今月のニュースから

11月02日(金)介護職員の賃上げに2千億円 厚労省、介護報酬を改定へ
 介護現場で働く人の賃金を上げるため、厚生労働省は2019年10月に介護報酬を臨時に改定する方針を固めた。同月の消費税率引き上げによる増収分1千億円と保険料1千億円の計2千億円を使い、勤続年数の長い介護職員を中心に処遇改善を目指す。
 介護職員に加え、介護現場で働く看護師や理学療法士など他職種の処遇改善に2千億円の一部を使えるようにすることも検討し、12月をめどに大枠を示す。
 介護現場の人材不足を受け、消費増税分の使い道を示した2兆円の政策パッケージ(17年12月閣議決定)に、職員の処遇改善が盛り込まれた。推計約20万人いる勤続年数10年以上の介護福祉士について、月額8万円の賃上げを想定する。 (朝日新聞)

 

11月02日(金)人手不足背景に…出入国管理法改正案に歓迎と不安の声
 外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法の改正案が2日、閣議決定された。少子高齢化で深刻な人手不足を背景に、改正案を歓迎する声もある一方、新たな外国人をどのように受け入れるか、不安や課題を指摘する声も少なくない。
 「仕事は楽しいし、みんな優しく接してくれる」
 高齢者向け介護施設への調理・配膳(はいぜん)サービスを手掛ける「ロングライフダイニング」(大阪市北区)で昨年10月から働くエンビィエン・トゥローさん(27)は、大型調理器具に囲まれた調理場で、高齢者が食べやすいよう、もやしの辛子あえを包丁で細切れにしていた。
 同社では人材の確保が難しくなった約2年前から外国人人材の活用を検討。昨年10月から、「外国人技能実習制度」に基づく技能実習生としてエンビィエンさんらミャンマー人の20代女性2人を雇用した。
 現在、2人は同市西淀川区にある調理場で、介護施設へ配膳する1日約600食分の総菜の調理補助を担当している。
 幼くして両親を病気で亡くしたエンビィエンさんは、兄らの生活を支えるため、給料の手取り額約12万円のうち約7万円を家族へ仕送りしている。将来の夢は、祖国でのレストランの開業。「できることなら日本に長く滞在し、お金をもっとためたい」と意欲的だ。
 浜田和男社長(54)は、「日本の生活になじんでもらえるかが心配で、現地の調味料を贈るなど私生活を含め気を配っている」と明かす。
 浜田社長によると、介護施設を運営するグループ会社は、入管難民法改正を念頭に外国人の介護職人材の受け入れを検討しており、2人は、そのモデルケースになっているという。「彼女たちの熱心な働きぶりから、非常に手応えを感じている。今後、介護職も含め、受け入れ人数を増やしていきたい」。浜田社長はこう話す。
 総合物流会社「荒木運輸」(大阪市西淀川区)では、平成28年11月から計36人のベトナム人を受け入れており、来年2月には、さらに18人を受け入れる予定だ。
 倉庫では、日本人に混じって、技能実習生のベトナム人女性約30人が輸入ワインの検品作業を進める。
 「仕事は楽しい。困ったことがあると尋ねてくれるし、いい会社に勤められた」。2年前から勤務するチャン・ティ・トウオン・ヴオンさん(28)は笑顔を見せる。
 母国では事務職として勤務し、月約4万円の給料を得ていた。来日後、毎月十数万円受け取る給料から母国に送金した額は200万円超となった。「家族に家を建てたいし、帰国後は日系企業に勤めたい」
 同社も人手不足に悩まされてきた。荒木靖郎社長(50)は「今では重要な戦力。実習生の勤勉な姿勢が会社全体によい影響を与えてくれた」と語る。実習生への指導を通じて、日本人の社員間にも、それまで希薄だった団結力が芽生え始めたという。
 ただ、国内では一部で実習生の失踪や脱走が問題化している。同社では、定期的に実習生の相談に乗ったり、終業後に日本語教師による日本語教室を開くなどの対応を続けてきた。「単に労働力としてみるのではなく、環境づくりなど企業側の責任も大きい」と荒木社長。
 今回の改正案で外国人労働者の受け入れが拡大されるが、予想される課題も多い。荒木社長は「なかには悪質な仲介業者、企業も存在する。今後、悪質企業に罰則を設けるなど、受け入れの制度をきちんと作るべきだ」と話した。
 人手不足は、中小企業を中心に深刻な状況にある。日本商工会議所が今春、実施した調査によると、全国の中小企業の65%が「人手が不足している」と回答。特に宿泊・飲食業や運輸業、建設業では、約8割の企業が人手不足を感じていた。すでに外国人を雇用している企業や、雇用を検討している企業は約43%に上る。
 技能実習生と事業所を仲介する監理団体「関西技術協力センター」(大阪府豊中市)の土岐嘉一専務理事(63)は、出入国管理法改正案について「これまでは制度の理念と実態に大きな乖離(かいり)があったが、改正案はその溝を埋めるものだ」と評価する。
 一方で、「現状は実習生へのサポート態勢が不十分で、失踪問題などが多発している」と指摘。「政府は受け入れ上限を設けないと主張するが、現場は実習生を無制限に受け入れられる環境にはほど遠い。まずは上限を設け、支援態勢を整えた上で、徐々に増やしていく仕組みが不可欠だ」と話している。(産経新聞)

