今月のニュースから

6月03日(月)実地指導の標準化・効率化へ確認項目を明示 - 都道府県などに運用指針を通知、厚労省老健局
 厚生労働省老健局はこのほど、介護事業所に対する実地指導の標準化・効率化を目的とした運用指針を定め、都道府県、指定都市、中核市に対して通知を発出した。実地指導時の確認項目や書類、方針について自治体間に生じていた差異を是正し、介護事業所の指定有効期間内に最低1回以上の実地指導を実施するよう促している。
 「実地指導の標準化・効率化等の運用指針」では、訪問介護、通所介護、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、居宅介護支援事業所、認知症対応型共同生活介護、介護老人保健施設、訪問看護に対する実地指導について、「標準確認項目」と「標準確認文書」を定めた。従業者数や管理者の配置状況、緊急時のマニュアル整備などの確認項目を明記(訪問介護36項目、特別養護老人ホーム56項目など)。著しい運営基準違反や不正な請求が見込まれる場合などを除いて、標準確認文書以外の書類の提出を原則として求めないこととしている。
 同指針ではこのほかに、利用者に対するケアの質を確認することを目的としたサービス提供の記録の確認は、原則3人以内とすること(居宅介護支援事業所の場合は、介護支援専門員1人当たり1―2人)や、事業所に提出を求める資料の部数は1部とすること、指定更新時などに事業所が提出した文書については、再提出を求めず自治体内での共有を図ることなどを示している。
 厚労省によると、2017年度の都道府県、指定都市、中核市の実地指導の実施状況は介護保険の全サービス平均で約17.2%。これまで自治体によっては、就業規則や利用者名簿、法人定款の確認を求めるなど、ばらつきが生じていた。   (医療介護CBニュース)

 

6月12日(水)虐待死の再発防止へ 老人ホーム職員の管理体勢に一石 
 有料老人ホーム「サニーライフ北品川」で起きた入居者の虐待死事件は、大手介護事業者の職員管理態勢に一石を投じた。業界内では、高齢化社会で生じる介護人材の不足が虐待を誘発しているとの見方が根強い。介護トラブルの専門家は「施設全体で虐待を防ぐ必要がある」と警鐘を鳴らす。
 同施設を運営する「川島コーポレーション」(本社・千葉県君津市)は「現場の職員がストレスを抱えこまない状況を作ることが、入居者への虐待防止につながる」として、事件後、職員への面談回数を増やし、ストレスチェックを行うなどの再発防止策を実施した。
 傷害致死罪で起訴された根本智紀被告(28)は警視庁の捜査段階で「暴行を加えたことはない」などと否認していたが、職員による虐待行為には介護業界の人手不足や人事評価の不備が関連していると指摘する声もある。
 介護トラブルに詳しい外岡潤弁護士は「施設が大規模化するほど職員も効率一辺倒になり、虐待の芽を見過ごしやすくなる。時間をかけて丁寧に入居者と接する職員を評価する仕組みができていない」と疑問を呈する。
 介護職員の適切な評価に向けた取り組みを進める事業者もある。神奈川県内の社会福祉法人が運営する施設では、職員間で互いの評価を記入し合う「気づきシート」を導入。「入居者に声かけをしながら付き添った」「入居者に対する言葉遣いが乱暴だった」など、日常的な職員の行動をチェックし合うことで、離職率も低下したという
 外岡弁護士は「職員同士がコミュニケーションを図ることで、施設全体としても『何が虐待になるのか』という認識が共有できる」と指摘する。   (産経新聞)

 

6月13日(木)都市部の人件費、定員を考慮した特養の報酬整備を - 九都県市首脳会議が厚労相に要望書
 九都県市(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市)首脳会議は14日、特別養護老人ホーム(特養)の運営と整備に関する要望書を根本匠厚生労働相に宛てて提出する。人件費や物件費が高い都市部の実情や、定員規模に合わせた介護報酬の設定などを求める。
 九都県市首脳会議では、人材不足が理由で各地域の特養の整備が進まない状況について、危機感を共有していた。また、介護報酬に関しては広域型特養(定員30名以上の特養)について、通所介護同様、定員規模別に報酬を設定する仕組みの導入も求める。2017年の介護事業経営実態調査によると、定員規模別の特養の収支差率は、「31―50人」「51―80人」規模の施設は共に0.8%である一方、「81―100人」では2.7%、「101人以上」では2.1%と開きがあり、こうした実態を踏まえたもの。
 要望書ではこのほか、地域医療介護総合確保基金事業で、特養の大規模修繕を補助対象とすること、広域型特養の整備促進に向けた支援策の充実を図ることを求める。   (医療介護CBニュース)

