今月のニュースから

12月03日(月)介護の処遇改善 現行の加算I〜III取得が要件〈 厚労省案〉
 厚生労働省は11月22日、介護人材のさらなる処遇改善に向けて2019年10月に新設する加算について、現行の加算I〜IIIを取得している施設・事業所を対象とする案を社会保障審議会介護給付費分科会に示した。サービスごとに設定する加算率と事業所内での配分方法についての案も提示した。
 さらなる処遇改善は消費税率引き上げに合わせて実施する予定。前々回の分科会で現行の加算とは別に新たな加算を設け、サービスごとに加算率を設定し、ベテラン介護職員を優先しつつ事業所の判断で他職種にも配分できるようにする考えが示されていた。
 厚労省は新加算の要件について、長く働ける職場環境づくりを目的とし、事業所の事務負担にも配慮するため、現行の加算I〜IIIを活用することを提案した。加算I〜IIIはキャリアパスの構築や職場環境の改善などが要件で、18年3月時点の取得率は89%に上る。
 委員からはバラマキにならないよう加算Iに限定すべきとの意見や、加算I〜IIIの取得率が低いサービス(地域密着型通所介護52%、訪問介護59%など)への配慮を求める意見があった。また今回の処遇改善を現場職員が実感でき、人材確保や定着に確実につながる仕組みにするようくぎを刺す指摘もあった。
 サービスごとの加算率については、同じサービス内で一律にする案より、ベテラン介護職員の人数などを指標に同じサービス内でも一定の差を設ける案に支持が集まった。サービス提供体制強化加算(介護福祉士を一定割合以上配置している)などを取得している事業所に手厚く配分すべきとの提案もあった。
 事業所内での配分については、ベテラン介護職員に限定せず、他の介護職員や他職種も含めて行う案が妥当だとする意見が目立った。ベテラン介護職員、他の介護職員、他職種の順に傾斜をつけて処遇改善するためのガイドラインの作成を求める意見もあった。 同日の分科会では結論までは至らず、年末の取りまとめに向けて引き続き議論する。        (福祉新聞)

 

12月05日(水)薬価引き下げで400億円超削減へ 来年度の社会保障費
 来年度の社会保障予算の伸びが、5千億円程度に抑えられる見通しとなった。もともとは6千億円の伸びが見込まれていたが、薬の公定価格(薬価)を来年10月の消費増税時に引き下げることなどで少なくとも1千億円抑制できる。薬価と薬の市場価格の差を厚生労働省が調べた結果、薬価のうち国の負担分を400億円超減らせることがわかった。
 薬価引き下げに加え、40〜64歳で所得の高い人たちが払う介護保険料の段階的引き上げ(約400億円)、協会けんぽからの国庫補助金の返納(数百億円)、生活保護の段階的引き下げ(数十億円)で、社会保障費は1千億円程度削減できると財務、厚労両省はみている。財務省はさらなる削減を厚労省に要求している。
 薬価は通常2年に1度、市場価格に合わせて引き下げている。今年4月に実施したばかりだが、消費増税時には臨時に改定することになっている。来年10月には、市場価格に合わせる引き下げと増税分の引き上げを一度に実施する。       (朝日新聞)

 

12月06日(木)介護職員が大量退職した特別養護老人ホーム 入居者24人を別施設に移送
 福岡県行橋市の社会福祉法人「友愛会」が運営する特別養護老人ホームなど2施設で介護職員が大量退職した問題で、市は6日、2施設に現在入居する計24人全員を友愛会が市内外の別施設に移送すると発表した。市も10日以内の移送完了を目指して協力する。
 2施設は、特別養護老人ホーム「今川河童苑」(定員29人)と、介護付き有料老人ホーム「いまがわ秋桜ガーデン」(同29人)。経営難による給与の未払いで11月、常勤介護職員10人中7人が退職し、市が介護保険法に基づいて法人に職員の早期補充を勧告していた。
 市によると、6日に友愛会から入居者移転の協力要請書が市に届いた。市は現時点で移転先として市内外の特養など18施設44床を準備しており、既に11人の家族から個別相談を受けているという。
 友愛会は市の公募で選定され、2014年9月に社会福祉法人として認可された。市は「来年1月中旬にも解散命令を出す方向で検討する」としている。       (毎日新聞)

 

