今月のニュースから

5月02日(木)特養職員の負担増加 利用者との対話時間「減った」
 特別養護老人ホームの入居要件が2015年度に引き上げられた影響について、NPO法人「介護保険市民オンブズマン機構大阪」が調査し、報告書にまとめた。機構は「重度の利用者が増え、職員の負担は増した。医療的対応も増え、本来『生活の場』である特養のあり方が問われている」と懸念している。
 厚生労働省は15年度、特養の新規入居要件を原則「要介護3以上」に厳格化。それまでは要介護1や2でも入る権利があった。機構は、この影響を探るため、14年度と18年度の変化を調査。昨夏、関西140カ所の特養施設長へ郵送でアンケートを実施し、32施設が回答した。
 18年度の認知症利用者の割合は80.5%で、14年度より3.7ポイント増。車いす利用者は73.9%と3.6ポイント増えた。一方、職員1人あたりの利用者数は14年度1.94人、18年度1.98人でほとんど変わらなかった。職員と利用者の対話時間については、「変わらない」とした施設がほぼ半数だったものの、「減った」も半数近くあった。  (朝日新聞)

 

5月04日(土)月額平均給与、特養で最も高く33.2万円 - 18年度介護職員処遇状況等調査分析、特養編
厚生労働省が4月上旬に公表した2018年度の介護従事者処遇状況等調査結果。調査対象のサービス提供事業者の中で、介護職員の平均給与額(月給制)が最も高かったのは介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム、特養)で、33万2260円だった。調査は介護職員処遇改善加算のいずれかを取得している施設が対象。勤続年数も平均以上の数値が出ていた。 
同調査は18年10月に実施。特別養護老人ホームについては、全国の7858施設中、2032施設を抽出(抽出率4分の1)し、有効回答数は1520施設(74.9%)だった。
 18年度時点の特養の介護職員の平均給与額(月給制)は常勤の職員(7872人)で、17年度から1万2390円増えて33万2260円(介護老人保健施設、介護療養型医療施設、訪問介護事業所、地域密着型を含む通所介護事業所、認知症対応型共同生活介護事業所を含む全施設の介護職員平均は30万970円)だった。平均年齢は39.3歳(全施設平均は43.2歳)で、平均勤続年数は8.0年(全施設平均は7.6年)。非常勤の職員(60人)の平均給与額(月給制)は23万9290円(全施設平均は20万9470円)。
 介護職員処遇改善加算のうち、最も取得要件が厳しい(I)を届け出ている施設の割合は84.7%(全施設平均は69.3%)で対象施設中最も高い。(II)を届け出ている事業所を対象に、(I)を届け出ていない理由を聞いたところ(複数回答)、「介護職員の昇給の仕組みを設けることにより、職種間・事業所間の賃金のバランスがとれなくなることが懸念されるため」が60.2%で最も高く、全施設平均(44.4%)より高かった。
 17年度時点と比較して、職員の給与等を「引き上げた」と回答した施設(85.4%)の引き上げの方法については、「定期昇給を実施(予定)」(89.7%)が最も高く、対象施設中でも最も高かった。これに「各種手当ての引き上げまたは新設(予定)」33.3%、「賞与等の支給金額の引き上げまたは新設(予定)」13.5%などと続いている。  (医療介護CBニュース)

 

