QRコード

 右にあるのは、社会福祉法人信和会のQRコードです。
 1994年にデンソーの開発部門(現在は分離しデンソーウェーブ)が開発したマトリックス型二次元コード である。なお、QRコードはデンソーウェーブの登録商標(第4075066号[1])である。
 QRはQuick Responseに由来し、高速読み取りができるように開発された。
 当初は自動車部品工場や配送センターなどでの使用を念頭に開発され、現在ではスマートフォンの普及などにより日本に限らず世界的に普及している。
QRコード概念図
 バーコードは横方向にしか情報を持たないのに対し、QRコードは縦横に情報を持つ。そのため、格納できる情報量が多く、数字だけでなく英字や漢字など多言語のデータも格納できる。また、推奨はされていないが、濃淡の判別が可能な色あいであれば、色を付けた状態でも読み込むことが可能である。
 QRコードには、最初に作られたモデル1と、大型化に対応したモデル2がある。大きさはバージョン1の21×21セルからバージョン40の177×177セルまで、4セル刻みで決められている。
 3隅の四角い切り出しシンボル(位置検出パターン、ファインダパターン)が特徴的である。加えて、7列目と7行目などのタイミングパターン、随所に入れられた小さい四角のアラインメントパターン(モデル2のみ)が固定で、それ以外の部分に符号が記録される。
 現在、日本で販売されているカメラ付き携帯電話のほとんどがQRコードの読み取りに対応している。また、Googleの携帯電話用OSであるAndroidでも、一次元・二次元バーコード処理ライブラリ「zxing」[2]がオープンソースとして提供されており、多くのQRコード読み取りアプリで採用されている。 また、iOS11からはiPhoneやiPadでも標準でQRコードの読み取りに対応した。
QRコードの容量
数字のみ 最大7,089文字  英数 (US-ASCII) 最大4,296文字
バイナリ(8ビット)最大2,953バイト 漢字・かな (Shift_JIS)最大1,817文字

 

 QRコードの使用例。広告にQRコードが配されており、詳細な情報の載った携帯電話サイトにアクセスすることができる。
特許権者のデンソーウェーブは、規格化された技術に対し特許権を行使しないと宣言している。
 具体的な用途としては、広告や地図などの印刷媒体やウェブ画面に、詳細情報のあるウェブサイトや携帯端末向けウェブサイトのURLを記録したQRコードを表示し、これらサイトへのアクセスを容易にすることや、個人データを格納したQRコードを名刺に印刷し、携帯電話機のアドレス帳登録を容易にすることなどである。また、ネットショッピング等の決済等でも使われ始めている。
〈航空券〉
航空会社ANAとそのグループ航空会社では、2007年12月20日よりSKiPサービスと称して磁気式航空券を全廃して、日本の航空会社では初となる、情報の入力されたQRコードを用いて従来の航空券のかわりとする方式に完全に移行した。
〈競馬〉
2018年現在、日本中央競馬会 (JRA) や主要の地方競馬(南関東、名古屋、兵庫など)、一部の競艇、競輪の発売所で発売される最新モデルの投票券(富士通フロンテック製および日本ベンダーネット製)はQRコードを使用したものになっている(JRAでは2001年秋から関西地区で導入)。
〈入場券〉
北海道日本ハムファイターズ、東北楽天ゴールデンイーグルス、北海道コンサドーレ札幌(札幌ドームのみ)のホームスタジアムの試合、東京ディズニーリゾートや東京国際映画祭で、QRコードを用いてチケットレスで入場できるシステムを導入している。球団の公式サイトにてインターネットで予約すれば、携帯電話にQRコードが送信される仕組みである。
〈乗車券〉
鉄道では、沖縄都市モノレールや北九州高速鉄道が、自動改札機の更新に合わせて、従来の磁気式乗車券の廃止し、普通乗車券をQRコード化した。バスでは、ジェイアールバス関東や同社と共同運行している高速バスの一部路線でQRコードによる改札を実施し、乗車券の回収を省略している。世界では、韓国鉄道公社、KLIAエクスプレス、台湾国鉄、台湾高速鉄道で、スマートフォンアプリを利用した予約サービスや、コンビニエンスストアで発券された乗車券にQRコードを採用している。また、上記JRバス関東と同様、韓国の高速バスでも、QRコードによる改札が導入されている。
〈プリペイドカード〉
2016年6月より通用を開始した図書カードNEXTに導入された。
QRコード自体は複製が容易なので、投票券や乗車券、プリペイドカードでの利用では、QRコードを端末や販売機のみで認識できる特殊なライン上に印字している。
〈決済サービス〉
Alipay(支付宝)やWeChat Pay(微信支付)といった、QRコード決済サービスが中国市場を中心に普及している。決済手数料や導入コストが低く入金も早いことから、既存のクレジットカードや電子マネー決済が普及する以前に、中華人民共和国での決済サービスのデファクトスタンダードになった。
QRコード決済には大きく二つの手法、消費者が店側が提示するQRコードをスキャンして支払う「静的コード」、消費者が提示するQRコードを店側がスキャンして支払う「動的コード」に大別される。前者は、商品数が少ない店舗や屋台などで利用されており、2018年4月1日からは1日当たりの上限額が設定された。
日本でも、Alipay、WeChat Payの日本参入を始め、Origami Pay、LINE Pay、楽天ペイ、d払い、Amazon Pay、PayPayなどがあり、また個人間決済(割り勘など)で利用するサービスも登場している。

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