今月のニュースから

6月01日(月)クラスター発生を想定した準備を 専門家会議、自治体や介護現場に呼びかけ
 介護・福祉の現場についても言及。流行が下火になってきている地域では、次の新たなクラスターが自分の近くで発生することを想定した準備に注力すべきと促した。
 職員に感染者、濃厚接触者が出るとサービスの担い手がいなくなってしまうことを念頭に、「人材不足に備えた対策が肝要」と指摘。自治体や現場の関係者に対し、有事の際に職員を確保、派遣できるスキームを地域の実情に応じて作っておくよう呼びかけた。
 また、訪問介護などの代替サービスを円滑に確保する方策をあらかじめ検討しておくことも要請。政府に対してはサージカルマスク、ガウン、ゴーグルなど物資の確保に加え、利用者、職員向けの検査体制を拡充することも注文した。
 専門家会議の尾身茂副座長は会見で、「施設などでのクラスターはこれまでもあったし、これからも恐らくある」と強調。「そうした事態が起きた場合はどうするのか、ということをある程度決めておいた方がいい。各自治体、地域の取り組みが非常に重要になる」と述べた。

(介護jointニュース)

 

6月02日(火)通所介護、特例で報酬増 厚労省 上位の時間区分で算定可能に
 新型コロナウイルスの流行によって“利用控え”などが広がっている通所介護について、厚生労働省は1日、介護報酬の算定ルールの特例を新たに打ち出した。
 毎月一定の回数に限って、実際にサービスを提供した時間の報酬より2区分上位の報酬を算定できるとした。例えば2時間以上3時間未満の場合、4時間以上5時間未満の報酬を受け取ることが可能になる。
 全ての通所介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護の事業所が対象。経営に深刻な影響が出ていることを踏まえた支援策で、事実上の臨時的な報酬アップとなる。6月1日から適用。 厚労省は全国の自治体に通知を出して伝えた。現場の関係者に対し、介護保険最新情報のVol.842で広く周知している。
 この特例を使える“毎月一定の回数”は、基本的にサービスの提供回数が最も多い時間区分によって決まる仕組みとされた。それが5時間未満なら月1回。5時間以上であれば、以下の考え方を基に計算するルールとなっている。
* サービスの提供回数の合計を3で割った数(端数は切り上げ)と4回を比較し、少ない方の数について、2区分上位の報酬を算定できる 厚労省は今回の通知でこうした詳細な規定を明示した。必ずケアマネジャーと連携すること、利用者の同意を事前に得ることが条件。事業所の留意点としては、
○ 通所介護計画とケアプランにおけるサービス提供回数との整合性を図る
○ 区分支給限度基準額の取り扱いに変更はない
○ 請求にあたっては、事業所が作る介護給付費明細書と居宅介護支援事業所が作る給付管理票のそれぞれに反映させる必要がある
などがあげられた。

(介護jointニュース)

 

6月02日(火)介護施設の面会、段階的に緩和へ 業界団体が対応指針
 新型コロナウイルスの感染拡大に関連し、特別養護老人ホームなどでつくる全国老人福祉施設協議会は2日までに、高齢者施設での入所者と家族らの面会を段階的に緩和することを盛り込んだ指針をまとめた。みとり期の利用者は全国で面会可能とする一方、特定警戒都道府県だった13都道府県は順次、面会対象を広げることを勧めている。  指針は、政府の基本的対処方針に沿い、3週間ごとに感染状況を確認して制限を緩和する。5月14日に緊急事態宣言を解除された39県のうち34県は面会者が検温など条件を満たせば面会が可能。一方、京都、兵庫など8府県は今月19日以降、面会できるとしている。

(共同通信)

 

