今月のニュースから

1月09日(水)介護現場に外国人 何が課題?
 今年4月から外国人労働者の受け入れが拡大され、介護現場で外国人が働く制度は、在留資格「特定技能1号」を加えて4種類になります。
異なる対象者・在留期間
 最も歴史があるのは、経済連携協定(EPA)によるインドネシア、フィリピン、ベトナムの3国からの受け入れです。2008年に始まり、これまでに4265人が来日しました。17年、二つの制度が設けられ、就労目的の在留資格「介護」では18年6月末現在で177人が働き、技能実習制度の「介護」では同10月末現在で247人が来日しています。
 これに加わるのが、特定技能1号です。政府は介護業で19年度に5000人、23年度までの5年間で最大6万人の受け入れを見込んでいます。
 対象者は制度で異なります。EPAは自国の看護学校を卒業した人らが対象。在留資格「介護」は留学生として介護福祉士の養成校で2年以上学び、介護福祉士資格を取得した人です。技能実習生は介護経験があり、基本的な日本語を理解できる必要があります。
 一方、特定技能1号は、日常会話程度の日本語能力試験と介護分野の知識・技能に関する試験の合格者が対象です。技能実習生として3年以上の経験を積んだ人も対象になります。
 在留期間も異なり、EPAは原則4年の在留期間中に3年以上の就労経験を積み、介護福祉士資格を取得すれば、永続的に就労できます。17年度までに延べ1596人が受験し、719人が合格しました。介護福祉士資格を持つ在留資格「介護」の人も永続的に働けます。
 技能実習生と特定技能1号はいずれも最長5年ですが、3年以上の就労を経て、資格を取得すれば在留資格「介護」に移行できる見通しです。
「介護の質」維持が課題
 四つの制度で、明確に人手不足を導入の理由としたのは特定技能1号が初めてです。EPAは外国との経済連携の強化、在留資格「介護」は専門人材の受け入れ、技能実習は海外への技能移転が目的です。ただ、実際には、人手が足りない介護現場の担い手としても期待されてきました。
 日本大学の塚田典子教授(少子高齢社会論)は「人手不足対策としては一定の効果はあるものの、介護の質を維持できるかどうかが重要。外国人が支え手となれるよう、十分な教育と環境整備が欠かせません」と話しています。          (読売新聞)

 

 

