今月のニュースから

8月02日(木)ローソン、高齢者ニーズ対応店オープン 介護や栄養の相談窓口
 ローソンは1日、医療法人社団龍岡会やクオールと組み、栄養士ら専門家が介護や栄養など高齢者らの相談に応じる窓口を設けた「ローソン千駄木不忍通店」(東京都文京区)を開店した。調剤薬局を備えた既存店をリニューアルし、介護や栄養も含めた高齢者の健康に関するニーズに総合的に対応することで来店客増につなげる狙い。同日、竹増貞信社長は「人生100年時代を見据え、近くにあるローソンが健康の課題にいかに応えるかがテーマだ」と語った。
 ローソンは昨秋、調剤薬局に加え一般用医薬品(OTC医薬品)もそろえた「ヘルスケアローソン」と呼ぶ同店を開店した。今回新設した相談窓口では、管理栄養士や介護相談員が常駐し高齢者が陥りやすい低栄養などの相談に無料で応じる。食事の相談内容次第でローソンが得意とする健康に配慮した食品を紹介したりする。同会が高齢者らと接点を作る狙いがあるほか、ローソン側は相談をきっかけにした来店を見込める。
 相談窓口を併設した店舗は全国に17店あり、竹増社長は「今後、100店舗くらいに増やしたい」と語った。  (産経新聞)

 

 

8月07日(火)特養の6割が人材不足 うち1割は利用制限
 福祉医療機構(WAM)が7月27日に発表した調査で、2018年1月時点で全国の特別養護老人ホームの6割が人材不足に陥り、うち1割が利用者の受け入れを制限していたことが分かった。調査は18年2〜3月、3304施設を対象に実施(有効回答率19%)。施設形態は従来型が43%、個室ユニット型が46%、一部個室ユニット型が12%。特養ホームで人材不足に陥っているのは64%。不足している職種は、介護職が99%、看護職が38%、理学療法士・作業療法士が7%。人材不足だった施設の12%が利用者の受け入れを制限していた。
 18年春の新卒採用については、採用なし(57%)が最多で、1〜3人(35%)、4〜6人(6%)と続いた。1施設当たりの平均採用人数はここ数年減少傾向にあり、18年度は1.12人に落ち込んでいる。効果があった採用経路は、学校の就職課など訪問(63%)、学校での説明会訪問(45%)、養成校の教員推薦(43%)、資格実習受け入れ(40%)の順だった。一方、ここ数年の採用活動で対応した学生の傾向については、40%が「変化した」と回答。具体的には「給与だけでなく、残業や休日数も重視」「雰囲気の悪そうな施設は明確に避ける」「各種手当てや就職後のスキルアップ制度を他施設と比較する」などが挙がった。求人票だけでなく、法人のホームページやSNSなど複数媒体から情報を収集する傾向があるという。
 WAMは「新卒採用活動で一定の成果をあげている施設に共通するのは積極的に学生にアプローチし、就職後も働き続けることなどを応援している施策だ」と指摘している。
(福祉新聞)

 

 

8月09日(木)<介護職員の労組>セクハラや暴力の防止策 厚労省に要請
 介護職員への利用者のセクハラや暴力などが相次いでいることを受け、労働組合「日本介護クラフトユニオン」は9日、ルール整備や利用者への啓発など5項目の防止策を厚生労働省に要請した。国は介護サービスに関する運用基準で、正当な理由なく事業者がサービス提供を拒むことを禁じているが、ユニオンはセクハラなどをする利用者へのサービス提供を拒めると明記するよう求めた。また、利用者へのルール順守の啓発や、問題のある利用者について職員2人での訪問介護を可能にする介護報酬改定も要請した。ユニオンの久保芳信会長は「介護人材不足を解消するためにも働きやすい環境作りを進めてほしい」と話した。 (毎日新聞)

 

 