5月07日(火)ケアマネ協会、「価格競争」促す財務省案に意見 - 複数事業所紹介の義務化に反論
日本介護支援専門員協会の柴口里則会長は、財政制度等審議会(財政審)で財務省が提案した、複数の事業所によるサービスの紹介の介護支援専門員(ケアマネジャー)への義務化について反対意見を表明した。財務省案は複数事業所のサービス内容と共に、利用者負担額についてケアマネジャーが説明することで「確実に価格競争が行われる仕組み」の構築を促すもの。これを受けて同協会は「利用者による正当な事業者の評価を阻害する可能性が高い」などと反論している。
 財務相の諮問機関である財政審の財政制度分科会は4月23日、社会保障改革について議論。介護分野については、在宅系サービスへの総量規制・公募制の導入や、25対1医療療養病床・介護療養病床の介護医療院などへの転換推進策が議題に上った。
 日本介護支援専門員協会が問題視しているのは、財務省が介護保険給付の「効率的な提供」を目的に在宅サービスの在り方の見直しを求めた案。ケアマネジャーがケアプランを作成する際に「利用者側の求めによらずとも、単なる情報提供にとどまらず複数の事業所のサービス内容と利用者負担(加減算による差等)について説明することを義務化することにより、利用者に比較検討の機会を確保し、サービス価格の透明性を向上すべき」と指摘している。財務省は介護保険サービスの価格について、介護報酬を下回る設定が可能な仕組みでありながら、「報酬の上限に張り付いている実態にある」ことを問題視。ケアマネジャーの活用で「確実に価格競争が行われる仕組み(より良いサービスがより安価に提供される仕組み)を構築」する狙いがある。
 意見表明ではこれに対して、「質の改善に関する取り組みを評価し、加算を設定している現在の介護保険制度と逆行する考え」と指摘した。また、協会が4月24―25日に実施した緊急調査(回答者数259名)の結果では、ケアマネジャーの「半数以上が、利用者は複数事業所の紹介を求めていないと回答している」などとして、複数事業所を示しても「利用者に有益となる価格競争は起きない」「現場職員からのヒアリング等を通じ、実態を踏まえた慎重な検討をすべき」などの考えを示した。
 意見表明は協会の都道府県支部などに宛てたもので、現段階では関係省庁などへの意見書の提出や働き掛けは予定していない。  (医療介護CBニュース)

 

5月07日(火)介護医療院全国で150施設に、厚労省公表 - 7都府県で初開設、未開設は6県に
 2019年3月末時点の介護医療院の数は全国計150施設だったことが、厚生労働省の集計結果で明らかになった。3カ月前の前回の集計時から37施設増加した。都道府県別では7都府県で初めて開設があり、未開設は6県になった。
 介護医療院は長期的な医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者の受け入れを目的として、18年4月の介護保険法改正で創設された介護保険施設。施設基準が介護療養病床相当の「I型」と、老人保健施設相当以上の「II型」に類型化されている。
 全国にある計150施設のうち、「I型」は92施設(前回調査から24市設増)、「II型」は55施設(12施設増)、これらの混合が3施設(1施設増)だった。転換元で最も多いのは、介護療養病床(病院)の91施設で、これに介護療養型老人保健施設の31施設、18年度診療報酬改定後の療養病棟入院料1、または同2を算定している医療療養病床の26施設などと続いた。
 都道府県別に見ると、15施設ある北海道が最も多く、以下は山口(10施設)、富山・岡山(9施設)などの順。また、18年12月末時点では0施設だった山形、栃木、千葉、東京、神奈川、三重、京都で新設があった。未開設は岩手、宮城、新潟、滋賀、和歌山、宮崎の6県。
■介護医療院のベッド数は初の1万床超え、最多は福岡
 19年3月末時点の介護医療院のベッド数は計1万28床で、3カ月前から2614床増えた。類型別では、「I型」が6858床、「II型」が3170床。都道府県別の最多は福岡の931床。以下は北海道(761床)、山口(622床)、富山(598床)、静岡(552床)などと続いた。
 介護医療院の開設状況などについては、厚労省が集計し、3カ月ごとに公表している。  (医療介護CBニュース)

 

5月10日(金)ケアマネ支援で家族の勤務実態踏まえたケアプランを - 政府の規制改革推進会議が意見書
政府の規制改革推進会議は10日、「介護離職ゼロ」に向け、仕事と介護の両立支援策の拡充を求める意見書をまとめた。家族介護者が介護休暇を時間単位で取得できるよう法改正を行い、介護支援専門員(ケアマネジャー)が、就労している家族の勤務実態も踏まえてケアプランを作成できるよう、必要な情報提供と支援を行うことを求めている。
 意見書では、認知症の家族の介護について、▽症状の進行や変化に応じたケアプランの見直し▽家族介護者自身のケアを目的とした介護の専門職との相談の機会の確保―の必要性を指摘。ケアマネジャーがケアプランの見直しを行うモニタリングの際に、家族介護者が同席できるよう、介護休暇を時間単位で取得可能とする法改正を求めた。ケアマネジャーに対しても、家族の勤務実態を踏まえたケアプランの作成ができるよう、セミナーの開催やその受講を評価する仕組みを求めている。
 このほか、労働者が介護保険の第2号被保険者に該当する40歳になる時点で、介護休暇や短時間勤務制度など、仕事と介護の両立支援制度に関する情報提供を行うよう関係機関に働き掛けることや、相談窓口として地域包括支援センターが活用できることを周知する。  (医療介護CBニュース)

