今月のニュースから

9月03日(木)都内の高齢者・障害者施設、PCR検査へ 最大15万人
 重症化しやすい高齢者らへの新型コロナウイルス感染を抑えようと、東京都は、高齢者・障害者施設の入所者や職員を対象にPCR検査を実施する。3日に公表した計3413億円の補正予算案に、関連費用約30億円を盛り込んだ。対象は約15万人を見込み、費用全額を都が負担する。早ければ10月から実施するという。
 PCR検査は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、障害者支援施設など計約850カ所を対象とし、施設の規模に応じて上限額を設ける。唾液(だえき)を自ら採取して民間の検査機関に送付する方法などを想定している。施設内にウイルスを持ち込ませないため、入所者との接触が多い職員への定期的な検査や新たな入所者への検査も見込む。
 補正予算案にはこのほか、高齢者らを対象に、インフルエンザ予防接種の本人負担をゼロにする補助事業約75億円も盛り込んだ。新型コロナとの同時流行で、医療機関への負担の集中を避けるのが狙いだという。都は、18日開会の都議会定例会に補正予算案を提出する。これで新型コロナ対策の都の予算総額は約1兆6千億円になる見込み。    (朝日新聞)

 

9月7日(月)東京・世田谷区の一斉PCR検査 介護施設職員を最優先
 介護や保育施設で働く人を対象に一斉PCR検査を計画している東京・世田谷区は、まず介護施設で働く職員らを優先して検査を行う方針を明らかにしました。
 世田谷区は9月中旬から介護や保育施設で働く人を対象に一斉のPCR検査を予定しています。世田谷区の保坂展人区長は9月7日の会見で、PCR検査の優先順位として区内の介護施設で働く職員や特別養護老人ホームなどに新しく入所する人から実施するほか、1度きりでなく定期的に検査を実施する方針を明らかにしました。また、基礎疾患があり重症化しやすい人も多いとして、新たに障害者施設で働く職員およそ3000人も対象とすることを発表しました。一斉PCR検査の順番は(1)介護施設、(2)障害者施設、(3)保育園と幼稚園に実施する方針です。

 

9月11日(金)厚労相、介護現場にコロナ想定シミュレーション実施を改めて呼びかけ
 加藤勝信厚生労働相は10日、新型コロナウイルスの感染者、濃厚接触者が発生した場合を想定したシミュレーションの実施を、施設をはじめとする介護現場に改めて呼びかけた。
 加藤厚労相はこの日、東京・文京区の特別養護老人ホームを視察。消毒やゾーニングの徹底、防護服の着脱訓練、臨時対応チームの事前編成など、“もしもの時”への適切な備えについて詳しい説明を受けた。
 「できるだけ重症化を防止する、亡くなる方を少なくする観点から、高齢者施設での対策は極めて重要」。 視察後、記者団に対し重ねてそう強調した。そのうえで、「ウイルスを施設に入れないことはもちろん大事だが、やはり全てを防げるわけではない」と指摘。「実際に感染者が発生したらどうするのか、施設内で感染を拡げないためにどうするのか、そうしたシミュレーションや自主点検を促進していきたい。(介護現場の関係者に)この機会に改めてお願いしたい」と語った。 厚労省は既に、施設などにシミュレーションの実施を促す通知を7月31日に発出している。介護現場で活用できる15項目のチェックリストもあわせて提示。「防護服の着脱方法の確認を行ったか」「個室管理、生活空間の区分けの検討を行ったか」「感染対策に係る関係者の連絡先を把握しているか」などを確かめておくよう求めてきた経緯がある。 加藤厚労相はこのほか、施設の入所者、職員へのPCR検査の実施を後押ししていく意向も改めて示した。
  「感染状況などを踏まえて必要があれば積極的に検査をして頂きたい」と改めて要請。「予算面も含め、地域における検査対応能力の向上や医療提供体制の構築も支援していく」と述べた。    (介護ニュースjoint)

 