12月08日(土)改正入管法 「介護分野で最大6万人」 政府の期待に冷ややかな見方
 8日成立した改正入管法で新設される在留資格「特定技能」によって、「介護分野に5年間で最大6万人」とする政府の受け入れ見込み数に対し、事業者から冷ややかな見方が出ている。既存の在留資格で受け入れた外国人介護職は10年で5000人にも満たない。背景には言葉の壁に加え、国際的な人材獲得競争の激化もある。
 5年後には約30万人もの人手不足が見込まれる介護業界。政府は特定技能による受け入れ見込み数を「5万〜6万人」としている。施設側の需要に基づいてはじき出した数字だが、「実際に集められるかどうかまでは考えていない」(厚生労働省幹部)。
 介護職場で働く目的で日本国内に滞在するには、2国間の経済連携協定(EPA)、技能実習制度、在留資格「介護」の三つがある。EPAが介護分野への門戸を開いた2008年以降、今年度までに受け入れたのはわずか4302人。17年に始まった介護分野の技能実習は247人、在留資格「介護」は177人にとどまる。
 人手不足が深刻であるにもかかわらず、外国人介護職の受け入れが進まない理由について、ある大手介護会社の担当者は日本語の壁を挙げる。介護では利用者や他の職員との円滑な意思疎通が求められるため、一定の日本語能力が要件として課されている。この担当者は「日本語の習得は難しい。重労働の割に待遇のよくない介護職に就くためにわざわざ勉強するモチベーションがわきにくい」と話す。
 「世界的な人材獲得競争に負けている」とみるのは神奈川県内の社会福祉法人幹部だ。「日本の賃金水準は欧州より低い。EPAでも年々、人が集めにくくなっている」と嘆く。
 政府は年度内に特定技能で求める日本語能力や介護技能の基準を定める。人をたくさん集めるにはハードルは低い方がいいが、それでは介護の質を維持できない。介護事業者団体の幹部は「特定技能では焼け石に水だ」との見通しを示す。     (毎日新聞)

 

12月08日(土)75歳以上の医療保険料の軽減特例、来秋廃止で検討へ
 政府は、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度で低所得者の保険料を軽減している特例を、来年10月の消費増税時に廃止する方向で検討に入った。特例廃止で社会保障費は年約600億円削減できると見込む。来年度は半年分の約300億円で、薬の公定価格(薬価)引き下げなどと合わせ、6千億円と見込まれる来年度の社会保障費の伸びを5千億円未満に抑える。
 後期高齢者医療制度は、低所得者の保険料を7割軽減する仕組みとなっているが、収入に応じてさらに最大9割まで軽減する特例がある。ともに年金収入が80万円以下の夫婦2人暮らしなら保険料は9割軽減され、全国平均で1人月380円だ。
 政府は現在進めている来年度予算編成で、この特例を消費増税時に廃止することを検討。消費増税による増収分を使った低所得者の介護保険料軽減や低年金者への給付を併せて実施することで、特例廃止による「負担増」が相殺されると見込む。また、相殺されない場合でも負担増を防ぐ仕組みを早急に検討する。
 政府の社会保障制度改革推進本部は2016年12月、特例を17年度から段階的に廃止すると決定。17年4月の消費税率10%への引き上げに伴う増収分で低所得高齢者の負担を軽減することが前提だった。だが、安倍政権が消費増税の延期を決めたため、特例廃止も先送りされた。            (朝日新聞)

 

12月12日(水)最低1人、ベテラン介護士の月給8万円増 処遇改善案
 厚生労働省は12日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の分科会で、介護現場で働く人の処遇改善案を示した。10年以上の経験を積んだ介護福祉士のうち少なくとも1人について、賃金を月約8万円増やすか、年収を全産業平均(役職者を除く)の440万円以上とするよう、処遇改善対象となる各事業所に求める内容だ。
 これに対し、分科会委員からは「賃上げの対象を『少なくとも1人』とすると、事業所内で不公平が生じないか不安だ」などの意見も出た。
 厚労省は、来年10月からの消費税率引き上げによる増収分1千億円と介護保険料1千億円の計2千億円を使い、ベテランの介護福祉士の賃金を他産業と遜色ない水準に引き上げる方針の下、具体的なルールを検討している。この日の分科会では、経験10年以上の介護福祉士の平均の処遇改善額を、経験の浅い介護福祉士らの2倍以上とする案も示した。                 (朝日新聞)