1月11日(金)2018年「老人福祉・介護事業」倒産、7年ぶりに前年割れ
2018年(1‐12月)の「老人福祉・介護事業」倒産は106件(前年比4.5%減)だった。介護保険法が施行された2000年度以降では、7年ぶりに前年を下回った。ただ、倒産件数は過去3番目に多く、高止まり状況が続いている。
 業種別では「訪問介護事業」が42.4%を占めた。「有料老人ホーム」は14件になり、先行投資に見合う入所者が集められない計画性に問題のある事業者を中心に、前年比2.3倍増と突出したのが目立った。 
 倒産した事業者は、従業員5人未満が全体の62.2%、設立5年以内が32.0%を占め、小規模で設立から日が浅い事業者が倒産を押し上げている。競合に加えて、人手不足の深刻化で介護職員の離職を防ぐために人件費も上昇し、「老人福祉・介護事業」は淘汰の動きが加速している。
※ 本調査対象の「老人福祉・介護事業」は、有料老人ホーム、通所・短期入所介護事業、訪問介護事業などを含む。
◇倒産件数は7年ぶり減少も過去3番目の高止まり 
 2018年(1‐12月)の「老人福祉・介護事業」の倒産は106件(前年比4.5%減)で、2011年以来、7年ぶりに前年を下回った。ただ、介護保険法が施行された2000年以降、過去3番目の件数で依然として高止まりが続いている。
 負債総額は81億9,400万円(前年比45.4%減、前年150億1,100万円)、前年より4割減少した。これは前年5件だった負債10億円以上の発生がなかったのが大きな要因。全体では負債1億円未満が82件(前年比10.8%減、構成比77.3%)と7割を占め、小規模事業者の倒産が大半だった。
◇年後半にかけて倒産が減少、介護報酬プラス改定の影響も
 2018年(1‐12月)の「老人福祉・介護事業」倒産を四半期別でみると、2018年1-3月が前年比28.5%増(14→18件)、4−6月が同3.8%増(26→27件)と、前半は過去最多ペースの高水準で推移していた。しかし、後半に入ると状況が一変した。7−9月が同6.4%減(31→29件)、10−12月が同20.0%減(40→32件)と年後半にかけて減少幅が広がった。
 介護報酬改定と倒産との関連性は明言できないが、9年ぶりのマイナス改定となった2015年度改定(2.27%引き下げ)以降に倒産増加に拍車がかかり、2018年度改定(0.54%引き上げ)以降は7年ぶりの倒産減少につながった。このことから、少なくとも介護報酬改定の寄与と倒産発生ペースとの関連は否めない状況だ。
◇業種別最多は「訪問介護事業」、「有料老人ホーム」は2.3倍増
 業種別では、最多が「訪問介護事業」の45件(前年45件)だった。次いで、デイサービスなどの「通所・短期入所介護事業」が41件(同44件)、「有料老人ホーム」が14件(同6件)、サービス付き高齢者住宅などを含む「その他の老人福祉・介護事業」が3件(同9件)の順だった。
 このなかでは、「有料老人ホーム」が2.3倍増と急増ぶりが目立つ。倒産事例では、同業他社との競争激化で入所者確保に苦慮する事業者の破綻が目立ち、経営基盤の脆弱な事業者を中心に「ふるい分け」が進んでいることが窺える。
◇設立別、5年以内が3割
 設立別では、2013年以降に設立された事業者が34件(構成比32.0%)と3割を占め、設立5年以内の新規事業者が目立つ。また、従業員数では5人未満が66件(前年比2.9%減、前年68件)で、全体の6割(構成比62.2%)を占めた。小規模で資金調達や経営体制が未整備のまま、見切り発車し、淘汰に追い込まれた新規事業者の実態が透けてみえる。 
◇原因別、「販売不振」が2割増
 原因別では、最多は販売不振(業績不振)が63件(前年比23.5%増、前年51件)と増加した。次いで、「事業上の失敗」が19件(同26.9%減、同26件)、既往のシワ寄せが8件と続く。
 計画性を欠く起業、本業不振のため異業種からの参入など、事前準備や事業計画が甘い小・零細規模の事業者が、思惑通りに業績を上げられず経営に行き詰まるケースが多い。
◇形態別、事業消滅型の破産が9割を占める
 形態別では、事業消滅型の破産が99件(前年比2.9%減、前年102件)と全体の9割(構成比93.9%)を占めた。一方、再建型の民事再生法は3件(前年4件)にとどまり、業績不振に陥った事業者の再建が難しいことを示している。 政府は、今年10月に実施予定の消費税率引き上げに伴う施設・事業所の出費を補填するため、今年10月に介護報酬を改定し、全体を0.39%引き上げることを決定した。さらに、人手不足に対応するため出入国管理法を改正し、外国人の新たな在留資格に介護も対象にした。
 先行きには経営環境の改善が図られる期待も出てきたが、介護業界の人手不足は、国内景気が悪い時の採用は順調だが、好況になると人材が他業種へ流出する、景気と逆行する傾向が強い。
 介護職員不足の中で、離職を防ぐための人件費上昇は避けられず、これが経営の足かせになる状況に変わりはない。2018年の「老人福祉・介護事業」倒産は7年ぶりに前年を下回ったが、高水準での推移に変わりはなく、引き続き動向から目が離せない状況にある。      (東京商工リサーチ)

 

1月17日(木)オンライン資格確認の導入で改正案を今国会提出へ - 医療保険部会で厚労省が方針
厚生労働省は17日、社会保障審議会医療保険部会で、オンライン資格確認の導入などを盛り込んだ関連法の改正案を今通常国会に提出する方針を明らかにした。
 今通常国会に提出するのは、「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」(仮称)。健康保険法や国民健康保険法、高齢者医療確保法などの一部を見直した上で、▽オンライン資格確認の導入▽オンライン資格確認や電子カルテなどの普及のための医療情報化支援基金の創設▽NDBや介護DBなどの連携・解析▽高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施―などを進めたい考えだ。
 オンライン資格確認は、マイナンバーカードなどでオンラインによる被保険者資格を確認する仕組みで、これを導入することによって、失効した保険証の利用による過誤請求や未収金の減少、事務コストの削減といったメリットが得られるという。国はオンライン資格確認の本格運用を2020年度中にスタートさせる方針だ。  (医療CBニュース)