 

11月06日(火)「超強化型」の老健、半数超が増収 - 福祉医療機構の調査
 2018年度の介護報酬改定で、介護老人保健施設(老健)の新たな施設類型となった「超強化型」へ移行した施設の半数超が、前年度よりも増収だったことが、福祉医療機構の調査結果で分かった。
 18年度改定では、老健の施設類型が見直された。従来の「在宅強化型」「加算型」「従来型」を、「超強化型」「在宅強化型」「加算型」「基本型」「その他」の5タイプに再編。
 同機構は、貸付先の介護サービス事業者を対象に7月19日から8月7日にかけてアンケートを実施。1298法人から回答を得た。
 それによると、老健169施設の移行先は、「基本型」が全体の37.3%で最も多かった。これに「加算型」(33.1%)、「超強化型」(10.1%)などと続いた。
 前年度比の収益変化を施設類型別に見ると、「増収」と答えた類型で最も多かったのは「超強化型」(52.9%)で、以下は「在宅強化型」(46.2%)、「加算型」(37.5%)、「基本型」(12.7%)などの順だった。
 同機構は、「在宅支援の強化という今次改定の意図が収益に反映された形といえる」と指摘している。また、「減収」と答えた「超強化型」(11.8%)や「在宅強化型」(15.4%)が1割以上あり、これらは利用率が8―9割未満と前年度よりも低下していることから、「利用率とのバランスを取りながらの運営が引き続き求められる」としている。 (医療CBニュース)

 

11月07日(水)高齢者の誤嚥防止、飲料にとろみの自販機 介護の負担軽減
のみ込む(嚥下(えんげ))機能が低下した高齢者などのために飲料にとろみを付けるカップ式自動販売機を、医療介護補助食品製造のニュートリー(三重県四日市市)と自販機運営・管理のアペックス(愛知県大府市)が共同開発した。介護現場では誤嚥や窒息防止のため手作業で飲料にとろみを付けているが、この自販機を導入すれば負担を軽減できるとしている。
 開発した自販機は、医療機関で使われている専用のとろみ材を使用し、撹拌(かくはん)作業を自動化。嚥下機能に応じて▽うすい▽中間▽濃いの3段階のとろみを選択できる。温度や原材料によってとろみにむらができないよう、大学など研究機関の協力を受け、約2年かけて開発した。
 介護の現場では人手不足が深刻で、飲料のとろみ付けも職員らの負担になっている。ニュートリーの担当者は「新型の自販機を多く設置し、手軽においしい飲み物を安心して楽しんでもらいたい」と話している。
 先月31日、日本歯科大学口腔(こうくう)リハビリテーション多摩クリニック(東京都小金井市)に設置した。2021年までに全国の医療機関や高齢者施設などを中心に2万台の設置を目指す。  (産経新聞)

 