 

12月12日(水)後期医療負担減、来年10月廃止へ 低所得者向け
 厚生労働省は、75歳以上の人を対象とした後期高齢者医療制度(後期医療)の保険料に関し、低所得者向けに特例で負担軽減している措置を来年10月に廃止する方針を固めた。消費税率10%への引き上げの際に給付金支給などの低所得者対策が実施されることから、特例廃止の影響が小さいと判断した。
 ただし、年金のみで年収80万超〜168万円の人は給付金の支給対象外になるため「負担増」になる。厚労省は、この分を1年間だけ補填(ほてん)する。
 後期医療には、年金のみで年収168万円以下の人を対象に、保険料を軽減する特例がある。本来は月1140円だが、年収80万超〜168万円の人は月570円、80万円以下の人は380円に抑えている。政府は軽減措置を2017年度から段階的に廃止する方針を決めていたが、消費増税の延期に伴い、廃止も先送りされ、18年度は約600億円が投入された。
 特例が廃止されると、年収80万円以下の人は来年10月から20年3月までの半年で約4500円の負担増になるが、低所得者への給付金として月最大5000円が受け取れる。
 一方、80万円超の人は給付金が支給されないため、同時に実施される介護保険料の軽減を考慮しても負担増になるケースが多いとみられる。このため、厚労省は来年10月からの1年間に限り、負担増分(月570円)を補填する方針だ。対象者は約370万人で、約250億円の財源が必要と見込む。     (毎日新聞)

 

12月14日訪問看護の仕事を知って 青森県が体験研修展開
 高齢化の進展で不足が懸念される「訪問看護師」の確保につなげようと、青森県は本年度、現役の看護師や看護学生、ケアマネジャーらに在宅医療の現場を体験してもらう「訪問看護体験研修」を重ねている。県医師会に委託し、県内25の訪問看護ステーションが受け入れ施設として協力。11月末現在で入門コース53人、実践コース20人が受講し、在宅医療について理解を深めた。
 2013年の県内の在宅医療患者数は1日当たり5626人。県の「地域医療構想」(16年策定)では、団塊の世代が後期高齢者となる25年には9767人まで膨らむと予測する。一方、14年時点の訪問看護職員数は564人で、県は25年には少なくとも979人が必要とみている。
 訪問看護事業などを展開する「愛和の里リーベ」(八戸市)では、同市のグループホームで働く現役のケアマネジャー鈴木礼子さん(68)が現場を体験。介護の知識は十分に備えているが、訪問看護の現状を知ることでスキルアップを目指した。
 鈴木さんは12日、同事業所の看護師今野真美さん(47)と同行し、事業所が運営する介護施設で利用者のケアを見学。別の日程では、在宅医療を受ける患者も訪問したり、介護士や医療関係者らが集まって意見を交わす他職種連携の会議にも同席したりした。
 介護を専門にする鈴木さんにとって、訪問看護の現場は新鮮だったという。「今回は認知症ケアの現状を知ることができた。体験したことを今後に役立てたい」と話した。
 研修は受け入れ側にもメリットが大きい。今野さんは「訪問看護はさまざまな事業所と連携していかなければならない。研修をきっかけに、介護関係の方とつながりができた」と語る。      (デーリー東北新聞社)

 

12月14日(金)外国人材「訪問介護」は除外…入浴介助など限る
 来年4月の改正出入国管理・難民認定法(入管難民法)施行後、政府が外国人労働者に担ってもらうことを想定する具体的な仕事の内容がわかった。最多の受け入れを予定する介護業では、高齢者施設での食事や入浴の介助など補助的業務に限り、訪問介護は対象外とする。年末に決める分野別の「運用方針」に明記する。
 運用方針は、外国人労働者の受け入れ業種、2019年度から5年間の受け入れ見込み数、仕事の内容、雇用形態、どの程度の日本語レベルを求めるか――などを盛り込む。政府の素案は受け入れ業種の数を「14」、受け入れ見込み数を5年間で最大34万5150人とした。政府が国会に示した試算と変わらない。
 介護業は最大6万人を受け入れる。来年4月から導入される在留資格「特定技能1号」では、外国人労働者に比較的簡単な技能や日本語能力しか求めないことから、仕事は入浴、食事、排せつの介助を中心にする。経済連携協定(EPA)に基づき、高い技術や日本語能力を持つと認められた外国人の介護福祉士は、訪問介護ができる。仕事のすみ分けを行うことで、人材を有効活用する。              (読売新聞)

