今月のニュースから

4月06日(火)ヘルパーがワクチン接種に同行=介護報酬を算定可厚労省通知
 厚生労働省は5日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う介護サービスの運営基準などの特例をめぐり、新たなQ&A(第20報)を公表した。介護保険最新情報のVol.963で周知している。
 訪問介護などの事業所がワクチン接種に関与する際のルールを規定するもの。「接種会場が体育館や福祉センターなど医療機関以外の場合、利用者は移動手段として訪問介護を利用できるか」との質問に答えている。
 厚労省の回答は以下の通り。公共交通機関を活用するパターンと、ホームヘルパーなどが運転する車を活用するパターン、2通りの解釈を示している。
■ 公共交通機関を活用する場合
○ 訪問介護の身体介護のうち通院・外出介助が利用可能。
○ ヘルパーなどが付き添い、移送中の気分の確認も含めて接種会場への外出介助を行った場合には、所要時間に応じた報酬で身体介護を算定できる。
■ ヘルパーなどが運転する車を活用する場合
○ 訪問介護の通院等乗降介助が利用可能。なお現行の取り扱いの通り、以下の場合に限って、運転時間を除いた所要時間に応じた報酬で身体介護を算定可能。
1)接種会場へ外出するために乗車・降車の介助を行う前後に連続して相当の所要時間(20分から30分程度以上)を要し、かつ、手間のかかる外出に直接関連する身体介護(移動・移乗介助、身体整容・更衣介助、排泄介助など)を行う場合 = 要介護4、5の利用者の場合
2)接種会場への外出に直接関連しない身体介護(入浴介助・食事介助など)に30分から1時間程度以上を要し、かつ、その身体介護が中心である場合 = 要介護1から5までの利用者の場合
これらの支援を実際に行う場合、ケアプランの記載の見直しはサービス提供後でも差し支えないという。利用者の同意についても、「最終的には文書による必要があるが、サービス提供前に説明して同意を得ていれば、文書はサービス提供後に得ることでよい」と記載されている。
厚労省はこのほか、(看護)小規模多機能や定期巡回・随時対応サービスについて以下の認識を示した。
○ 小規模多機能の訪問サービスには、いわゆる訪問介護の身体介護のうち通院・外出介助が含まれているため、小規模多機能事業所が利用者に対して接種会場への外出介助を行うことができる。
○ 定期巡回・随時対応サービスは、併せて訪問介護の通院等乗降介助を利用することができる。そのため、訪問介護事業所のヘルパーなどは自ら運転する車を活用して、定期巡回・随時対応サービスの利用者に対して接種会場への移送に係る介助を行うことができる。     (介護jointニュース)

 

4月08日(木)利用者の自己負担が変わります! 厚労省 8月から高額介護費など見直しへ
 各サービスの介護報酬や運営基準だけではない。今年度は利用者の自己負担に関する制度も変わる。高額介護サービス費と補足給付だ。
 厚生労働省は昨年度末の3月31日、そのことを改めて伝える通知を都道府県などに発出した。今年8月1日から施行すると明記。介護保険最新情報のVol.960で周知している。
 高額介護サービス費は、利用者のひと月の自己負担があらかじめ定められている上限額を上回った際に、その超過分を払い戻す仕組み。家計を圧迫しすぎないよう介護の支払いを抑える支援策で、上限額は個々の経済状況に応じて決められる。
 今年度の見直しは、現役並みの所得がある層の上限額を細分化するもの。現行の上限額は、年収383万円以上なら一律で4万4400円に設定されている。これが以下の様に変わり、より年収の高い層の自己負担が増えることになった。

 介護施設に入所する低所得者の食費、居住費を軽減する補足給付についても、同じく“能力に応じた負担を求める”という観点から見直される。厚労省は給付額の多寡を決める所得段階を細かく分けて精緻化。年収120万円超の人などを対象に食費の自己負担を引き上げる。
 あわせて、給付の可否を判断する預貯金額の基準の厳格化も図る。今後、見直しの内容を分かりやすく解説するリーフレットも公表する予定だ。     (介護jointニュース)

 