11月09日(金)ロールパン、のど詰まらせた男性 水を吸うと一切れでも
 食べ物を気管やのどに詰まらせてしまう誤嚥(ごえん)や窒息の事故が介護施設で目立っている。加齢とともにのみ込む力は衰えてくるもの。いかに防ぐかの模索が介護現場で続く。
 鹿児島県内の介護老人保健施設で4年前、2泊3日のショートステイで入所していた70代後半の男性が、朝食でロールパンなどを食べた後にむせた。約1時間後、男性は心肺停止状態に。のどからパンのかたまりが取り除かれたが、低酸素脳症に陥った。意識が戻らず、重い障害が残った。
 男性の家族らは施設側に損害賠償を求めて提訴。昨年3月、鹿児島地裁は「施設側は誤嚥のリスクを認識しており、パンを提供するにも小さくちぎって出す必要があった」として原告側の請求をほぼ認め、施設側に計約4千万円の支払いを命じた。施設側は福岡高裁宮崎支部に控訴したが、和解した。
 パンは一切れであっても、口に含むと水を吸って大きく重くなるため、食べ物をのみ下す嚥下機能が弱い人には危険だとされる。一審判決によると、家族は事前に施設側に「誤嚥を起こしやすいので、おにぎりを一口大(10分割)にしてほしい」と伝えており、施設の複数の記録にもその記載が残っていた。
 誤嚥や窒息は、死に直結する危険性が指摘されている。朝日新聞は、政令指定市と県庁所在市、東京23区の74自治体に、介護事業所で発生した死亡事故について情報公開請求した。公開された施設作成の報告書(2016年度)を集計すると、年間の死亡事故は700件。うち最多の403件を誤嚥(食べ物などと一緒に細菌が気道に入って発症する誤嚥性肺炎〈30件〉を含む)・窒息の関連が占めた。
 詰まらせた「もの」が報告書に具体的に記されているケースのうち、最も多かったのが「嘔吐物(おうとぶつ)」の37件。食べ物では、パンを詰まらせたのが28件で目立った。  (朝日新聞社)

 

11月13日(火)<入管法改正案>外国人労働者受け入れは26万〜34万人
 2019年4月の外国人労働者受け入れ拡大を目指す政府は、19年度以降の5年間に百三十数万人の労働者が不足し、外国人労働者の受け入れ見込み人数を26万〜34万人程度と試算した。政府関係者への取材で判明した。政府は試算を精査した上で近く公表する方針。受け入れ拡大に向けた新たな在留資格創設を柱とした入管法改正案は13日午後の衆院本会議で審議入りする。
 受け入れは人手不足が深刻な介護や建設など14業種が検討対象。政府関係者によると、初年度は六十数万人の労働者が不足し、3万3000〜4万7000人程度の受け入れを見込んでいるという。政府は当初、来年度予算・人員の概算要求時に初年度4万人程度、5年間で25万人程度と推計していたが、各業種を所管する省庁が見込み人数を試算した。野党は早期の提示を求めているが、山下貴司法相は13日の閣議後記者会見で「法案審査に資するようなタイミングで、(人数の)規模感がわかるような形で示したい」と述べた。
 新たな在留資格「特定技能」は(1)一定の知識・経験を要する「1号」(通算5年まで、家族帯同不可)(2)熟練した技能が必要な「2号」(在留期間更新可、配偶者と子の帯同可)−−の2種類。生活に支障がない程度の日本語能力や、各業種の所管省庁の試験などへの合格が取得条件だ。技能実習生が3年(最長5年)の実習を終えると、無試験で1号を取得できるようにし、試験を経て1号から2号への移行も可能とする。
 本会議に先立つ13日午前の衆院法務委員会では山下法相の所信に対する質疑があった。外国人労働者について山下法相は「安価な労働力という認識はない」と強調。そのうえで、2号については「(在留期間更新は)資格に基づく活動をすることが前提」としつつ、改めて滞在期間に上限は設けない考えを示した。 (毎日新聞)

 

