身体拘束の適正化」などのテーマで構成されている。
 「安全対策体制加算」の算定は、研修を申し込んだ時点から始められる(必要書類の準備などは必要)。厚生労働省は昨年度末に出した通知で、「今年10月31日までの間は研修を受講予定であれば研修を受講したものとみなす」と説明。「今年10月31日までに研修を受講していない場合、4月から10月までに算定した当該加算は遡って返還すること」と規定していた。

 

6月17日(木)高齢者施設従事者の集中検査、なぜ進まない
 特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの高齢者施設を対象に、国はPCRなど集中検査の実施を全国の自治体に呼びかけているが、思うように進んでいない。高齢者施設は新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が多発し、足元の「第4波」では、療養中の多くの高齢者が死亡するケースも起きている。検査はなぜ進まないのか。
 厚生労働省のまとめでは、高齢者施設で発生したクラスターは今年6月14日までに1691件。飲食店や医療機関を上回って最も多い。5月上旬には、大阪府門真市の有料老人ホームや神戸市の介護老人保健施設で計38人の入所者が亡くなっていたことも明らかになった。
 施設の従事者を検査する集中検査は、無症状の人を早期に見つけ出し、クラスターを防ぐのに役立つとされる。厚労省は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置がとられている地域の高齢者施設については2週間に1度、できれば週1回、集中検査を実施するよう指針を示しているが、実際の頻度は検査を担う自治体によって異なる。
 今年2〜3月、厚労省は緊急事態宣言を出していた10都府県を対象に集中検査を実施する方針を打ち出したが、実際に自治体の検査を受けた施設は対象の半分程度、約1万5千施設にとどまった。厚労省は検査を受けない施設が相当程度あったとして、4〜6月に積極的に検査を受けるように要請を出した。
 それでも、集中検査の対象となった7万6033施設(障害者施設なども含む)のうち、6月2日現在で検査の申し込みがあったのは4万7138施設で、検査が実施されたのは延べ4万2002施設にとどまっている。
 集中検査の通知が出たのは3月下旬だった。自治体の多くは民間の検査会社との契約などに時間がかかり、感染が全国に拡大した4月に検査が開始できなかった。これが集中検査が進まなかった一因とされている。
 ただ、検査が進まないのは、施設側の事情もある。
 厚労省によると、施設側からは「人手不足の不安から、検査を受けない」といった声が寄せられているという。人手不足に悩む施設が検査に及び腰になっている様子がうかがえる。  
 実際、職員数の多い特別養護老人ホームや介護老人保健施設の多くが検査を受けている一方で、小規模なグループホームや有料老人ホームは検査で陽性者が出ることを懸念する傾向があるという。   (朝日新聞社)

 

6月25日(金)コロナで経費増、介護福祉士試験の受験料アップへ - 厚労省が概要公表、社会福祉士・精神保健福祉士も
 厚生労働省はこのほど、「社会福祉士及び介護福祉士法施行令」「精神保健福祉士法施行令」の一部を改正する政令案などの概要を公表した。介護福祉士試験、社会福祉士試験、精神保健福祉士試験の受験手数料が上がる。8月上旬に公布・施行の予定。
 概要では、手数料の改定を行う理由について、「令和2年度の試験実施に当たって、新型コロナウイルス感染症対策のため、試験会場の増設、試験実施要員の増員等を実施する必要が生じ、試験事務にかかる経費が増大し、次年度以降も同様の状況が見込まれる」と説明している。
 介護福祉士試験の受験手数料(現行1万5300円)については、3080円増の1万8380円となる。社会福祉士の受験手数料(一般受験者)は、1万5440円から1万9370円に、精神保健福祉士試験の受験手数料(同)は、1万7610円から2万4140円にそれぞれ改められる。
 厚労省社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室では、政令案などの概要に関するパブリックコメントを郵送(7月22日必着)で受け付けている。電子政府の総合窓口(e-Gov)の意見提出フォームも使用できる。   (医療介護CBニュース)

 

6月29日(火)介護職員の処遇改善は進んだか? 厚労省、今年10月に調査実施へ
 厚生労働省は今年度、介護職員の処遇改善の進捗を把握するための実態調査を行う。
 処遇改善加算の効果が表れているか、賃金がどれくらい上がっているかを詳しく調べる。今年度の介護報酬のプラス改定が現場に及ぼした影響も探る。28日に開催した専門家会議の会合で明らかにした。
 調査は昨年度に続き2年連続。全国の特養、老健、介護付きホーム、グループホーム、小規模多機能、訪問介護、通所介護などを対象とし、今年10月に実施される。結果は今年度末に公表される予定。
 昨年2月のデータを把握した前回調査(昨年4月実施)の結果では、「特定処遇改善加算」を取得している事業所で月給・常勤で働く介護職員の平均給与は、前年より1万8120円高い32万5550円だと報告された。勤続10年以上の月給・常勤の介護福祉士に限ってみると、平均給与は同2万740円増の36万6900円だったという。
* 上記の平均給与は、基本給+各種手当+ボーナスなど。税金や保険料が引かれる前の額面で手取りではない。各種手当には、残業代や夜勤手当など月ごとに変動するものも含まれる。ボーナスや一時金が出ているところでは、2019年10月から2020年3月までに支給された額の6分の1が足されている。
 今年度もやはり、平均給与が前回からどれほど上昇しているかが大きな焦点。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの事業所は経営にかなりの打撃を受けている。これが介護職員の処遇に与えた影響を掴むことも課題となりそうだ。
 他方、今年度の調査の対象には居宅介護支援が含まれていない。専門家会議では委員から、これを再考すべきではないかと指摘する声があがった。厚労省は更に検討を深め、調査の実施方針を社会保障審議会の分科会で説明するとしている。   (介護jointニュース)

 

 

 

 

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