今月のニュースから

8月04日(火)認知症の人、コロナ禍で状態悪化 外出自粛など影響か
 新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛や面会制限により、認知症の人の症状や状態が悪化していたとする調査結果を、日本老年医学会と広島大が4日、発表した。感染を防ぐために「3密」(密閉、密集、密接)の回避やマスクの着用など生活様式の変化を求められるなか、適応が難しい認知症の人への対応が課題となっている。
 調査は6〜7月、全国老人保健施設協会や日本介護支援専門員協会などの団体を通じ、新型コロナの感染拡大による認知症の人への影響について、介護支援専門員(ケアマネジャー)らにオンラインで行った。認知症治療病棟のある病院や特別養護老人ホームなどの945施設と、ケアマネ751人が回答した。
 認知症の人は、急激な環境変化がストレスになり、症状の悪化につながりやすい。外出自粛による生活の変化や、施設の面会制限で家族に会えないことなどが影響する可能性がある。
 調査の結果、医療・介護施設の39%、ケアマネの38%が、外出制限などにより認知症の人の状態に症状悪化などの影響があったと答えた。特に重度の認知症の人で症状が悪化したという。具体的には、施設に入所する人では、外出や家族や友人との面会の制限などによって、不安が高まって同じことを何度も確認するなど精神症状の出現や悪化、認知機能の低下が多かった。    (朝日新聞社)

 

8月05日(水)布マスク要りますか? 厚労省、介護現場の希望申請の受付開始
 厚生労働省は5日から、洗えば繰り返し使える布製マスクの追加配布を希望する介護施設・事業所の募集を開始した。
 新型コロナウイルスの流行による需給の逼迫を踏まえ、厚労省は今年3月からこれまでに、原則すべての介護・福祉現場を対象に約6000万枚の布製マスクを配布してきた。
 今後さらに約8000万枚を配布する計画だったが、「もういらない」「税金のムダ」との批判が噴出。希望する事業所のみに配布して残りは備蓄する、との方針に転換した経緯がある。 申請は介護・福祉の事業所なら施設系でも在宅系でも可能。法人単位ではなく事業所単位で行う。今年の秋以降に備えて、念のため事業所内で備蓄しておく目的で申し込むこともできる。
 申請は1事業所あたり1回まで。配布は利用者、職員それぞれに1人4枚ずつが目安だ。申請から配布までにかかる期間は、概ね3週間ほどだという。厚労省は申請方法を分かりやすく解説するリーフレットもアップロードしている。    (介護jointニュース)

 

8月06日(木)処遇改善加算、事業者から裁量拡大を求める声 「使いづらい」「不公平」
 来年4月の介護報酬改定に向けた協議を重ねている審議会が3日に実施したヒアリング ― 。介護職員の処遇改善加算、特定処遇改善加算のリソースの配分をめぐり、事業者でつくる団体から経営サイドの裁量を拡大するよう求める声が相次いだ。
 全国介護事業者連盟の斉藤正行氏は、「処遇改善は大変重要な課題だが、他方で、職員の処遇は人事戦略など企業経営の根幹に関わること」と指摘。「事業者の裁量権が拡大される方向で議論を進めて欲しい」と要請した。 全国社会福祉法人経営者協議会の柿本貴之氏は、会員の特養などから寄せられた「対象職員と対象外職員とで不公平感がある」との声を紹介。「多くの法人が使いづらいと感じている」として、「法人裁量の拡大」を注文した。
 処遇改善加算は、業界の深刻な人手不足の解消を図る国の施策の目玉。事業者の収入ではなく介護職員の賃金に報酬が届くように設けられた仕組みだ。事業所内での使途は決まっており、例えばケアマネジャーや看護職員などの賃上げには充当できない。昨年10月に導入された特定処遇改善加算には、リーダー級の介護職員の賃上げを優先させるという基本的なルールがある。現場で長く頑張っても賃金が上がっていかない現状を改善することが目的。将来の生活、あるいはキャリアアップの道筋を見えやすくし、仕事としての魅力を高めようという狙いがある。 ルールを弾力化して事業者の裁量を拡大すれば、こうした施策の趣旨は希薄になる。この是非をどう考えるかが論点。今回のヒアリングでは、「処遇改善加算は基本報酬に組み込むべき」との声もあがった。 厚労省は次期改定で打つ具体策を年内に固める方針。審議会の委員の間には両論がある。既存のスキームを支持している関係者も多く、最終判断に至るプロセスでは曲折もありそうだ。    (介護jointニュース)