 

5月10日(金)総合事業の訪問・通所介護、国の新たな単価が公表 今年10月から適用へ
要支援1・2の高齢者を対象とした訪問介護と通所介護について、国として定めている単価も改められた。適用は介護報酬改定が実施される今年10月。要介護者への給付と同様に、消費税率の10%への引き上げで嵩む事業所の出費を補填する意味合いがある。確定した単価が公表されるのは今回が初めて。
 例えば訪問。訪問型サービス費Iは1168単位から1172単位へ、訪問型サービス費IIは2335単位から2342単位へアップされた。通所の要支援1は1655単位に、要支援2は3393単位に変わっている。
要支援者に対する訪問・通所介護の報酬は、この実施要綱で国が定めている単価を上限として各市町村がそれぞれ決めるルールだ。実際の金額は地域によって異なってくるが、実施要綱の単価をそのまま用いているところも少なくない。
 今回の実施要綱の改正ではこのほか、新たな「特定処遇改善加算」の総合事業の加算率も明示された。訪問・通所介護ともに要介護者への給付と同率となっている。  (介護ニュースJoint)

 

5月16日(木)団塊世代が後期高齢者になる時代の福祉
団塊の世代が全て後期高齢者となる令和7(2025)年以降の東京の福祉施策について、東京都の社会福祉審議会検討分科会が、来年1月にも意見書案をまとめることが分かった。少子高齢化が進む中、介護人材が不足し、「地域のつながり」も希薄になっており、対策は急務となっている。意見書は同2月にも小池百合子知事に提出する。
 都の試算によると、都内の人口は、団塊の世代(昭和22〜24年生まれの人)が75歳以上の後期高齢者となる令和7年の1417万人をピークに減少に転じるとされている。
 その後は急速に社会の高齢化が進み、32年には高齢化率は31%となり、22・7%だった平成27年を約10ポイント上回る試算。介護人材の不足も予想されており、介護職員数は、令和7年度に約3万5千人不足すると推計されている。分科会では、こうした急速な変化に対応するため、都の福祉政策を抜本的に検討する。
 15日に開かれた初会合では、外国人材受け入れによる介護職員の確保や、AI(人工知能)などの先端技術の導入による介護現場の効率化などの必要性を、委員が指摘した。
 また、団塊世代の子供世代「団塊ジュニア」をめぐって、未婚のまま親に収入を依存する「パラサイトシングル」問題も指摘されており、ある委員は「20年後に親が亡くなった後に危機が訪れる」と強調。他にも「住民が主体性と当事者意識を持って地域活動に参加する体制整備が必要」との意見もあった。  (産経新聞)

 

5月16日(木)70代の認知症「6%減」…政府、25年を目標
政府は16日、認知症対策の新たな行動計画となる「認知症大綱」の原案を有識者会議に示した。予防と共生の取り組みを強化し、70代の認知症の人の割合を2025年までに6%減らすという数値目標を掲げた。来月の関係閣僚会議で大綱を正式決定する。
 大綱は、介護なしで日常生活を送れる「健康寿命」を延ばし、社会保障費を抑える狙いがある。団塊の世代が75歳以上となる25年までの取り組みを打ち出そうとしている。
 認知症予防には、適度な運動や社会的孤立の解消が役立つとみて、運動教室や教育講座などに力を入れるよう自治体に働きかける。予防に効果があるとされるサプリメントを認証する仕組みも検討する。こうした対策を講じることで、70代の認知症の人の割合を19年からの6年間で6%減らす。70代前半は3・6%から3・4%に、70代後半は10・4%から9・8%に低下させることを目指す。
 国の認知症対策はこれまで、15年の「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」に基づき、認知症の人との共生に力点を置いてきた。今回、取り組みを認知症予防との2本柱としたうえで大綱に格上げする。  (読売新聞)

