今月のニュースから

12月01日(日)居宅ケアマネの給付費、初めて5000億円を超える 10年で1.7倍 厚労省
 厚生労働省が28日に公表した「介護給付費等実態統計」によると、居宅のケアマネジメントの給付費は昨年度に初めて5000億円を突破した。
 居宅介護支援が4654億100万円、介護予防支援が359億6000万円。あわせて5013億6100万円にのぼった。前年度から2.6%、128億1500万円増えた。
 給付費が2927億9900万円だった10年前の2008年度と比べると、2085億6200万円の増加。1.71倍に膨らんだ。高齢化に伴うニーズの拡大などが背景にある。
 こうした費用の抑制につなげようと、居宅のケアマネジメントでも利用者から自己負担を徴収すべき(現行10割給付)という議論が繰り返されてきた。
 仮に1割の自己負担が導入された場合、2018年度の実績をベースにみると約500億円の給付費を削減できることになる。利用者数などから単純に割って算出すると、1人あたりの自己負担は月額で千数百円程度(要介護度や特定加算の有無などによって違ってくる)となる。   (介護jointニュース)

 

12月05日(木)医療費負担、75歳以上は2割に? 政府「支える側に」
 社会保障制度改革を検討している政府は、今は「原則1割」となっている75歳以上の医療費の窓口負担割合に、「2割」を新設する方向で調整している。背景には、少子高齢化で社会保障費が膨らむなか、高齢者でも負担能力がある人には多めに負担してもらう「応能負担」の考え方がある。
 政府の全世代型社会保障検討会議が今月中旬にまとめる中間報告に書き込み、労働・年金・医療・介護の改革の方向性を「パッケージ」として打ち出す。政府関係者は「余力のある高齢者には、『支えられる側』から『支える側』になってもらおうというメッセージ」と話す。
 主に検討されている2割負担のあり方は、(1)すでに75歳以上でも一定の所得があれば2割にする(2)新たに75歳になる人で一定の所得がある人は70〜74歳時と同じ2割のままにする、の二つ。今も現役並み所得(単身世帯で年収383万円以上)の人は3割負担で、全体の約7%。新たに2割ができれば、負担割合は1・2・3割の3区分となる。   (朝日新聞社)

 

12月10日(火)福祉法人連携で新制度 引きこもり支援など協力
 厚生労働省の有識者会議は10日、引きこもり支援や介護施設運営などを担う小規模な社会福祉法人をつなぐ「連携法人制度」を創設する厚労省方針を確認し、報告書をまとめた。引きこもりの支援や災害といった地域の多様な課題に、それぞれの専門性がある法人が協力して取り組めるようにするため、厚労省は来年の通常国会に社会福祉法改正案を提出する。
 社会福祉法人は全国に約2万あるが、小規模法人では人材確保や経営面で課題を抱えている。新たな連携法人は、複数の法人を束ねる調整役を担い、単独では対処できない問題を解決できるようにする。   (共同通信社)

 

12月13日(金)介護負担拡大先送り 高齢者への影響に配慮
 政府が検討してきた介護保険制度改正案の大枠が12日固まった。介護サービス利用者の自己負担(1〜3割)に関し、2割の対象者拡大を先送りする。膨張する介護費の抑制に向け、対象者拡大の是非が焦点となっていた。「生活に深刻な影響を与える」と訴える高齢者らに配慮した。
 自己負担の割合は2000年に制度が始まってから所得水準に関係なく1割が続いた。15年8月から年収280万円以上(単身で年金収入だけの場合)の人は2割とし、このうち現役並みに所得が高い人は18年8月から3割になった。だが2〜3割負担の対象者は限られ、1割負担が利用者の90%超を占めている。   (共同通信社)

 

