今月のニュースから

2月04日(木)【通所介護】運営基準改正で地域連携を強化 厚労省 努力義務を新設
 厚生労働省は来年度の介護報酬改定で通所介護の運営基準を見直し、事業所と地域との連携に関する規定を増やす。
 ポイントは2つ。まずは災害対応だ。既に義務付けられている定期的な避難訓練を実施する際に、近隣住民に参加してもらう努力義務の規定が創設される。
 先月末に公布された新たな運営基準には、以下のように追記された。通所介護と地域密着型通所介護、ともに4月から適用される。
《抜粋》基準省令
 指定通所介護事業者は、訓練の実施にあたって地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならない
 地震や豪雨など災害の脅威が高まり、地域の関係者らと協力することの重要性が更に増したことが背景にある。厚労省は高齢者を守る地域ぐるみの対策の展開につなげたい考え。
 もう1つのポイントは交流の深化だ。既に地域密着型通所介護に設けられている規定が、通常規模型、大規模型の通所介護にも導入される。新たな運営基準の記載は以下の通りで、こちらも努力義務。4月から適用される。《抜粋》基準省令
指定通所介護事業者は、その事業の運営にあたっては、地域住民、またはその自発的な活動との連携・協力を行うなど、地域との交流に努めなければならない。
 地域に開かれたサービスの運営を事業者に促していく ? 。厚労省は狙いをそう説明している。社会参加活動への参画や近隣住民とのコミュニケーションなどが、「高齢者の心身機能の維持・向上に資する」との認識も示している。   (介護jointニュース)

 

2月05日(金)高齢者施設クラスター、3月末までに集中検査を 厚労省
 高齢者施設で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が多発していることから、厚生労働省は緊急事態宣言が延長される10都府県に対し、3月末までに施設の従事者らを対象にした集中的なPCR検査の実施を求める通知を出した。検査費用は国が負担する。実施に向けた「集中的実施計画」を作成し、今月12日までの提出を求めている。
 通知は4日付。主な対象は、10都府県で感染者が多い地域の特別養護老人ホームやサービス付き高齢者住宅などの施設で働く人たち。介護職員に限らず清掃員なども対象で、デイサービスなどの在宅サービス従事者を含めることも認めた。計画をもとに3月末までにPCR検査のほか、複数の検体を一度に調べるプール検査、唾液(だえき)を検体とする抗原定量検査などを必要に応じて「定期的」に実施するよう求めている。
 厚労省によると、高齢者福祉施設では1月25日現在、833件のクラスターが発生。高齢者施設でのクラスター発生は12月7日〜1月4日の4週間で196件だったが、1月4日からの約3週間で253件と増えた。新型コロナ対策を厚労省に助言する専門家組織は「飲食店での感染が減ってきている一方、福祉施設での感染がかなり増えている」と分析している。   (朝日新聞社)

 

2月09日(火)八戸市が高齢者に向けDVD「自分でできる介護予防」作成 オンラインで視聴も
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で外出する機会が減っている高齢者に向けて八戸市がDVD「自分でできる介護予防」を作成した。(八戸経済新聞)
 八戸市福祉部高齢福祉課では、昨年12月に介護予防パンフレットを作り全戸に配布した。新たに作成したDVDは計80分の動画で、今月下旬から八戸市内の公民館、老人クラブなどの関係先に配布する。
 DVDは自粛生活による高齢者の心身の機能低下が懸念され、自粛解除後も機能回復が難しいと考えられることから、自宅で簡単にできる筋力トレーニングやストレッチを動画で分かりやすく紹介、地域全体での介護予防の意識醸成を目指す。動画では、「イサバのカッチャ」十日市秀悦さんやタレント中島美華さんらも出演、介護予防に関する知識や運動の注意点なども楽しみながら取り組める内容になっている。動画は八戸市のHPにも掲載されオンラインでも視聴できる。
 同課参事・地域包括支援センター所長の中居裕子さんは「DVDでは介護予防センターや、高齢者支援センターの紹介もしている。ストレッチのほかにも、運動時の注意点、唾液腺のマッサージ、嚥(えん)下体操、レクリエーションや散歩についても解説している。高齢福祉課としては、今後も高齢者が住み慣れた地域で介護予防に取り組める場作りも支援していきたい」と話す。   (みんなの経済新聞)

 