4月09日(金)サービス提供体制強化加算の新区分、勤続年数の数え方は? 厚労省通知
 特養や老健、介護付きホーム、グループホーム、小規模多機能、通所介護などを幅広く対象とする「サービス提供体制強化加算」− 。職員のキャリアアップの推進、サービスの質の向上などを事業者に促すインセンティブだが、今回の介護報酬改定では新たに上位区分が創設された。
 例えば特養。新たな上位区分の要件は、「介護福祉士が80%以上 or 勤続10年以上の介護福祉士が35%以上」とされた。通所介護をみると、「介護福祉士が70%以上 or 勤続10年以上の介護福祉士が25%以上」となっている。
 この「勤続10年」をどう数えればいいのか? 昨年度末に公表した改定のQ&Aで、厚生労働省は具体的な考え方を明らかにしている。
 「介護福祉士の資格を持つ職員であって、同一法人での勤続年数が10年以上の人の割合を要件としたもの」と説明。「介護福祉士の資格を取ってから10年以上経過していることを求めるものではない」との解釈を示した。
 厚労省はあわせて、「同一法人」の考え方も明確化。以下の勤続年数は通算することができるとアナウンスした。
○ 同一法人の異なるサービスの事業所で働いていた年数
○ 異なる雇用形態・職種(直接処遇を行う職種のみ)で働いていた年数
○ 事業所の合併、または別法人による事業承継などがあっても、当該施設・事業所の職員に変更がないなど、事業所が実質的に継続して運営していると認められる場合の年数     (介護jointニュース)

 

4月13日(火)介護事業所の届け出、Web入力で効率化 新システム開発 来年度開始 厚労省
 厚生労働省は今年度から、介護サービス事業所の指定申請、報酬請求などに関する自治体への届け出をオンラインで行える新たなシステムの開発に着手する。
 既存の介護サービス情報公表システムの機能を拡張する形で具体化する。来年度の当初から運用を開始する予定。昨年度末に発出した通知の中で当面のスケジュール感を明らかにした。
 ペーパーワークの半減に向けた施策の一環。介護現場を悩ませる事務負担を大幅に軽くする狙いがある。
 指定申請、更新申請、変更申請、報酬・加算の算定などにあたって自治体へ書類を出す際に、紙を郵送したり個別にメールしたりする手間を省く構想。ブラウザからのWeb入力・送信で多くを済ませられるクラウド環境の整備を目指す。
 来年度当初のスタート時、新システムがどれほどの機能を備えているかはまだ判然としない。まずは一定の範囲内にとどまるとみられる。厚労省はその後もアップデートを重ね、段階的に効率的なワンストップの仕組みを作り上げていく考えだ。
 厚労省は先月に開催した社会保障審議会の専門委員会でも、今年度から新システムの開発に乗り出す計画を説明。「費用や開発期間などの観点から、介護サービス情報公表システムの機能を拡張する案が最適」との認識を示していた。     (介護jointニュース)

 

4月15日(木)厚労省の新介護システムに利用殺到 2万事業所でデータ提出できず
 厚生労働省が4月に始めた介護の新データベース「科学的介護情報システム」(LIFE)に介護事業所から利用の申し込みが殺到し、手続きを取ろうとした約2万事業所でケアなどのデータを提出できない状況が続いている。事前手続きにあたるID発行など事務処理の遅れが原因とみられる。
 厚労省はデータ提出に協力した事業者の報酬を上乗せする改定を4月に行ったばかり。年度当初からの報酬請求分について締め切りの延長も検討している。
 LIFEは介護現場で情報通信技術(ICT)の活用を促すための新システム。事業所が提出したケアやリハビリなどのデータを国が検証し、個々のケアプランや介護計画の改善や効率化につなげる狙いがある。
 類似のシステムは以前もあったが、事業者が端末で入力する負担が重く、活用が進んでいなかった。国は今年4月に改定した介護報酬で、データ提出に協力した事業者の報酬を上乗せする「加算」を新たに設けるなど手厚く配分した。  
 厚労省によると、4月前半から利用するには「3月25日までに利用申請を行う必要がある」との通知を出しており、3月に入って申し込みが急増。2月末時点で5585事業所からの申し込みにとどまっていたが、3月25日までに計5万5000事業所に膨らんだ。
 申請の急増で事務処理が追いつかず、約2万の事業所にIDやパスワードが発行されていないという。厚労省が設けた相談窓口には数百件の問い合わせが寄せられ、電話も「パンク状態」に。同省は12日から窓口の担当者を増員した。
 国が示した4月分のデータ提出の締め切りは5月10日。厚労省の担当者は「大変迷惑をかけている。締め切りの延長を検討したい」と話す。     (毎日新聞)

 

