団塊世代が85歳になる2035年、要介護者の急増で介護も崩壊

 日本の社会保障が崩れる未来。実はすぐそこに迫っているーー。
 「団塊の世代すべてが75歳以上になる2025年ごろは、医療機関や介護施設で大きな混乱が予想されます。しかし、それは日本の社会保障制度が崩壊する序章でしかないのです」
 厚生労働省は、’25年には内科医が1万4,000人、看護師をはじめとする看護職員が最大27万3,000人、不足すると試算している。
 「都市部ではベッド不足が深刻化する一方で、地方では人口減少により、医師や看護師だけでなく、患者数も不足し、病院が経営難に陥ることも想定されます。閉院する民間病院も出てくることでしょう。結果として地方でもベッド不足が広がります。また、’24年に、日本は全国民の3人に1人が65歳以上、6人に1人が75歳以上という超高齢者社会に。75歳以上になると大病を患う人は増え、1人あたりの医療費が74歳以下の5倍近くかかるというデータもあります。高齢者の増加で救急搬送が増えると、救急隊員の不足で、救急車がすぐに来ないという事態も起こりかねません」
 暗い医療の未来。しかし、医療だけでは終わらない。さらに10年後は介護崩壊も始まるという。

 

 「’35年は、団塊の世代すべてが85歳以上になります。厚生労働省のデータによると85歳から要介護認定率は急激に上昇。2人に1人は介護が必要になります。一方、現在でも慢性的に人手不足の介護職員は、離職率も高く、’25年時点で約33万人が不足する見通しです。’35年には、介護スタッフの人材不足がピークになり、2時間ごとのオムツ交換が半日に1回となったり、週2回の入浴介助サービスが2週に1回になったりすることも予想できます。また、人材不足は人材の質の低下も招きます。介護施設は、適性に欠ける人材を雇わざるをえなくなり、スタッフによる虐待が増えることも否定できません。介護の人手不足を、外国人人材やロボットで解決することも議論されていますが、これらで、今後、増えるであろう訪問介護サービスの需要を満たすのは不可能です」

 

 さらに、’35年以降は介護施設も足りなくなり、サービスを受けたくても受けられない“介護難民”が続出するという。

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