9月13日(日)介護ストレス、感染の恐怖、使命感…「ウェブ文通」で支え合うケアワーカー
 新型コロナウイルス感染症への対応を現場で支える介護などの「ケアワーカー」同士が、ウェブ上の手紙や会議を通じて支え合う取り組みが広がっている。収束までの道筋が見えない中、個人の不安や喜びなどを共有。お互いが支え合い、乗り切ろうとする試みだ。
 ◇極度の緊張の中で8月、東京都内の訪問介護の現場で働く62歳の男性から寄せられた1通の手紙が特設ページ「ケアレター」で公開された。
 「コロナがあってもケアは止まらない。と言うより、ケアは止められないという使命感」
 「ケアは仕事だけれど、私の一部にもなっている」
 手紙の宛先は「ケア人の仲間たち」。同じ介護・福祉現場にいる多くの働き手に対して訴える内容だ。全国各地から寄せられた他の手紙でも、「自分がウイルスを持ち込んでしまわないか」といった率直な懸念から、訪問先から感謝の言葉をかけられて「張り詰めていた心がふっと軽くなったように感じた」といった思いがつづられている。
 今年2月以降、国内で新型コロナウイルスの感染が拡大。感染対策とケアを同時に取り組まなければならない介護や医療の現場では多忙を極めた。現場の人員不足が深刻化する中、一人一人が極度の緊張を強いられた。
 ◇現場の負担増
 「人とまちづくり研究所」が5月中旬に全国の介護事業所を対象に実施した調査では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響により、大半の事業所で業務が増加した。子どもの世話や家族の介護、本人・同居家族の体調不良などで就業調整や休職を余儀なくされた職員が少なくなく、現場に負担がかかったからとみられる。
 同研究所の代表理事で慶応大学大学院の堀田聡子教授は4月中旬、介護・福祉の現場で働く2人と現状を話し合った。堀田さんらは、不安や働きにくさを感じていても弱音を言い出せない状況を危惧。3人でケアワーカーが気持ちを表に出して、分かち合いながら支え合う活動をウェブサイトで始めることにした。
 活動は「ケアレター」と名付けられ、介護や医療現場で働くケアワーカーから思いを書いた手紙を募り、サイト(https://careletter.jp/)で公開。資格の有無や職種にかかわらず、現役でなくても応募できる。これまで10通を掲載した。
 ◇「語りにくい正直な気持ち」  
 東京都内で訪問介護の仕事をしている実行委員の鎮目彩子さんは、4月に緊急事態宣言が出て以降、子どもを預ける保育園が休園になり、出勤できなくなったという。鎮目さんは「こんな時だからこそ利用者を支えたいという気持ちが強くあったが、家族感染のリスクもあり、葛藤があった」と自らの経験を振り返る。
 同じく実行委員の金子美和さんは「新型コロナの影響で、日常の職場が、急に感染防止が求められる最前線になり、ケアワーカーも患者や利用者と同じく不安を抱える当事者になった。しかし、頑張ることを求められ、正直な気持ちを語りにくい状況に置かれている」と指摘する。
 感染拡大が進む中、ケアの現場に立つ人たちの就労環境は悪化。これらに加えて、精神や身体のストレスが重なる状況も浮き彫りになっている。
 「美容院の予約を断られた」
 「子どもが保育園の中で別の場所に置かれていた」
 日本医療労働組合連合会が全国の加盟組織を対象に行った調査では、医療従事者に対するこうした差別的な事例が報告された。また家族から「家に帰ってこないでほしい」などと言われた事例もあった。
 ◇「思いを言葉にして」
 金子さんは「ケアワーカーが手紙を書くことで、自分の気持ちを形にして眺めたり、いろんな人の気持ちを知ったりすることで、気付いていない自分の気持ちを発見し、本来の自分を取り戻すきっかけになる」と、活動の可能性を語る。
 堀田教授は「ケアワーカーも利用者・患者と同じく不安な日々で、豊かな暮らしの支援と感染予防のはざまで悩むことも多い。抱える思いを言葉にしていろんな人の気持ちに触れることで深呼吸につながれば」と話す。  日本赤十字社は、新型コロナウイルスに対応する職員向けに作成した「サポートガイド」をホームページ(http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/news/200330_006139.html)で公開した。困難な状況で働く職員が心の健康を維持するために必要な要素の一つとして、「家族や同僚からのサポート」を指摘している。 具体的には「家族とのコミュニケーション」などに加えて「同じ境遇の人との対話」や「SNSを通じたコミュニケーション」などを挙げている。
 ◇オンライン会議も
 大規模な施設内クラスター(感染者集団)が発生した富山県では6月、有志による「とやま安心介護ネットワーク」(TAKN)が発足。週1回ぐらいのペースでオンライン会議などを開催し、感染防止に関わる情報交換のほか、悩みを共有する。グループホームなど施設を訪問するなどの交流も始めた。介護の業務におけるお互いの努力をねぎらい、励まし合っている。
 発起人でケアマネジャーの野村明子さんは「高齢者のQOL(生活の質)や健全経営を考えると、デイサービスなどの施設の運営を維持していくことは欠かせない」と指摘した上で、「互いの感染防止策を共有することで、濃厚接触者を出さずに施設の運営を続けられるなどの具体的な成果も出ている」と話す。    (毎日新聞)