 

1月22日(火)有料老人ホーム運営の未来設計、民事再生法の適用申請
首都圏で有料老人ホームなど37施設を運営する「未来設計」(東京)が22日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。介護施設では過去最大規模となる経営破綻(はたん)の背景には、創業者への高額な役員報酬支払いによる資金繰りの悪化があった。過去8年間で創業者に支払われた報酬の総額は計22億円にのぼる。
 負債総額は約54億円。同社が運営する老人ホーム「未来倶楽部」など37施設の入居者約2千人の生活に影響が出ないよう、昨年7月に同社の持ち株会社を買収した創生事業団(福岡市)が支援する再生計画案を準備している。一方、ホーム入居時に支払われた入居一時金のうち、死亡などで返還義務が生じている約2億円(59人分)については全額返すことはできない見通し。一時金が全額返ってこない人はさらに増える可能性がある。
 創生事業団が未来の幹部から聞き取るなどして調べたところ、創業者の伊藤英子氏(70)に対し、調べることができた少なくとも2010年以降、毎年3億円前後の報酬が支払われていた。16年8月期以降は、預かり金である「入居一時金」を一括して売上高に計上して運転資金に回し、そこから伊藤氏への報酬が支払われていた。
 こうした会計処理は伊藤氏の指示によるものだったと、未来の幹部は証言しているという。同社は「不正な会計操作による高額な報酬支払いで経営が悪化した」として、伊藤氏らを相手に約21億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしている。
 伊藤氏は昨年12月に朝日新聞の取材に応じ、一連の会計処理について「税理士に確認して大丈夫だと言われた」と話した。伊藤氏の代理人弁護士は21日、「未来設計を破綻状態にさせたことは創生事業団の判断と責任」などとする伊藤氏のコメントを公表している。               (朝日新聞)

 

1月24日(木)インフルエンザ集団感染、介護保険施設に指導を - 厚生労働省が事務連絡
厚生労働省は、介護保険施設のインフルエンザ感染防止に関する事務連絡を都道府県などに出した。インフルエンザの流行が本格化する中、高齢者施設で集団感染が相次いでいることを踏まえた措置。予防や感染拡大の防止について指導するよう求めている。
 事務連絡では、老人保健健康増進等事業の一環で作成した「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」を活用し、感染拡大を防止する必要性を挙げている。
 マニュアルでは、発熱を伴う上気道炎症状として、インフルエンザなどを挙げ、咳が出ている人にマスクを着用させることを推奨。「38℃を超える発熱患者が発生した場合には、施設内感染対策委員会に報告を求めるなど施設内の発生動向調査体制を決めておくことが重要」としている。
 また、複数の入所者にインフルエンザの疑いがあり、個室が足りない場合は同じ症状の人を同室とするよう求めている。       (医療介護CBニュース)

 