 

8月11日(火)介護事業所での新型コロナ対策 「緊急包括支援事業」Q&A第2版示す〈厚労省〉
 厚生労働省は7月28日、介護事業所や職員の新型コロナウイルス対策を支援する「緊急包括支援事業」の内容について、Q&Aの第2版を示した。
 介護サービス提供支援事業の対象経費は、3密を防ぐためのエアコンや網戸の設置費用、老朽化した物品の交換(例=エアコンが故障した車の買い替え)も該当し、紫外線殺菌照射装置や、原動機付自転車も認められるとした。また、特別養護老人ホームで数センチしか開閉しない窓を換気目的で全開するように改修し、転落防止柵を設置する工事費も対象になるとした。
 職員への慰労金では、介護事業所と障害福祉事業所の勤務日を合算できるとし、感染施設に応援に行った職員は20万円給付の対象であり、申請は職員の勤務先施設が行うとした。
 また「10日以上勤務」の要件について、1日1時間、10日勤務は対象となるが、8日で計64時間勤務は対象にならないとした。
 介護サービス再開支援については、パソコン、Wi―Fi設備機器、テレビなどを購入する場合、3密を避けるための遠隔会議の環境整備につながるのであれば認められるとした。
 介護サービス提供支援事業と在宅サービス事業所再開事業は、対象経費が重複するものがあるため、目的を整理した上で各事業所の状況に応じて申請して構わないとした。    (福祉新聞)

 

8月12日(水)無罪確定の准看護師が会見 「ほっとした」 特養入所者死亡事故
 長野県安曇野市の特別養護老人ホーム「あずみの里」で2013年、女性入所者(当時85歳)がおやつのドーナツを食べた後に死亡した事故を巡り、業務上過失致死罪に問われ、逆転無罪が確定した女性准看護師(60)が12日、同県松本市内で記者会見を開いた。准看護師は「ほっとした」と述べつつ「事実をねじ曲げられ罪人扱いされた。裁判の度に被告人と呼ばれた」と述べ、苦しい日々を振り返った。
 介護中の入所者の事故を巡って刑事責任の有無が争われ、裁判の行方が介護関係者から注目されていた。准看護師は「その人らしく生きることができるよう、その人に合わせて介護するのが大切」とし、有罪とした1審判決の影響について「利用者が食べたいものをあげられず、おやつもやめることになった。利用者の楽しみを奪うことになってしまった」と指摘した。
 准看護師は13年12月、おやつはゼリー状のものに変更するとされていた女性入所者に誤ってドーナツを提供し、窒息による低酸素脳症で約1カ月後に死亡させたとして在宅起訴された。1審・長野地裁松本支部は有罪(罰金20万円)としたが、2審・東京高裁は准看護師の過失を否定して無罪とし、東京高検は期限の11日までに上告せず、確定した。弁護団長の木嶋日出夫弁護士は「2審判決は画期的。全国の介護関係者に萎縮する必要はないと広めたい」と評価した。    (毎日新聞)

 

8月13日(木)福祉施設の応援態勢、16県整備 クラスターに対応、都道府県調査
 介護施設などの福祉施設で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生し、職員が不足する事態に備え、他の施設から応援職員を派遣する態勢を富山、愛媛など16県が整備したことが共同通信の調査で13日、分かった。東京、大阪など残り31都道府県も応援職員派遣の仕組みづくりを検討しており、感染拡大に備える態勢が全国に広がりつつある。
 厚生労働省によると、これまでに全国の福祉施設で100件のクラスターが発生。入所者だけでなく職員も感染、濃厚接触による自宅待機となり、職員が足りず対応が後手に回ったケースが全国であった。
 調査は、全都道府県から回答を得た。    (共同通信社)