 

6月14日(金)10連休で仕事できず…介護認定遅れる 徳島市長が謝罪
 徳島市は13日、要介護認定の更新手続き137件が期限の5月末までに終わらなかったと発表した。10連休の影響で作業日数が不足するのに、仕事の進め方を管理できていなかったことなどが原因という。遠藤彰良市長は同日の市議会全員協議会で謝罪し、「再発防止に努めたい」と述べた。
 市介護保険課によると、5月末が期限の申請は820件あり、うち137件の処理が6月にずれ込んだ。作業は同課の職員4人と委託先のスタッフ20人が担当しているが、新規を含む申請が前年同時期より約25%多く、10連休を考慮しなかったため間に合わなかった。担当者は「期限が近いものを優先するなどの管理ができていなかった」と話した。
 137件の手続きはすでに終え、利用者が介護サービスを受けられなくなることはない。ただ、今月から要介護度が下がる24件の対象者が、従来と同じサービスを受けると自己負担が必要になる。市は個別に対応を検討するという。
 厚生労働省は10連休を前に、各種の行政サービスに影響が出ないよう求める通知を自治体に出していたという。   (朝日新聞)

 

6月15日(土)高齢人口急増「2040年大量孤独死社会」の恐怖
 「介護」と言われても具体的なイメージはなく、「その時が来ればなんとかなる」と思っている人が多いだろう。これまではそれでも良かった。しかし今後はそうはいかない。高齢化で介護や医療のインフラは圧倒的に足りなくなり、「家族介護」の時代に逆戻りしかねない。人口は減り、国の財政がさらに悪化し、年金不安も増す。この最悪シナリオの主役は高齢者だけでなく、国民全員だ。2040年に向かって何が起ころうとしているのか。
 ◇「民間経営の有料老人ホーム」に1カ月27万円!
 年をとって施設に入るとき、いったいどのくらいの費用が必要かみなさんはご存じだろうか。名古屋市のサトシさん(仮名、80歳)の例を紹介しよう。
 2年前に血管の病気を患い、認知症が進行したため市内の完全介護の有料老人ホームに入所した。現在は症状がさらに進み、自分で歩くこともトイレに行くこともできない。日常の生活のほとんどを施設の職員に頼っている。
 ホームの利用明細を妻ヨーコさん(77)に見せてもらった。
 例えば2019年1月分の利用料は、介護保険3割負担7万3785円▽食費(朝昼夜)3万8148円▽洗濯代4120円▽電気代7696円▽立て替え金2万7581円▽家賃9万6000円▽管理費2万9808円――。合計27万7138円だった。
 この老人ホームは民間企業の経営。入居時負担金はないものの、食費も含む1カ月の費用はかなり高額だ。
 現在、老齢年金の平均月額は、厚生年金約14万7000円、国民年金は約5万5000円(17年度末)だ。一方、自治体の補助などがある特別養護老人ホーム(特養)の費用はざっくり丸めて月額7万〜15万円、民間経営の介護付き有料老人ホームは月額15万〜30万円以上必要といわれる。特に都市部では、年金だけで民間有料老人ホームの費用をまかなうことは難しい。
 サトシさんは大手企業の社員だった。高度成長期に会社員人生を送った“恵まれた世代”だ。それなりの貯蓄があり、毎月の年金額も多く、ホームの費用を何とか支払えている。
 家族は「二度と自宅で暮らすことはないだろうが、それでも施設に入れただけ恵まれていたと思う。本人の年金がなかったら入所は難しかった」と話す。
 費用を低く抑えられる特養への入所希望者は多いが、15年以降、要介護3以上でなければ原則入所できなくなるなど、入所基準は格段と厳しくなった。入所待機者数は高い水準でとどまったままだ。
 年金や貯蓄が少ない人は、介護が必要になっても簡単には施設に入れず、訪問介護や生活援助サービスを利用しながら自宅で過ごすしかない。
 ◇介護人材が絶望的に足りなくなる「2040年問題」
 40年には、就職氷河期世代で非正規雇用の割合が高い団塊ジュニアが高齢期を迎え、高齢者人口全体も約4000万人に達する。関係者は「就業者が減るなか、医療、介護サービスの質は大きく下がるだろう」と予測する。これが福祉分野の「2040年問題」だ。
 特に危機に陥るのは首都圏などの大都市部。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、首都圏の高齢人口は25年以降も増え続ける。
 相模原市で在宅医療に携わる小野沢滋医師は「40年から60年にかけて首都圏の介護と医療は危機的状況になる。特に東京では、高齢者増加に介護や医療のインフラが追いつかなくなる」と警鐘を鳴らす。
 現時点でも、高額な有料老人ホームに入れる人は限られる。特別養護老人ホームは常に空き待ち状態だ。この先、施設に入れない高齢者が爆発的に増えれば、訪問介護のニーズはさらに高まるだろう。
 だがすでに、訪問介護に必要なヘルパーのなり手は足りず、離職者も後を絶たない。未婚率上昇と合わせて、家族がいない「1人暮らし高齢者」も増え続ける。小野沢さんは「医療も介護も受けられない高齢者が増え、大量孤独死社会が来るかもしれない」と心配する。
 ◇燃え尽き症候群になる介護職員たち
 介護の現場は今、ヒリヒリとした緊張感と危機感に覆われている。
 派遣された家はゴミ屋敷。トイレに汚物がこびりつき、あちこちに失禁の跡がある。ヘルパーが到着すると延々説教を始める認知症患者は、次の派遣先に向かおうとすると、「途中で席を立つとは何ごとか」と何時間も怒り狂う。
 「俺の話を聞いてくれ。話し相手になってくれ」と懇願する男性、スーパーで毎日1万円の買い物をする認知症の人、寂しいので近所の子どもにお金を配ってしまう人もいる。
 1人暮らしで介護が必要な高齢者はこれから増えるばかり。だが彼らをケアできる人材は年々減っている。千葉市のケアマネジャー、吉松美津代さん(71)は「福祉業界に悪い人はいない。みんな優しいし、よくやるねという人ばかり。何でも優しくてやってくれる。でも善意ではもたない。燃え尽きる人もいる」という。
 吉松さんは18年、在宅ケアの担い手を育てようと、NPO法人「千葉西地域包括多職種の会」を設立した。地域住民を対象に勉強会を開き、傾聴や病院内介助、認知症患者見守りができる人材を育てたいと考えている。
 吉松さんは「ヘルパーやケアマネジャーが高齢者のケアをすべて担うのは難しくなっている。隙間(すきま)を埋めるケア技術を持つボランティアを地域で育てたい。担い手になっておけば、実際に介護を受ける時にも役立つ」と呼びかける。
 大量介護時代の2040年まであと20年。残された時間は多くない。   (毎日新聞)