1月28日(月)インフル集団感染、職員が媒介? 淡路の施設
7人が亡くなった兵庫県淡路市の養護老人ホーム「北淡荘」でのインフルエンザ集団感染問題は、28日で発覚から1週間。今季のインフルエンザ流行は過去最悪レベルとなっており、北淡荘では約2週間で計74人が感染した。この間、施設内ではいったい何があったのか。兵庫県や施設の関係者の証言から感染拡大の経緯を追った。
■異常な事態
 最初の発症者は施設職員の看護師だった。1月8日に体調不良を訴え、施設は出勤停止を指示。同時に、入所者が利用するデイサービスも休止した。
 だが、翌9日には職員1人と入所者5人が新たに発症。施設は感染症対策委員会を開き、発症した入所者を個室に隔離した。食事も個室で提供し、ほかの入所者には部屋から出ないよう張り紙で指示。面会も原則禁止とした。
 10日、感染はさらに広がる。入所者7人と職員2人が発症。そして11日、感染した99歳の女性が脱水症状を起こし死亡する。新たな発症者も13人確認。「これまでのインフルエンザと違い、感染力が強すぎる。異常な事態だと思った」。山田正司施設長は同日、県洲本健康福祉事務所に事態を報告した。
■2階に集中
 同事務所の立ち入り調査を受け、施設は11日にまだ発症していない職員に抗インフル薬を予防投与した。一方で入所者への予防投薬は行わず、12日に新たな発症は20人へ拡大した。
 県の再指導を受け、施設が入所者への予防投薬に踏み切ったのは1週間後の19日。その後、感染拡大は収束に向かった。
 患者は重度の要介護者らが入る2階のフロアに集中した。84人のうち約7割に当たる58人が感染し、亡くなった7人も全員が2階の入所者だった。フロアでは介護職員や看護師らが感染者と非感染者の部屋を行き来していたといい、山田施設長は「手袋やマスク、消毒を徹底したつもりだが、職員が媒介した可能性は否定できない」と振り返る。
■背景に人手不足
 抵抗力が弱い高齢者が暮らす施設で感染症が拡大しやすいことは、かねて指摘されてきた。一定の対策が取られる中、感染が広がった背景に、福祉現場の人手不足を指摘する声もある。
 約70人が暮らす神戸市内のホームでは、感染者に対応する職員を固定し、他の入所者とは接触させないという。開設から約10年、感染拡大を封じてきたが、女性施設長は「感染者が出た時の人のやりくりにはいつも苦労する」と漏らす。
 国は施設が提供するサービス内容などに応じて職員の配置基準を定めている。施設側の判断でこれを上回る配置もできるが、人件費の面でも介護人材確保の面でも難しいのが実情だ。「集団感染が起きてしまえば、対応は後手に回る。人繰りが厳しくても初期段階で抑え込むしかない」。女性施設長は自らに言い聞かせるように話した。(神戸新聞)

 

1月29日(火)介護職の技能実習生、入国2年目の日本語要件緩和 - 厚生労働省が改正案
厚生労働省は29日、介護職種の技能実習生の日本語能力に関する基準の改正案を明らかにした。入国2年目の日本語能力に関しては、入国時よりも高いレベルの要件が設けられているが、これを満たさない場合でも引き続き在留ができるようにする。
 介護はコミュニケーションを前提に業務を行う「対人サービス」であるため、一定の日本語要件が設けられている。入国2年目は、入国時の要件(日本語能力試験N4程度)よりも高いレベルの要件(同N3程度)が設定されているが、N3で不合格になった場合は帰国しなければならないため、改善を求める声が出ていた。
 「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太方針2018)でも、入国から1年後の日本語要件を満たさなかった場合、引き続き在留を可能とする仕組みを検討するよう求められていたため、厚労省は基準を改正することを決めた。
 一定の条件を満たした技能実習生(2号)については、厚労省が「当分の間、在留を可能とする」との方向性を提示。その条件として、「介護の技能等の適切な習熟のために日本語を継続的に学ぶ意思を表明していること」「技能実習を行わせる事業所のもとに、介護の技能実習等の適切な習熟のために必要な日本語を学ぶこと」を挙げている。  (医療介護CBニュース)

 

1月29日(火)全老健、訪問リハに関する要望書を厚労省に提出 - 事業所外の医療機関による診療時の要件緩和を要望
全国老人保健施設協会(全老健)は25日、厚生労働省老健局の老人保健課長に宛てて訪問リハビリテーションに関する要望書を提出した。訪問リハビリテーション事業所が別の医療機関の医師から利用者に関する情報提供を受けて、訪問リハビリテーションを実施する場合は、情報提供した医師が適切な研修を修了していることが必要。全老健は、2019年3月31日までとされている研修修了の猶予期間を延長するなど、現場の実態に合わせた対応を求めている。
 18年度の介護報酬改定では、訪問リハビリテーション事業所に専任の常勤医師の配置が必須となった。原則、訪問リハビリテーション実施に当たって、リハビリテーション計画を作成する際に、事業所の医師が利用者を診療する必要がある。例外として、事業所外の医療機関の医師が利用者を診療する場合は、事業所外の医師が「適切な研修」(現在は日本医師会の「日医かかりつけ医機能研修制度」の応用研修のみが対象)を受講する必要がある。
 全老健は、訪問リハビリテーションの課題に関するアンケートを18年12月に実施。全国の老人保健施設のうち、訪問リハビリを提供している166施設から回答があった。
 アンケート結果によると、事業所の医師の診療等による訪問リハビリの提供パターンについての質問では「事業所の医師が診療する(Aパターン)」と回答した施設が50%、「事業所の医師がやむを得ず診療を行わない(Bパターン)」が24%、「利用者によってAB両パターンで提供」が26%だった。
 「Bパターン」で訪問リハビリテーションを提供していると回答した施設が、課題として捉えている項目(複数回答)は、「別の医療機関の医師に『日医かかりつけ医機能研修』を受講しているか確認することが難しい」(86.4%)が最も多く、以下は「別の医療機関の医師が、そもそもこの要件のことをご存じない」(71.4%)、「自施設での医師の診療が難しくなるため、今後、訪問リハビリの提供ができなくなる可能性がある」(63.0%)などの順だった。           (医療介護CBニュース)

