今月のニュースから

1月06日(水)介護施設の看取り加算を拡充 厚労省、算定できる日数をより長く
 今年4月の介護報酬改定に向けた協議を進めている厚生労働省は、施設・居住系サービスの看取りを後押しする加算を見直す方針を決めた。
 現行で加算を算定できるのは、本人が亡くなった日から起算して30日前まで。ただ実際には、より早い段階から必要な対応を始めている現場も少なくない。
 このため厚労省は、死亡日の31日前から一定期間にかけても通常より高い報酬が得られるように変える。対象は特養、介護付きホーム、グループホームの「看取り介護加算」と老健の「ターミナルケア加算」。実態に合わせてインセンティブを改良し、より積極的なサービスの提供を促していく。
 昨年末にまとめた社会保障審議会・介護給付費分科会の「審議報告」に盛り込んだ。具体的な日数や単位数などは近く公表する。
 厚労省はこのほか、「人生の最終段階における医療・ケア決定プロセスにおけるガイドライン」に沿った取り組みを行うことを、看取り介護加算やターミナルケア加算の要件に加えることも決めた。このガイドラインは、例えばACP(アドバンス・ケア・プランニング:人生会議)の実践など本人の意思をきめ細かく汲み取る手法を示すもの。       (介護保険ニュースjoint)

 

1月08日(金)介護事業所の倒産、過去最多118件 昨年、コロナ影響
 2020年に倒産した介護事業所は前年より7件増えて118件となり、過去最多を更新した。
 新型コロナウイルスの感染拡大によって重症化しやすい高齢者が利用を控えたことなどが影響したとみられる。民間調査会社・東京商工リサーチが8日、公表した。
 介護事業所の倒産はこれまで、17年と19年の111件が最高だった。20年の事業種別では「訪問介護」が最も多い56件、
次いでデイサービスを含む「通所・短期入所介護」が38件だった。もともと人手不足などで経営環境は厳しく、倒産が増える傾向にあったが、
新型コロナによる利用控えや事業所の利用制限が追い打ちとなった可能性がある。
 また、自主的に休業や廃業をした介護事業所は20年1〜10月で406件で、過去最多だった18年の445件を超えるペースで推移しているという。
 東京商工リサーチは、「緊急事態宣言の発令で利用控えが長期化する恐れがあり、感染防止策の強化による費用負担も経営を圧迫しかねない」と指摘。
コロナ禍の収束も見通せず、21年も倒産は増える可能性が高いとしている。    (朝日新聞社)

 

1月12日(火)処遇改善加算、来年度計画書の提出期限は4月15日 報酬改定で後ろ倒し
 介護職員の賃上げを図る処遇改善加算と特定処遇改善加算について、厚生労働省は来年度分の計画書の提出期限を後ろ倒しにするとアナウンスした。
 介護報酬改定があるため4月15日(木)までとする。8日に全国の自治体へ通知を出して伝えた。
 厚労省は4月の改定で、処遇改善加算・特定処遇改善加算の「職場環境等要件」を見直す方針。やりがいの醸成やキャリアアップの仕組みの構築、腰痛を含む心身の不調へのケア、サービスの生産性向上といった取り組みが更に進み、職場定着の実効性が高まるようにテコ入れする考えだ。あわせて、特定処遇改善加算の配分ルールを緩和して事業者の自由度を高める意向も固めている。
 今後、社会保障審議会・介護給付費分科会で正式に決定する予定。年度内にはディテールを明らかにする通知を発出する。
 計画書の提出期限を後ろ倒しにしたのは、こうした見直しに対応するため。計画書は通常、加算を取得する月の前々月の末日までに都道府県へ届け出る決まりとなっている。4月から取得したいなら2月末までだが、今回は4月15日までで差し支えないとした。          (介護ニュースjoint)

 