8月10日(金)情報共有に便利 インカムが特養の職員に好評
 介護ロボットなどを試してみて、介護職員から「役立つ」と意外にも好評価だったのはインカム。福岡県北九州市の特別養護老人ホーム「サポートセンター門司」(社会福祉法人孝徳会)は1ユニットに2人の介護職員が、ヘッドホンとマイクが一つになった通信・通話用の機器、インカムを装着し、情報共有のツールとして活用。介護職員の負担軽減やサービスの質の向上につなげている。 同施設は、市が2016年度から国家戦略特区制度の指定を受けて行っている「介護ロボット等を活用した『先進的介護』の実証実装事業」に参加している。同事業では介護職員の30秒ごとの作業(延べ330時間分)を観察して業務を「見える化」。それを分析して介護職員の時間的・身体的負担の軽減につなげるため、実際に同施設を含めた5カ所がインカム、移乗リフト、移動アシスト装置などの介護ロボットを使用した。その後、各メーカーに意見や要望を伝え、介護ロボットなどの開発や改良に生かしていく。16、17年度で延べ18機種について行った。その中で同施設の介護職員から評価が高かったのがインカムだ。緊急時に応援を呼べるため、中村順子・施設長は「すぐSOSを出せるので職員も安心できる」と話す。介護中に手を放せないときでも活用しやすい。また職員を探さずに済むので利用者を待たせない。事務連絡もすぐに全12ユニットに同時に伝えられるので効率的。吉高卓郎・介護主任は「ほかのユニットにも気を配れるようになった」と言う。現在、全ユニットに加え、看護職員と受付職員が装着している。マイクもイヤホンもズボンの腰につける受信機も、軽量なので邪魔にならないという。コストはWi−Fi環境の整備に約160万円、インカム28台で約150万円かかった。同施設は、14年12月の開設当初から記録はパソコン入力で行っている。インカムをつけた姿も「かっこいい」と若い職員が率先して使っている。こうした機器を活用することで「介護のマイナスイメージを変えたい」と吉高主任。同施設は17年度に市の「魅力ある介護の職場づくり表彰」で優秀賞を受賞した。
 中村施設長は介護ロボットなどを導入する手順として「まずは目的を明確にして現場リーダーや主任クラスの意見を聞き、どんな機器が欲しいか、どのように使うかなど時間をかけてニーズを掘り起こすことが大事」と話している。同施設では現在、見守りセンサーや移乗リフトの導入も検討している。 (福祉新聞)

 

 

8月19日(日)ICTで認知症患者見守り むつ市、東北初導入へ
 むつ市が認知症患者の見守り向上へ、情報通信技術(ICT)を活用した新たな取り組みを始める。近距離無線通信「ブルートゥース」を搭載した小型タグを身に着けて外出した対象者について、協力者のスマートフォンとの連携により、家族らが位置情報を確認できるシステム。市は24日に導入訓練を実施して課題を洗い出した上で、年内の運用開始を目指す。市によると、市内の認知症患者は2017年度末現在で2700人超。自宅から所在不明となり、徘徊中に保護されるケースが年間二十数件発生しているという。高齢化率の高まりから今後も認知症患者の増加が見込まれ、対策が急務となっている。
 見守りシステムは製薬会社エーザイのICコンテンツ「ミマモリオ」。市が昨春に同社と締結した「認知症とともに生きる地域づくりに関する連携協定」に基づき、東北地方の市町村で初めて導入する。利用対象者は、市認知症徘徊SOSネットワーク(通称・おかえりネット)登録者(先月末時点で9人)を想定している。
おかえりネット登録者には直径3.7センチ、厚さ5.8ミリのタグ「ミマモリオ」を衣類や所持品につけてもらうほか、それぞれの家族がタグのペアとなる専用アプリ「マモリオ」をダウンロードしたスマホを登録する。タグがペアのスマホの官地する範囲から外れたり、専用アプリを起動した別のスマホとすれ違ったりすれば、ペアのスマホに通知される仕組み。特にタグが連携するスマホと擦れ違った際は、スマホがアンテナとなり、地図などの位置情報がペアのスマホに送信される。
 市地域包括支援センターの池田雅文所長は「従来のアナログ的な見守りをデジタルで補充するのが目的。認知症の人やその家族が住み慣れた地域で安心して暮らせるようサポートできれば。普及に向け、家族は悩まずに相談して欲しい」と話している。  (デーリー東北)

 

 