11月12日(月)介護職員の処遇改善加算  ベテランに重点配分へ
 厚生労働省は10月31日の社会保障審議会介護給付費分科会で、来年10月の消費増税に合わせて実施する介護職員を対象にしたさらなる処遇改善について対応案を示した。既存の介護職員処遇改善加算とは別に、新たな加算を設ける方針を提示。多職種への配分を可能にするなど柔軟な運用を認めつつ、経験・技能のあるベテラン介護職員に重点配分する仕組みにしたいとした。
 政府は消費税率引き上げによる増収分1000億円と介護保険料1000億円の計2000億円を使い、経験・技能のある介護職員を中心にした処遇改善を実施しつつ、他の職員にも柔軟に活用できるようにする方針。
 厚労省が示した対応案や説明によると、新加算では一定のキャリアパスや研修体制が構築されていることなどの取得要件を求める。
 加算率は既存の処遇改善加算と同様に、訪問介護や通所リハといったサービスごとに設定。ただ、新加算では、経験・技能のある介護職員を多く抱えるサービスに高い加算率を設定する。
 また、本来の趣旨である「介護職員の処遇改善」を損なわないよう、事業所内での配分は(1)経験・技能のある介護職員(2)他の介護職員(3)その他の職種――の順に一定の傾斜を付けて配分する仕組みを設けることを提案。他職種に重点配分し、介護職員に十分配分されないといった運用を避ける狙いがある。
 経験・技能のある介護職員の定義は、これまで示されてきた「勤続年数10年以上の介護福祉士」を基本とする。
 ただ、委員から「年数は同一法人、同一事業所でなく業界単位で考えてはどうか」「形式的な資格だけでなく技能を幅広く評価できるようにすべき」との意見があり、厚労省は柔軟な運用を認める方向で検討する。
 この日に示された対応案に対し、委員からは目立った反対意見はなく、介護職員に重点を置いた処遇改善に賛同する意見が相次いだ。厚労省は分科会の議論を踏まえ、対応案をベースにした詳細な制度設計を進める。
 ◆障害報酬も議論始まる
 厚生労働省は10月31日、2019年10月に予定する障害福祉人材の処遇改善について「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」(主査=新谷正義・厚生労働大臣政務官)で議論を始めた。従来は処遇改善の対象職種を福祉・介護職員に限定していたが、看護職員や相談支援専門員など現在は対象外の職種にも充てられる柔軟な運用を認める考えだ。年内に大枠を固める。
 従来の処遇改善加算を取得しない事業所が全体の2割あり、未取得の理由として「事務作業が繁雑」「加算対象職種制約のため困難」が目立っていた。
 また、サービスごとの加算率を決める際の計算方法も改める。訪問系のサービスでは実際に訪問した従事者数よりも多い従事者数で計算し、高い加算率になっているとの指摘が財務省からあった。
 2017年12月8日閣議決定の「新しい経済政策パッケージ」は、19年10月から公費1000億円程度を投じて、介護サービス事業所に10年以上勤続する介護福祉士の月給を平均8万円上げるとした。障害福祉分野の人材も同様の処遇改善を図ると明記したが、対象者の要件など詳細は決まっていない。
 厚労省は検討チームの議論とは別に、障害関係46団体から処遇改善に関し意見聴取する予定だ。 (福祉新聞)

 

11月13日(火)紙おむつの下水道処理を検討 国交省が実態調査へ
使用済み紙おむつの下水道受け入れに向け、国土交通省は10月30日、介護、育児で紙おむつを使用している人や介護施設を対象にした紙おむつの実態調査を実施することを、同省の有識者検討会で明らかにした。下水道での処理に対する社会的ニーズを把握する狙い。調査結果は来年2月に公表する予定。同省によると、国が紙おむつの実態調査を実施するのは初めて。
 今月から来月にかけて、郵送やインターネットを通じて実施する。調査対象は、家族の介護をしている人や尿漏れ・便漏れの症状のある人、育児中の母親ら計約4500人と、有料老人ホーム約500施設。
 調査内容は、使用している紙おむつ・パッド類の種類、1人1日当たりの使用枚数、収集頻度、保管場所や臭いなど破棄する際に困っている点――などを想定する。
 同省は介護や子育ての負担軽減につなげようと、使用済み紙おむつを下水道に流して処理できないか検証する有識者検討会を1月に設置。高齢化の加速に伴う紙おむつ利用者の増加や、人口減少で将来的に下水道の処理能力に余裕が出ることなどを踏まえ、本格的な検討に踏み切った。
 検討会が3月に示した工程表によると、想定される利用者や下水道への影響などが異なる3タイプの処理方法で検討する。各タイプの実証実験などを経て、自治体が導入を検討する際に活用する総合的なガイドラインを2022年度中に示す方針だ。
 同省は本年度内に、3タイプの処理方法のうち、機械で汚物を分離させ、紙おむつをごみとして回収する「固形物分離タイプ」のガイドラインを取りまとめたいとしている。 (福祉新聞)

 