 

6月17日(月)保育所など社福法人にも持ち株型導入へ 運営効率化狙い
 介護施設や保育所などを運営する小規模な社会福祉法人どうしの連携を促すため、厚生労働省は「連携法人制度」を導入する。企業の持ち株会社のような「連携法人」の下にぶら下がった社会福祉法人が、人材や資金などを融通し合えるようにして、運営の効率化を図る。来年の通常国会への社会福祉法改正案の提出を目指す。
 17日の有識者検討会で制度導入の方向性を決めた。詳細は今秋から検討する。
 社会福祉法人は全国に約2万あり、1施設だけ運営している法人も多い。法人どうしの合併は、経営理念の違いや会計面での難しさなどから、年10〜20件程度にとどまる。新制度ができれば、それぞれの法人が一定の独立性を保ったまま、職員の採用・研修や資材購入などを一緒に行いやすくなる。   (朝日新聞)

 

6月17日(月)介護事業者の業務管理体制監督権限を中核市に移譲 - 厚労省通知、施行は21年度から
 厚生労働省は、2021年4月1日から施行される介護保険法の一部改正について、都道府県や中核市などに通知した。事業所が全て同一の中核市内にある介護事業者の業務管理体制の届け出の受理などの権限を都道府県から中核市に移譲することで、不正事案があった際の事業所への立ち入り検査と本部の業務管理体制の確認などを一元化する。
 法改正では、介護事業者の業務管理体制に関する届け出や、立ち入り検査などに関する事務・権限を事業所が1つの中核市内にとどまる事業者に限り、移譲する。
 現在の制度では、介護事業者の業務管理体制(法令遵守責任者の選任など)の整備・監督の権限は、地域密着型サービスのみを提供する事業者を除き、都道府県(または指定都市)の管轄になっている。一方で、事業所の指定(新規指定・許可、指定の更新、取り消しなど)や指導は中核市が担っている。   (医療介護CBニュース)