 

12月16日(日)成年後見取り組み、自治体で差 支援機関設置、半数未定
 認知症などで判断能力が十分ではない人を支援する成年後見制度は、介護保険と並び超高齢社会を支える「車の両輪」として動き出した。この仕組みの利用を促す自治体の取り組みに格差が生じていることが、朝日新聞の主要105自治体アンケートでわかった。独居など身寄りがない人が制度につながるルートとなる市区町村長申し立ての数は、同じ指定市間、23区内でも大きな開きがあった。支援の軸となる機関の設置は、約半数が「未定」の状況だ。
 500万人を超すと言われる認知症高齢者に対し、成年後見の利用は約21万人(2017年12月)と伸び悩む。「制度が難しく相談先がわからない」「見知らぬ専門家が後見人になる」などの理由で敬遠されているのが一因だ。そこで成年後見制度利用促進法が16年に施行された。
 朝日新聞は7〜8月、主要105自治体(政令指定市・東京23区・中核市・県庁所在市)にアンケートを実施。利用促進のカギと位置づけられる「中核機関」と、利用を申し立てる家族がいない場合の安全網となる「市区町村長申し立て」について尋ねた。
 中核機関は利用相談の窓口となり、家庭裁判所をはじめ、医療福祉関係者、法律家らと連携して本人や家族を支援する。後見人候補の調整(マッチング)も期待される。国の基本計画(17〜21年度)では、自治体が設置することとなっている。ただ努力目標なので、未設置でも法令違反にはならない。
 この中核機関は17市区(16・2%)が「設置済み」とし、「今後設置する予定」が34市区(32・4%)あった。しかし、最も多かったのは「現時点では未定」の49市区(46・7%)で、全体的に後ろ向きの姿勢が目立った。
 経済的に苦しい高齢者に申し立て費用や後見人への報酬を補助する助成制度にも自治体による違いがあった。対象を「市区町村長申し立て」の人に限定し、本人や家族による申し立てでは助成されない自治体が3割以上あった。
 市区長による申し立て件数(17年度)には、実数で年間1件から309件まで開きがあった。高齢者1万人あたりの件数に直して比べると、最も多かった東京都墨田区の年11・5件に対し、最も少なかった長崎市、大分市では0・2件にとどまった。指定市間でも、岡山市の6・4件から浜松市、札幌市の0・6件まで差が生じていた。東京23区が上位に目立つが中央区は0・4件と少なく、23区内でも開きがあった。
 中核機関の設置や市区町村長申し立てなどの自治体別の状況は明らかになっていなかった。厚生労働省は11月から、全市区町村を対象にした初の実態調査に乗り出している。       (朝日新聞)

 

12月17日(月)診療報酬、来年10月引き上げ=消費増税対応、介護報酬も
 厚生労働省は17日、消費税増税への対応として、2019年10月から医師らへの人件費に充てられる診療報酬本体を0.41%、介護事業者に支払われる介護報酬を0.39%それぞれ引き上げると発表した。
 薬価については0.51%引き下げる。
 診療報酬改定はほぼ2年に1度で、次の定期改定は20年度に行われる。ただ、医療機関の仕入れは消費税が課されるが、保険診療は非課税扱いのため、政府は消費税増税に合わせて診療報酬を臨時で改定。医療機関の税負担を補填(ほてん)する。介護事業者が仕入れる物品も消費税が課されることから、介護報酬を見直してコスト増を穴埋めする。             (時事通信社)

 

12月20日(木)7人死亡の老人ホーム、別の入居4人に介護放棄など虐待
 鹿児島県鹿屋市の住宅型有料老人ホーム「風の舞」で入居者が相次ぎ死亡した問題で、市は亡くなった入居者とは別の4人について、介護放棄や身体拘束などの虐待があったと、高齢者虐待防止法に基づき認定した。市幹部が20日、朝日新聞の取材に明らかにした。同日の市議会でも概要が報告された。
 風の舞では8月から9月にかけて、介助を担っていた介護職員8人が全員退職。その後、11月中旬までの約1カ月に入居者7人が死亡したため、県が検査に入り、今月7日に運営する法人に改善命令を出した。
 市も11月16日以降、立ち入り調査のほか、入居者や職員らからの聞き取りを行っていた。その結果、入居者に床ずれがあることや、身体的な拘束をしていたこと、室内の衛生状態が劣悪であることなどを確認。4人について、同法上の「介護放棄」「身体的虐待」などに該当すると判断したという。4人のうち一部は、すでに他の施設に移っているという。
 市は今月19日、4人への虐待を県に報告したが、亡くなった7人については、虐待を確認していないという。       (朝日新聞)