 

5月22日(水)認知症団体が政府へ提言 予防強調に懸念も
認知症の人と家族らの団体で作る「認知症関係当事者・支援者連絡会議」が22日、認知症施策の提言を厚生労働省に出した。介護・医療サービスの充実など6項目を示し、政府が6月に策定する認知症大綱に反映するよう求めた。
 連絡会議には、認知症の人と家族の会や全国若年認知症家族会・支援者連絡協議会など4団体が参加している。提言では、医師の診断技術や福祉職員の認知症対応力の向上、介護保険制度で認知症の症状を適正に評価した要介護認定や家事援助の拡充、介護離職対策などを求めた。
 政府は今月発表した大綱案に、認知症の発症年齢を遅らせて、70代の「有病率」を6%減らす数値目標を初めて盛り込んだ。厚労省内で同日記者会見した認知症の人と家族の会の鈴木森夫代表理事は「予防をあまりにも強調することで、『認知症の人は努力が足りなかった』と受け止められないか」と懸念を示した。  (毎日新聞)

 

5月22日(水)「リーダー格」職員がなぜ 介護施設殺人「情報共有で虐待防止を」
東京都品川区の介護付き有料老人ホーム「サニーライフ北品川」で入所者を殺害したとして、殺人容疑で逮捕された元職員の根本智紀容疑者(28)は、系列の介護施設で4年以上の勤務経験があり、夜勤帯には「リーダー格」として業務に当たっていた。介護施設などでの職員による高齢者への虐待は後を絶たず、関係者は「中堅職員には負担が集中する傾向がある。施設間でも情報を共有し、職員による虐待を防ぐ取り組みが必要だ」と指摘する。
 施設の運営会社などによると、根本容疑者は平成26年7月に入社し、昨年3月には介護福祉士の資格を取得。都内の系列の施設で勤務していたが、「違った環境を経験してキャリアアップしたい」と自ら志願し、同11月末に開設間もない「サニーライフ北品川」に異動した。仕事上のトラブルはなく、「入所者の状況把握にたけている」と評価されていたという。
 厚生労働省によると、29年度に介護施設などの職員による高齢者への虐待があったと判断された件数は510件で、調査が始まった18年度から11年連続で増加。虐待被害を特定できた高齢者は854人に上り、約6割が殴る蹴るなどの身体的虐待を受けていた。
 介護施設で虐待が多発する背景には、慢性的な人手不足で職員がストレスを抱えやすいことも影響している。介護職の労働組合「日本介護クラフトユニオン」が28年に実施したアンケート(複数回答)では、虐待が起きる原因として、業務の負担が多い(54.3%)▽仕事上でのストレス(48.9%)▽人材不足(42.8%)−などを挙げる組合員が目立った。
 同ユニオンの村上久美子副事務局長は「低賃金など介護業界の労働環境を改善し、人手不足を解消することが最優先。職員の相談窓口を設けるなど、施設単位ではなく会社全体でサポートしていくべきだ」と話した。  (産経新聞)

 

