今月のニュースから

5月01日(金)介護職の危険手当、支給可能に 感染者がいる施設など対象 厚労省
 加藤勝信厚生労働相は1日の会見で、新型コロナウイルスの感染が広がるなかで高齢者を支えている介護職員の一部に危険手当を出せるようにする方針を示した。
 検査で陽性となった感染者にサービスを提供している施設・事業所などを対象とする考え。こうしたハイリスクな現場で働く介護職員への支給を自治体が決めた場合、かかる費用の3分の2を国が負担する。 今回の補正予算には、コロナ禍で人手不足が顕著になった事業所の支援などを趣旨とするメニューが盛られているが、そのスキームを活用するという。
 厚労省の担当者は、新事業の要綱案を近く自治体に提示すると説明。その中で危険手当の具体的な支給要件を明らかにし、一定の支給上限額も設定するとした。対象は感染者をケアする施設・事業所など一部に限る方向で、介護現場の関係者からは拡充を求める声もあがりそうだ。 加藤厚労相は1日の会見で、「検査で陽性となった方が療養している施設もある。そこで働く方々は日常以上のリスクにさらされており、それに配慮した、いわゆる危険手当のようなものを自治体が支給する場合は、その費用を補助する」と述べた。  (介護jointニュース)

 

5月14日(木)介護現場への布製マスク配布、毎月実施へ 第2弾は今月中に発送 厚労省
 全国すべての介護現場に対する布製マスクの配布について、厚生労働省は当面のあいだ継続的に実施していく方針だ。
 介護分野を担当する老健局の大島一博局長が13日の衆院・厚労委員会で、「今後は半年程度、月に1回のペースで続けていきたい」と説明。「次の発送は5月中に開始したい」と述べた。 新型コロナウイルスの流行に伴う深刻なマスク不足を受けて、厚労省は洗って繰り返し使える布製マスクの配布を決定。介護現場の全職員、全利用者を対象とするもので、第1弾のおよそ2000万枚の発送は4月15日までに終わらせていた。これを今後半年ほど続けるという。
 厚労省は4月7日に閣議決定された緊急経済対策に、布製マスクの配布を更に展開していく計画を盛り込んでいた。大島局長は13日、「現場の皆さんが安心できるよう物資の確保に努めていく」と述べた。  (介護jointニュース)

 

5月18日(月)通所介護、新型コロナで大打撃 4割強の事業所が2割以上の減収
 全国介護事業者連盟が18日に公式サイトで公表した調査結果では、通所介護事業所の90.8%が新型コロナウイルスの流行により経営面で「影響を受けている」と答えた、と報告されている。「影響はない」は2.1%だけ。「影響を受ける可能性がある」は7.2%だった。 高齢者や家族らの間でサービスの“利用控え”が広がっていることが大きな要因。感染を防ぐ対策の強化で出費が嵩んでいること、人手不足に拍車がかかっていることなども背景にあるとみられる。
 この調査は、全国介護事業者連盟が今月6日から12日にかけて実施したもの。全国727の通所介護事業所の回答が集計された。 コロナ禍が今ほど深刻化していなかった2月第4週と直近の4月第4週とを比べると、売り上げはどれくらい減少したか? 経営面で「影響を受けている」と答えた事業所(660ヵ所:90.8%)にそう聞くと、42.7%が「20%以上」と回答。「40%以上」も13.2%にのぼっていた。「10%以上20%未満」は38.6%、「10%未満」は18.6%となっている。

 3月末の減収幅を把握した前回調査から状況は更に悪化。全国介護事業者連盟は、「5月も減収割合増、経営打撃が予想される」と危機感を強めている。 自由記述欄には売り上げ減の要因について、「利用控え」「風評被害」「新規獲得ゼロ」「衛生用品の支出増」などが記されていた。このほか、「収束後も売上減を予想」「イメージの低下が心配」「職員の採用が進まない」などの声もみられた。  (介護jointニュース)

 

5月18日(月)高齢者施設、オンライン面会を コロナ長期化、厚労省が通知
 厚生労働省は18日までに、新型コロナウイルス感染防止対策として、家族と入所者が面会ができなくなっている高齢者施設で、テレビ電話などを使ったオンライン面会を推奨する方針を自治体に通知した。面会禁止の期間が長引く中、直接ではなくても顔を合わせることが有効と判断した。
 感染拡大を受け、厚労省は2月、介護施設で入所者への面会は緊急の場合を除き、制限することが望ましいとする通知を出していた。
 オンライン面会は、家族、施設双方にパソコンやタブレット端末、スマートフォンなどの機器が必要。家族は自宅もしくは施設内の一部で画面を通じて、入所者と面会することになる。  (共同通信社)