 

8月13日(木)感染者想定しシミュレーション 高齢者施設に点検要請 厚労省
 厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染再拡大を踏まえ、全国の高齢者施設に対し、感染者が出た場合を想定したシミュレーションを8月中に行うよう求める方針を決めた。
 消毒液やマスクといった衛生用品の備蓄状況や職員の健康管理体制の自主点検も併せて要請。9月上旬までに都道府県や政令市を通じて実施状況の報告を求める。
 重症化リスクが高いとされる高齢者のクラスター(感染者集団)化を食い止めるのが狙い。
 対象は特別養護老人ホームや介護老人保健施設、サービス付き高齢者向け住宅など高齢者が集団で生活する施設全て。厚労省はシミュレーションの具体的な内容として、濃厚接触者を個室に移す「生活空間の区分け」を施設内でどう行うかなどを想定しており、職員や経営者の間で検討を求める。
 また施設職員が感染した場合、濃厚接触者の同僚職員が自宅待機を余儀なくされるため、人手不足が予想される。そのためシミュレーションでは、勤務体制の変更や系列施設からどの程度応援職員を呼べるかも確認・検討を促す。このほか、厚労省は各施設に▽手指消毒や換気など感染防止対策の向上▽衛生用品の備蓄の確保・在庫管理▽管轄の保健所や検査機関の連絡先の把握▽感染者発生時の対応方針の共有―に関するチェックリストを配布。実施していることを確認し、自治体に報告するよう求める。    (時事通信社)

 

8月20日(木)ヘルパーの有効求人倍率、15倍超に 厚労省 処遇改善を検討
 厚生労働省は19日、ホームヘルパーの有効求人倍率が15倍を超えたと明らかにした。
 来年4月の介護報酬改定をめぐる協議を重ねている審議会に、直近の2019年度は15.03倍にのぼったと報告した。
 訪問介護の事業所にとってヘルパーの確保がいかに難しいかを示すデータ。仕事を探すヘルパー1人に対して、15人分以上の求人がきていることを意味する。

 働く環境や賃金などを考慮して他の職場を選ぶ人が多い。初任者研修の修了など資格が必要なこともネックになっている。在宅生活を続けるうえで必要なサービスを十分に受けられない高齢者が更に増える懸念が強い。
 厚労省は審議会で、ヘルパーの処遇改善、業務の効率化に向けた具体策を検討していくと説明。現場の関係者で構成する委員からも、事態を好転させる手を早急に打つよう求める声が相次いだ。次期改定の大きな焦点になるとみられる。 審議会に報告された有効求人倍率は以下の通り。この5年で急激に上昇したこと、介護職の中でもヘルパーが特に深刻なことが一目瞭然だ。
 ヘルパーは高齢化も進んでいる。厚労省は審議会で、60歳以上が39.2%を占めるに至ったと報告。70歳以上は全体の10.5%と1割を超えたという。
 3年前に示された同じ調査結果では、60歳以上が36.4%、70歳以上が6.6%だった。今後、歳を重ねてリタイアするヘルパーが一段と増加していく見通し。    (介護ニュースjoint)

 

8月21日(金)ワクチンは高齢者・医師を優先、救急隊員や妊婦は検討…コロナ分科会提言
 新型コロナウイルスの感染症対策を検討する政府の分科会は21日、ワクチンが実用化された場合の優先接種の対象について、重症化のリスクが高い高齢者や生活習慣病などの持病のある人、治療で感染リスクが高い医療従事者とする提言をまとめた。政府は近く、ワクチン接種の実施体制に関する考え方をとりまとめる方針だ。
 政府は国民への早期接種を目指しているが、ワクチンを確保できても供給量や接種体制を考えると、段階的な実施にならざるをえないため、優先接種の対象を事前に決めて混乱を避けたい考えだ。この日の分科会では、高齢者のほか、糖尿病や心臓病、呼吸器疾患などの持病がある人、感染者の治療に直接関わる医師や看護師などの医療従事者を優先することが了承された。
 感染者と接触する可能性がある救急隊員や保健所職員のほか、介護施設職員、妊婦などを対象に含めるかどうかについては、引き続き検討することになった。    (読売新聞)