8月20日(月)<厚労省>認知症の人同士「支え合い」に補助 制度創設へ
 厚生労働省は、認知症の人同士が互いに相談し合う支援活動などへの補助制度を創設する方向で検討に入った。認知症の診断後にふさぎ込む人は多いが、症状が軽い初期の段階で受けられる支援は限られている。当事者同士の「支え合い」を広げることで、不安を取り除き、自宅などで元気に暮らせる環境を整える狙いがある。2019年度予算の概算要求に盛り込むことで調整している。
 認知症と診断されると精神的なショックを受ける人は多く、将来を悲観して家に閉じこもりがちになるケースもある。一方、診断直後は症状が軽く、体が元気な場合は利用できる介護保険サービスがあまりないため、福祉的な支援や相談相手は少ない。この時期に、本人や家族をサポートする必要性が指摘されている。そこで厚労省が着目したのは、同じ障害や病気、生活上の問題などを抱える人や家族同士で支え合う「ピア(仲間)サポート」。精神障害者やアルコール依存症患者、難病患者などの団体が取り組んでいる。
 認知症でも、当事者団体や自治体が実施している例がある。香川県三豊市の市立西香川病院は、認知症の非常勤職員が毎週1回、通院患者の相談を受ける。診断直後の気持ちの整理や、自動車運転免許の返納に関する相談などの目的で訪れる人がいる。担当者は「ふさぎ込んでいた患者が相談中に涙を流し、明るい表情で帰るケースもある」と効果を強調する。厚労省は、ピアサポートが特に診断直後の不安を和らげる効果があると評価し、補助金によって広げたい考えだ。補助制度は都道府県を実施主体とし、市町村や社会福祉法人、NPOなどへの委託も認める。補助金の使途は、活動に必要な会場費や備品代などの運営経費を想定している。
 厚労省研究班の調査によると、認知症の人の数は12年の推計で462万人だった。団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者になる25年には、最大730万人に達すると見込まれる。  (毎日新聞)

 

 

8月20日(月)介護現場のハラスメント「上司の育成が必要」
 城西国際大の篠崎良勝准教授と外岡潤弁護士が20日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、介護職員が利用者や家族から受けている暴言や性的嫌がらせといったハラスメントについて議論した。
 解決策として、篠崎准教授は、「職員がハラスメントの被害を打ち明けられる上司を育てることが必要だ」と指摘。外岡氏は、「行政が間に入り、トラブルや問題を調整していく役割を担わないと安心して働けない」と述べた。   (読売新聞)

 

 

8月21日(火)介護職員の離職率は16.2%…前年度より0.5ポイント改善
 介護職員の2017年度の離職率は16.2%で、前年度より0.5ポイント改善したことが、公益財団法人「介護労働安定センター」が公表した介護労働実態調査で分かった。
 調査は17年10月、全国の介護事業所を対象に無作為抽出で行い、8782事業所(回答率49.8%)が回答した。1年間に辞めた職員の割合を示す離職率は、利用者宅を訪問する訪問介護員では14.8%、高齢者施設などで働く介護職員は16.7%だった。
 一方、1年間で新たに採用した職員の割合を示す採用率は17.8%で、前年度より1.6ポイント減少。従業員が「大いに不足」「不足」「やや不足」していると感じている事業所は66.6%で、前年度より4.0ポイント増加し、4年連続の上昇となった。不足の理由(複数回答)は、「採用が困難」とした回答が最も高かった。  (読売新聞)

 

 