1月13日(水)介護現場の負担、増す恐れ 感染症、災害、虐待など対策義務化 運営基準見直し 
 今年4月の介護報酬改定を機に各サービスの運営基準をどう見直すか ? 。厚生労働省は13日にこれを正式決定した。
 社会保障審議会・介護給付費分科会を開催し、パブリックコメントのプロセスを経た最終案を提示。委員の了承を取り付けた。改正した基準省令を1月下旬にも公布する。
 サービスの安定的な提供や質の向上などにつなげる観点から、事業者に新たな取り組みの実施を求める見直しが多く盛られた点が特徴。Web会議が幅広く認められたり押印が廃止されたりと効率化の要素もあるが、現場のタスクは今より増えることになるとみられる。多くの職員が対応に追われるのは毎度のことだが、今回は“いつも以上”になるかもしれない。
 とはいえ、見直しは目下の課題を踏まえた非常に重要なものばかりだ。
 例えば感染症や災害に対処する力の底上げ。有事を想定した業務継続計画(BCP)の策定、シミュレーションの実施などが全ての事業者に義務付けられる。訪問系、通所系、多機能系、居住系、居宅介護支援、福祉用具貸与では、感染症の流行に備える 委員会の開催、指針の整備、研修の実施なども義務化される(施設系は義務化済み)。いずれも経過期間は3年。
 高齢者虐待もポイントの1つだ。その発生・再発を防ぐための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者の選定が全ての事業者に義務付けられる。経過期間は同じく3年。
 介護職を悩ますハラスメントの被害を減らすための規定も加わる。利用者・家族が加害者となるケースも念頭に、適切な対策をとることが全ての事業者に義務付けられる。こちらは経過期間なし。
 このほか、無資格の職員に認知症介護基礎研修を受講させることが全ての事業者の義務となる。経過期間は3年。また施設系では、入所者の転倒や転落、誤嚥、誤薬といった事故のリスクマネジメントの強化に向けて、安全対策にあたる担当者の選定などが義務化される。経過期間は6ヵ月。
 13日の分科会では、タスクが増える現場へのきめ細かい支援策を講じるよう促す声が多くあがった。厚労省もこれにできるだけ応えていく構えをみせている。         (介護ニュースjoint)

 

1月14日(木)利用者への説明・同意、紙ベース以外も可 押印も不要 介護書類の簡素化決まる
 介護報酬が改定される3年に1度のタイミングにあたる今年4月には、各サービスの運営基準も併せて変更される。厚生労働省は13日、昨年から議論を重ねてきた審議会でその内容を正式に決定した。
 ケアプランや各サービスの計画書、重要事項説明書などの同意を利用者、家族から得る際の規定の見直しを盛り込んだ。
 必ずしも紙の書類を用意する必要がないことを明確化。スマホやタブレット、PCなどを使ってデータで提示する運用も認められる、とのルールへ切り替えた。1月下旬にも改正省令を公布する。
 厚労省はこれとセットで、同意を得る際に押印・署名をもらう必要がないことを明確化する方針も決めた。今後、各種書類の雛形から押印欄・署名欄を全て削除していく構えだ。
 文書成立の真正を証明する代替策は、年度内に通知などで例示する考え。今のところ例えば、契約時に利用者、家族とやり取りしたメール、スレッドを保存しておくことなどが想定されている。紙の書類、押印・署名が禁止されるわけではないので、さしあたり従来通りの方法を維持していく判断も可能。
 厚労省は介護現場の書類の削減、事務負担の軽減につなげたい考え。役所に提出してもらう書類からも押印を無くすほか、各種記録の保存について原則としてデータ化を容認する方針も決定している。  (介護ニュースjoint)

 

1月15日(金)高齢者施設の職員2万3千人にPCR検査実施へ 埼玉
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、埼玉県は15日、感染者が多い県内12市にある同県所管の高齢者入所施設427カ所の職員約2万3千人を対象とし、無料のPCR検査をすることを明らかにした。緊急事態宣言の発出に伴い、実施を決めた。クラスター(感染者集団)の発生を防ぐのが狙い。  
 県によると、13日時点で人口10万人あたり200人以上かつ累計で300人以上の感染者が確認されている、指定市などをのぞく12市(所沢、春日部、深谷、草加、戸田、入間、朝霞、新座、久喜、富士見、三郷、ふじみ野)が対象。施設は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホームなど。
 今月下旬以降、唾液(だえき)を検体に使う検査キットを施設に送る。委託先の民間検査機関が検査する。2月上旬以降、結果が判明する見通しという。                         (朝日新聞社)

 

