宇宙の大きさ

 これまで、宇宙というのは相当大きいなと、皆さんに思ってもらえたと思います。今回の目的は、スケールモデルを使って、それを実感していただくことにあります。

 その前に、最も身近に感じられる宇宙を見てみましょう。しばらく前までは、「宇宙といえばスペースシャトル」でした。しかし、スペースシャトルは、2011年7月に30年間の活躍の幕を閉じました。今では、「宇宙といえば国際宇宙ステーション」です。これが一番身近な宇宙だと思います。
 この国際宇宙ステーションは、地球からどのくらい離れた所を飛行しているのでしょうか。
 地上から約400キロメートルの上空です。この高さを地球というスケールと比較すると、リンゴの皮くらいのところであることが分かります。この高度でも大気はきわめて薄く「宇宙環境」ですが、天文学でいう宇宙からすれば、ほんの入口でしかありません

 

●太陽系のスケールモデル
 まず、太陽系のスケールモデルから始めたいと思います。太陽を直径4センチメートルのピンポン球とするスケールモデルを考えます。このモデルの縮尺は350億分の1です。世界地図の縮尺でも1億分の1程度ですから、桁違いの縮尺で縮めていることに注意してください。
 このスケールモデルで、地球の大きさはどれぐらいになるとお思いでしょうか。地球は太陽のだいたい100分の1なので、0.4ミリメートルになります。0.4ミリメートルというと、見えるか見えないかくらいの砂粒程度です。
 それでは次に、その砂粒(地球)がピンポン球(太陽)からどれだけの距離のところを回っているでしょうか。つまり、地球の軌道半径である1天文単位はどれぐらいになるとお思いでしょうか。
 それは4メートルなのです。ですから、正しいスケールモデルでは、直径4センチメートルのピンポン球(太陽)があるときに、0.4ミリメートルの、見えるか見えないかといった砂粒(地球)が、4メートル先のところを回っていることになります。
 このイメージはなかなか想像をされていなかったことではないでしょうか。実はそれには理由があります。この正しいスケールモデルを書籍に描くことは不可能なのです。ですから、書籍では2種類の図のどちらかが用いられます。一つは、太陽と惑星の大きさの比は正しいが、軌道の大きさの比は正しくないもの、もう一つは逆に、軌道の比が正しく太陽や惑星の大きさの比は正しくないものです。そういう2つの図のどちらか、あるいは両方が書籍に描かれているので、それらから3次元的に正しいスケールモデルを想像することは難しいのです。
 よく日食・月食の絵が、描かれていて、月や地球の「影が落ちる」という説明がありますね。ところが、今お話ししたように実は地球の影は、ピンポン球から4メートル先のところを回っている0.4ミリメートルの砂粒の後ろにできる影ですから、スケールモデルでいえばそれは髪の毛1本のようなものです。月の影はもっと細いですね。それが地球や月の動きとともに宇宙空間をすぅーっと通り過ぎていっているわけです。その影の中にもう一つの砂粒がピタッと入るのですね。これは奇跡に近いことです。よく説明に使われる図は、理解をしやすくするために、スケールを無視して大きく描いてあるわけです。

 

 それではこのスケールモデルで、一番外側の惑星である海王星の軌道はどこになるでしょうか。これは120メートルになります。ですから、ピンポン球が太陽だとすると、4メートルが地球の軌道で、120メートルのところが海王星の軌道です。

 

●太陽と一番近い恒星との距離は、太陽3000万個分である
 銀河系には1000億個の桁の星があると言いました。この図がそのイメージだと思ってください。この中で太陽に最も近い星は、ケンタウルス座のアルファ星(α Cen)という星で、距離は4.3光年です。光の速さで4.3年かかるところですね。天文学ではパーセク(pc)という単位をよく使いますが、1パーセクが3.26光年ということを覚えておくと、いつか役に立つかもしれません。

 

 黄色い二つの星マークが、太陽とα Cenのつもりです。さて先ほどのスケールモデルで表すと、α Cenは太陽をピンポン球とするスケールモデルでは、太陽からどのくらいの距離にあるでしょうか。
 答えは1200キロメートルです。1200キロメートルの距離は、例えていえば、東京駅と博多駅の間くらいの距離になります。ピンポン球を何個並べたら東京駅から博多駅に届くかを計算してみます。その答えは、直径と距離の比を計算して、1200キロメートルを4センチメートルで割り、30,000,000ということになります。つまり、ピンポン球を3000万個並べてようやく、一番近い星に行き着くわけですね。これでお分かりのように銀河系の中で星と星の間というのはスカスカなのです。

 

●銀河系とアンドロメダ銀河との距離をスケールモデルで実感する
 アンドロメダ銀河とわれわれの銀河系との距離は、230万光年であると言いました。これは、銀河としては非常に近い隣の銀河です。銀河系の直径は10万光年であるということが分かっています。これを聞くと、先ほどと同じスケールモデルで表すのは不可能だと、分かるはずです。
 ですから、ここではスケールを一挙に変えます。10万光年の大きさを持つ銀河系を、1メートルにします。この縮尺は、10の21乗分の1(10のマイナス21乗)となります。ここまで縮尺を変えると、先ほど1200キロメートルだった太陽とα Cenとの距離が、0.04ミリメートルになります。銀河系全体を1メートルとするこのモデルでは、隣の星までの距離は0.04ミリメートルになるのです。ですから、銀河系全体をこの写真のように外から見ると、無数の星が光の海となって渦巻模様が見えるというイメージがお分かりではないでしょうか。

 

 銀河系の直径は10万光年であることが分かっていますので、アンドロメダ銀河までの230万光年という距離は、銀河系直径の23倍です。そうすると、銀河の中で星と星との間の距離は星の直径の3000万倍で、スカスカだと言いました。ところが、宇宙の中で銀河と銀河同士の距離は直径の23倍です。ということは、銀河の中の星同士に比べれば宇宙の中で銀河は遥かに混み合っているということになります。

 

●銀河同士は衝突することがある
 このように距離が比較的に近いことから、実際に宇宙の中で銀河の衝突というのはかなり起きているのです。上のスライドの写真は、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、実際に衝突をしている銀河の画像です。
 では、このように銀河同士が衝突すると、その中にスカスカに分布している星々はどうなるのでしょうか。
銀河同士が衝突をするのですけれども、星と星との間はスカスカなのですり抜けます。しかし、銀河の万有引力が働いているので、渦巻きの腕のような構造ができます。その後、すり抜けたかのように見えるのですが、通り過ぎた銀河が再びお互いの万有引力で引き戻されます。引き戻されてきて2度目の衝突をします。2度目の衝突でもまた星はすり抜けていきますが、またいろいろなパターンの模様ができてきます。このように万有引力でお互いに引き合っているので、結局2つの銀河は、最終的には1つの銀河に合体をすることになるのです。
 このように、星と星との間はスカスカなので、銀河が衝突しても、星同士が衝突することはほとんどないわけです。

 

トップへ戻る