6月02日(火)ショートステイ、新型コロナ対応で報酬増 厚労省 全事業所に加算
 厚生労働省は1日、新型コロナウイルスの流行で経営に打撃を受けているショートステイの支援策を新たに発表した。
 サービスを提供した日数を3で割った日数の分だけ、特例として「緊急短期入所受入加算」を算定できるようにした。ケアマネジャーと連携すること、利用者の同意を事前に得ることなどを条件としている。
 ショートステイを提供している全ての事業所が対象。感染拡大を防ぐ現場の取り組みを評価する意味合いもあり、事実上の臨時的な報酬アップとなる。6月1日から適用。 厚労省は現場の関係者に対し、介護保険最新情報のVol.842で広く周知している。全国の自治体には通知を出して伝えた。
 ショートステイの緊急短期入所受入加算は、ケアプランで計画されていない利用者を緊急で受け入れた事業所を評価する加算。単位数は1日あたり90単位。
 通常の緊急短期入所受入加算と今回の特例を組み合わせる場合、厚労省は算定できる日数を最大14日までと定めた。老健施設などが行う短期入所療養介護についても、同様の特例を新設している。Vol.842ではこのほか、通所介護の経営を支援するための新たな施策も打ち出している。

(介護jointニュース)

 

6月05日(金)「断らない相談支援」目指す改正社会福祉法が成立 21年4月施行
 ひきこもりや介護、貧困など、さまざまな分野をまたぐ複合的な課題を抱える家庭に対し、市区町村がワンストップで対応できるように国が支援する改正社会福祉法が5日、参院本会議で与党などの賛成多数により可決、成立した。来年4月から施行される。
 80代の親が、50代のひきこもりの子を支えて困窮し、社会から孤立する「8050問題」では貧困や病気、心身障害など複数の問題を抱えることが多い。だが、自治体の窓口はそれぞれの問題ごとに分かれ、たらい回しにされたり、各部署間で情報が共有されず支援が途絶えたりするケースがあった。  改正法では自治体内の縦割りの弊害をなくし、「断らない相談支援」を目指す。分野ごとに分かれていた交付金も国が新たに枠を超えて使える制度を設け、財政支援する。
 このほか複数の社会福祉法人が人材や資金を融通し合い、経営基盤の強化や効率化を図る制度を導入。また、介護人材不足解消のため、専門学校などで学ぶ外国人が卒業後、国家試験に合格しなくても、暫定的に介護福祉士の資格を得られる特例措置を5年間延長する。

(毎日新聞)

 

6月11日(木)一律10万円の給付金、高齢者の支援を 介護職に協力要請 厚労省
 国民1人あたり10万円を配る特別定額給付金をめぐり、厚生労働省が介護現場の関係者に協力を求めている。申請手続きを自分で済ませることが難しい高齢者が少なからずいるためだ。
 寝たきりの人や認知症の人も含め全員に10万円が行き届くよう、「可能な限り支援を」と要請。申請書が届いていたらその趣旨を説明してあげたり、申請の方法について教えてあげたりするよう呼びかけた。 本人が給付金をもらうことが困難な状態にあれば、代理人による申請・受給という選択肢もある。必ずしも親族や後見人だけでなく、施設なら職員が担うことも可能。在宅なら自治会長や民生委員などが想定されている。こうした場合は追加の書類が必要。分からないことがあれば専用のコールセンター(0120-260020)に尋ねることもできる。
 このほか、特に在宅の介護職は、申請を「手伝う」などと言って近づき高齢者の財産を奪う詐欺にも注意が必要。厚労省や総務省、警察などは、給付金に関して行政がATMの操作や手数料の振り込みを求めることは「絶対にない」と強調している。

(介護jointニュース)

 

6月12日(金)介護の通所系サービス、新型コロナで約6割が収入減 専門家調査
 慶應義塾大学大学院の堀田聰子教授らが実施した調査の結果では、新型コロナウイルスの影響が強まった今年4月の事業収入が昨年4月と比べて「減少した」と答えた通所系の事業所は、およそ6割の58.1%にのぼると報告されている。 28.8%の訪問系、19.9%の多機能系、22.6%の施設・居住系より圧倒的に多い。4月7日に最初の緊急事態宣言の対象地域とされた7都府県に限ってみると、実に73.0%の事業所が「減少した」と答えている。感染リスクを考慮したサービスの縮小、利用控えが最大の要因。
 この調査は5月にインターネットを通じて行われたもの。コロナ禍が現場に与えた影響を把握する狙いで、訪問系、通所系、多機能系、施設・居住系の5714事業所から回答を得ている。 結果は堀田教授が代表理事を担う「人とまちづくり研究所」の公式サイトで9日に公表された。堀田教授はこの分野の専門家で、介護報酬について話し合う国の審議会でも委員を務めている。
 調査結果のレポートによると、今年4月と昨年4月の事業収入の比較で「減少した」と答えた通所系の事業所にその減少率を聞いたところ、平均はマイナス25.1%だった。こちらも23.1%の訪問系、19.2%の多機能系、14.6%の施設・居住系より大きい。
 こうした影響は今後もしばらく続いていく見通し。第2波、第3波の襲来で更に悪化していく可能性もあり、現場の関係者からは支援策の拡充を求める声があがっている。