 

12月23日(日)老人ホームの入居一時金、26億円消える 買収で発覚
 首都圏で有料老人ホーム「未来倶楽部(くらぶ)」など37施設を運営する未来設計(東京)で、入居者から預かった「入居一時金」の大半が消失していたことが、同社を買収した企業の調査でわかった。帳簿上、38億円余残っているはずの一時金が12億円余しかなかった。入居者の遺族らに残った一時金をすぐに返還できないなどの影響が出ており、金融機関に支援を求めている。
 37施設には計2千人近いお年寄りが生活し、介護職員ら約1600人が働く。
 未来設計の財務部長が、同社の持ち株会社を今年7月に買収した同業の「創生事業団」(福岡市)に内部告発して発覚したという。財務部長によると、未来設計の創業者の女性(70)の指示で、入居一時金を一括で売上高に計上して役員報酬などに使い、赤字経営の実態を黒字に見せかけていたという。
 入居一時金は、入居者が長期にわたってホームで暮らせるように最初に支払うお金。未来設計では240万〜1千万円の一時金で終身の入居が約束される。老人福祉法に基づく契約で、一時金は想定居住期間(60〜84カ月)内の月々の売上高に計上すると定め、それより早く亡くなった場合などは、残った一時金は返還されることになっている。
 だが財務部長によると、未来設計では今年8月期まで3期にわたり、新たな入居者から支払われた一時金を月々に分割せず、全額を売上高に計上する会計処理をしていたという。
 発覚後、創生事業団が公認会計士に依頼して、今年4月末時点の財務状況を再計算すると、正常な会計処理をしていれば総額約38億5千万円あるはずの一時金が帳簿上、12億円余しかなく、差額の約26億4千万円が消えていた。      (朝日新聞)

 

12月25日(火)認知症予防、官邸主導で本腰 来年5月に大綱策定へ
 政府は25日、認知症対策の強化に向けた関係閣僚会議の初会合を開いた。菅(すが)義偉(よしひで)官房長官が議長に就き、官邸主導で新薬開発や予防法の研究などの取り組みを強化する。来年5月にも各施策の指針となる大綱を取りまとめたい考えだ。
 初会合に出席した安倍晋三首相は「認知症の方は高齢化の進展とともに大幅に増加すると見込まれている。認知症への対応は喫緊の課題だ」と述べた。菅氏は会議終了後の記者会見で「政府一体となって総合的認知症政策を推進する」と語った。
 閣僚会議の下には各省庁の局長らによる幹事会を置き、専門家らによる会議などと合わせ具体的な方策について議論する。
 政府は平成27年1月に国家戦略(新オレンジプラン)を策定し、「適切な医療・介護の提供」「予防法、治療法、介護モデルの研究開発」など7つの柱を掲げた。今後、新オレンジプランに代わる大綱を新たに策定し、対策のてこ入れを図る。
 厚生労働省の推計によると、認知症の高齢者は27年時点で約520万人。37(2025)年には65歳以上の5人に1人に当たる約700万人に達するとされている。        (産経新聞)

 