 

9月18日(金)コロナに疲れたらLINEで相談を 介護職専用アカウント運用開始 老施協
 特別養護老人ホームの経営者らで組織する全国老人福祉施設協議会が今週、リニューアルした介護職員向けの相談窓口「JSここメン(こころメンテ)」を発表。運用を開始した。
 LINEやメールによる相談を新たに受け付ける。気分の落ち込み、モチベーションの低下、職場の人間関係、介護感の違い、体調面の不安などに専門家が幅広く対応する。期間は来年3月末までの予定。
 匿名、秘密厳守で話を聞いてもらえる。料金は無料。電話とメールの相談は、特設サイトの「CONTACT」から申し込む。専用フォームでニックネームや連絡先などを入力し、カウンセリングの方法(電話orメール)や希望する担当者、予約日時などを選択すれば完了だ。LINEを使いたい場合、専用アカウントを友達登録すればチャットを始められる。
 相談に応じるのは産業医や保健師、心理カウンセラーなど。担当者やツールによって相談できる時間が決まっているため、事前に特設サイトで確認してから選ぶのが得策だ。
 コロナ禍が長期化する中で、介護職員の精神的な負担は一段と重くなっている ? 。こうした問題意識が根っこにある。特設サイトでは、「気付かないうちにストレスは溜まっているもの。ご都合の良いときに気兼ねなくご利用ください」と呼びかけている。    (介護ニュースjoint)

 

9月18日(金)市内全ての特別養護老人ホームの新規入所者に“PCR検査” 神戸市が10月から実施
 新型コロナウイルスの集団感染を防ぐため、神戸市は10月から特別養護老人ホームの新規入所者や職員を対象にPCR検査を行うことを決めました。  神戸市では、今年8月に市内の介護付き有料老人ホームで入所者や職員合わせて25人が新型コロナウイルスに感染する感染者集団(クラスター)が発生しました。市内ではこの施設以外にも複数の高齢者施設などで感染が起きています。
 このため神戸市は、10月から市内全ての特別養護老人ホームの新規入所者と全職員に対してPCR検査を実施することを決めました。対象は市内118か所の特別養護老人ホームで、症状の有無に関わらず検査を実施する方針です。
 高齢者が新型コロナウイルスに感染すると重症化するリスクが高く、神戸市は「高齢者施設での感染を防ぎ、市内の重症者病床の確保につなげたい」としています。    (MBSニュース)

 

9月18日(金)75歳以上の医療費負担増、予定通り年内に結論 厚労相 2割の対象範囲が焦点
 田村憲久厚生労働相は17日の記者会見で、75歳以上の高齢者に求める医療費の自己負担の引き上げについて、予定通り今年の年末までに対象範囲を決める方針を示した。
 政府の全世代型社会保障検討会議が俎上に載せているテーマ。これから師走にかけて大きな焦点の1つとなる。
 当初は今年夏までに対象範囲を決める予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてスケジュールを見直した経緯がある。コロナ禍の長期化で負担増を議論しにくい状況は変わっていないため、一部では更に先送りせざるを得ないとの観測も浮上していた。
 田村厚労相は会見で、「年末までに方向性を出さなければいけない」と明言。「少子化で人口構造は変わっている。一定の負担能力がある方にはご負担をお願いしていかなければならない」と述べた。
 続けて、「負担増によって必要な医療が受けられないとなれば大きな問題。対象範囲をしっかり議論していきたい」と付言した。
 現行、75歳以上の医療費の自己負担は原則1割(現役並み所得者のみ3割)。国の厳しい財政事情や現役世代の負担の重さなどを勘案し、政府は新たに2割負担を導入したい考えだ。
 ただ関係者の間では、高齢者の受診控えの拡がりなどを懸念した慎重論も根強い。2割負担の対象範囲がかなり限定的なものにとどまる可能性もある。    (介護ニュースjoint)

 