(介護jointニュース)

 

6月20日(土)介護職員支援の給付金、ニチイが申請せず 戸惑う福岡市
 新型コロナウイルスへの感染リスクを抱える介護職員を支援するための福岡市の特別給付金について、介護事業大手「ニチイ学館」(本社・東京)が、申請しないことを決めた。社の対応として全国の従業員に慰労金を支払ったという。ただ、申請しないことに市側は「想定外」と戸惑っており、従業員のために申請するよう働きかける方針だ。
 福岡市は4月、高齢者や障害者の介護に従事する職員に給付金を支払うと発表。1事業所あたり利用者数に応じて15万〜150万円とし、事業所から全額を従業員に支払うよう求めた。市は対象の約7千事業所に申請書を送付。市によると、6月12日時点で8割近くから返送があったという。
 ニチイの複数の関係者によると、今月3日、市内の複数の事業所を統括する同社支店から、事業所ごとに所属人数が違うため、同じ仕事をしている従業員間で受給額に差が生じ、「公平性を保った配賦(はいふ)が困難」などとして、給付は申請しないとの通知があった。
 従業員の一人は「入浴の介助など利用者との接触は避けられない。市から応援してもらえているとうれしかったのに」。別の従業員も「不安を抱えて働くことが報われると喜んでいた。会社の決定は納得できない」と話す。
 市は給付額を事業所の利用者数に応じて決めたが、ニチイによると、従業員数には必ずしも比例していない。同じ市内でも事業所ごとに1人当たりの給付額が異なるケースもあるとしている。
 ニチイの広報担当者は取材に対し、「同じ市内なのにどこの事業所で働いているかで従業員の待遇に差が出るのは公平性が保てない」と説明。支給方法が公平だと判断した福岡市以外の自治体では介護職員への給付金がある場合は申請しており、自治体の給付金とは関係なく、社の対応として全国の従業員に特別慰労金を払ったという。

(朝日新聞)

 

6月22日(月)厚労省、介護現場の感染防止策の追加経費を助成 全サービスが対象
 今月12日に成立した新型コロナウイルス対策の今年度の第2次補正予算は、補正としては過去最大のスケールとなった。厚生労働省はこの新たなリソースを使い、感染を防ぐ対策をとりながら運営を続けている介護サービス事業所に助成金を出す。
 コロナ禍を受けて“かかり増し経費”が生じた現場を幅広く支援する。 衛生用品の購入費、飛沫防止パネルの設置費、消毒・清掃費、追加的な人件費、面会室の改修費、ICT機器の導入費などを想定。訪問系、通所系、多機能系、施設系など全ての介護サービスを対象とする。実際に感染者、濃厚接触者がいたか否かは問わない。
 既に同様の手を打っている自治体もあるが、国としても地域のサービス基盤の維持に向けて手厚い支援策を講じる。財源は全額国費で賄う。
 厚労省はこの事業の実施要綱を19日に都道府県へ通知した。その中では、サービスごとの助成金の上限額も明記している。
 1事業所あたり、例えば訪問介護なら53万4000円、通所介護(通常規模)なら89万2000円、居宅介護支援なら14万8000円、小規模多機能なら47万5000円。施設は定員1人あたり、特養と老健が3万8000円、グループホームが3万6000円などと設定された。
 厚労省は今回、こうした上限額と実際に生じた“かかり増し経費”のうち安い方を支払う。利用控えの意識が広がってより厳しい状況にあることを考慮し、在宅サービスに限り上限額を20万円上乗せできる仕組みも用意した。
 助成金を受けたい事業所から都道府県へ申請を出してもらう形で具体化する計画。現在、全国統一的な申請書の雛形を作成している。申請の受け付けは7月から始まる見通しだという。
 実施要綱では、「感染拡大防止のための経費であり、通常のサービス提供時では想定されないと判断できるものであれば、幅広く助成の対象とする」と説明。実際に生じた“かかり増し経費”の額は、事業所が持っている領収書などで確認する考え。