12月13日(金)なかなか受けられない? 厚労省、主任ケアマネ研修の実態を調査へ
 厚生労働省は主任ケアマネジャーを養成する都道府県の研修の実態を調査する考えだ。
 独自の受講要件の有無とその内容を明らかにする。受講費を下げるために活かせる基金(地域医療介護総合確保基金)をどう使っているかも把握する。
 研修をより受けやすい環境の整備に役立てる方針。12日の社会保障審議会・介護給付費分科会で担当者が説明した。
 主任ケアマネ研修を受けるには現在、
・専任のケアマネとして働いた期間が通算5年以上
・ケアマネジメントリーダー養成研修修了者、または日本ケアマネジメント学会が認定する認定ケアマネであって、専任のケアマネとして働いた期間が通算3年以上
・主任ケアマネに準ずる人として、現に地域包括支援センターに配置されている
・その他、ケアマネの業務に関して十分な知識と経験を有し、都道府県に適当だと認められた人
という4条件のいずれかに該当しなければいけない。
 加えて、「質の高い研修を実施する観点から、都道府県が上記以外の要件を設定することも可能」との決まりもある。これらを使い、例えば市町村から推薦を得てくることを必須の条件として定めるなど、受講のハードルを独自に上げているところもある。
「どうして受講要件が異なるのか?」。
 この日の分科会ではそんな疑問の声があがった。研修の質を上げるという目的に異論を挟む委員はいないが、「受講が制限されているのではないか」「受けたくてもなかなか受けられないところがある」といった指摘も少なくないことから、厚労省は実態を調べることにした。基金の活用方法を調査するのは、それが受講費の多寡に影響するためだ。
 2017年の実績でみると、主任ケアマネ研修の受講費は平均4万3690円。最も高い広島県(6万2000円)と最も安い秋田県(2万996円)では4万1004円もの格差があり、「非常に不公平」との批判が噴出している。
 厚労省の担当者は会合後、「できるだけ多くの方が研修を受けられるようにしていきたい。調査結果を都道府県にフィードバックする形で、さらに適切な対応や工夫を促していきたい」と話した。   (介護jointニュース)

 

12月14日(土)特養の3割が人材紹介会社を利用 手数料は1人あたり平均60万円 WAM調査
 福祉医療機構(WAM)が11日に新たな調査レポートを公表した。特別養護老人ホームの現状を報告するものだ。
 それによると、昨年度に人材紹介会社を経由して介護職員を雇った施設は29.2%だった。1人にかかった紹介手数料は全国平均で59.7万円。この金額は、ユニット型特養の職員1人あたり人件費の14.9%に相当する。
 この調査は今年10に行われたもの。WAMが融資している特養3568施設が対象で、32.5%の1160施設から有効な回答を得ている。
 昨年度に人材紹介会社を通じて雇用した常勤の介護職員の人数をみると、最も多いのは「2人未満」の37.5%。次いで「2人以上3人未満」の18.9%が多く、この2つで全体の56.4%を占めていた。平均は3.3人。「10人以上」と答えた施設も6.4%あった。
 人材紹介会社への1人あたりの紹介手数料では、「60万円以上80万円未満」が32.4%で最多。それに「40万円以上60万円未満(21.8%)」、「80万円以上100万円未満(16.3%)」が続く。料金の相場には地域差がみられ、都市部(*)では平均62.4万円、地方では平均55.7万円となっている。   (介護jointニュース)

 

12月16日(月)食費・入居費補助縮小 一部低所得者の負担増 介護保険見直し案提示 厚労省
 介護保険制度改正に向け、厚生労働省は16日、社会保障審議会介護保険部会を開き、特別養護老人ホーム(特養)など介護施設に入る低所得者に食費と入居費(家賃)を補助する制度を見直し、保有する預貯金などに応じ、対象者を縮小する案を示した。一方、ケアプラン(介護計画)作成の有料化などは見送る方針を示した。年内に取りまとめ、見直し内容は2021年度から実施の方針。
 食費・入居費を補助する「補足給付」は現在、預貯金が1000万円(夫婦で2000万円)以下の低年金者が対象。対象者は現在約52万人。この要件に預貯金650万円以下、同550万円以下などと新たな段階を設けて対象者を絞り、一部の人を補助の対象外とする。また、介護施設の短期入所者に対する食費の補助を一部引き下げ、これまで自己負担額が1日当たり390〜650円だったのが600〜1300円に増える。       
 一方で一定以上の収入があり、介護サービス利用時の自己負担が2、3割の人の対象範囲を拡大する案や、ケアプラン作成への自己負担の導入などは見送った。   (毎日新聞)

