孤独死

 孤独死とは、主に一人暮らしの者が誰にも看取られることなく、当人の住居内などで生活中の突発的な疾病などによって死亡することを指す。
 特に重篤化しても助けを呼べずに死亡している状況を表す。

 

 隣家との接触のない都市部などにおいて、高齢者が死後数日から数か月(長いケースでは1年以上)経って発見されるケースが相次いで報告される一方、都市部に限定されず過疎地域での発生も懸念される。

 

 かつては、都会には人がたくさんいるにもかかわらず、誰にも気付かれず死んでいるという状況を指して「都会の中の孤独」という逆説的な死様として取り上げられていたが、次第に「病気で周囲に助けも呼べずに死んでいった」ことが分かるにつれ、このような事態の発生防止が求められるようになっていった。

 

 現在では、都市部で人的交流が疎遠になりがちであることが広く理解され、孤独死が身近にも発生しうることが理解されるようになってきている。

 

 孤独死や「ゴミ屋敷」で暮らす者達は、程度の差こそあれ自分自身の生活や行動を管理できない状態に陥った「セルフネグレクト(自己放任)」である点で共通しているとしている。

 

 老老介護の問題などにも関連して、必ずしも一人暮らしであることだけが孤独死の要因とはいえない。

 

 孤独死に対しては法的に明確な定義はなく、警察庁の死因統計上では変死に分類される。この変死の中でも遺体発見以降の周辺調査や検死や司法解剖等により死因特定した結果、早い段階で他者の適切な介護があれば救命できた可能性のあるケースに関して集計されるに過ぎない。このため、これを明確に定義付けての統計は存在しない。

 

類似するケース
 老老介護において、介護していた側が急病などで突然死し、副次的に動けない要介護者側が死亡する場合も確認されている。

 

生活様式では、以下のような特徴が挙げられる。
・高齢者(特に男性)
・独身者(配偶者との死別を含む)
・地域や家族とのコミュニケーションが希薄
・経済的余裕がない。

 

 

 2000年代後半に入っては、孤独死が社会問題として広く認識されたことを背景に、70歳を越える後期高齢者への周囲の関心度が高くなる傾向があり、孤独死から長期間気付かれないなどの問題が抑制されている。
一方で、65歳以下だと気付かれにくい傾向も見られる。

 

死因
 心筋梗塞(循環器障害)や脳溢血(脳疾患)などといった急性の疾病発作のほか、アルコール依存症・糖尿病・認知症といった慢性疾患、肝硬変で突如意識不明に陥りそのまま死亡する事例も報じられている。

 

予防
 水道やガス・携帯電話のめざまし時計の利用状況といった生活情報を送信することで、高齢者の安否を確認するシステムの導入も始まっており、電気ポットの利用頻度を送信するシステムも提供されている。
 独居高齢者向けに、緊急時に押しボタンやペンダントを押すと電話回線を通じて自動的に通報されるという機器を提供する自治体もある。

 

孤独死に絡むトラブル
 孤独死は死亡から発見まで日数を要するため、死亡順序に関わる遺産相続の法的紛議が起こる可能性がある。

 

 ごみの屋内片づけは合法だが、家庭系廃棄物のごみを廃棄物処理業の無許可業者が清掃工場へ持ち込んだり、産業廃棄物として処分したりすることは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律で禁止されている。

 

 孤独死後の遺体の埋葬方法も問題となる。原則として、身元の分かる遺体には墓地、埋葬等に関する法律、そうでない遺体は行旅病人及行旅死亡人取扱法が適用されるが、死体の埋葬または火葬を行う者がないときまたは判明しないときは、死亡地の市町村長がこれを行わなければならない(墓地埋葬法9条1項)。

 

 また、その埋葬または火葬を行ったときは、その費用に関しては、行旅病人及行旅死亡人取扱法の規定を準用することとなっている(墓地埋葬法9条2項)。孤独死の埋葬に関しては、自治体の負担が大きいものとなっている。

 

<行旅病人及行旅死亡人取扱法(こうりょびょうにん および こうりょしぼうにん とりあつかいほう)は、行旅人が病気になったり死亡したりした場合の取扱いに関する日本の法律。行旅人が病気や死亡をした場合は所在地の市町村が救護するべきことなどを定める。>

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