(介護jointニュース)

 

6月23日(火)安倍首相、介護のデジタル化加速を指示 次期報酬改定でも焦点に
 安倍晋三首相は22日の経済財政諮問会議で、新型コロナウイルスの感染拡大によって以前より更に必要性が高まったとして、医療・介護のデジタル化を加速させるよう関係閣僚に指示した。
 7月にまとめる今年の「骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針)」に、その主眼の1つとして方向性を書き込む。政府は次回の諮問会議で「骨太方針」の原案を示す。
 安倍首相は会合で、「今回の感染拡大の経験を通じて、デジタル化を強力に推進していくことの意義、重要性について誰もが痛感した」との見解を表明。「医療・介護のデジタル化を進めていくことは、第2波の到来など今後あり得べき危機に備えるためにも極めて重要。更に加速して頂きたい」と求めた。
 加藤勝信厚生労働相は介護について、現場へのセンサーやICTなどの普及に力を入れると改めて説明。「介護報酬・人員基準を逐次見直す」と言明した。来年度に迫った次の改定をめぐる議論でも、感染症への対応力を高める文脈でのデジタル化の促進が焦点の1つになる見通しだ。
 経団連の中西宏明会長ら民間議員も、コロナ禍でデジタル・オンラインの活用の遅れが明らかになったと指摘。介護の具体策にも踏み込み、リモート介護予防サービスの展開やペーパーワークの徹底した効率化、ケアプランAIの活用などを注文した。
 西村康稔経済再生担当相は会合後の会見で、「デジタル化への集中投資が『骨太方針』の一丁目一番地」と表明。「ポスト・コロナ時代の新しい未来の方向性について言及する」との意向を示した。

(介護jointニュース)

 

6月25日(木)老施協、特養などに見舞金を支給 新型コロナ対応で異例の救援事業
 特別養護老人ホームの経営者らで組織する全国老人福祉施設協議会は24日、新型コロナウイルスの感染者が発生した施設に見舞金を支払うと発表した。
 検査で陽性となった人が5人以上なら1施設30万円、4人以下なら同20万円を支給する。これを柱の1つとする救援事業を代議員総会で決めた。今年度の補正予算で総額1億円の費用を投じる。
 救援事業ではあわせて、コロナ禍で人手不足となった施設に応援職員を派遣した施設にも補助金を出す。衛生用品の備蓄も行う。防護服30枚、フェイスシールド20個、手袋300枚、サージカルマスク25枚などを1人分ワンセットとし、合計約1300セット確保する。これを都道府県の組織に置いておき、感染者が発生した際に速やかに配布する計画だ。
 既に公式サイトで、見舞金などの申請書の様式をダウンロードできるようにした。老施協が1億円規模の補正予算を組むのは異例。担当者は「現場の感染症対策を総合的に支援し、第2波、第3波にも備えていく」と話している。

(介護jointニュース)

 

6月26日(金)布製マスク、介護・障害者施設などに4千万枚配布 - 内閣府・厚労省・文科省が都道府県に事務連絡
 内閣府と厚生労働省、文部科学省は、介護施設や障害者施設などに対する布製マスク配布に関する事務連絡(23日付)を都道府県に出した。
 事務連絡では、3月10日に取りまとめられた「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策−第2弾−」を踏まえ、介護施設や障害者施設、保育所などにおけるマスク不足の解消を図るため、3月下旬から4月中旬にかけて約2,000万枚を配布したことを説明。「今月下旬以降、介護施設等に対しあらためて約4,000万枚の布製マスクを配布する予定」などとし、管内の市町村や関連団体、関係施設に周知するよう求めている。
 配布対象の施設は、高齢者施設・事業所、障害福祉サービス等施設・事業所、保育所、幼稚園、児童養護施設など。原則、国から直接、介護施設などに布製マスクを送付する。配布枚数の算出に関しては、介護報酬や障害福祉サービス等報酬のデータなどを活用しながら、職員や利用者の人数などを踏まえ、配布枚数を設定する。