 

8月21日(金)ヘルパーの通院介助、対象拡大を検討 厚労省 次期介護報酬改定で
 来年4月に迫った次の介護報酬改定に向けて、厚生労働省は訪問介護の通院等乗降介助の見直しを俎上に載せている。
 病院間を移送するケース、あるいはデイサービス・ショートステイの事業所から直接病院へ移送するケースなどについて、新たに対象に含めるか否かを検討していく。
 19日に開催した社会保障審議会・介護給付費分科会で論点として示した。委員からはこうした見直しへの賛同の声が相次いだ。
 現行の通院等乗降介助のルールでは、出発地と到着地がともに利用者の居宅ではないケースだと報酬を算定できない。訪問介護は居宅で行われるものと決められているためだが、1度に複数の病院へ行きたい利用者などもいる。このため、現場の関係者からは「非効率」「かえって費用が嵩む」などと指摘されていた。 この日の会合では、全国老人福祉施設協議会の小泉立志理事が、「利用者の利便性を考慮して改善すべき」と主張。民間介護事業推進委員会の今井準幸代表委員も、「自力での移動が困難な利用者が増えてニーズが高まっている。ぜひ対象を拡大して欲しい」と求めた。
 厚労省は今後さらに検討を深め、年内に方針を固める予定。    (介護ニュースjoint)

 

8月26日(水)介護の月給23万4439円 減少は12年度以降で初
 2019年10月時点の介護労働者(正規)の平均月給は、前年度比434円減の23万4439円だったことが7日、介護労働安定センターの「19年度介護労働実態調査」で分かった。前年度に比べて下がるのは比較可能な12年度以降で初めて。
 調査は02年度から毎年10月に行い、19年度は9126の介護保険事業所が回答した。月給は役職手当や交通費など毎月決まって支給される税込額。
 平均月給を8職種別にみると、看護職員が27万2123円で最も高く、介護職員が21万5502円で最も低かった=表参照。

 主とする介護サービス別(月給者)では、訪問看護28万8663円、訪問入浴介護24万8435円が高く、認知症グループホーム20万6381円、小規模多機能型居宅介護20万6697円が低かった。

 賞与のある事業所は全体の8割弱。平均額は1127円増の59万9506円だった。
 介護職員の処遇改善加算を算定している事業所は約8割。調査時点では算定前だった特定処遇改善加算(19年10月開始)については、約6割が算定する意向を示した。
 18年度の介護事業収入等における人件費の割合は平均66・7%。サービス別では訪問系が71・5%、入所施設が64・4%だった。  一方、人材の不足感は、全体では1・9ポイント改善して65・3%となったが、介護職員については69・7%、訪問介護員は81・2%と依然として高かった。
 人材不足の理由は「採用困難」が9割で突出して多く、その原因は「同業他社との人材獲得競争が激しい」「他産業に比べて労働条件が良くない」などが挙がった。
 外国人労働者を受け入れている事業所は4ポイント増の6・6%。内訳は技能実習生、留学生、在留資格「介護」が各約2割。技能実習生が前年度から大きく増えた。  
 また、回答事業所の介護労働者8万8047人(施設長除く)の平均年齢は48・8歳。10年前(09年度)の44・6歳から4歳以上上がった。
 介護労働者の悩みは「人手が足りない」「仕事内容の割に賃金が低い」「身体的負担が大きい」の順に多かった。
 19年4月から年5日の取得が義務化された有給休暇については、最近1年間でみると平均で7日取得していた。    (福祉新聞)

 

8月30日(日)介護現場のセクハラ深刻、訪問看護は半数被害…「恐怖心と怒りで忘れたくても忘れられない」
 介護や看護の現場で働く職員が、利用者らから受けるセクハラ被害が後を絶たない。労働組合や国の調査では、介護職員の約3割が被害を経験し、訪問看護では5割を超える。