 

12月17日(火)要介護認定調査、委託先でケアマネ以外も実施可能に 有効期間延長も決定
 厚生労働省は16日、要介護認定の更新時の有効期間を最長で48ヵ月まで延ばす方針を決めた。
 あわせて認定調査員の資格要件を緩和し、一部の委託先でケアマネジャー以外が行えるようにすることも決定した。
 要介護認定を担う現場の負担を軽減する狙いがある。社会保障審議会・介護保険部会で了承を得た。
 来週にまとめる審議報告に盛り込む。高齢化に伴って申請が増え続けていることを踏まえ、厚労省は今後も認定の効率化に向けた具体策を検討していく構えだ。
 有効期間の延長が認められるのは、更新の前後で要介護度に変化がなかった高齢者。現行では最長36ヵ月だが、自治体のシステム改修などを経て2021年度から最長48ヵ月となる。
 認定調査員の要件緩和は、市町村が社会福祉協議会などの「指定事務受託法人」に認定調査を委託した場合のみが対象だ。現行ではケアマネジャーしか認められていないが、その確保が難しいため再考を求める声が出ていた。
 厚労省は看護師や社会福祉士、介護福祉士などに任せることを想定。具体的にどの職種まで許容するか、認定調査の質が低下しないよう配慮しつつ検討するとしている。
 来年度から実施する考え。「指定事務受託法人」以外の委託先では、引き続きケアマネしか認定調査を行えない。   (介護jointニュース)

 

12月17日(火)訪問介護・通所介護の総合事業への移行、見送り決定 厚労省
 厚生労働省は16日、要介護1、2の高齢者に対する訪問介護と通所介護を市町村の総合事業へ移す案について、2021年度の次の制度改正では実施しない方針を決めた。
 社会保障審議会・介護保険部会で見送る意向を示した。来週にまとめる審議報告に盛り込む。自治体の関係者、現場の関係者から多くあがっていた慎重論に配慮した格好だ。
 この日の会合では、給付費が右肩上がりに推移して保険料の上昇が続いていることなどを念頭に、早期の実施を改めて求める意見も出た。この案は2024年度の制度改正をめぐる議論で再び大きな焦点となる。
 総合事業は市町村がサービスの対価や運営基準などを独自に設定できることが特徴。厚労省は2015年度から段階的に、要支援1、2の訪問・通所をこのスキームへ移行させた。
 全国一律のルールに基づく給付をやめ、地域のニーズに応じた多様なサービスを柔軟に提供できるようにする。移行の大きな目的だ。ボランティアなどが主体となるより低コストな仕掛けを普及させ、給付費の抑制に結びつけるという思惑もある。
 ただし、担い手不足の問題もあって総合事業はまだ十分に進展していないのが実情。このため部会の委員の間では、今の段階で無理に要介護1、2を移しても期待するような効果は得られない、という見方が支配的だった。
 とりわけ、市町村の立場を代表する委員が早急な実施は好ましくないと主張。「地域の体制は不十分で混乱を招く」「時期尚早だ」などと繰り返し理解を求めていた。
 この案は、給付費の更なる膨張を懸念する財務省や経済界が実現を強く迫ってきた経緯がある。この日の会合では、「現役世代の負担が重くなっていることへの配慮が足りない」「重度の高齢者に給付を重点化していくべきではないか」との声もあがった。
 厚労省は審議報告に、両論を併記したうえで「引き続き検討を行う」と記載する考えだ。   (介護jointニュース)

 