(医療介護CBニュース)

 

6月27日(土)介護申請、コロナで急減 外出控え影響、全国で2割マイナス 時事通信調査
 介護サービスを受けるために必要な「要介護認定」の申請件数が、新型コロナウイルス感染拡大の影響が深刻化した3月以降、全国で大幅に減少していたことが26日、時事通信の調査で分かった。
 必要な人がサービスを受けられていない可能性が高く、専門家は筋力や認知能力の低下につながると懸念する。
 調査は都道府県庁所在地(東京都は新宿区)と政令市の計52市区に、1〜5月の要介護認定の新規申請件数などを尋ね、昨年の同期間と比較した。  その結果、コロナの影響が少なかった1月は増加と微減が大半で、全国の申請総数は昨年並みだったが、その後は感染拡大に比例する形で減少。5月は全市区でマイナスとなり、31市で2割以上、福井市や青森市など4市は3割以上の大幅減になった。
 緊急事態宣言が出ていた4、5月の減少が顕著で平均23%減。札幌など複数の市が「感染予防で申請を控えたとみられる」と回答。認定に不可欠な訪問調査などの接触が忌避されたといい、申請後に調査を拒む申し出も多かったという。
 関東地方の自治体担当者は「申請がないとニーズや状態の把握もできない。我慢して症状を悪化させた高齢者がいるはずだ」と警戒した。
 介護サービスを利用中の人が、要介護度を変更したい場合に行う「区分変更申請」についても傾向は同様で、4、5月はともに7割以上の市区で減少。ただ、多くで5月の方が減少幅が縮小しており、長野市などでは6月は昨年を上回るペースで申請が相次いだという。
 宣言解除を受け、利用施設などの助言を得られる人が先行して申請を再開したとみられ、新潟市は「施設入所が必要など切迫した人が、収束のタイミングで申請に踏み切った」と推測。中部地方の担当者は「周囲との交流が再開すれば、施設の休止や利用自粛で体力が衰えた人が、次々見つかるのでは」と懸念した。

(時事通信社)

 

6月29日(月)通所介護の特例報酬に利用者から不満の声 「自己負担でなく公費を」
 毎月一定の回数に限り、実際にサービスを提供した時間の報酬より2区分上位の報酬を算定できる ? 。新型コロナウイルスの影響を踏まえたこの通所介護の支援策をめぐり、利用者の団体が国の審議会で不満の声をあげた。
 25日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会。認知症の人と家族の会の鎌田松代理事が、「利用していないサービスの分まで自己負担を支払わなければいけないのか?
 区分支給限度基準額の変更もなく、サービスの利用回数を減らさざるを得なくなる」と批判。「事業所の支援と利用者の負担は別にすべき。通所介護を存続させるために必要なら、国が公費を投入して減収分を補うべきだ」と主張した。
 この支援策は、コロナ禍を受けて通所介護の経営が深刻な打撃を受けていることを踏まえたもの。6月1日から特例として導入された。事実上の臨時的な報酬アップとなるため、利用者の自己負担にも影響が及ぶ。厚生労働省は支援策を使う条件として、通所介護事業所か居宅介護支援事業所のどちらかが利用者から同意を得ることを求めている。
 家族の会の鎌田理事は利用者の同意について、「本人・家族にとって分かりにくく混乱が生じている。納得できないという怒りの声も届いている」と問題を提起。「どう説明すればいいかケアマネジャーも困っているようだ。同意する人としない人がおり不公平も生じている」と再考を促した。 これに対し、厚労省の担当者は支援策の趣旨を改めて紹介。感染リスクを下げる観点から平時より多くの手間、時間、衛生用品などを使っている現場を十分に評価するためだとし、「ご納得を頂いた方に限り特例を適用できるルールにした」と説明した。

(介護jointニュース)

 