11月16日(金)ケアマネらにも処遇改善を―NCCU緊急調査 - 新加算の対象事業所限定に反対
 居宅介護支援事業所、訪問看護事業所、福祉用具貸与事業所が2019年10月に予定される介護人材の処遇改善加算の対象から外れれば、介護現場の職員の間にあつれきが生じ、ケアマネジャーを目指す人材や訪問看護師がいなくなる−。日本介護クラフトユニオン(NCCU)は、組合員を対象に実施した緊急調査の結果を踏まえ、このような危機感を示した。この結果を基に、介護職員全体の処遇改善を求めていく。
 社会保障審議会介護給付費分科会では「新しい経済政策パッケージ」が閣議決定されたことにより、消費税引き上げに伴う介護人材のさらなる処遇改善策について議論が進められている。現在、「処遇改善の対象については経験・技能のある職員に重点化すること」と、この趣旨を損なわない程度で、介護以外の職種への配分を含めた「柔軟な運用を認めること」を前提として具体的な加算の運用について協議されている。
 NCCUによると、10月31日の同分科会では厚生労働省から、処遇改善の対象から訪問看護事業所、福祉用具貸与事業所、居宅介護支援事業所が外されると受け取れる資料の提示や説明があったという。これらの事業所では介護職員の割合が少ないことが根拠となっている。これを受け、NCCUでは現場でチームや職員間の連携に障害が生じることなどを危惧し、全国の組合員を対象に緊急調査を実施した。
 調査では、3種の事業所が新たな処遇改善の対象外になることについて賛否を尋ね、11月1日から7日までの1週間で2737人から回答を得た。それによると、「反対」(52.6%)と「どちらかと言えば反対」(12.9%)を合わせた反対が65.5%に達した。職種別に見ると、居宅のケアマネジャー(「反対」84.4%、「どちらかと言えば反対」5.7%)などだけでなく、介護職(「反対」41.4%、「どちらかと言えば反対」15.1%)など当事者以外の職種でも過半数が反対し、「国は、在宅介護推進の方針を示しているが、これでは逆行している」といった意見があったという。
 また、NCCUでは、介護福祉士の資格の有無についても調査。居宅介護支援事業所のケアマネジャーの82.5%が取得している状況に触れ、「介護福祉士の資格を取得して、さらに専門性・キャリアを高めるためにケアマネジャーを目指す職員が多い中、現場職員のモチベーションを大きく下げるもの」と憂慮している。訪問看護事業所の看護職についても、「医療現場との賃金格差が広がれば、介護現場からますます看護職がいなくなる」との見通しを示した。  (医療CBニュース)

 

11月17日(土)<大阪・高槻>遺書11行 老老介護の苦悩つづる
 大阪府高槻市の集合住宅で今月4日、高齢夫婦が死亡しているのが見つかった。認知症の妻(70)が衰弱死した直後、長年にわたって献身的な介護を続けてきた夫(75)が自ら命を絶った。「ごめんね。しんどかったやろな」「迷惑かけました。認知症の介護に疲れてしまった」。室内に残された遺書には、妻を思いやる気持ちと介護の苦悩がつづられていた。
 「高齢女性が意識なし。呼吸も感じられない」。4日午後11時44分、警備会社の社員から119番が入った。救急隊員が、5階建て住宅が並ぶ団地の一室に駆け付けると、妻が布団の上であおむけに倒れ、夫は風呂場で首をつっていた。
 府警高槻署によると、妻の死亡推定時刻は4日午後6時ごろ。その約5時間後に、夫が自殺したとみられる。
風呂場には、警備会社につながる高齢者見守り用の非常ボタンがあり、同署は夫が自殺する直前に自らボタンを押したとみている。
 夫婦は2007年から、この団地で2人暮らし。子どもはいない。夫は長年スーパーで働き、退職後は年金暮らしで、仲が良い夫婦だったという。近くの女性は「奥さんは庭でガーデニングをするのが好きで、社交的な明るい人だった」と話す。
 妻が体調を崩したのは約6年前。パーキンソン病やアルツハイマー型の認知症などを発症した。夫は車の助手席に妻を乗せて病院に連れて行ったり、買い物に出たりして妻を支えた。
 ところが、今年に入って妻の病状が悪化し、医師に不眠を訴えた。1人で歩くのも困難になり、4月には夫が市の地域包括支援センターに「妻の体が動かなくなった」と電話で相談。センターは「救急車を呼んでもいいですよ」と促したが、その後連絡はなかった。夫婦は介護サービスの申請をしていなかったとみられ、センター関係者は「申請があれば対応のしようもあったが」と悔やむ。
 遺書は居間のこたつの上に置かれていた。A4サイズの便箋1枚に横書きで11行。「寝たきりでしんどかったやろな」「無理やりにでも早く病院に連れて行ってあげたかった」。丁寧に書かれた文面は、妻への思いにあふれていた。
 ◇相次ぐ高齢者の「共倒れ」
 2人暮らしの高齢世帯で、2人同時に死亡しているのが見つかるケースは、全国で相次いでいる。
 10月18日、大阪市西成区の市営住宅で高齢の兄弟が死亡しているのが発見された。大阪府警によると、兄(70)が玄関で、弟(65)は居間で倒れており、いずれも病死だった。弟の死後に兄の世話をする人がいなかったという。
 埼玉県富士見市の民家では昨年9月、夫婦とみられる男女の遺体が見つかった。妻(71)の介護をしていた夫(74)が先に死亡したという。介護サービスを受ける矢先だった。市の地域包括支援センターの職員が、介護認定調査のために自宅を訪れた際、応答がないため警察に通報して発覚した。
 東京都内でも今年2〜3月、高齢の夫婦や姉妹らが同時に亡くなっているのが見つかるケースが少なくとも6件相次いだ。
 府警によると、世話をしていた家族が先に亡くなり、残された人が外部に助けを求められないまま、間を置かずに亡くなるケースが多いという。  (毎日新聞)

