JPEXとは
1. JEPXとは?
日本卸電力取引所(Japan Electric Power Exchange, JEPX)
・日本で唯一の公的な「電力の卸売市場」
・電力会社や新電力、小売事業者、需要家(大口需要家など)が参加し、電気を売買する場
・2003年に設立、2005年4月に市場開設
・経済産業大臣から認可を受けた自主規制型の市場運営機関
2. 取引の種類
JEPXには複数の市場があります。
(1) スポット市場(中心的な市場)
・翌日の30分ごとの電力量を取引
・毎日、**全国9エリア(北海道・東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州)**ごとに需給バランスで価格が決まる
・例:2025年6月の東北エリア平均価格は約11.05円/kWh
(2) 先渡市場
・数日?数か月先の電力をまとめて契約できる市場
・調達コストを平準化・リスク分散する目的
(3) 先物市場(金融商品取引所)
・東京商品取引所(TOCOM)や大阪取引所(OSE)で「電力先物」として上場
・将来の電力価格をヘッジできる(JEPXそのものではないが連動)
(4) インバランス取引
・需要予測と実績の差を調整する制度的取引
・これもJEPXと密接に関連
3. 価格決定の仕組み
・需要側:「翌日この時間帯に○kWhほしい」と入札(希望数量・希望価格)
・供給側:「この時間帯に○kWh供給できる」と入札
・双方の入札をもとに**マーケットクリアリング(需給一致点)**で価格が決定
・エリア間送電に制約があるため、エリアごとに価格が違う(北海道が高く、九州が安いなど)
4. 価格の特徴
・燃料価格(LNG・石炭・石油)の影響を強く受ける
・再エネの発電量(太陽光・風力)により昼間は下がり、夕方は上がる傾向
・需給ひっ迫時(猛暑や大寒波)には一時的に100円/kWhを超えることもある(例:2021年冬の価格高騰)
5. JEPXの役割
・透明な市場価格を形成する(卸電力の“指標”となる)
・新電力(PPS)が大手電力会社と対等に競争できる基盤
・再エネや分散型電源が増えても、需給を調整する「場」として重要
・ただし、価格変動が激しいため、**小売事業者や需要家はヘッジ策(先物・固定契約など)**が必要
6. JEPXと需要家の関係
・通常、一般家庭は電力会社の「小売料金メニュー」を通じて利用
・大口需要家や法人は「JEPX連動型(市場連動型)」プランを選ぶと、市場価格をほぼそのまま負担することになる
・メリット:安いときに大幅にコスト削減できる
・デメリット:急騰時にコスト爆発するリスク(2021年冬に小売事業者の破綻が相次いだ)
まとめ
・JEPXは日本の電力の卸市場であり、スポット価格が電気料金のベースになる。
・取引はエリア別・30分ごとに行われ、需給関係で価格が決まる。
・小売事業者(新電力)はJEPXから仕入れ、需要家に販売するが、価格変動リスクをどう抑えるかが差別化ポイント。
・需要家としては「請求の基準価格がJEPXかどうか」「先物や長期電源でどこまでヘッジされているか」を確認することが肝心。