9月23日(水)「外部サービスの過度な制限は不適切」 特養やGH、小多機などにも指導 厚労省
 利用者にとって必要なサービスまで過度に制限することのないようにして欲しい − 。厚生労働省は18日、新型コロナウイルスの影響を踏まえて介護現場にそう呼びかける通知を改めて発出した。
 感染リスクを恐れて外部の訪問、通所などを一律で使わせない事業者がいるとして、今月4日、有料老人ホームとサ高住に対して同じ趣旨の通知を出していた。今回は特養や老健、特定施設、グループホーム、小規模多機能などにも幅広く配慮を要請している。
 厚労省の担当者は、「例えば特養などの施設でも外部の医療系サービスが入るケースがある。利用者の状態などに応じて適切に使って頂く必要があるという趣旨は変わらないので、改めて呼びかけることにした」と説明している。 通知では前回と同様に、「感染防止策が実施されているにもかかわらず、外部サービスの利用を制限することは不適切」と指摘。「本来なら利用・算定が可能であり、利用者が希望する、もしくは必要とするサービスを不当に制限することのないように」と指導した。
 厚労省もコロナ禍で介護現場が難しい判断を迫られていることへの理解は示している。一連の通知はあくまで、本人の希望や必要性を度外視した過度な一律の制限をしないよう求めるもの。    (介護ニュースjoint)

 

9月26日(土)厚労省、事業所間のケアプラン共有を効率化へ 新システム構築 来年度から
 居宅介護支援事業所と介護サービス事業所のケアプランの共有を効率化する − 。厚生労働省は来年度から、こうした目的で新たなシステムの構築に乗り出す計画だ。
 今後、年末にかけて十分なシステム開発費の確保を図る。25日に公表した来年度予算の概算要求に方針を盛り込んだ。 在宅領域で事務負担の軽減を実現するためには、ケアプランの共有にかかる手間を省くことが欠かせないと判断した。今は紙ベースのやりとり、FAXが多い。そこからPCへ入力し直したりする作業が生じ、余計な時間がかかってしまう。
 介護現場の書類の削減、生産性の向上を目指す動きの一環。厚労省の担当者は、「ケアプラン共有の部分が改善されれば大きな効果があるはず」と見込む。来年度からシステム開発に着手し、早ければ2022年度から運用を開始したいと話した。
 居宅介護支援事業所からのケアプランの交付、介護サービス事業所からの実績の報告などのシーンで、相互の円滑なデータ連携を可能とするシステムを想定。実際に使うかどうかは事業所の任意となるが、扱いやすいセキュアな仕組みを作って幅広く活用してもらいたい考えだ。厚労省はこれまで、委託事業でデータ連携の標準仕様を作成するなどの取り組みも進めてきていた。

 

9月28日(月)ケアプランデータ連携、「緊要な経費」で別途要望 - 厚労省の2021年度予算概算要求
 厚生労働省は2021年度予算の概算要求で、ケアプランデータ連携システムの構築について、「緊要な経費」として別途要望する。介護サービス情報公表システムの改修についても、同様に「緊要な経費」として要望し、文書作成の負担軽減を図る方針だ。
 ケアプランデータ連携システムに関しては、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所との間で交わされるケアプランのデータの連携が可能なシステムを構築し、介護サービス事業所などの業務の効率化を図る。
 文書作成の負担軽減に関しては、既存システムの介護サービス情報公表システムを改修し、「オンライン申請を見据えた機能の拡充を行う」としている。
 また、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策により介護施設などにおける業務が増大し、人手不足がさらに深刻化していることなどを踏まえ、既存の就学資金などの貸付原資を積み増したり、新たな貸付事業を創設したりして、介護人材のさらなる確保・定着を促進する。    (医療介護CBニュース)

 

9月30日(水)介護職になれば20万円 2年働けば返済免除 厚労省、人材確保へ新施策
 厚生労働省は来年度から、これまで他の業界で働いていた無資格の人が介護現場へ参入するのを後押しする施策として、新たに「就職支援金」を貸し付ける事業を始める計画だ。
 初任者研修など一定の研修を修了することを条件に、最大で20万円を支給する。その後、介護職員として2年間従事すれば返済を全額免除する。一定の研修は、都道府県の職業能力開発センターなどで無料で受けてもらう考えだ。
 介護現場の深刻な人手不足の解消を図る施策の一環。新型コロナウイルスの影響で転職を余儀なくされた人などに振り向いてもらう狙いもある。
 厚労省は来年度予算の概算要求にこうした新事業を創設する方針を盛り込んだ。今後、年末にかけて十分な財源の確保を図る。
 20万円の「就職支援金」は、介護ウェアや参考図書の購入、引っ越しなど必要な準備に充ててもらいたいという。実際にどう使ったのか、事後的に詳しく確認する仕組みは設けない方向で細部を詰めていく。
 厚労省はこれまで、一定の資格・経験を持つ人に介護現場へ戻ってきてもらうための仕掛けとして、同様の貸し付け事業を行ってきた経緯がある。無資格の人も幅広く対象とするのは今回が初めて。担当者は「コロナ禍で新たな仕事を探している方も含め、幅広い人材の参入促進につなげられれば」と話している。

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