12月18日(水)厚労省、総合事業のルール弾力化を決定 要介護者もサービスの対象に
 厚生労働省は16日、市町村がそれぞれ予防などを推進している介護保険の総合事業について、より柔軟に運用できるよう制度を見直す方針を決めた。
 地域のニーズ、現場の実情を踏まえた創意工夫を引き出す狙い。第8期の計画期間がスタートする2021年度から実施する。
 社会保障審議会・介護保険部会でコンセンサスを得た。来週にまとめる審議報告に盛り込む。
 要支援の高齢者に限定している対象者の範囲を弾力化し、必要に応じて要介護の認定を受けた高齢者も受け入れられるようにする。「要介護になるとせっかく築いた地域との関係が途切れてしまう」。関係者から寄せられたそうした不満の声に応えた。
 あわせて、国がサービスごとに定めている報酬の上限額を上回る対価を設定することも可能とする。これまでの議論では、例えば専門職を加配する場合などに必要性が生じるとの要望が出ていた。総合事業全体の上限額のルールは維持する。
 厚労省は希望する市町村にこうした柔軟な運用を認めていく。不適切なサービス提供などを招かないよう、一定の制約を設ける考えだ。ディテールはこれから省内で詰めていく。施行前に地域支援事業の実施要綱や関連通知などを改正して周知する。   (介護jointニュース)

 

12月18日(水)骨見える床ずれ放置県が行政処分―熊本県―
 菊池市の老人ホームで、骨が見えるほどの重度の床ずれを放置するなど入所者への虐待などがあったとして、熊本県は菊池市の「ともづなリハサービス」に事業の一部停止などを命じる行政処分を行った。
 処分を受けたのは菊池市で住宅型有料老人ホーム「ケアホームともづな」などを運営する「ともづなリハサービス」。ことし2月、県が「ケアホームともづな」に立ち入り調査を行ったところ、骨が見えるほどの重度の床ずれを患った入居者や、高熱が1週間続いている入居者が放置されていたほか、入居者を動けなくする身体の拘束もあったという。さらに医師から処方された薬を大量に放置されていたり、他人の薬が投薬されているのも確認されたという。こうしことから県は、ともづなリハサービスが行っている介護と看護の訪問サービスについて新規利用者の受け入れ停止6か月間を命じた。さらに、虐待が発覚した老人ホームについては、虐待を防止するための改善策を来月末までに提出するよう命じた。
 今回の処分について「ケアホームともづな」は、KKTの取材に「担当者が不在のためコメントできない」としている。

 

12月24日(火)高齢者への虐待、介護職員も家族も過去最多 厚労省調査
 2018年度に起きた高齢者の虐待は、介護施設職員らによるものが621件(前年度比111件増)、家族らによるものが1万7249件(同171件増)だったと24日、厚生労働省が発表した。いずれも調査が始まった06年度以降で最多だった。
 介護施設の職員らによる虐待の相談・通報は2187件(同289件増)あった。自治体が621件を虐待と判断し、被害者は少なくとも927人だった。虐待の内容は、暴力や身体拘束などの「身体的虐待」が533人(57・5%)で最も多く、侮辱するなどの「心理的虐待」が251人(27・1%)、「介護等放棄」が178人(19・2%)だった。福井県の1人が死亡したが、虐待が死因かは不明という。虐待の要因は、「教育・知識・介護技術等に関する問題」が358件(58・0%)で最も多かった。
 家族らによる虐待の相談・通報は3万2231件(前年度比2191件増)あった。虐待と判断されたのは1万7249件、被害者は少なくとも1万7686人だった。虐待の要因は「介護疲れ・介護ストレス」が2447件(25・4%)で最多。虐待死の可能性があるのは21人だった。   (朝日新聞)

 

12月25日(水)特養、なお32万6千人待機 要介護高齢者、19年調査
 厚生労働省は25日、特別養護老人ホーム(特養)への入所を申し込んでも入れない待機者が今年4月1日時点で、約32万6千人に上ったとの調査結果を発表した。前回2016年の調査からは約4万人減った。厚労省は「施設整備や在宅サービスの充実といった施策が奏功している」と強調するが、依然として施設不足が解消していない実態が浮かんだ。
 特養は介護保険が使え、日常生活全般で介助が必要な高齢者が食事や入浴、排せつなどの手助けを24時間受けられる施設。15年4月から新規入所の条件が厳しくなり、要介護3以上の中重度者が原則となった。   (共同通信)

 

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