今月のニュースから

11月05日(火)有料老人ホームやサ高住、行政の関与を強化へ 厚労省 年内に具体策
 各地で急速に整備が進んでいる住宅型の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の質の担保に向けて、厚生労働省は行政の関与を今より強化する方向で制度の見直しを検討していく。
 10月28日の社保審・介護保険部会と5日の自民党政調・介護委員会で説明した。ともに目立った異論は出ていない。年内に具体策のアウトラインを固め、来年の通常国会に関連法の改正案を提出する計画。
 住宅型の有料老人ホームもサ高住も、届け出や登録を行う都道府県から指導監督などを受ける決まり。保険者である市町村の関与が必ずしも十分でないと指摘されている。住宅型の有料老人ホームについては、届け出の際の情報を都道府県から市町村へ伝える規定も法令上存在していない。
※ 特定施設の指定を受ける介護付きの有料老人ホーム(介護付きホーム)は、介護保険事業計画との関係上、市町村も情報を把握できる。
 厚労省はこうした現状を是正したい考え。5日の自民党の会合では、「行政による現状把握と関与の強化が必要」と言明。入居者の安心・安全を守る観点から具体策を立案する意向を示した。
 例えば、市町村が地域支援事業の枠組みで派遣している「介護相談員」の活用を俎上に載せている。利用者の不満、不安などを聞いて事業所に“外部の目”を入れる機能を有するが、現行では住宅型の有料老人ホームなどが対象に含まれていない。厚労省はこのほか、都道府県と市町村の情報共有を進化させる新たな規定の創設も検討する構えをみせている。                  (介護jointニュース)

 

11月05日(火)介護ベッドの手すりに注意! 昨年も死亡事故が… 過去13年で44件も
 介護ベッドの手すりが原因となる重大事故が継続的に発生しているとして、消費者庁が介護現場の関係者に改めて注意を喚起している。
 消費者庁のデータによると、介護ベッドの手すりが原因となった事故は、2007年度から今年10月末までの約13年間で80件。このうち44件では、利用者が亡くなってしまったと報告されている。
 直近では昨年9月にも大阪府の介護施設で事故が発生。90歳代の入居者が手すりのヒンジ部に顎が引っ掛かった状態で発見され、搬送先の病院で死亡が確認されたと報告されている。
 ベッド周りの整理整頓も
 消費者庁は再発防止に向けて、使用中の手すりが2009年に改正された新JIS規格に適合した製品かどうかチェックすべきと呼びかけている。そうでない場合には、速やかに適合製品に取り替えて欲しいという。新JIS規格の特徴は、手すりと手すりの隙間、手すりとヘッドボードの隙間などの基準を強化することで、安全性の向上を図っている点だ。
 製品の取り替えが現実的でない場合は、不要な手すりの隙間をあらかじめ無くしておく工夫が欠かせない。専用のカバーやスペーサー、あるいはクッションや毛布などを利用すればリスクを軽減できる。
 消費者庁はこうした対策に加え、「ベッドの周りを整理整頓し、利用者が身を乗り出さなくてもいいようにする」「ベッドを操作する際には利用者の状態をその都度確認する」なども重要だと改めて指摘している。                 (介護jointニュース)

 

11月13日(水)中止となったケアマネ試験、再試験は来年3月8日に実施へ
記録的な豪雨などで各地に甚大な被害をもたらした台風19号と重なった今年度の介護支援専門員実務研修受講試験 ? 。中止の判断を下した都県などでは、来年3月8日(日)の午前10時から再試験が行われることになった。
厚生労働省が通知を出した。再試験の日時はどこも同じ。変更は認められない。試験会場が当初の予定と異なる可能性がある、とアナウンスしている自治体もある。受験者には近日中に通知文が送られるという。
このスケジュールでどうしても受験できない人は辞退が可能。その場合、受験手数料は返還される。合格発表の日取りは今のところ未定。
10月13日に実施した県の中にも、再試験を行う方向で調整を進めているところがある。再試験は最終的に1都17県で行われる可能性がある。                (介護jointニュース)

 