1月18日(月)特養、基本報酬引き上げ 加算包括化で在宅系より大きな上げ幅

 厚生労働省は18日、来年度の介護報酬改定に向けた協議を重ねてきた社会保障審議会・介護給付費分科会を開き、4月から適用する報酬・加算の新たな単位数を公表した。

 特養の基本報酬は引き上げられる。従来型個室とユニット型個室の単位数は以下の通りだ。
 特養の基本報酬の引き上げ幅は、訪問介護や通所介護など居宅サービスと比べてやや大きい。厚労省はその理由を、「多くの施設が算定している栄養マネジメント加算などを包括化したため」と説明している。    (介護jointニュース)

 

1月18日(月)通所介護の入浴介助加算、既存区分は10単位引き下げ 新区分は55単位に
 厚生労働省は18日、来年度の介護報酬改定に向けた協議を重ねてきた社会保障審議会・介護給付費分科会を開き、4月から適用する報酬・加算の新たな単位数を公表した。
 通所介護の入浴介助加算に創設される新たな上位区分は55単位/日。既存の区分は10単位の引き下げとなった。

 新たな「加算II」は、専門職らが利用者宅を訪ねて浴室の環境を確認すること、それを踏まえた個別計画を多職種連携のもとで策定すること、計画に沿った個別の入浴介助を事業所で行うことなどが要件。利用者がそれぞれの住まいで、自分自身の力によって、あるいは家族などのサポートも得ながら、なるべく自立してお風呂に入れるようにする ? 。こうした視点に立った質の高いサービスの提供を促すインセンティブとして設けられた。

 新たな「加算I」は現行の入浴介助加算と同じ要件。厚労省は引き下げの理由として、既に多くの事業所が算定していること、「加算II」の取り組みの実施を促すことをあげている。          (介護jointニュース)

 

1月20日(水)科学的介護の新加算、利用者ごとに40単位 施設や通所など対象 最大60単位
 来年度から本格的な運用が始まる介護保険のデータベース「LIFE(*)」- 。その活用を事業者へ促す新たなインセンティブを、厚生労働省は4月の介護報酬改定で各サービスに創設する。
* 今年度まで「CHASE」や「VISIT」と呼ばれているDB。来年度から呼称が「LIFE」に統一される。 
 新たなインセンティブは「科学的介護推進体制加算」。施設系、通所系、居住系、多機能系のサービスが対象だ。幅広い関連情報を「LIFE」へ提供するなどハードルは低くないが、利用者1人ごとに以下の単位数を算定できる。

 18日、社会保障審議会・介護給付費分科会で単位数などが公表された。

 算定要件は大きく2つある。1つ目は、全ての利用者の心身の基本的な情報を「LIFE」へ送ること。例えば、ADL値や栄養状態、口腔機能・嚥下の状態、認知症の状態などが含まれる。
 2つ目は、「LIFE」からのフィードバックを十分に活用すること。ケアのあり方を検証してケアプランやサービス計画を見直すなど、現場でPDCAサイクルを回すことが求められる。施設系サービスの加算(II)も同じ要件だが、詳細な既往歴や服薬状況、同居家族の状況など、更に多くの情報を提供する必要がある。
 加算を新設する狙いは、エビデンスに基づく科学的介護の基盤として「LIFE」を育てること、自立支援・重度化防止の観点から効果的なサービスの展開につなげることだ。この文脈の施策は今回の改定の目玉 ? 。そう捉えている関係者は非常に多い。個別機能訓練加算など既存の一部の加算でも、関連データの提出やフィードバックの活用が新たに評価されることになった。
 厚労省は今年度中に算定要件の詳細や留意点などを示す。現場に提供してもらう利用者の情報については、「サービスごとの特性や事業所の事務負担などを考慮して設定する」としている。      (介護jointニュース)

 

1月21日(水)介護、みとり報酬上乗せ期間拡大 高齢化で終末期ケア充実
 厚生労働省は18日、介護サービスを提供する事業所に支払う介護報酬の21年度改定を巡り、みとりへの対応をした際の報酬上乗せの対象期間を拡大することを決めた。現行の「亡くなる直近の30日間」を「45日間」に広げる。
 今回の改定は、新型コロナなどの感染症や災害で利用者が急減した場合、一定の要件で報酬を上乗せすることが柱。これに加え、人口の多い団塊の世代が22年から75歳の後期高齢者になり始め、介護サービスの需要が一層高まることを見据え、終末期ケアを充実させる。
 新型コロナに伴う経営への影響を考慮し、今年4〜9月まで全サービスの基本的な報酬を0.1%上乗せする。          (共同通信社)