5月24日(土)「施設」まだ必要か 都内特養の入所待機者調査から問題提起〈高齢者協〉
「負の財産を後世に残すことになってしまわないか」。東京都社会福祉協議会の高齢者福祉施設協議会(高齢者協)は、都内特別養護老人ホームの入所待機者調査から、こう問題提起する。2015年4月から特養入所は「原則要介護3以上」とされたことで、待機者数が全国的に減ったため、実態をより正確に把握しようと調査をした。その結果から見えてきたこととは。
 調査は3年連続で、今回は3年目。昨年2〜3月に高齢者協会員の特養473施設を対象に実施し、263施設から回答を得た(回収率56%)。 
 それによると、入所申し込みの窓口は「各施設」が多く、待機者名簿の管理は、23区では「各施設と自治体」、多摩東部・西部では「各施設」が多かった。
 待機者名簿の更新期間は、「1年以内」が23区では8割だったが、多摩東部・西部では5割にとどまった。また、自治体の入所指針で申し込みに有効期限の定めがないのは5割を占めた。
 入所の順番が来た待機者に案内して断られたケースは、1年間で1施設当たり平均15人だった。高齢者協制度検討委員会の宮澤良浩委員長(和楽ホーム施設長)は「当ホームの退所者は年約25人なので15人は多い。申込者イコール入所希望者ではない実態がある」と指摘する。
 待機者数をめぐってはかねて、複数の施設に申し込んでいたり、申し込んだまま放置されたりしていることが問題視されてきた。宮澤氏は「どこまで待機者の名寄せができているか。名簿の精度を上げる必要がある」と強調する。        
 名簿上の待機者数は14年と17年を比べると、1施設当たり平均で28%減った。
 気になるのはその理由(複数回答)。「特養や有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅の増加」の影響を挙げる回答が多かった。23区では65%を占めた。
 また、多摩西部では、ベッド買いと言われる「所在地以外の市区町村からの入所」の希望者が減ったことも目立った。
 これらから懸念するのは「正確でない待機者の名簿によって施設が多く造られ、人が集まらず開設できない。一方、今ある施設は空きベッドができるという負の循環」。そうならないためにも待機者名簿の精度向上を求めている。
 宮澤氏は「施設と人のバランスが取れないと、公費を使って施設を造っても無駄になる。見極めが必要」と指摘。さらに「今ある施設を大規模化したり、人件費を手厚くしたりして有効に活用すべきだ」とも言う。
 各自治体では第8期(21〜23年度)の介護保険事業(支援)計画の策定に向けた準備に取りかかっている。
 待機者数を正確に把握するシステムづくりや高齢者数がピークを過ぎた後の施設の活用を含め、「今立ち止まって考えなくてはいけない問題だ」と宮澤氏は話す。  (福祉新聞)

 

5月24日(金)「認知症利用者、混乱しないように…」ケアマネが無断で印鑑
 京都府八幡市社会福祉協議会のケアマネジャーが、介護サービス利用者114人分の印鑑を無断で用意し、本人や家族の許可無く使用していたことが23日、分かった。城陽市社協でも利用者5人分の印鑑を無断で用意、使用していた。いずれも書類に印鑑をもらい忘れたり、利用者本人が印鑑の管理が難しかったりした場合に押印していたという。
 介護保険法に基づく省令は、月1回、ケアマネが利用者を訪問して面接することや、介護サービスの内容や保険料などを示した計画書を説明し、同意を得なければならないと規定。同意を得た証しとして押印しているという。
 八幡市社協では、10年ほど前からこうした運用が行われており、無断で用意した印鑑114人分(119本)を確認。93人分(97本)が使用されていた。城陽市社協でも印鑑5本を本人や家族の許可無く用意、使用していた。
 両市社協のケアマネは市などの聞き取りに対し「認知症の利用者の場合、再訪問すると混乱させてしまうことがある」「介護サービスの予定を記した利用票には必ず確認印が必要と思い込み、無断で押印していた」と説明しているという。今後、利用者に謝罪するとともに再発防止を徹底するとしている。  (京都新聞)

 

5月27日(月)介護予防推進の議論着手=「通いの場」拡大など−厚労省検討会
高齢者の介護予防推進に向けた厚生労働省の有識者検討会(座長・遠藤久夫国立社会保障・人口問題研究所長)が27日、都内で初会合を開いた。
 地域で高齢者らが交流し、介護予防効果が期待できる「通いの場」の活用拡大策などをテーマに議論を進める。  (時事通信社)

 