11月15日(金)ケアマネ事業所の管理者要件の厳格化、経過措置を6年間延長へ 厚労省方針
事業所の管理者を主任ケアマネジャーに限定する居宅介護支援の運営基準の厳格化をめぐり、厚生労働省は15日、来年度までとしていた既定の経過措置(2018年度から2020年度)を延長する方針を固めた。
社会保障審議会・介護給付費分科会で提案し、委員から大筋で了承を得た。具体策は年内にも正式に決定する。
老健局の担当者は延長を6年間としたことについて、「2020年度から新たに管理者となった人でも、5年間の実務経験を積んで主任ケアマネ研修を受けられる期間を確保するため」と説明した。
 厚労省は今回、どうしてもやむを得ない理由で主任ケアマネを配置できない事業所への救済措置を用意する意向も示した。その理由と「改善計画書」を届け出ることを条件として、1年間だけ厳格化を猶予する決まりを新たに設けてはどうかという。
厚労省が提案した具体策の文言は以下の通り。「猶予期間が1年間では短い」との不満の声が出たため、ここは修正される可能性が残った。
 厚労省はこのほか、「特別地域居宅介護支援加算」、あるいは「中山間地域等における小規模事業所加算」を取得している事業所に限り、主任ケアマネではない管理者を特に期限なく認めていく案も示した。
主任ケアマネ配置、現状約6割
既定の経過措置の見直しは、主任ケアマネの養成・確保をうまく進められていない事業所が少なくない現状を踏まえたもの。もともとは質の高いケアマネジメントの展開につなげる狙いだったが、現場の関係者からは「このままだと混乱が生じてしまう」といった懸念の声が出ていた。
 厚労省はこの日、全国すべての居宅介護支援事業所を対象として今年度に実施した調査の結果を公表。今年7月末の時点で「管理者が主任ケアマネではない」と答えたところは40.9%だった。
 この40.9%に「来年度までに主任ケアマネを確保できるか」と尋ねたところ、「見込みがない」が32.6%、「分からない」が18.9%。これらの事業所が全体に占める割合は21.1%にのぼっていた。
 これまで繰り返し経過措置の延長を求めてきた日本介護支援専門員協会の濱田和則副会長は会合で、「色々とご配慮を頂きありがたい。協会としても今後、主任ケアマネが増えるように引き続き努力していきたい」と述べた。              (介護jointニュース)

 

11月16日(土)介護予防の交付金倍増へ 20年度、自治体の競争促す
政府が年末に編成する2020年度の当初予算案で、介護の予防や自立支援に成果を上げた自治体に手厚く配分する交付金を、現在の2倍の400億円程度へ大幅拡充させることが分かった。認知症予防や要介護度の維持・改善に向けた取り組みを自治体間で競わせ、介護費の膨張を抑える狙いがある。
 医療や介護の予防に力点を置く安倍政権による社会保障改革の一環。専門的
なケアが必要な重度の要介護高齢者の増加を防げれば、費用も安く抑えられると期待する。一方で、専門家の中には介護状態は簡単には改善しないとの声もあり、サービス利用の抑制を目指す「自立偏重」の方向性に批判もある。
(共同通信)

 

11月19日(火)ケアプラン有料化、先送りへ 介護保険制度改正の焦点

 政府は19日、高齢者が介護保険サービスを利用する際に必要な「ケアプラン」(介護計画)の有料化を介護保険制度の改正案に盛り込まず、先送りする方向で調整に入った。介護費の膨張を抑えるため議論している制度見直しの焦点となっていたが、一律に自己負担を求めることに与党内から慎重論が相次いだため判断した。

 介護保険制度は3年に1度見直している。政府は年末までに内容を決定し、来年の通常国会に関連法案を提出する。
 ケアマネジャーがケアプランを作成する場合、誰もが公平にサービスを受けられるよう自己負担はない。費用は介護が必要な度合いによって異なり、保険料や税金で賄われる。                 (共同通信)

 

11月20日(水)介護施設の利用補助、対象縮小へ 低所得者の食費、部屋代
 政府は20日、介護保険施設を利用する低所得の高齢者に食費や部屋代を補助する制度について、対象を縮小する方向で検討に入った。現在は預貯金などの保有資産が1千万円までの人が対象だが、この要件を厳格化し、500万円までの間で引き下げる。政府は3年に1度の介護保険制度見直しを進めており、「支払い能力に応じた負担」を求める。
 介護保険施設には、原則要介護3以上の人が入所できる特別養護老人ホーム、要介護1以上の人向けの老人保健施設、介護療養型病床がある。食費と部屋代は自己負担だが、生活保護受給者や住民税非課税世帯で、預貯金などが単身で1千万円以下は補助を受けられる。         (共同通信)

 

11月22日(金)75歳以上の医療保険料、上限額を年2万円引き上げへ 来年度から 厚労省
 厚生労働省は21日、75歳以上の高齢者が加入している後期高齢者医療制度について、保険料の上限額を年間で2万円引き上げる方針を固めた。
 同日の社会保障審議会・医療保険部会に諮り、委員から大筋で了承を得た。高所得の人が対象で、来年度から見直す。後期高齢者医療制度の保険料は2年に1度のサイクルで改定される。現行の上限額は年間62万円。年金収入が年間886万円以上の人が対象だ。
 今回の見直しでは上限額を年間64万円とする。対象は加入者全体の1.29%にあたる、年金収入が910万円以上の人。引き上げは2018年度の5万円増に続いて2回連続となる。
 見直しの狙いは、高所得層に一定の負担増を求めることで中間所得層の保険料の伸びを抑えることにある。
 厚労省の試算によれば、平均的な年金収入とされる341万円の人の保険料は今年度、年間20万9000円。現行のままでは、給付費の膨張などによって来年度から21万5000円となる見通しだが、今回の見直しによって21万4000円に抑えられるという。
(介護jointニュース)

 