薬物を使った悪質なわいせつ事件も相次いでいる。国や自治体は対策を打ち出しているが、費用や人員に限りがある中、各事業所での対応は遅れがちだ。
◆スープに睡眠薬
 「女性と接する機会がなく、触りたい衝動を抑えられなかった」
 法廷でそう述べた男(79)は今年2月18日、神戸地裁で懲役2年6月の実刑判決を受けた。罪名は準強制わいせつ。昨年12月、点滴や問診で自宅を訪れた30歳代の女性看護師に、睡眠薬を混ぜたスープを飲ませ約10分に及び体を触っていた。
 被害女性は法廷で「恐怖心と怒りで、忘れたくても忘れられない」と涙ながらに意見陳述。判決で裁判官は「訪問看護の現場に少なからぬ不安を与えた」と男を指弾した。
 同種の事件はほかにもあり、さいたま市では今年7月、訪問介護の女性を脅し、体を触ったとして利用者の男(83)が埼玉県警に強制わいせつ容疑で逮捕された。
◆泣き寝入り
 介護職員らの労働組合「日本介護クラフトユニオン」(東京)が2018年に実施した調査では、回答した2411人のうち29・8%の718人が「不必要に体に触れる」などのセクハラ被害を経験していた。  厚生労働省も18年度、「通所介護」「介護老人福祉施設」など従事する12種のサービス別に被害を調査。被害を受けた職員の割合は12種すべてで30%を超え、「訪問看護」が53・4%と最も高かった。
 クラフトユニオンによると、介護現場は、入浴や排泄(はいせつ)の介助など接触を伴う業務が多い。相手が高齢者や病人で、被害職員や事業所が強く抗議しにくい面もあり、セクハラが起きやすく、防ぎにくいという。
 17年前から川崎市の老人ホームで働く介護職員の女性(39)は、「被害に遭っても我慢が当たり前との雰囲気がある」と話す。
 約10年前、老人ホームに入る80歳代男性から約2年、排泄や入浴の世話のたび、わいせつな言葉を浴び、体も触られた。上司に相談しても「病人だから」と取り合ってもらえなかった。  19年に異動した別の施設でも、計3人の男性から胸を触られるなど被害を受けた。報告を受けた事業所は男性らに注意したが、すぐ元に戻り、今も日常的にセクハラが続いているという。
◆付き添い費用補助
 厚労省では18年度にセクハラなどを防ぐための事業所向けマニュアルを作成。訪問介護については今年4月から、利用者と二人きりになるのを避けるため、付き添うスタッフを派遣する費用の一部を補助する制度も導入したが、現場に浸透するかは未知数だ。
 複数の福祉事業所を運営する「京都福祉サービス協会」(京都市)は、弁護士や警察OBを非常勤で雇い、事業所を巡回し、職員の相談を受けるなどして被害の未然防止を図るが、費用もかかるため、まだこうした取り組みは多くない。
 兵庫県では、国に先駆け17年度から2人以上の職員を訪問させる場合、2人目の一部費用を補助する制度を設けたが、19年12月までの約2年で利用は4件。同県姫路市の訪問介護事業所は一時利用を検討したが、結局断念。「そもそも人手が不足する現場で2人を一緒に派遣するのは厳しい」と話した。
 神戸市東灘区の訪問介護事業所は「セクハラ被害の訴えがあっても、交代させる余裕すらないこともある。被害を防ぎきるのは難しい」と実情を明かした
■業界全体で意識改革を
 関西医科大の三木明子教授(精神保健看護学)の話「これまで介護、看護の現場では、ある程度の我慢が当然とされる傾向があり、業界全体が意識を変える必要がある。増加する介護需要に対応し、職員の離職を防ぐためには安心して働ける環境が欠かせない。行政は対策を打ち出すとともに、地道に事業所の啓発を進めることが重要だ」    (読売新聞)

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