8月22日(水)介護事業所の67%「職員足りない」 不足感は4年続け増加
 介護保険事業所の67%は「職員が不足している」と感じていることが3日、介護労働安定センターの2017年度介護労働実態調査で分かった。不足感は4年連続で増加した。職種別では、訪問介護員が82%で最も深刻だった。
 職員が不足している理由は「採用が困難」が89%で突出して多かった。採用が難しい原因としては「同業他社との人材獲得競争が厳しい」「他産業に比べて労働条件が良くない」「景気が良いため介護業界に人材が集まらない」が挙がった。介護の仕事をしている外国人労働者がいる事業所は5%。内訳は日系人18%、留学生・就学生14%、EPAによる受け入れ11%で、その他が59%で最も多く、日本人の配偶者が含まれているとみられる。今後、活用する予定の事業所は16%で、うち約半数は技能実習生の受け入れを検討している。
 介護職員、訪問介護員の離職率(16年10月1日から1年間)は16.2%で、前年度に比べて0.5ポイント下がった。過去3年間に介護のために退職した職員がいた事業所は25%。介護休業・休暇を就業規則に定めている事業所は66%だった。回答事業所の介護労働者7万8576人(施設長除く)の平均年齢は47.4歳。特に訪問介護員は54歳と高かった。役職手当や交通費などを含めて毎月決まって支給される所定内賃金額は平均22万7275円(前年度比2427円増)。賞与がある事業所は全体の7割で、平均額は57万2079円(前年度比1万2916円増)だった。
 調査は02年度から毎年行っているもの。17年度は1万7638の介護保険事業所に17年10月1日の現況を尋ね、8782カ所から回答を得た(有効回答率50%)。
(福祉新聞)

 

 

8月22日(水)経産省、介護ロボットの開発加速=AI活用で過重労働解消
 経済産業省は、介護ロボット開発を加速化させるため、企業への支援を拡充する方針を固めた。介護現場での過重労働の一因となっている記録作業を、ロボットと人工知能(AI)の組み合わせで合理化し、介護分野の生産性向上につなげる。2019年度予算の概算要求に、前年度の11億円より2割程度増額して関連費用を計上する方向で最終調整している。排せつや歩行を支援する介護ロボットの活用が進めば、介護職員の肉体的な負担を大幅に軽減でき、人手不足解消にもつながる。加えて、ロボットには支援しながら被介護者の日々の血圧など生体データを収集できる機能を搭載する。収集したデータを自動的に記録・活用する介護業務支援システムの開発も進め、介護職員が記録作業に費やす業務量の大幅削減を目指す。支援システムには、AIが被介護者の行動パターンを分析し、より効果的な介護プランを策定するための機能を備え、介護職員のプランづくりをサポートする。
 米国のIT大手などは、購買履歴などビッグデータを集めAIで分析・活用することは得意だが、ロボットを介した個別の生体データの収集などにはたけていないという。同省は、介護ロボットの開発を加速化し、日本の成長産業の核に育てていきたい考えだ。 (時事通信社)

 

8月24日(金)1人当たり介護給付費、2年連続減=総額は過去最高―厚労省
 厚生労働省は24日、2016年度の介護保険事業状況報告を発表した。利用者負担を除いた65歳以上の高齢者(第1号被保険者)1人当たりの介護給付費は、前年度比0.3%減の26万8000円となり2年連続で減少した。一方、高齢化が進んでいる影響で、総給付費は1.4%増の9兆2290億円となり過去最高を更新。1カ月平均の介護サービス受給者数は7.4%増の560万人だった。 (時事通信)

 

 

8月24日(金)特養や老健での事故、初の全国調査へ 厚労省
 特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)で起きる事故の実態を把握するため、厚生労働省は初の全国調査を行う。今年度中に調査結果をまとめ、施設における事故防止対策を検討する。事故を防ぐために必要な体制や職員が身につけるべき知識などを盛り込む方針だ。入居者が転んだり、食べ物以外のものをのみ込んだりした事故が起きた場合、国の運営基準で施設には自治体への報告義務がある。ただ、自治体から国には報告する必要がない。死亡事故も含めた事故件数や内容に関する全国的な統計はないのが実情だ。
 厚労省の審議会で委員から「介護現場でのリスクマネジメントの状況はどうなっているのか」と問題提起があったが、現状では国として実態把握ができておらず、対策がとれないことから、調査の実施を決めた。
 調査は9月以降、全国の特養約9700施設(16年時点)から2千施設以上、老健約4200施設(同)は全施設を対象に、事故の内容や自治体への報告状況を尋ねる。また、施設から自治体に報告する内容については運営基準に詳細な規定がないことから、今回の調査では全自治体に対し、施設にどの程度の事故について報告を求めているのかなどを尋ねる方針だ。   (朝日新聞)

 

 