2月13日(土)【独自】災害弱者の逃げ遅れ防止、自治体の個別避難計画作りに財政支援へ
 総務省は新年度から、災害時に自力避難が難しい高齢者や障害者の誘導方法を決めておく個別避難計画作りのため、市町村に財政支援する。市町村が計画に関わった福祉事業者らに支払う報酬を負担する。災害弱者の逃げ遅れを防ぐ狙いがある。
 政府は計画作成の努力義務を市町村に課す災害対策基本法改正案を今国会に提出する。今回の財政支援は、その裏付けとなるものだ。
 自治体の財源不足を穴埋めする地方交付税の対象に、個別避難計画の作成費を新たに加える。高齢者や障害者の事情に詳しい福祉・介護事業者や社会福祉協議会に計画を委託したり、計画に協力した介護支援専門員(ケアマネジャー)や相談支援専門員、民生委員らに謝礼金を支払ったりする費用を見込んでいる。
 これに合わせ、政府は新年度から、防災分野の有識者らを市町村に派遣する。自治体向け講演会も開き、計画をまとめるためのノウハウを伝授する。
 災害時に逃げ遅れた高齢者らの被害が各地で相次いでいる。昨年7月の九州豪雨でも、死者約80人のうち高齢者が8割を占めた。
 しかし、総務省消防庁によると、要支援者の名簿をまとめた1687自治体のうち、2019年6月時点で個別避難計画の作成を終えたのは12%にとどまった。作成中は50%、未作成は38%に上る。
 独自の取り組みとして、有償で計画作りを進める自治体もある。兵庫県や大分県別府市は、計画をまとめた福祉事業者らに報酬として1件あたり7000円を支払っている。兵庫県の担当者は「報酬を設けたことで、福祉事業者の協力を得やすくなった」と語る。政府関係者は「こうした事例を全国に広げ、災害時に高齢者や障害者がスムーズに避難できるようにしたい」と話している。
 ◆個別避難計画=高齢者や障害者ら「避難行動要支援者」ごとに、避難を手伝う人や避難場所、経路などを事前にまとめたもの。東日本大震災で高齢者が死者の6割を占めたことなどを受け、国が2013年に指針を定め、自治体などに計画作りを推奨してきた。   (読売新聞社)

 

2月16日(火)コロナ回復した高齢者を受け入れ、介護施設への報酬を特例的に引き上げへ
 厚生労働省は16日、新型コロナウイルスで入院後、回復した高齢者を受け入れた介護施設に支払う介護報酬を特例的に引き上げると発表した。介護施設への受け入れを促し、病床の逼迫(ひっぱく)を防ぐ狙いがある。
 具体的には、特別養護老人ホームなどが退院基準を満たした人を受け入れた場合、医療機関や自治体との連携などの業務が発生するため、特例的に最大30日間、報酬の加算(1日あたり5000円程度)を認める。施設にもともと入所していた高齢者は対象外で、新たに受け入れた場合に算定できる。   (読売新聞社)

 

2月18日(木)高齢者施設のクラスター、全国で1000件超える 厚労省発表
 厚生労働省は17日、高齢者福祉施設で発生した新型コロナウイルスのクラスターがこれまでに1000件を超えたと発表した。
 2月15日時点で全国で1017件。先週発表の8日時点では991件だった。
 コロナとの戦いの難しさを改めて浮き彫りにするデータ。介護現場はリソースも乏しいなか、昼夜を問わず懸命の対策をとり続けている。ただ、人と人との接触がどうしても避けられない業務の性質もあり、感染拡大をなかなか防ぎきれないのが実情だ。
 厚労省によると、2月15日時点の全国のクラスター発生件数は5104件。このうち、高齢者福祉施設は19.9%で最も多い。
 内訳はこのほか、飲食店が947件、企業が941件、医療機関が874件、学校・教育施設が624件などとなっている。児童福祉施設は220件、障害者福祉施設は123件だった。   (介護jointニュース)

 