 

11月17日(土)<外国人就労>介護施設受け入れ11万カ所を想定
 政府は16日の衆院法務委員会理事懇談会で、14日に公表した受け入れ見込み人数の算定根拠などについて説明した。制度導入初年度(2019年度)から5年間で、受け入れが検討されている14業種で26万2700〜34万5150人とし、業種ごとの内訳も提示していたが、与野党が各業種を所管する省庁に根拠を示すよう求めていた。
 5年間の見込み数が14業種で最も多い5万〜6万人とした介護の場合、年間6万人程度のさらなる確保が必要になるという。厚生労働省は「約16%の施設が外国人材活用を希望している」との調査結果に基づき、外国人労働者の受け入れ対象施設は約11万3000カ所になると想定。制度開始5年目までに受け入れが段階的に増えると仮定して、見込み人数を出した。
 5年間で4万1000〜5万3000人を見込む外食業は技能実習制度に職種がないため、試験による受け入れとなる見通しだ。農林水産省はこの試験について、必要な外国人の規模や企業からの聞き取りなどを踏まえて計画的に実施するとしている。
 5年間で3万〜4万人としている建設業。国土交通省によると、技能実習修了者などから一定割合が新しい在留資格に移行すると推計しており、段階的に試験の規模も拡充していくとしている。
 このほか、各省庁は各業種内にどのような受け入れ分野を検討しているかについても見通しを示した。   (毎日新聞)

 

11月19日(月)介護報酬に負担分を上乗せ 消費税増税に対応 〈厚労省〉
 厚生労働省は12日の社会保障審議会介護給付費分科会で、消費税10%への引き上げによる施設や事業所の負担分を介護報酬に上乗せする意向を示した。在宅サービスの利用上限である区分支給限度基準額も引き上げる。一方、特別養護老人ホームなどの食費・居住費の基準費用額の対応は引き続き検討するとされた。
 2014年4月の消費税8%への引き上げ時は介護報酬を0.63%上乗せした。介護報酬のうち基本単位については、人件費など非課税品目を除いた額に税率引き上げ分を乗じて決めた。
 厚労省は今回も同様の手法で基本単位の上乗せ率を決める考え。また、増税負担の影響が大きい加算(緊急時施設療養費など)も上乗せを検討する。
 区分支給限度基準額の引き上げは、増税で介護報酬が上がり、利用するサービス量が変わらないのに限度基準額を超えてしまうことを避けるため。限度基準額を超えた分は自己負担となる。
 施設入所者が負担する基準費用額は、例えば1日当たり食費1380円、居住費(特養多床室)840円などと定められている。低所得者の場合は負担限度額との差額が補足給付として施設に支払われている。
 基準費用額は05年10月の設定後、見直されたことがなく、分科会では施設側の委員らが、食材料費や調理委託費が高騰していること、施設整備や大規模修繕にかかる建築費が上昇していることなどから引き上げを求めている。瀬戸雅嗣・全国老人福祉施設協議会理事は「現場の負担は無視できない」と訴えた。
 一方、飲食料品に軽減税率が適用されることなどを踏まえた議論を求める意見や、基準費用額の引き上げは介護給付費の増大につながることから慎重な見方もある。
 厚労省は介護人材の処遇改善策と合わせて年内に審議報告をまとめる。介護報酬の具体的な上乗せ率は19年度の予算編成過程などを経て決まる。  (福祉新聞)