 

6月19日(水)介護が必要となった要因、認知症が最多 - 2019年版高齢社会白書
 政府が18日の閣議で決定した2019年版の「高齢社会白書」では、介護保険制度で要介護・要支援の認定を受けた人が増加していることを指摘。介護が必要となった主な要因については、認知症が最も多いことを取り上げている。
 白書では、介護が必要となった主な要因として、▽認知症(18.7%)▽脳血管疾患(15.1%)▽高齢による衰弱(13.8%)▽骨折・転倒(12.5%)―を挙げている。男女別に見ると、男性は脳血管疾患(23.0%)、女性は認知症(20.5%)が「特に多くなっている」と説明している。
 こうした状況などを踏まえ、要介護状態になることを予防し、要介護状態となった場合でも、できるだけ地域において自立した日常生活を営むことができるように、「市町村における地域の実情に応じた効果的・効率的な介護予防の取組を推進する」と明記。認知症施策については、「国を挙げて取り組むべき課題」としている。
 在宅医療・介護サービスについては、地域医療介護総合確保基金を活用し、引き続き各都道府県が策定した事業計画に基づいて提供体制の整備に必要な取り組みを実施していく方向性を提示。19年度は「在宅医療・介護連携に関する取組の推進・充実を図るために、事業の検証及び充実の検討等を行う」としている。   (医療介護CBニュース)

 

6月23日(日)プレミアム付き商品券、負担金額超えた受領はダメ - 厚生労働省が日本医師会などに事務連絡
  厚生労働省は、日本医師会や日本病院会などの関係団体に対し、消費税増税の影響緩和を目的とした低所得者・子育て世帯向けのプレミアム付き商品券に関する事務連絡を出した。
 事務連絡では、プレミアム付き商品券について、「原則、医療や介護の自己負担の支払いに充てることが可能」と説明。市町村などが区域内の医療機関を含む民間事業者を対象に商品券を使用可能な事業者を公募することに触れ、「各事業者における応募は任意」といった見解を示している。
 商品券による支払いについては、「お釣りが出ないこととされている」などと説明。商品券で支払いを受ける際は、一部負担金の額を超える額面の商品券を受領しないよう求めている。例えば、一部負担金が900円の場合、500円の商品券2枚ではなく、500円の商品券1枚と現金400円を受け取る必要があるとしている。   (医療介護CBニュース)

 

6月25日(火)介護、病気、ひきこもり…すべて「断らない相談窓口」へ
 介護や病気、ひきこもりなど複数の問題を抱える人や家庭への一体的な対応を目指し、厚生労働省は、市区町村が一つの窓口で相談を受け付けられる体制整備を進める。住民が問題ごとに別々の窓口をたらい回しにされる現状を改め、ワンストップで対応する「断らない相談窓口」への転換を図る。来年の通常国会での関連法改正を目指す。
 厚労省によると、支援を必要とする人の60%は問題を二つ以上、34%は三つ以上を抱えている。たとえば病気に苦しむ80代の親が、50代のひきこもりの子どもと同居する「8050(はちまるごーまる)問題」に直面していたり、現役世代が、親の介護と子育ての「ダブルケア」で負担が重くなっていたりする。
 一方、市区町村は、問題の種類や年齢に応じて別々の部署で対応している場合も多い。国の支援事業の根拠法や財源が違うことがネックになっているという。
 厚労省は、事業同士の融通性を高める制度改正を検討している。市区町村が総合相談窓口を置き、関係部署をつないだりできるようにする。時間が経つと抱える問題は増えたり変わったりするため、継続的に関わる「伴走型支援」につなげる狙いもある。    (朝日新聞)

 