 

5月19日(火)コロナ禍の食事や排泄介助どうする 厚労省、介護職員向けに感染対策の動画作成
 厚生労働省は、訪問介護職員向けに、新型コロナウイルス感染症対策の留意点をまとめた動画(3部作、計約28分)を製作し、ウェブサイトで公開している。簡易エプロン(ゴミ袋を使用)とフェイスシールド(クリアファイル、カードケースを使用)の作り方も紹介している。
 動画のタイトルは「訪問介護職員のためのそうだったのか! 感染対策」。
 1部では、利用者宅にウイルスを持ち込まないために、「不要な荷物を持ち込まない」「ケアの前後で手をきれいにする」「部屋の換気をする」「マスクや顔を触らない」ことなどを解説している。
 2部は、ケアの場面ごとの留意点を紹介。食事介助の時は「利用者の正面に自分の顔を近づけない」、排せつ介助では、尿も便も感染源になるので、「トレイのふたをしてから水を流す」ことなどを挙 げた。また、介助中のせき込みで唾液が飛沫するため、ゴーグル、マスク、エプロン、使い捨て手袋をつけることが大切だとし、ケア後に外す時は汚れた面を意識するよう促した。
 3部では、ケア後の片付けから退室までのポイントを紹介しながら、利用者宅からウイルスを持ち出さないための対策について説明している。
 動画の製作は聖路加国際大大学院看護学研究科が行い、全国訪問看護事業協会が監修した。  (福祉新聞)

 

5月22日(金)介護職の特定処遇改善加算、取得率56%に留まる 障害福祉は4割届かず
 介護報酬の特定処遇改善加算を算定した施設・事業所が全体に占める割合は、昨年10月が53.8%、11月が56.4%。9割を超えている既存の処遇改善加算と比べ大幅に低くなっている。 厚生労働省が特別集計の結果を公式サイトで公表した。
 障害福祉サービス報酬の特定処遇改善加算の取得率は、今年1月分まで明らかにされた。介護分野より更に低く、昨年10月が33.1%、11月が35.8%、12月が37.5%、今年1月が38.5%。全体の4割にも届いておらず、職員の賃上げがうまく進んでいない実態が浮き彫りになっている。 こうした現状を踏まえ、加藤勝信厚労相は22日の衆院・厚労委員会で、「今後、取得率の向上を図らなければいけない」と説明。「事業所に対する加算取得の支援を行っていく」との意向を示した。
 これに対し野党議員からは、「制度設計に問題がある」との批判が噴出。ルールの複雑さや事務作業の煩雑さなどを問題視する声があがった。
 介護職員らの特定処遇改善加算は、深刻な人手不足の解消に向けた厚労省の施策の柱。勤続10年以上の介護福祉士など、現場を牽引するリーダー級の職員の賃金を優先的に引き上げる点が特徴だ。月8万円の賃上げとなる人、あるいは賃上げ後に年収が440万円を超える人を1人以上設定しないといけない、といった要件が定められている。

 

5月26日(火)【現場から、新型コロナ危機】ヘルパーが消えた介護施設
 新型コロナウイルスをめぐっては、全国の介護施設で集団感染が相次ぎ、その支援体制が問われています。福岡市の介護施設は、ヘルパー全員が自宅待機を余儀なくされ、入居者の世話をする人がいなくなりました。
 防護服に身を包んだ職員。新型コロナの感染者が出た介護の現場です。家族のいるスタッフは、感染をおそれて自宅に帰らず、施設に泊まり込みました。福岡市東区を拠点に福祉施設グループを経営する原忠興さんです。
 「錯覚しちゃう。終わらないんじゃないかみたいな。気力がもたないんですよね」(ヒーリングフルサービス 原忠興社長)
 原さんのグループでは、先月、あわせて16人が感染しました。クラスターが発生したのです。このうち入居者の90代の女性は死亡しました。
 「耳が遠い方とか、どうしても話すときに顔を近づけて会話してしまう。認知症の方だったら『部屋にいて』とお願いしてもなかなか通らない」(ヒーリングフルサービス 原忠興社長)
 まもなく施設は「孤立状態」に陥りました。
 「こちらの3階建ての建物が1人目の感染者が出た老人ホームです。ここで介助を担っていたヘルパーは全員、自宅待機を余儀なくされました」(記者)
 グループで入居者の食事や排泄などの実際の介助を担うのがヘルパー部門です。このヘルパーたちが全員いなくなったのです。窮状を把握した福岡市は、外部のヘルパーを呼ぼうとしました。しかし・・・
 感染リスクのある施設にスタッフを派遣する事業所は現れませんでした。残されたのは、感染した人を含む老人ホームの入居者90人と20人ほどの施設の職員です。
 「本当に怖かった。いつ自分が感染するかわからないし、ようやく陽性の方が入院できたと思ったら、また新たに感染した方が出てきたので、3週間くらい泊まり込みで働いた」(感染者を担当した 本間豊さん)
 その後、指定医療機関で感染者の受け入れが進み、原さんはなんとか施設の再開にこぎつけました。ただ、第2波への不安は尽きません。
 「(ヘルパーを)探したが3日くらいで諦めた。来てくれる組織がない」(ヒーリングフルサービス 原忠興社長)
 介護の現場と新型コロナ。感染者が出た際にどのように運営を維持するか、支援体制が問われています。