 

11月21日(水)夜間、施設長1人で31人世話…入居の6人死亡
鹿児島県鹿屋市の住宅型有料老人ホーム「風の舞」(定員55人)で、今月半ばまでの約1か月間に入居者6人が相次いで死亡していたことが分かった。うち4人の死亡時期は3日間に集中。施設では8〜9月、ヘルパー10人のうち介護担当の8人全員が退職しており、県は老人福祉法に基づく立ち入り検査を行い、運営実態を調べている。
 施設によると、死亡したのは85〜97歳の女性。要介護度は2〜5だが、ほぼ寝たきりで、5人は点滴で栄養を摂取していた。死因は2人が老衰で、残る4人は腎不全と心不全、消化管出血、誤嚥(ごえん)による窒息だった。
 ヘルパーが退職した後、日中は主に隣接するクリニックの看護師ら4人が世話をし、夜間の対応はほとんど施設長が1人で行っていた。施設側は「食事や介護の面で適正ではなかったかもしれないが、医療面については影響はなかった」としている。ヘルパーの退職理由については、「人間関係や手当に対する不満」と説明した。
 住宅型有料老人ホームは、介護職員の配置基準はないが、県の指針は、夜間の介護や緊急時に対応できる数の職員を配置するよう定めている。21日現在の入居者は31人。施設側は今後、ヘルパーを補充するという。 (読売新聞)

 

11月22日(木)<厚労省>高齢者データ分析で法改正へ 健康情報に活用
 75歳以上の後期高齢者の健康事業をめぐり、厚生労働省は、市町村が個人の医療・介護データを一括分析できるようにするため、高齢者医療確保法など関連法を改正する方針を固めた。保健師らが分析結果を基に高齢者へ病院の受診や社会参加を働きかけ、健康に過ごせる年齢を延ばす狙いがある。来年の通常国会への改正案提出を目指す。
 75歳以上については、医療機関を受診した際の情報を後期高齢者医療制度を運営する広域連合が、介護保険サービス利用に関わる情報を市町村が、それぞれ保有している。双方のデータを一括して分析すれば一人一人の健康状態改善に役立つが、今は必要な手続きに時間がかかり、医療情報は十分には活用されていない。同法改正で市町村職員や保健師らが個人情報を活用しやすくなるような規定を盛り込む。
 後期高齢者の健康事業のあり方は、厚労省の有識者会議が検討してきており、22日の会議でデータの一括分析を盛り込んだ報告書案が了承される見通しだ。
 報告書案では併せて、今は広域連合が実施している健診などを市町村が担い、介護保険の介護予防事業と一体的に実施することも盛り込む。市町村は新たに、地域に保健師や管理栄養士、退職した看護師らを配置。医療・介護データを基に高齢者の健康状態や生活習慣を分析し、病院への受診を勧めて病気の重症化を防いだり、体を動かす機会が増えるよう、住民が集まって体操や茶飲み話をする「通いの場」への参加を促したりする。 (毎日新聞)

 

