こむらがえり

こむらがえりは、主にふくらはぎの筋肉が異常に収縮して、痙攣を起こすことで起こります。
 テレビでの高齢者の車の事故で、運転中にこむらがえりが起きて事故ったという報道がありました。これは、本当に恐ろしいことで、運転中にこむらがえりになると、アクセルもブレーキも踏むことができなくなり、大規模な事故が起きるおそれが大きい。
 ちなみに、こむらがえりの「こむら」はふくらはぎのことを指します。その名の通り、ふくらはぎに多く起こりますが、実は、足の裏や指、太もも、胸など、体のどこにでも発生します。
 運動中や就寝中に発症することが多く、妊娠中や加齢によっても起きやすくなります。こむらがえりを起こすと、強い痛みを伴いますが、ほとんどの場合は数分間でおさまります。

 

筋肉の異常な収縮が原因
 ふくらはぎなどの筋肉は過剰に伸びたり、収縮したりすると、無理な動きによって痛めてしまいます。それを防ぐために、2つのセンサーが備わっています。伸びすぎを防ぐのが筋紡錘(きんぼうすい)、縮みすぎを防ぐのが腱紡錘(けんぼうすい)です。そのうちの腱紡錘の働きが低下すると、筋肉が異常に収縮し、痙攣を起こしてしまいます。それが、こむらがえりです。

 

マグネシウム不足に特に注意
 腱紡錘の機能低下には、さまざまな原因が考えられます。最も大きな原因といえるのが、ミネラルバランスの乱れです。カルシウムとカリウムは、筋肉の収縮や神経の伝達をスムーズにする働きがあります。この2つのミネラルを調整しているのが、マグネシウムです。3つとも大切なミネラルですが、特にマグネシウムの不足は腱紡錘の機能低下に大きな影響を与えます。

 

発汗による脱水や冷えも大敵
 ミネラルバランスの乱れのほか、運動中や就寝中の発汗による脱水、冷えなどの血行不良も腱紡錘の機能を低下させる原因になります。また、加齢によっても腱紡錘のセンサー機能は衰えます。そのため、60歳以降はこむらがえりが起こりやすくなります。さらに女性は妊娠中ミネラル不足になりやすく、それが原因でこむらがえりを引き起こすことがあります。

 

治療法とセルフケア ミネラル不足を防ぐ
 予防するには、十分なミネラルの摂取が欠かせません。マグネシウムは、アオサやワカメ、ヒジキなどの海藻類のほか、ナッツ類に多く含まれています。 また、カルシウムは牛乳やチーズなどの乳製品、豆腐や生揚げなどの大豆製品、ししゃもやしらすなど、骨ごと食べられる魚に多く含有されています。
 カリウムは、長いもやさつまいもなどのイモ類、バナナやキウイなどの果物に豊富です。これらの食品はミネラルだけでなく、ほかの栄養価もすぐれているので、意識的に摂取しましょう。

 

運動中や就寝前は水分補給を
 運動時や就寝時は、水分不足でこむらがえりが起きやすくなります。運動中は、スポーツドリンクなどで水分とミネラルをこまめに補給しましょう。また、運動前にカリウムが豊富なバナナを食べるのも予防になります。就寝前にコップ1杯の水を飲むことも有効です。足が冷える人は、就寝時に靴下やストッキングを履くのも、予防につながります。

 

応急処置は患部を伸ばすこと
 こむらがえりが起きた場合は、応急処置として患部を伸ばします。足の指を持ち、体の方へと引き寄せ、アキレス腱を伸ばしましょう。また、壁に足の裏を押しつけて、ふくらはぎを伸ばしても。ただし、無理やり一気に伸ばすと筋肉が損傷し、肉離れを起こすことがあります。慎重に、ゆっくり伸ばしてください。

 

筋弛緩薬や漢方薬での治療も
 こむらがえりは、大半が一過性です。でも、たびたび続く場合は、念のため、循環器系か神経内科、あるいは整形外科を受診しましょう。「ダントリウム」など筋肉を弛緩させる、筋弛緩薬が処方されることが多く、ほとんどの場合は治癒します。副作用として、脱力感やフラフラ感が起こることがあります。 また、漢方薬では、鎮痛作用のある「芍薬(しゃくやく)」と抗炎症作用のある「甘草(かんぞう)」が含まれた「芍薬甘草湯」が効果的です。ただ、甘草は血圧を上げるので、高血圧の人は注意してください。

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