8月31日(金)グループホーム事件受けて県内の介護施設が緊急ミーティング−熊本−
 今月7日、熊本市で介護職員が入所者を殴り死亡させた事件を受けて、30日夜、県内の介護施設関係者が集まりこれからの介護の在り方を話し合いました。
「(高齢者虐待は)普段の中で色んなサインが出ている。対策をうっていかないと、同じことが繰り返される」(介護施設経営者)
 30日夜は県内およそ90の介護施設から160人を超える関係者が参加しました。そして熊本市のグループホームで介護職員が入所者を殴り死亡させた事件が何故起こったのか再発防止にはどうしたらいいかを話しあいました。意見交換では介護施設の管理者から介護に従事する人が少なくなり、職員への負担が増大している。施設だけでなく地域で介護をしていくという社会作りが必要などの意見が出されていました。「施設全員でこういった問題を真剣に考えて再発がないように取り組んでいきたい」(参加者)

 

 

8月31日(金)「要介護でも住み続けて」 養護老人ホームの5割が対応
高齢化や重度化により介護が必要な入所者が増えている養護老人ホーム。入所者は介護保険の要支援・要介護認定(要介護認定)を受けると特別養護老人ホームなどに住み替えることになるが、住み慣れた場所で暮らし続ける選択肢も大切にしてほしいとの思いから、養護老人ホーム(全934カ所)の約5割が介護保険の特定施設入居者生活介護(特定施設)の指定を受け、介護サービスを提供している。ただ特定施設になるための人員配置や設備の改善を実施する予算の確保が課題となっている。
 特定施設は、介護保険の指定を受けた有料老人ホームや養護老人ホームなどで入浴や排せつなどの生活介護、機能訓練などを行う。大半は有料老人ホームで、全国に約5000カ所(介護予防除く)、約21万人の利用者がいる。養護老人ホームの場合、特定施設は2類型、ほかに個別契約型と合わせて計3種類に分けられる。
 養護老人ホームが特定施設の指定を受けられるようになった2006年10月に外部型特定施設、17年4月に一般型特定施設になった。
 特定施設の指定を受けるには人員配置や設備の指定基準をクリアしなくてはならない。例えば支援員・介護職員の基準をみると、養護老人ホームは入所者15人に対し1人だが、外部型特定施設は10対1、一般型特定施設は3対1になる。看護職員は養護老人ホームでは100対1だが、一般型特定施設は30対1。さらに特定施設では新たにケアマネジャーを配置する必要もある。設備基準では、養護老人ホームの大半は一般浴だが、介護浴への対応を求められ、機能訓練室も整備する必要がある。さらに一般型特定施設では介護用電動ベッドなどの福祉機器を自前で整備しなければならない(外部型特定施設は貸与可)。養護老人ホームの中にはこうした基準をクリアするのが難しい法人もある。
 また勤務体制は日勤、宿直だったのが、早出、遅出、夜勤も必要になった。新たに介護サービスを始めることも含めて現場職員の理解を得ることも大切だ。
 一方、収入面をみると、介護保険事業による増収は見込めるが、養護老人ホームの措置費は実質減額(支援員人件費相当分)となり、特定施設の介護職員や看護職員などの人件費はかさむ。外部型特定施設より一般型特定施設の方が安定する傾向にあるものの、収入は定員に占める介護サービス利用者数や要介護度などによって異なるため、法人としてしっかり見定める必要がある。
 洛南寮は基本的に府からの指定管理料で運営している。措置施設である養護老人ホームの使命を果たしながら利用者のニーズに合った介護サービスの充実を目指し、一般型特定施設に類型変更した。伊藤寮長は「入所者と施設の安定のために何ができるかという視点で考えている」と話す。
 特定施設を選択することを推奨し、運営の助言もしている老施協養護老人ホーム部会幹事の平岡毅氏(社会福祉法人カトリック聖ヨゼフ・ホーム理事)は「要介護認定されたら措置を解除し、他の施設などに移すのはいかがなものか。介護状態だけみるのではなく、そもそも入所時の措置理由があるので、その人が住み慣れた場所にいられるようにしたい」と強調する。養護老人ホームをめぐっては、自治体による措置控えや建物の老朽化に伴う建て替えなども大きな課題となっている。老施協は全養護老人ホーム実態調査を8月ごろにまとめ、改善に向け提言する予定。 (福祉新聞)

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