2月19日(金)介護施設の夜勤、「ワンオペ解消を」 労働組合が要請書を提出へ
 介護施設の夜勤の労働環境を改善するよう働きかける要請書を、日本医療労働組合連合会が来月に厚生労働省へ提出する。1人で夜勤をこなす“ワンオペ”の解消などを求めていく。
 医労連は昨年6月から11月にかけて、153施設・4233人の介護職を対象に調査を実施。それによると、夜勤が16時間など長時間に及ぶ2交替制をとっている施設は全体の82.0%だった。
 施設別では、全てのグループホーム、小多機、看多機が1人夜勤。職場単位でみると、特養やショートステイでも半数近くが1人夜勤の体制をとっていた。医労連は要請書で、介護職の負担軽減と利用者の安全確保に向けて「夜勤は複数体制を原則とすべき」と訴える。
 要請書ではこのほか、「休憩時間も利用者の状況によってすぐに対応しなければならない。いわゆる『手待ち時間』になっている」と指摘する。「労働基準法違反(休憩の不付与)を解消すべき」と問題を提起する計画だ。
 あわせて、ひと月の夜勤回数に上限を設けることも要求する。看護師確保指針にある「月8日(2交替なら月4回)以内」を、介護施設にも適用することを提案する考えだ。   (介護jointニュース)

 

2月22日(月)コロナワクチン「接種したくない」 介護職の15%だけ 8割が「接種する」
 新型コロナウイルスのワクチンが受けられるようになったら、あなたは接種しますか? 介護現場を支える職員にそう尋ねた調査の結果を、淑徳大学・総合福祉学部の結城康博教授が22日に公表した。
 それによると、「接種する」は79.5%。「積極的に接種する」が34.5%、「様子を見てから接種する」が45.0%だった。一方、「あまり接種したくない」は12.8%、「接種しない」は2.6%。否定的な人は15.4%となっている。

 この調査は、今月3日から16日にかけてインターネットで行われたもの。介護施設の職員やホームヘルパー、ケアマネジャー、訪問看護のナースなど649人から回答を得ている。
 国が優先接種の対象から除外している在宅系サービスの職員でも、「接種する」との答えが圧倒的に多かった。例えばケアマネジャーは79.0%、ホームヘルパーは77.4%。自由記述の欄には、重い副反応が生じるケースが今のままごく一部に限られることなどを前提として、「利用者の安心にもなる」「感染を広げたくない」などの意見が寄せられた。
 淑徳大学の結城教授は優先接種の対象について、「ワクチンの供給量の問題もあるので、どこかで線引きが必要ということは理解できる。ただ、在宅系サービスを全てひと括りに施設系の後ろへ回す選択は誤り。荒っぽい」と指摘。「在宅でもワクチンの必要性が非常に高いシーンはある。少なくとも、自治体が現場レベルでより柔軟に判断できる仕組みも用意しておくのが筋ではないか」と話している。   (介護jointニュース)

 

2月25日(木)介護報酬の“LIFE加算”、情報提供項目を公表 厚労省 送信は翌月10日まで
 新年度の介護報酬改定では、国の新たなデータベース「LIFE」への情報提供などを要件とする加算が新設される。「科学的介護推進体制加算」と名付けたこのインセンティブについて、厚生労働省は既に固まったアウトラインを伝える通知を19日に発出した。
 必要な情報提供のメニューを「現状案」として公表。利用者のADL、口腔・栄養、認知症などカテゴリごとの項目を具体的に示した。実際に加算を算定するためには、こうした情報をサービス提供月の翌月10日までにLIFEへ送る必要があると呼びかけている。
 4月から導入される科学的介護推進体制加算は、ミニマムで利用者1人あたり40単位/月。特養や老健、特定施設、グループホーム、通所介護、小規模多機能など多くのサービスが対象だ。LIFEへの情報の蓄積に協力すること、そこからのフィードバックを活かすことなどが要件とされている。
 政府が以前にも増して重きを置く自立支援・重度化防止の観点から、より効果的なサービスの展開につなげるための仕組み。大規模データベースの構築はエビデンスの確立などに役立てられていく。
 今回の通知で明かされた情報提供のメニューは概ね、これまで審議会などで説明されてきた概要に沿ったもの。利用者の身長や体重、既往歴、服薬、ADL、口腔・栄養、認知症など項目は多岐にわたる。厚労省は以下の資料に2ページでまとめ、現場の関係者へ広く周知した。
 情報提供の期日はサービス提供月の翌月10日まで。LIFEのサイトでデータを直接入力する方法のほか、請求ソフトからCSV連携で送信する方法もある。請求ソフト側の対応はベンダーによって異なってくる。
 情報提供に対する事業所へのフィードバックは、その翌月中にLIFEのサイトからPDFで実施される予定。厚労省は「更なる詳細は追って提示する」としている。   (介護jointニュース)

 

 

 

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