 

1月29日(火)介護相談窓口を併設 「ケアローソン」名古屋に進出
ローソンは、介護相談窓口を併設したコンビニエンスストアを名古屋市に2月1日にオープンする、と発表した。同様の店舗は全国19店目で、中部地区は初めて。高齢化が進む中、地域の健康相談拠点としてシニア客などをコンビニに呼び込むねらいだ。
 新店舗は、昭和区内の「八事日赤駅店」。介護の相談窓口は協和ケミカル(同市)が運営し、ケアマネジャーなどの相談員が駐在する。店内には一般的なコンビニ商品のほか、介護関連の日用品やレトルトの介護食などをそろえる。
 ローソンは、こうした店舗を「ケア(介護)ローソン」と名付けて、全国で展開している。          (朝日新聞社)

 

1月30日(水)老人ホーム閉鎖、前払い3600万円返金せず 保全措置なく
 京都市西京区嵐山の有料老人ホーム「マザーハウスひまわり」が昨年8月に閉鎖し、入居者8人の入居一時金など計約3600万円が未返金になっていることが29日、分かった。有料老人ホームは自治体への届け出と前払い金の保全措置が義務付けられているが、この老人ホームは未届けのうえ、保全措置も講じていなかった。市は未届けであることを2012年に把握していたが、有効な対策をとっていなかった。
 市によると、有料老人ホームの監督権限が京都府から市に移った12年4月以降、有料老人ホームの閉鎖に伴って未返金が発生したのは2例目。
 市や施設関係者によると、運営会社のスカイ(同区)は約16年前に老人ホームを開設。施設は4階建てで定員17人。代表の女性(67)が息子や従業員数人で、食事や入浴などの介護サービスを提供していた。
 代表が昨年6月、経営不振を理由に施設を閉鎖するため、入居者に同7月末までの退去を求めたという。毎月の食費とは別に、入居一時金としておおむね5年分の家賃や管理費を事前に受け取っていたため、入居後5年未満の入居者を中心にまだ使っていない残金に未返金が発生したとみられる。
 市の聞き取りに対して代表は、未返金があるのは8人で、総額は約3600万円と説明したという。だが元入居者の親族は京都新聞の取材に「代表は閉鎖時の説明会で未返金は1億円はあると話していた」と証言しており、返金を受けていない入居者や未返還になっている金額はさらに増える可能性がある。
 施設の閉鎖後、入居者16人中9人はグループホームや別の有料老人ホームといった高齢者施設に、6人は民間のマンションにそれぞれ転居したが、遠方の親族宅への転居を余儀なくされた入居者もいるという。引っ越し代をはじめ、引っ越し先での家賃や生活費も自己負担した。
 一部の入居者は専門機関や弁護士に相談したが、大半が泣き寝入りしている状態という。代表は京都新聞の取材に対し「いつか返金したいと思うが、今は仕事の再開に向けて動き始めているところで、いつまでに支払うという確約はできない」と話している。  (京都新聞)

 

1月31日(木)介護職員の賃金、月4千円増 労働組合調査
全国の介護職員らでつくる労働組合「日本介護クラフトユニオン」は31日、昨年8月時点の組合員の賃金に関する調査結果を発表した。月給制の人は昨年3月に比べ平均で約4千円上がり、同組合は「国が賃上げ策を講じてきたことや、各事業所に処遇改善の意識が浸透してきたことが要因ではないか」としている。
 調査は昨年9〜10月に実施し、3744人が回答。月給制の人は昨年8月の賃金が月24万4206円で、昨年3月時点より4044円増えた。時給制の職員は月2433円増の14万4762円だった。調査対象には事務職や看護職も含まれる。  (共同通信)

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