6月29日(月)コロナ慰労金の条件は10日間以上の勤務 厚労省「必ず申請を」
 厚生労働省は6月19日、都道府県に対して、高齢分野で働く職員を対象にした慰労金に関する実施要綱を出した。新型コロナウイルス感染者や濃厚接触者が出ていれば20万円、出ていなくても5万円を非課税で支給。6月末までに10日間以上働いていたことなどを条件とし、該当すれば必ず職員に全額支給する。ただ福祉施設の申請が必要で、厚労省は「忘れずに申請してほしい」と強調する。
 福祉分野への慰労金は、6月に成立した第2次補正予算に盛り込まれ、全額国が負担する。これまで医療分野だけに適用されていた緊急包括支援交付金を2兆2370億円増額し、福祉分野にも拡充。慰労金のほかには、感染症対策に必要な経費などにも使うことができる。
 厚労省が出した「新型コロナ感染症緊急包括支援事業実施要綱」によると、慰労金の対象施設は、特別養護老人ホームやデイサービス、訪問介護などすべての高齢者施設・事業所。職種は利用者と接する職員で、6月30日までに10日間以上働いていたことが条件とした。「正規・非正規や勤務時間は問わず、事務職や調理師、清掃スタッフでも利用者と接触する場合など要件に該当すれば対象となる」(厚労省老健局振興課)。
 算定する開始時期については、それぞれの都道府県で新型コロナが発生した日または緊急事態宣言の対象となった日からとした。
 慰労金の支給は1回だけで、転職していた場合でも重複支給はできない。条件を満たせばすでに辞めた職員にも支給される。
 今後、慰労金の支給に当たっては、都道府県議会が承認した後、都道府県から法人に対して申請書などを配布。法人経由で職員に慰労金が支払われるため、早ければ8月以降に職員に届く見込み。  
 なお、慰労金は非課税であるため、パートで働く主婦がいる世帯の税金を減らす配偶者特別控除を気にする必要がないという。また、受給権については差し押さえもできない。
 厚労省老健局振興課は「慰労金は福祉サービスが接触を伴い、社会維持のために不可欠であるため支給されるもので、要件に該当すれば必ず全額支給される。ただ申請しなければ職員に慰労金は届かないので、法人や事業所は必ず申請してもらいたい」と話している。
 なお、障害分野の要綱については6月中に出される。
■子ども分野は別枠
 一方、慰労金の対象外となった児童養護施設などに対しては、「児童福祉施設等の生活向上のための環境改善事業」を改正し、職員に感染症対策の手当を支払うことができるようにした。
 同事業は4月末に1次補正予算で、感染拡大防止に向けた個室化の費用が使い道として追加されている。
 乳児院や母子生活支援施設のほか、里親、児童相談所、一時保護所、婦人保護施設、婦人相談所も対象とし、1施設当たり最大800万円を全額国が補助する。
 これを22日付で改正し、対象を感染症対策の手当や超過勤務手当、休日出勤による割り増し賃金、非常勤職員を雇った際の賃金にも使えるよう広げた。手当の水準は「社会通念上、適当と認められるもの」と明記し、実施主体である都道府県に委ねる。 さらに、職員が日常生活で使うマスクなどの実費や、濃厚接触した児童を養育する職員が宿泊施設を利用した費用も対象とした。

(福祉新聞)

 

6月30日(火)介護の感染防止策、YouTubeで共有を 厚労省 施設向け動画を投稿
 今度は施設編。特養や老健、グループホームなどにとどまらず、通所系サービス、多機能系サービスの関係者も活用できる内容だ。
 新型コロナウイルスの流行を踏まえ、厚生労働省は介護施設の感染防止策のポイントをまとめた動画をYouTubeに投稿した。 クラスターなどを防ぐために欠かせない日々の取り組みを改めて確認できる。既に多くの職員が実践していることも含まれるが、短時間で基本を押さえ直したい時などに便利だ。職場内でのシェアも簡単で使い勝手がいい。
 厚労省は既に訪問介護向けの動画をYouTubeで公開済み。再生回数は全3作で26万5012回(6月30日9時時点)にのぼり、公式チャンネルの介護系コンテンツの中では異例のヒットとなっている。 新たな施設編も複数の動画をアップする方針。1本目となる今回は、「外からウイルスを持ち込まない」がテーマだ。近く「施設内でウイルスを広めない」、「送迎でウイルスをやりとりしない」などを出す。
 厚労省は介護保険最新情報のVol.851で、現場の関係者に動画の活用を広く呼びかけている。

(介護jointニュース)

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