12月25日(火)介護の処遇改善に420億円 19年10月に報酬0.39%増
 2019年度予算案に関する厚生労働、財務両省の大臣折衝が17日に行われ、19年10月に行う介護人材の処遇改善に420億円(公費)を充てることを決めた。事業所内でベテラン介護職員のうち少なくとも1人は、月8万円賃上げするか、年収を440万円以上にする加算を創設する。また、消費税率引き上げによる事業所の負担増を補てんするため、19年10月に介護報酬をプラス0.39%改定することも決めた。
 政府は、介護人材のさらなる処遇改善に向けて、「勤続10年以上の介護福祉士の月給を平均8万円上げる」ことを算定根拠に、消費税増収分から1000億円(公費)を投じるとしていた。19年度は10月から始まるため、5カ月相当の420億円(公費)を充てる。20年度から1000億円となる見込み。
 ◆介護職員以外にも
 処遇改善の仕組みは、厚労省の社会保障審議会介護給付費分科会で9月から数回議論され、19日に概要が固まった。
 19年10月に新たな処遇改善加算を創設し、取得要件として現行の加算I〜IIIを取得していることなど3項目を設ける。
 事業所の裁量で、介護職員以外も賃上げできるようにする。ただし、ベテラン介護職員を優先するため、配分ルールを設ける。
 その一つが、事業所内で月8万円、もしくは全産業平均の年収440万円以上の改善となるベテラン介護職員が必ず1人いること。
 また、「ベテラン介護職員」「他の介護職員」「その他の職種」の区分で傾斜配分するため、他の介護職員を1として、ベテラン介護職員はその2倍以上、その他の職種はその半分以下とする。
 ベテラン介護職員は、勤続10年以上の介護福祉士を基本とするが、複数の職場を経験してスキルを磨いたことなども評価できるよう、「勤続10年」の判断は事業所に任せる。
 一方、サービスごとの加算率は、勤続10年以上の介護福祉士の人数に応じ設定する。その上で、同じサービス内で2段階の加算率を設ける。ベテラン介護職員が多い事業所を評価するためで、サービス提供体制強化加算、特定事業所加算、日常生活継続支援加算のいずれかを取得している事業所を手厚くする。
 ◆基準費用額も上乗せ
 介護報酬の改定は3年に1度だが、消費税率引き上げに対応して19年10月に臨時で改定する。
 0.39%のプラス改定のために、19年度は約200億円が必要とされる。公費を100億円(国と地方で約50億円ずつ)投じ、介護保険料と利用者負担でも100億円を負担する。
 サービスごとの基本単位の上乗せ率は、人件費など非課税品目を除いた額に税率引き上げ分を乗じて決める。早ければ19年1月にも具体的な単位数が示される。
 また、在宅サービスの利用上限である区分支給限度基準額を引き上げる。18年10月から始まった福祉用具貸与の上限額も、税率引き上げ分を上乗せする。
 そのほか、介護報酬改定とは別に7億円(国費)を確保し、特別養護老人ホームなどの基準費用額(食費・居住費)について、税率引き上げの影響分を上乗せする。基準費用額の変更は、05年10月の設定以来、初めてとなる。         (福祉新聞)

 

12月31日(月)認知症で行方不明、8割が保護もまた不明者に 苦悩する家族
 認知症の行方不明者が全国的に増加していることを受け、「認知症の人と家族の会」(京都市上京区)は、家族ら介護者を対象にアンケートを実施した。行方不明を複数回経験した人は8割近くに上り、行方不明が始まった時期は「要介護1」と「未認定」が合わせて6割近くを占めた。要介護度が比較的低い人への公的な支援が十分でなく、家族らが再発防止に苦心している実態が浮き彫りになった。
  警察庁の調査によると、2017年に届け出があった認知症(疑いを含む)の行方不明者は1万5863人(京都府内465人、滋賀県内154人)で、統計を取り始めた12年から5年連続で増加している。
 アンケートは18年1〜2月に全国47支部を通じて、在宅で認知症の人を介護している人(過去を含む)で外出時のリスクを経験したことがある940人を対象に実施した。配偶者や子ども、ケアマネジャーら549人から回答を得た。
 介護を受けている人が行方不明になったことがあると回答した人に回数を聞いたところ、2回以上が78%で、2回が21%、3回が15%、4回が8%、5回以上が33%だった。「覚えていないほどたくさん」と回答した人も11%いた。
 行方不明を繰り返した期間は2年が27%と最も多く、1年19%、3年18%、5年11%と続いた。最長15年だった。
 最初に行方不明になった時期は、要介護認定を受けていない時が30%、「要介護1」が27%、「要介護2」が28%で、身体的介護の必要性が比較的低い人が大半を占めていた。
 不明になることを予測できたと答えた人は55%に上り、家族を中心とした介護体制の限界を示した。同会は「家族だけで認知症の人を24時間見守ることはできず、その心労は計り知れない。身体介護の必要性だけでなく、認知症に主眼を置いた公的な支援も必要だ」と指摘している。            (京都新聞)

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