 

5月27日(水)クラスター…福祉施設間で職員派遣 広島県、コロナ第2波に備え新たな仕組み
 広島県は、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が県内の社会福祉施設で起きた場合、施設の垣根を越えて介護職員を応援派遣する仕組みを導入する。発生施設には同じ法人が運営する別の施設の職員が応援に入るのが一般的だが、グループ内で人手不足に陥らないよう、外部から職員を送り込める態勢を整える。4月の県内でのクラスター事例を教訓に、感染の「第2波」へ備える。

 クラスターが生じて外部の職員の受け入れを希望する施設は、県に応援を求める。県は、212法人(3月末現在)が加わる県社会福祉法人経営者協議会(広島市南区)に内容を伝達。協議会は、職員を応援派遣する施設などを調整する。

 外部職員は、クラスターが起きていない施設で働くのを基本とする。滞在期間は1週間をめどとし、陰性の利用者をケアする。防護服やマスク着用などの感染予防を徹底する。県は、応援に入った職員の人件費や宿泊費、旅費などを負担する方向で検討する。 県内では4月、三次市の「デイサービスセンター水明園」と広島市佐伯区の知的障害者入所施設「見真学園」で、相次いでクラスターが発生した。利用者や職員たちの感染者数はそれぞれ39人、61人に達したが、県は「他の施設に感染を広げるリスクがある」として応援態勢を組まなかった。  その後の検証の結果、クラスターが起きると、運営法人は同じグループ内の別施設から職員をあてがうため、全般的に態勢が手薄になる課題が判明した。対応の長期化で職員が疲弊してしまい、サービスを縮小する動きも出たという。
 このため県は、発生施設からの要請に応じて職員を応援派遣する姿勢に転換。クラスターを巡る県の対処方針で、発生施設について「あえて支援をしない」とした部分を削除し、「二次感染のリスクに十分配慮した上で応援職員を派遣し、施設入所者へ必要なサービスを提供する」と改めた。
 県は25日夜、県庁で開いた会合で福祉や医療関係の16団体に方針を説明し、了承を得た。今後は協議会と連携し、職員を派遣できる施設の登録を進める。県健康福祉局の田中剛局長は「スムーズな職員の派遣に向けて、予算の確保など県としてできるサポート策を考えたい」と話している。  (中國新聞)

 

5月27日(水)介護・福祉職員への給付金、全サービスの全職種が対象 厚労省方針
 政府は27日夕の閣議で、新型コロナウイルスの流行に対応するための今年度の第2次補正予算案を決定した。介護・福祉の現場を支えている職員に対し、全額国費で新たな給付金を出すことも盛り込んだ。
 感染者が発生した、あるいは濃厚接触者に対応した介護・障害福祉事業所の職員に20万円を支給する。感染者、濃厚接触者がいない事業所で働く職員には5万円を支払う。いずれも「慰労金」という名目。これらが正式に決められた。
 27日夜、厚生労働省への取材で給付金の具体像が分かった。 投じられる財源はおよそ5150億円(医療分を除く)。介護保険、障害福祉の全てのサービスが対象となる。職種にも制限はない。現場で働く人ならケアマネジャー、看護職、リハ職、事務職など皆が一律で、正規職員でも非正規職でも受け取れる。介護分野では地域包括支援センターの遅職種なども対象に含まれる見通し。
 今年度の1次補正で新設された交付金(緊急包括支援交付金)を積み増す形で実行される。 具体的な支給方法はまだ調整中だ。厚労省は今のところ、交付金を渡す都道府県から事業所ごとに配る形を想定している。個々の職員へ直接的に支払う形をとると、自治体にかかる負担がかなり重くなるという指摘がある。取材に応じた担当者は、「職員ひとりひとりに必ず行き渡る仕組みにする」と説明した。
 厚労省は2次補正が国会で成立した後で、詳細なルールを定める通知を発出する予定。同様の給付金は医療現場を支える医師や看護師らにも支給される。  (介護jointニュース)