11月23日(土)特養ホームの被害、国が直接把握 経済対策で新システムを構築
 政府が12月上旬にもまとめる経済対策の一環として、社会福祉施設の被災情報を国が直接把握し、迅速に対応できるようにする新システムを構築することが23日、分かった。全国に約7900施設ある介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などが対象となる。経済対策にはこのほか、第5世代(5G)移動通信システムの次の世代にあたる「ポスト5G」の技術開発促進に向けた基金創設などを盛り込む。

 必要な経費は年内に決める令和元年度補正予算案、2年度当初予算案で計上する。低金利の環境をいかし、インフラ整備には財政投融資も活用する。

 社会福祉施設向け新システムの対象は高齢者、障害者、子供向けの施設。これまで台風などで施設に被害が出た場合、都道府県、政令指定都市といった自治体の職員が電話や巡回などで情報を集め、その後に厚生労働省に連絡しており、国が被害状況をつかむまで時間がかかっていた。
 ただ、今秋の台風15、19号のような大規模災害では迅速な対応が不可欠。このため新たなシステムを構築し、施設職員らがスマートフォンやパソコンを使って被害状況や支援が必要であることを入力すれば、厚労省がすぐに情報をつかめる体制を整える。
 国は現在、介護施設の住所やサービス内容、運営状況などをインターネットを通じて見ることができる「介護サービス情報公表システム」などを運営している。新たなシステムはこれらを改修して作る。
 経済対策の災害分野ではこのほか河川や堤防の再整備などを進める。成長分野では、民間企業による「ポスト5G」の技術開発を支援する基金を、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に作る。金額は2200億円規模となる方向だ。             (産経新聞)

 

11月25日(月)75歳以上の医療費、原則2割に 健保連 全国大会で決議を採択
 大企業のサラリーマンらが加入する健康保険組合で組織する「健康保険組合連合会」は22日の全国大会で、今後の医療保険制度の改革に向けた決議を採択、厚生労働省へ提出した。
 75歳以上の高齢者が支払う医療費の窓口負担を、現行の原則1割から原則2割へ引き上げるよう要請。来年の「骨太方針」に反映させ、速やかに実現するよう強く訴えている。
 健保連の大塚陸毅会長は壇上で、「増加の一途をたどる高齢者の医療費を支え続けてきた現役世代の負担は既に限界を超えている」と主張した。あわせて、団塊の世代が75歳へ到達し始める2022年以降を念頭に、給付費の更なる膨張によって危機的な財政状況になると問題を提起。負担構造の見直しに一刻も早く取り組むべきだと呼びかけた。
 高齢者の医療費の窓口負担は現在、70歳未満が3割、70歳から74歳が2割、75歳以上が1割(現役並み所得者は3割)となっている。
 健保連は今後新たに75歳を迎える人から順に2割としていくことを提案。74歳までと変わらないため実質的な負担増は生じないと理解を求めている。
 健保連はこのほか、介護保険の利用者負担も段階的に原則2割へ持っていくべきだと働きかけている。     (介護jointニュース)

 

11月27日(水)軽度介護、地方移行は先送り 人材不足、難しいと判断
 政府は、介護保険制度を巡って比較的状態が軽い要介護1、2の人が利用する訪問介護のうち掃除や洗濯といった生活援助サービスの事業主体について、国から地方への事業移行を先送りする方向で調整に入った。市区町村に移し、ヘルパーら介護職員でなく地域のボランティアに介護の担い手になってもらうことで、膨張する介護費用を抑えようと検討していた。現時点では地方の人材不足から移行は難しいと判断した。政府関係者が27日、明らかにした。
 介護認定者の生活援助サービスの在り方は介護保険制度改革の論点の一つだった。                          (共同通信)

 

11月27日(水)自治体提出文書を簡素化 介護現場の事務負担軽減 厚労省
 厚生労働省は27日、介護事業者が自治体に提出する文書の簡素化に向けた検討を行っている専門委員会に対し、押印が必要な書類を限定することを盛り込んだ中間取りまとめ案を示し、大筋で了承された。
 介護事業者は人手不足の中でも、事業者としての指定を受けるための申請や介護報酬の請求などさまざまな場面で書類提出を求められており、厚労省は介護現場の事務負担を軽減する狙い。
 押印については、厚労省が示す文書のひな型で「印」と記載のある場合以外にも押印を求める自治体がある。中間取りまとめ案では、原則として押印を求める文書を指定申請書など3種類に限定。また、添付書類への押印は原則不要とするよう自治体に呼び掛ける。            (時事通信社)

 

11月29日(金)18年度介護費用 初の10兆円突破…厚労省発表
 厚生労働省は28日、2018年度の介護給付費等実態統計を発表した。介護保険給付と公費、利用者の自己負担を合わせた介護費用は、初めて10兆円を突破した。高齢者の増加で、介護費用の拡大に歯止めがかからない状況が続いている。
 介護費用は前年度比2%増の約10兆1536億円だった。内訳は介護サービスにかかった費用が約9兆9107億円、介護予防関連が約2429億円となっている。
 介護保険制度は00年4月にスタート。介護費用は01年度に約4兆3782億円だったが、2倍超に拡大している。         (朝日新聞)

 

 

 

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