 

1月23日(土)高齢者と職員同時接種容認 コロナワクチン、介護施設
厚生労働省は22日、介護施設を巡る新型コロナウイルスのワクチン接種に関し、優先順位が高齢者より低く設定されている施設の職員について、一定の要件を満たせば入所する高齢者と同時に接種することを認める方針を固めた。施設内の集団感染対策を推進し、流通管理に手間がかかるワクチンを効率的に使うため。
 同時接種は、施設で日常的な健康管理を行う医師がおり、接種後の健康観察が可能であることや、自治体と施設側で接種体制が整うことなどが条件だ。
 ワクチン接種の優先順位は、(1)医療従事者(2)高齢者(3)基礎疾患を有する人と高齢者施設の職員―の順。        (共同通信社)

 

1月28日(木)介護への転職で20万円支給、厚労省が活用を呼びかけ 2年働けば返済なし
 厚生労働省は来年度から、未経験の他業種の人が介護現場へ転職するのを後押しする新たな制度を設ける。
 初任者研修などを修了することを条件に、最大で1人あたり20万円を支給する。あくまで貸し付けだが、2年間働けば返済を全額免除する。地域の医療・介護体制を整備するための基金を財源として使う。まずは都道府県の手挙げに基づく任意事業としてスタートする。
 厚労省の社会・援護局の橋本泰宏局長は、重点施策などを説明する目的で26日に投稿した自治体向けの動画の中で、制度の積極的な活用を全国の担当者らに要請。関係団体や労働部局などとも連携し、事業を着実に展開していくよう呼びかけた。
 研修はハローワークとつながっている職業訓練校で無料で受けられる。初任者研修だけでなく実務者研修を選ぶことも可能。支給される20万円の使途としては、介護ウェアの購入や移動手段の確保、引っ越しなど様々なものが想定されている。深刻な人手不足の解消を図る施策の一環。コロナ禍で転職を余儀なくされた人などに介護に関心を持ってもらう、という意味合いもある。厚労省の担当者は、「2年間働けば、介護福祉士の受験資格が得られる期間(3年)もみえてくる。人材の定着にもつなげていければ」と話した。   (介護jointニュース)

 

1月29日(金)特養、脱おむつや褥瘡なしで報酬増 初のアウトカム評価の内容決まる
 今年4月の介護報酬改定では、自立支援・重度化防止の成果をみるアウトカム評価の考え方が特養の報酬体系に初めて組み込まれる。
 厚生労働省はその内容を決めた。今年度中にもルールの詳細や留意点などを通知で示す。
 アウトカム評価のターゲットは2つある。排泄と褥瘡だ。既存の「排せつ支援加算」と「褥瘡マネジメント加算」の見直しによって具体化される。

 両者に共通しているのは、全ての入所者を対象として状態のスクリーニングを定期的に行うこと。適切な介入が必要と判断された人の計画を多職種で作り、それに沿ってケアを実践していくことが求められる。介護保険の新たなデータベース「LIFE」へデータを送ること、計画を定期的に更新することも必須となる。

 ここまでがベース部分。排せつ支援加算なら10単位/月、褥瘡マネジメント加算なら3単位/月を、全ての利用者について算定できる。
 アウトカム評価はこれらの上位区分。排せつ支援加算では以下の2つが要件となる。どちらかを満たせば5単位/月、両方を満たせば10単位/月。実際に満たした人数分に限って上乗せで算定できる。
○ 排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善し、いずれにも悪化がない
○ おむつ使用ありから使用なしに改善した
 褥瘡マネジメント加算の上乗せは10単位/月。実際に褥瘡の発生を防いでいることが要件で、計画を作ってケアを実践した人数分だけ取得できる。
 介護施設の報酬体系に組み込まれているアウトカム評価は現在、入所者の在宅復帰に着目した老健のインセンティブ1つのみ。今回の排泄・褥瘡の仕組みは、特養だけでなく老健や介護医療院、看護小規模多機能などにも適用される。老健以外ではこれが初のアウトカム評価。厚労省は自立支援・重度化防止に向けたサービスの展開につなげたい考え。通所介護や通所リハなどにとどまらず、施設系でも相応の取り組みを現場に促していく方針だ。   (介護jointニュース)

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