6月25日(火)「仮説」と「検証」で実効性ある介護保険事業計画を - 見える化システム、7月に在宅医療データを拡充
 地域包括ケアシステムの構築に向けて、市町村による主体的な政策立案と実行力が問われている。介護保険事業(支援)計画等の策定・実行を総合的に支援するために厚生労働省が提供する情報システム「地域包括ケア『見える化』システム」の開発に携わる三菱総合研究所(東京都千代田区)の松下知己主席研究員は、自治体固有の課題を見つけ出す上で、まずは自らの地域の特徴を、ほかの自治体との比較から把握し、その原因について仮説を立てて、さらにデータ検証していくことが有効だと説く。7月には在宅医療・介護連携に関するデータが拡充される。
 「見える化」システムについて7月中に予定されるアップデートでは、システムが提供するデータのうち、訪問診療を実施している診療所の数や、居宅介護支援事業所の入院時情報連携加算の算定回数といった在宅医療・介護連携分野の指標が拡充される。また、2019年度末には第8期計画策定に向けて、将来推計機能などを改修する。分析支援としては2つの指標を任意で組み合わせ、散布図の作成も可能になるという。保健医療福祉に関する研究に取り組む埼玉県立大主催のセミナーに参加した市町村の介護保険や在宅医療の担当者らに対してこうした状況が紹介された。
 「見える化」システムは、都道府県や市町村が介護保険事業(支援)計画の策定や進捗の管理に使うために、地域データの分析を支援する情報システム。各市町村の人口推移や要介護認定データや介護レセプト情報など、国が持つ統計データを整理して毎月更新している。こうしたデータをグラフや地図に置き換えて、地域ごとの課題やその変化、必要になる介護サービス量の見込み、計画と実態のギャップなどについて分析材料を得ることができる。国が調査研究などを通じて収集した自治体の取り組み事例を参照することなども可能だ。一般にも一部の機能が公開されている。自治体では第7期介護保険事業(支援)計画(計画期間18-20年度)の立案から導入された。
 松下主席研究員は、例えば地域の「介護給付費」について分析し、その対策を検討する場合、「要介護(要支援)認定率」や「受給率」など、介護給付費を構成する要素を分解して、施策や事業によって数値の変化が期待できる部分に着目することが重要だと強調。こうした要素について、ほかの自治体と比べて特徴的な点や時系列で並べたときの変化を把握しながら各地域の特徴に合った対策を多層的に検討していくことになるとした。   (医療介護CBニュース)

 

6月26日(水)防災情報、危険度を5段階で分かりやすく 介護施設などに周知 厚労省
 大雨や洪水、土砂災害などの危険を国や自治体が伝える「防災情報」の運用が変わり、新たに5段階の「警戒レベル」とともに公表されることになった。
介護施設などが避難を始める目安となる従来の「避難準備」は、新たな警戒レベルの「警戒レベル3」にあたる。
 厚労省はこれらを周知する事務連絡を事業者団体などへ出した。「リアルタイムで発信される情報を自ら把握し、早めの避難措置を講じる必要がある」などと改めて呼びかけている。国が新たな警戒レベルを使い始めたのは、避難のタイミングを分かりやすくして逃げ遅れを防ぐことが狙い。警戒レベルごとに取るべき行動を明確化することで、住民などがより直感的に理解できるよう改善した形だ。昨年7月の西日本豪雨などを受けて、これまでの「避難準備」「避難指示」「避難勧告」といった言葉が難解でうまく伝わらないことが、被害をより深刻にする一因だと指摘されていた。
5段階の警戒レベルと取るべき行動は以下の通り。

 

気象庁が発表する「早期注意情報」が「警戒レベル1」、「洪水注意報」や「大雨注意報」などが「警戒レベル2」にあたる。国や市町村が発令する「洪水警報」「避難準備・高齢者等避難開始」などが「警戒レベル3」だ。「避難勧告」「避難指示」「氾濫危険情報」などが「警戒レベル4」に該当する。国は今回、こうした種々の用語をその危険度に応じて5段階に整理した。  (介護のニュースJoint)

 