11月22日(木)処遇改善の新加算、既存加算の要件クリアが前提に - I−IIIのいずれか、介護給付費分科会で厚労省提案
 2019年10月に創設される予定の介護職員の新たな処遇改善加算では、現行の処遇改善加算(I)から(III)のいずれかを取得していることが要件の一つになりそうだ。22日の社会保障審議会介護給付費分科会で厚生労働省が素案を示した。このほか、新加算の趣旨である「経験・技能のある介護職員の評価」の方法は、職能団体が実施するリーダー研修を受講した介護福祉士を高くしてはどうかという提案があった。介護給付費分科会では今後、同じサービスの事業所間でも職員配置によって加算をどのように配分していくか、事業所ごとの運用基準についてなど詳細を検討していく。
 新加算では、「訪問介護」や「訪問入浴介護」などサービスの種類ごとに「加算率」を設定し、上乗せ額に濃淡を付けることになっている。厚労省は、「経験・技能のある介護職員」の処遇改善に加算の財源を手厚く配分したい考え。分科会では、「それ以外の介護職員」「介護職員以外」を含め、各事業所が運用基準に取り扱いをどう規定すべきかなど細部を引き続き検討する。
 現行の処遇改善加算(I)−(III)のいずれかの取得を新加算の要件にすることを厚労省が提案したのは、キャリアパスの整備や職場環境の改善など、職員を定着させるための事業所の取り組みを担保するため。この点について、参加委員はおおむね了承したが、欠席した井上隆委員(経団連常務理事)が、最も要件の厳しい(I)の取得のみを対象とすることを書面で求めた。
 同省は、同じサービス内での加算率を全ての事業所で一律とする案と、経験・技能のある介護職員配置の手厚さによって2、3段階の差を設ける案を示し、意見交換では、一律の設定を支持する意見はなかった。
 東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は、「新加算の趣旨は経験・技能のある職員を評価すること。加算率に差を設けないと、職員配置が手厚い事業所とそうでない事業所の逆転現象が起きる」と指摘した。石本淳也委員(日本介護福祉士会会長)も「経験・技術がある職員に対する評価が見える形で評価を」と、事業所間に差を設ける案を支持した。
 事業所内での財源の配分は、「経験・技能のある介護職員」「それ以外の介護職員」「介護職員以外」の順に手厚くすることを厚労省が提案した。「経験・技能のある職員」の処遇改善に財源を手厚く配分する枠組みを維持するため、事業者側の裁量を認めながらも、一定の基準が必要だという意見があり、引き続き協議する。 (医療CBニュース)

 

11月27日(火)介護分野で青森県内初の技能実習生/南部町
南部町で介護福祉施設を運営する恵生会(工藤幸子理事長)は26日、インドネシアから技能実習生4人を受け入れた。外国人技能実習制度を巡っては、昨年11月の法改正で、対象職種に介護分野が追加されたばかりで、同会によると青森県内で同分野の技能実習生を招くのは初めて。国会では、同制度を含む外国人労働者の受け入れ拡大が議論されており、同会の新たな試みは、人手不足に苦しむ県内介護事業者の注目を集めそうだ。
 同会は、職員の中に同国出身者がいたことなどから受け入れを決定。東京の監理団体の支援で実現した。
 実習を始めたのは20〜27歳の女性4人。インドネシアで1年間、介護の知識や日本語を学び、来日後も県外で1カ月間の研修を受けた。
 同会は特別養護老人ホーム「三戸老人ホーム」と、三老ショートステイ「八幡のゆ」の町内2施設に4人を配属。実習期間は3年間の予定だが、同制度では介護福祉士の資格を取得できれば、さらに2年間の延長が認められるという。
 地方では介護などの職種で人手不足が顕著で、外国人労働者の受け入れ拡大に期待する声もある。技能実習生の受け入れはこれまで、発展途上国の支援を目的に行われてきたが、今国会では入管難民法などの改正案が審議され、労働力として道を開こうとする動きがある。
 同日、町役場で4人の方問を受けた工藤祐直町長は「町内のモデルケースになる」とし、高齢化が進む町内での先進的な取り組みを歓迎。同席した工藤理事長は「若さあふれる実習生を受け入れられ幸せ。活躍してほしい」と話した。 (デーリー東北)

 

11月30日(金)老健施設の約半数、13年度に比べ収支「悪化」 - 日慢協調査、「在宅強化型」では稼働率が低下
 介護老人保健施設の半数近くが2013年度と比べて収支が悪化していることが、日本慢性期医療協会(日慢協)の調査で明らかになった。介護報酬の単位が高い「超強化型」と「在宅強化型」の老健でベッドの稼働率の低下が目立つほか、在宅復帰支援の実施やリハビリテーションの充実を評価する加算を算定できていない施設があった。
  調査結果によると、在宅復帰指標は、この質問に回答した146施設全体で平均53.2点。施設類型別では、「超強化型」が平均79.3点(32施設)、「在宅強化型」が67.1点(13施設)、「加算型」が55.2点(51施設)、「基本型」が32.6点(44施設)だった。
 在宅復帰指標の項目別では、「退所前後訪問指導割合」が最高の「30%以上」(10点)だったのが67.8%、「入所前後訪問指導割合」では最高の「30%以上」(10点)が51.4%と比較的高かった。一方で、「喀痰吸引の実施割合」が最高の「10%以上」(5点)だったのは23.3%、「経管栄養の実施割合」が最高の「10%以上」(5点)だったのは26.0%といずれも3割に届かなかった。 (医療CBニュース)

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