 

5月30日(土)野党、介護職員の処遇改善を重ねて主張 関連法案が参院で審議入り
 国会では29日、地域共生社会の実現や介護サービス提供体制の強化を趣旨とする社会福祉法、介護保険法などの改正案が参院で審議入りした。
 野党側は本会議の討論で、介護・福祉現場を追い込んでいる人手不足の深刻さを強調。給付費の抑制を続けてきた政府に現状を招いた大きな責任があると批判し、職員の処遇改善に向けた追加の措置をとるよう訴えた。 これに対し安倍晋三首相は、「介護人材の確保は大変重要な課題。着実な処遇改善に加えて、ハラスメント対策を含む職場環境の改善を図っていく」と答弁。ただ追加の措置には触れず、昨秋に新設した介護報酬の「特定処遇改善加算」の取得促進に努めると述べるに留めた。野党側はさらに追及を続ける構えだ。
 今回の改正案は、介護、福祉、子育て支援、生活困窮者支援といった分野の垣根を超えた横断的な相談体制を、市町村などがより柔軟に構築できるようにすることが柱。新たな交付金の仕組みなどを導入し、制度間の縦割りとなっている関連予算を一体的に使える環境を整える。地域の福祉ニーズが多様化、複雑化、複合化している現状に対応していく狙いがある。  (介護jointニュース)

 

5月31日(日)特定技能 介護の助っ人/青森県内先駆け・中泊の特養がベトナム人2人採用
 青森県中泊町の特別養護老人ホーム「清和園」(社会福祉法人・奥津軽会)が5月、2019年度に創設された外国人在留資格「特定技能」でベトナム人女性2人を採用した。就労を仲介した支援機関は「県内の介護施設では第1号の可能性が高い」とし、県は「県内でも早い取り組み」と注目している。
 清和園で5月から働いているのはトラン・ティ・クエンさん(22)とマイン・ティ・クィンさん(21)。2人は2018年に来日し、栃木県の日本語学校に2年間在籍。今春までに日本語と介護の試験に合格し、面接を経て就職した。
 特定技能(1号)の就労期間は最長5年。就労の調整役となった登録支援機関「外国人材紹介センター」(つがる市)によると、2人は日本語や専門分野の試験に合格しているため、専門的な技術や知識を有し、即戦力として期待されるという。
 今忠園長は「施設の介護職員は高年齢化し、新たな職員採用も難しくなっている」と外国人採用に踏み切った理由を説明し、「他の施設の模範となるように就労環境を整えたい」と語った。
 法人側は既に外国人職員専用の寮を整備。仕事の行き帰りを車で送り迎えするなどしてサポートしている。クエンさんは取材に「食事介助が得意。長く働きたい」と話し、クィンさんも利用者とのコミュニケーションが好きだという。
 他の職員は「2人がいることで職場の雰囲気が明るくなった。良い刺激を受けている」と語った。
 外国人材紹介センターの塚本山和代表は「言葉や生活習慣の面で支援することが、外国人定着へ向けて大切なこと」と話した。
 清和園は今後も外国人を採用する方向。今年技能実習制度を利用して、インドネシア人を採用する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で受け入れ手続きがストップしている。
 出入国管理庁が29日に公表した資料によると今年3月末時点で、青森県で働く特定技能(1号)の外国人は、農業分野や電気・電子情報関連など12人。介護分野はいなかった。全国の総数は3987人で、そのうち介護分野は56人だった。
 県高齢福祉保険課の担当者は「清和園以外で、特定技能の外国人を採用した介護分野の事例は県内では聞いたことはない。早い取り組み」と語った。 ▼特定技能 2019年4月創設の外国人の新たな在留資格。建設や農業、外食など14業種が対象となっている。「特定技能1号」の取得は一定の技能と生活に必要な日本語能力が求められる。在留期間は通算5年で、家族帯同を認めない。熟練技能が求められる「2号」は在留期間の更新や家族帯同が可能。技能実習が国際技術移転や国際協力を目的にしているのに対し、特定技能は日本の人手不足解消を目的にしている。  (東奥日報)

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