6月27日(木)看護職員確保へ、厚労省が報告書のたたき台を提示 - 需給分科会
 厚生労働省は27日、「医療従事者の需給に関する検討会」の看護職員需給分科会に、看護職員の確保策に関する報告書のたたき台を示した。離職を防ぐため、多様な働き方の推進策や勤務間インターバルの導入を検討することなどを提言している。厚労省はこの日の意見や、各都道府県が実施している看護職員の需給推計の結果を反映させた報告書を、9月ごろに公表する予定だ。
 報告書のたたき台は、看護職員に関する、▽定着促進▽新規養成▽復職支援▽訪問看護や介護分野などでの確保▽地域間、領域間での偏在への対応▽確保策推進の仕組み―の6項目で構成され、それぞれの具体的な取り組みなどを記載している。
 定着促進では、夜勤従事者を確保するなどの勤務環境の改善を図る。看護職員が健康に働き続けられる職場にするため、早朝のみの勤務や短時間労働といった柔軟で多様な働き方の推進策や、交代制勤務の看護職員に適した勤務間インターバルの導入を検討したりする。
 看護職員は患者やその家族からだけでなく、同じ職場のほかの職員からもハラスメントを受ける場合があることから、医療現場でのハラスメント対策を進める。2019年度の厚生労働科学特別研究事業で、患者らからの暴言や暴力に関する実態調査を実施し、課題を明確化。その結果を基に、医療機関が対応マニュアルを作る際に参考となるような指針を策定する。さらに、ハラスメントの防止に関するポスターの作成や、対応策を効率的に学べるe−ラーニングの取り組みを支援する。
 定着の促進策の一環として、看護補助者の確保や活用も進める。厚労省によると、医療機関の約4割が必要な数の看護補助者を配置できていないと認識していることから、19年度中に看護補助者に関する実態調査の結果を公表。それを踏まえて、組織での看護補助者の位置付けや役割、正規の看護職員との適切な業務分担、新たな名称の検討に着手する。
 新規養成については、看護を目指す人に、養成時から多様なキャリアパスを理解してもらうための支援をする。具体的には、学生時代から地域のさまざまな施設で職場体験ができるようなインターンシップなどをサポート。また、地域での就職を希望する学生への支援を検討したり、厚労省の「看護職のキャリアと働き方支援サイト」などの周知・活用を促したりする。
■離職時の届出制度、マッチング機能などを充実へ
 復職支援では、離職時などに看護職員が氏名や免許番号などを都道府県ナースセンターへ届け出る制度を、実効性のあるものにする。この制度の認知度は看護職員全体の約3割にとどまっており、離職者の約1割しか届け出ていないことから、学生へのキャリア教育などでこの制度を周知するほか、届出件数が増えている都道府県の取り組みや好事例を「横展開」する。また、離職者が届け出のメリットを実感できるよう、離職者のニーズに合わせた情報の提供やマッチング機能の充実を図る。
 たたき台に対して、強い反対意見は出なかったが、委員からは、「ハラスメントの書きぶりが弱い」「看護補助者の位置付けの検討を盛り込むべき」「看護と介護の枠組みを明確にすべき」といった指摘があった。厚労省は、早ければ8月ごろに開催する次の会合で、各都道府県による看護職員の需給推計の結果を報告する。   (医療介護CBニュース)

 

6月27日(木)介護現場に補助用具を 腰痛による離職、ゼロの事業所も
 佐賀県で、介護現場で利用者を抱え上げる際の負担を軽減する補助用具を導入し、腰痛による離職者がいなくなった事業所がある。一方で補助用具を導入する事業所は県内で、わずか数%にとどまる。「補助用具を使うと時間がかかる」などの誤解があるのが主な理由で、県は8月から研修会を開くなど理解の促進を図る。
 「入浴時に利用者を抱え上げる動作が6回からゼロになった」。多久市の特別養護老人ホーム「天寿荘」の職員は24日、視察に訪れた県議会文教厚生常任委員会のメンバーを移乗用リフトに乗せ、笑顔で説明した。
 同事業所では以前、利用者の重度化などによって介護業務の負担が増え、職員の休職や離職が相次いだ。その後も職員の約6割が腰痛を訴えた。4年前に施設の新築を機に、リフト10台を導入。「職員2人で利用者を抱えた方が早いのではないか」との思いもあったが、入浴のような複数の人手が必要だった作業も職員1人でできるようになり、新たな腰痛の発症、離職者はゼロになったという。
 しかし、県長寿社会課によると、県内で介護保険の指定を受けている特養やグループホームなど計約2000事業所のうち、国の助成金でリフトなどを導入したのは2016年度から3年間でわずか68事業所にとどまっている。
 導入しない主な理由として事業所は「用具を使った方が作業に時間がかかる」などと説明。国による助成もあることから、同課は導入が進まない理由は予算面よりも「誤解が先行しているため」とみている。
 介護従事者は県内に約1万3000人(17年)いると推計され、全国的に高齢化がピークを迎える25年には県内でも約600人の介護人材が不足するとされている。
 同課は25日の県議会同常任委で、補助用具による「抱え上げない介護」を「施設に推進すべき取り組み」と表明。今年度は8月29日から在宅サポートセンター(佐賀市神野東)で事業所を対象にした研修会を計3回開催する予定だ。   (毎日新聞)

トップへ戻る