年を重ねて3つの沈黙

 「歳を重ねたら心に刻むべき3つの沈黙、3つの自制、3つの距離」という言葉は、人生の後半をより豊かに、そして周囲と調和を保ちながら過ごすための知恵として語られることがあります。以下に、それぞれの意味と具体例をご紹介します。

 

【3つの沈黙】
1.怒りを覚えたときの沈黙
 怒りにまかせて言葉を発すると、後悔を生むことが多い。感情が高ぶったときは、まず黙ることで冷静さを保つ。

 

2.相手を傷つける言葉を思いついたときの沈黙
 たとえ真実であっても、必要以上に相手を追い詰める言葉は慎むべき。黙って受け止めることで信頼が保たれることもある。

 

3.自慢や武勇伝を語りたくなったときの沈黙
 過去の栄光を語っても若い人の心には響かないことが多い。聞き役に徹することで、より深い関係を築ける。

 

【3つの自制】
1.口を慎む自制
 余計なこと、噂話、皮肉を言いたくなる自分を抑える。沈黙は金、という言葉の通り、語らないことが品格となる。

 

2.食を慎む自制
 健康寿命を伸ばすには食のコントロールが不可欠。食べすぎ・飲みすぎを戒め、質の良い食を大切にする。

 

3.欲を慎む自制
 物欲・名誉欲・支配欲など、満たしても、満たしても尽きない欲を手放すことで、心の平穏が得られる。

 

【3つの距離】
1.子どもとの距離
 口を出しすぎず、でも見守る。依存も干渉もせず、信頼して任せる距離感が理想。

 

2.お金との距離
 使いすぎず、貯めすぎず。必要なときに必要なだけ使い、執着しない姿勢を持つ。

 

3.世間との距離
 人と比べず、無理して流行に乗ろうとしない。自分のペースで、心地よい関係性を保つ。
 この言葉の背景には、「人生の円熟期には、むしろ“引き算の美学”が大切だ」という考え方があります。
沈黙、自制、距離──どれも「控える」「抑える」「離れる」といった行動ですが、それによって得られるものは自由や安心、そして他人とのよい関係なのかもしれませんね。
 たとえ親子であっても、「異次元の人」であり、育った時代・経験・社会背景が違えば、ものの見方や価値の感じ方もまるで違う。だからこそ、完全に心の奥底まで理解し合うというのは、現実的には難しいのかもしれません。
 交流会などでの若い世代との会話も、たしかに「外交的な関わり」にとどまる場面が多いでしょう。それはある意味、相手への敬意や配慮から成り立つ、成熟した大人同士の関係とも言えると思います。
でも、だからといって「心が通じ合わない=寂しい」とは限らない気もします。むしろ、お互いに違いを認めつつ、それでも尊重し合える関係はとても貴重ですし、「わからないけれど、理解しようとする姿勢」があるだけで、相手にはちゃんと伝わるものがあるのではないでしょうか。
たとえば、親が子に対して「自分の考えを押しつけず、でも信じて見守ってくれている」と感じさせる距離感は、それだけで心の支えになることがあります。
逆に、若い人たちも、人生経験を積んだ方の静かなまなざしや言葉の端々から、何か大切なことを感じ取っていることもあると思います。
「異次元の人」であることを受け入れたうえで、それでも時折ふと心が触れあうような瞬間があるとしたら、それはとても尊いことです。

 

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