4月15日(木)介護サービスの自己負担、原則2割に 財務省が改めて提言
 財務省は15日の「財政制度等審議会」で、介護サービスの利用者の自己負担を原則2割へ引き上げるよう改めて提言した。
 支え手の現役世代が急減していくこと、高齢者が更に急増していくことを理由にあげた。40歳以上の保険料の伸びを抑制し、介護保険制度の持続可能性を確保するために欠かせないとしている。
 現行の利用者の自己負担は、所得に応じて1割から3割。ただ2割負担、3割負担の利用者は全体の約9%で、残りの9割超は1割負担となっている(介護保険事業状況報告:2020年12月分)。
 財務省はこれを踏まえ、「利用者負担の更なる引き上げをはじめとした給付範囲の見直しに取り組む必要がある」と指摘。会合に出席した委員からも、「現役世代や企業の負担軽減、世代間格差の是正などの観点から、2割負担の対象を拡大していくべき」といった声が相次いだ。
 財務省は今後、こうした提言を来月にもまとめる「春の建議」に盛り込む方針。政府が6月にも決める今年度の「骨太方針」に反映させたい考えだ。利用者の自己負担の引き上げは、2024年度に控える次の制度改正をめぐる大きな焦点の1つとなる見通し。     (介護jointニュース)

 

4月16日(金)地域共生社会ポータルサイト、厚労省が公開 - 取り組み事例や施策の情報などの紹介も
 厚生労働省は、4月から「地域共生社会のポータルサイト」の公開を始めた。ポータルサイトでは、地域共生社会の実現を目指した全国の取り組み事例や施策の情報などを紹介している。
 取り組み事例に関しては、高齢者見守りネットワークや福祉相談窓口などを取り上げている。例えば、東京都大田区で展開されている「おおた高齢者見守りネットワーク」(愛称:みま〜も)では、商店街と協同で取り組んでいるサロン事業(みま〜もステーション)で、商店街にあるコミュニティ・スペース「アキナイ山王亭」と裏にある「大田区立新井宿児童公園」を拠点に、協賛企業が得意分野を生かした講座を年間430講座開催。包括的・継続的支援を実施していくため、地域包括支援センター、医療・介護・福祉の専門機関などがネットワークを「具体化」してきたことも説明している。
 また、ポータルサイトでは、地域住民が抱える課題が複雑化・複合化していることに触れ、「子ども・障がい・高齢・生活困窮といった分野別の支援体制では、複雑・複合的な課題や狭間のニーズへの対応が困難になっている」との現状を説明。社会福祉法の改正で創設された重層的支援体制整備事業を取り上げ、▽包括的相談支援▽参加支援▽地域づくり▽アウトリーチ等を通じた継続的支援▽多機関協同−の事業を一体的に展開することが重要としている。     (医療介護CBニュース)

 

4月23日(金)【要注意】コロナ特例の上乗せ介護報酬、請求しないと全て返戻に 厚労省通知
 全ての施設・事業所が抑えておくべきマストの内容。次回の5月10日の請求分から対応しなければいけない。
 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を踏まえて介護報酬を引き上げる特例の話だ。今年4月から9月までの半年間、全サービスを対象にひと月の基本報酬を0.1%上乗せする措置がとられる。
 「請求にあたっては、上乗せ分のコードをあわせて入力することが必要」と説明。「これが行われない場合は返戻となる」と注意を喚起した。
 単に0.1%の上乗せ分がもらえなくなるだけではない。国保連の審査で内容に不備があるとみなされ、請求全体が差し戻しになってしまう。そうなると翌月の支払いも遅滞しかねないため、やはり確実に対応していく必要がある。
 この特例は、コロナ禍で生じた施設・事業所のかかり増し経費の補填などを目的とするもの。今年度の改定をめぐる議論で実施が決められた。厚労省はQ&Aで、上乗せ分のコードの入力にあたり以下の記載例を参考にするよう呼びかけている。
《要約》改定のQ&A第7弾 問2
Q:今年9月30日までの上乗せ分については、どのように算定するのか?
A:9月30日までの間は、各サービスの月の基本報酬に0.1%を上乗せすることとしている。請求にあたっては、上乗せ分のコードをあわせて入力することが必要であり、これが行われない場合は返戻となることから、既出の通知(介護保険事務処理システム変更に係る参考資料の送付について)のIII?資料3(介護給付費明細書・給付管理票記載例)の記載方法を参考に対応されたい。                  (介護jointニュース)
4月26日(月)介護しごと魅力発信事業朝日新聞社などが実施へ―厚生労働省が2021年度の公募結果を公表
厚生労働省はこのほど、「介護のしごと魅力発信等事業」(2021年度)の公募結果を公表した。介護技能向上促進事業やターゲット別魅力発信事業などの実施団体が決まった。
 介護の仕事の魅力発信については、福祉・介護型イベントの実施に加え、若者層や子育てを終えた層、アクティブシニア層に対する個別のアプローチなどに取り組んでいる。21年度は、事業主らへの発信事業として、全国から介護従事者を募り、「認知症」「食事」「入浴」「排泄」「看取り」「口腔ケア」などの分野で、課題に応じた実技について審査・評価を行い、優秀者を選考・表彰する「ケアコンテスト」の取り組みについて情報発信を行い、介護技能の向上を図るとしている。
 21年度の実施団体は以下の通り。
 福祉・介護の体験型・参加型イベント実施事業=テレビ朝日映像株式会社▽ターゲット別魅力発信事業(若年層向け)=一般社団法人FACE to FUKUSHI▽ターゲット別魅力発信事業(子育てを終えた層向け)=株式会社産業経済新聞社▽ターゲット別魅力発信事業(アクティブシニア層向け)=株式会社朝日新聞社▽介護技能向上促進事業=株式会社シルバーウッド▽事業間連携・評価分析=PwCコンサルティング合同会社      (医療介護CBニュース)