5月29日(水)健康寿命、40年までに75歳以上に延伸 - 厚労省方針、少ない人手で現場回せるように
将来の現役世代の減少を見据えて、厚生労働省は少ない人手でも医療や介護の現場を回せるよう、健康上の問題で日常生活を制限されることなく過ごせる期間を示す「健康寿命」の延伸に取り組む。同省の「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」は29日の会合で、病気や介護の予防などを推進し、健康寿命を40年までに75歳以上に延ばす目標を示した。こうした方針を、国の経済・財政政策の基本的な方向性を打ち出す骨太方針2019に反映させたい考えだ。
 この改革本部は、根本匠厚労相を本部長として、18年10月に設置された検討の場で、29日にこれまでの議論を取りまとめた。
 それによると、40年ごろには高齢者の人口がピークを迎える一方で、現役世代の人が急激に減ることから、より少ない人員でも医療や介護の現場を円滑に回せるようにする必要があると指摘。そのため厚労省は、▽健康寿命の延伸▽医療・福祉サービスの改革▽多様な就労・社会参加―を柱に据え、各施策を進める。
 このうち、健康寿命の延伸については、40年までに健康寿命を男女とも75歳以上とする。具体的な数値目標は、男性が75.14歳以上、女性が77.79歳以上で、16年と比べて共に3歳以上延ばす。
■「健康寿命延伸プラン」作成、25年までの実施工程など提示
 こうした目標を達成するため、厚労省は25年までの実施事項やその工程を盛り込んだ「健康寿命延伸プラン」を作成し、29日の会合で公表した。
 同プランでは、「疾病・重症化予防」「介護予防・フレイル対策・認知症予防」「全ての人の健やかな生活習慣の形成」に取り組む方針を示している。
 「疾病・重症化予防」に関しては、自発的に望ましい選択をするように誘導するナッジ理論などを活用した健診・検診の受診勧奨の支援を19年度から行うほか、がん検診の実施に関する指針を20年度中に見直し、新指針に基づいた検診を21年度から始める。こうした施策によって、がんの年齢調整死亡率(75歳未満)の低下を目指すとともに、22年度までにがんの全種類の検診受診率を50%以上(16年度は35―40%台)、精密検査の受診率を90%以上(15年度は65―85%)にそれぞれ引き上げる。
 さらに、がんを早期に発見・治療するため、血液などを使った簡便で精度の高い検査方法を研究し、その成果に基づいて22年度から実用化への研究・開発を実施。慢性腎臓病の予防に向けて、その診療連携体制を整備するためのモデル事業を実施し、その結果を踏まえて21年度から全国展開を図る。これにより、17年度に4万959人いた年間の新規透析患者を28年度までに3万5000人以下に減らす。
 また、疾病予防などのため、保険者による特定健診の実施率を23年度までに70%以上(17年度は53.1%)、特定保健指導の実施率を45%以上(同19.5%)に上げる。
■保険者努力支援制度、19年夏ごろに見直し案
 厚労省は、保険者へのインセンティブの付与も強化する。保険者としての努力を行っていると評価される自治体に交付金を与える保険者努力支援制度について、19年の夏をめどに見直し案をまとめる。同制度では、客観的な評価指標に基づいて保険者を評価しており、各保険者の取り組み状況を踏まえ、必要に応じて20年度から評価指標も見直す。  (医療介護CBニュース)

 

5月31日(金)老人ホームで90代男性が孤独死 施設側2週間気付かず 兵庫・明石
24時間スタッフが常駐する兵庫県明石市の介護付き有料老人ホームで、入居者の90代男性が居室で「孤独死」していたことが30日、関係者への取材で分かった。男性は遺体で見つかる約2週間前に死亡していたとみられる。今月上旬に面会した家族に体調不良を訴えたため、家族がスタッフに見守りを求めていたが、施設側は部屋を訪れるなどの安否確認をしていなかった。高齢者施設での「孤独死」という異例の事態に、指導権限のある明石市は施設の対応に問題がなかった。
 同ホームや明石市などによると、5月22日午前9時ごろ、2階の居室で男性が倒れているのを職員が発見した。宿直の担当職員が「最近、(男性の姿を)見ていない」と話したため、ドアを開けて入ったという。医師の検案では今月10日ごろに亡くなったと推定され、死因は分からなかった。
 同ホームは夜間も看護師やヘルパーが常駐する。介護保険サービスを提供しているが、男性は介護の必要のない「自立」でサービスを使っていなかった。施設のレストランで食事を取らずに自室で調理し、室内の清掃サービスも利用していなかったという。
 今月4日に家族が面会した際、顔色が悪く、腰が痛いなどと訴えた。男性は日常的に「できることは自分でする」などと話していたが、家族はスタッフに「本人は嫌がると思うが、様子を見てほしい」と伝えたという。
 しかし施設側は、数日後に男性を見掛けたという報告がスタッフからあったため、体調が回復したと判断し、その後、男性の部屋を訪れるなどの安否確認をしていなかった。

 

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