 

4月26日(月)LIFEのデータ提供、8月10日まででOK 厚労省 手続き遅滞で通知
 介護保険の新たなデータベース「LIFE」の利用申請の手続きが遅滞している問題をめぐり、厚生労働省は23日に当面の対応を正式に通知した。介護保険最新情報のVol.973で周知している。
 新設した「科学的介護推進体制加算」をはじめとするLIFE関連加算について、データ提出の日程を後ろ倒しにすることを認めると明記。以下のどちらかの場合、4月分、5月分、6月分は本来の翌月10日までではなく、8月10日までにデータを出せば全て算定できるとした。
○4月からLIFE関連加算を算定できるよう、これまで事務連絡などで示された期限までに利用申請をしていたにもかかわらず、利用申請に関するはがきの発送が遅れている場合
○ 4月からLIFE関連加算を算定できるよう、LIFEの操作マニュアルなどのWebサイトを確認し、ヘルプデスクへの問い合わせを行っている場合であって、回答がない、または解決に至らないことにより、期限までにデータ提出が間に合わない場合、利用者情報の評価は4月分、5月分、6月分と毎月実施しなければいけない(*)。必要なデータ提出を8月10日までに行わなかった場合、算定した加算は遡って過誤請求するルールとされた。
* 遅れていいのはデータ提出のみで、データ収集ではない。
データ提出を翌月10日以降に遅らせる場合、国のテンプレートを用いた計画書を作成することも求められる。今回の通知にはそのテンプレートも盛り込まれた。データ提出の予定時期を書き、遅れる理由を選択するだけのごく簡単な内容だ。
また、厚労省は通知でLIFEからのフィードバックについても言及。以下のように記載した。
「今後、データ提出が行われた事業所の平均などの情報の提供を7月頃までに行う予定(今後改めてお示しします)。その情報と事業所で評価を行ったデータを活用し、PDCAの取り組みを行って頂くことなどが必要ですので、ご留意ください」
今年度から本格的に稼働されるLIFEをめぐっては、事業所の利用申請が先月から急増。IDやパスワードを伝えるはがきの発送などが追いつかず、手続きが滞る事態が生じていた。ヘルプデスクの対応もパンク状態に陥り、現場の関係者から不満の声が多くあがっている。     (介護jointニュース)

 

4月28日(水)「介護施設職員の感染防止が重要」 厚労省助言委、改めて指摘
 新型コロナウイルス対策を助言する厚生労働省のアドバイザリーボードは27日、直近の感染状況を分析した新たなレポートを公表した。
 「感染者の増加に伴い、医療機関や福祉施設のクラスターも多発している」と指摘。「施設職員の感染防止が重要」と改めて呼びかけた。
 厚労省が28日に公表した最新のデータによると、これまでのクラスター発生件数は今月26日時点で医療機関が1086件、福祉施設が1781件。福祉施設の内訳は、高齢者福祉施設が1317件、障害者福祉施設が151件、児童福祉施設が313件となっている。

高齢者福祉施設は企業や飲食店よりも多い。現場はぎりぎりの環境下で懸命の努力を続けているが、クラスターを防ぎきることは難しいのが実情だ。アドバイザリーボードは今回のレポートで、施設の感染防止策の徹底や発生時の迅速な対応、職員の定期的な検査、軽い症状でも迅速に検査できる体制の整備などを改めて要請した。

 

トップへ戻る